2011年12月28日水曜日

パラダイムシフトについて

羽生善治さんの「決断力」を読みました。羽生さんといえば将棋の棋士であり、七冠を達成したことで有名なのは言うまでもありません。私も子供の頃、将棋をやったことがありますが、全く強くなく、将棋の強い方はどのようにして勝負に挑むのか興味がありました。

羽生さんの時代から、コンピュータを使ったデータ重視の将棋に移行したようで、戦う前のデータ解析や戦略策定が勝負を左右するとのことでした。つまり、経験以上にデータ解析が重要な時代に変化しました。

このあたりは野村監督のデータ野球と共通するところでもありますが、勝負に勝つための定石なのかもしれません。もちろんデータをただ集めるだけではなく、データに基づいて新しい戦略を導き出す必要はあります。

さて、私がこの本を読んで感じたのは、パラダイムシフトの怖さです。従来の将棋の世界では、威圧感や精神の持久力、人の嫌がる手を打つなど、人間の駆け引きが勝負の鍵を握っていました。ところが、コンピュータの登場により必勝法が大きく変わってしまいました。

従来の将棋の世界で強みを発揮していた棋士は、データ重視の作戦が浸透するにつれ、全く勝てなくなっていったと推測されます。もし自分がそのとき棋士であったどうしただろうと考えると恐怖を感じました。

データ重視の作戦をまねすればよいという考えもありますが、そう簡単にはゆきません。たとえ真似を始めても先行者はさらに先を行ってしまいますのでキャッチアップすることは非常に難しく、遅れている不利はなかなか解消できるものではありません。ということで、私が棋士でなくて安心しました。

ただし、安心するのはまだ早く、このようなパラダイムシフトはビジネスの世界でも起きてしまいます。例えば、レコードからCD、フィルムカメラからデジカメ、最近では、ガラケーからスマートフォンなどです。このように、自分の仕事が古いパラダイムとなってしまっていたら、仕事にあぶれてしまいます。

それでは、パラダイムシフトを無事に乗り切るにはどうしたらよいのでしょうか?2つ対策を考えてみました。

1.自らパラダイムシフトを起こす人となる
スティーブ・ジョブスのようにイノベーティブな人は自らの力でパラダイムシフトを起こしますので、世の中の変化を恐れる必要はありません(当たり前ですが・・・)。誰もが彼のような天才になれるわけではありませんが、毎日少しづつ新しいことを始めるなど自らを変革してゆく心構えがあれば、世の中の変化に対応しやすいのではないでしょうか。

2.パラダイムシフトを素早く感じ取り、すぐに先行者のまねを始める。
タイムラグがあると先行者に追いつくことが難しくなりますので、とにかく早くまねを始めることが考えられます。 60、70年代ころの日本は欧米の真似をして技術のキャッチアップを果たしましたし、最近の韓国、中国も基本的に先行者を真似して今の地位を得ました。ただし、真似をする場合には、先行者の知的財産を侵害していないか判断が必要ではありますが。

さて、今年はいろいろなことがありましたが、2011年はおそらく日本にパラダイムシフトが起きた年として将来評価されることとなるのではないでしょうか。パラダイムシフトの内容は、私にはよくわかりませんが、もう行動を起こしている企業や人は沢山いると思います。

したがって、それらの情報を集めて、自らどのような行動を起こすべきか、考えてみてはいかがでしょうか。

2011年12月19日月曜日

知識と知恵について

先日のニュースで弁護士の就職難が深刻化していることが報じられました。弁護士会の会費は年間50万円程だそうで、それ以上の売上を上げられなければ登録すらできません。

一昔前では弁護士といえば高収入が保証された仕事でしたが、なぜこのような事態となったのでしょうか。弁護士の需要と供給に不均衡が生じていることが主たる理由と思いますが、知識の価値が低下してることも理由の一つと思います。

弁護士になるには1日24時間厳しい勉強をして法律の知識を身につけなければなりません。昔はこの知識自体に非常に価値があったといえます。しかしながら、ネットが普及した現在ではある程度の法律の知識は無料で入手できますので、知識の価値は低下しているといえるでしょう。

また、社会の変化が早く、複雑化しており、所詮過去の体系である知識がたくさんあっても役に立たないという事情もあると思います。

現在求められているのは、 知識を使いこなす知恵だと思います。知恵はネットを調べて身につくものではなく、また、社会の変化や複雑化に対応するために必要な能力と思います。

ただし、知恵というものは学校で学べるものではなく、実務を通じて悩んだり、課題を解決することを通じて身につくものと思います。そう考えると、就職先のない弁護士はまずどうにかして実務経験を得る必要があるということになります。

では、実務経験を積めば安心なのかというとそうでもありません。 実務に注力しすぎて知識のインプットが不足してくると、自分の中の知識が陳腐化してゆきます。知恵というのは、知識の組み合わせを考えることですので、知識が陳腐化すると知恵も陳腐化してしまいます。

また、知識が不足していると知識の組み合わせの数も不足しますので、知恵の絶対量も不足することになります。このように、知識と知恵というものは、互いに関係するものであり、実務経験を積みつつ継続して知識を増やす努力が必要といえます。

そういう意味では、ロースクールとは、実務経験のある社会人を受け入れたり、実務家教員を雇ったりして、実務と知識をうまくバランスさせることができる筈でしたが、就職難が生じていることを考えると、まだまだ改善の余地があるようです。

2011年12月11日日曜日

情報の活用について

NHKで「坂の上の雲」の最終章が始まりました。私も録画したものをやや遅れて視聴いたしました。第一回目は旅順要塞攻略の部分であり、日本海海戦とならんで日露戦争で語られることが多い戦いです。

さて、旅順要塞の攻略には非常な犠牲を払うこととなるのですが、その理由の1つとしてドラマの中では旅順要塞の情報が全くないことが挙げられていました。情報があれば守りの弱い部分に攻撃を集中して要塞を攻略できる可能性が高まります。

ただし、当時は情報収集手段として内部にスパイをもぐりこませることなどしかありませんから、情報が欠乏するのも仕方がないことといえるでしょう。結果的に兵を突撃させて砲やマシンガンの配置や数を確認することになるのですが、当然犠牲者の数も多くなります。

同じことは企業経営にもいえるのではないでしょうか。技術開発を行うにしても、競合、課題、用途、・・・等の情報を調査せずに方針を決定することは、 企業の体力を無意味に消耗することになるでしょう。さらに、現在ではインターネットという便利な情報収集手段がありますので、情報収集のコストはとても低くなっており、やらない理由はありません。

また、ドラマに戻りますと、203高地の攻略や28サンチ榴弾砲の使用というアイデアが、戦いの初期の段階から提案されていたのに対し、現地の作戦参謀はこれらの提案を無視しました。確かに、現場のことは現場の参謀が一番知っておりますので、現場の判断を優先することは当然と言えます。

しかしながら、これらの情報を採用すれば攻略も早まったわけで、 外部の情報が活用されていればとも思ってしまいます。

したがって、企業も情報を収集するだけではなく、収集した情報を分析して活用する仕組みを社内に設ける必要があるでしょう。そうすればより容易に目標を達成することが可能となるのではないでしょうか。

いずれにせよ、情報の収集、分析、活用が重要なことは、日露戦争当時も、現在も変わることはありません。

2011年12月8日木曜日

無形の力について

大変遅ればせながら野村監督の書かれた「弱者の兵法」を読みました。この本には印象に残る考え方(成功する確率の高い作戦を採用するだけ、プロフェッショナルのプロはプロセスのプロなど)が、様々記載されておりますが、知財の仕事をしている当方に特に印象に残った言葉は、弱者が強者に打ち勝つには「無形の力」を使うしか無いという言葉でした。

野村監督が現役当時には王、長島という超天才がライバルとして存在したため、通常の努力ではとてもかなわないことが明白であり、野村監督がどう対処したかといえば情報を様々集めて分析することにより(すなわち、無形の力)、天才を超える成績を残すことを可能としたそうです。

体力や技術(すなわち有形の力)は有限であるのに対し、情報(すなわち無形の力) は無限ですので、アメリカ人に体力が劣り、技術で天才に劣る人間には、この無限の力を利用することが有用であるということです。

さて、企業の経営に話を転じれば、中小企業においてもこの無形の力を利用することが、大企業に打ち勝つ一つの方法といえるでしょう。したがって、技術開発においては特許情報を検索して解析し、自社の戦略にフィードバックすることが必要です。

この無形の力を最大限利用している国といえば、やはり米国でしょう。アメリカは国にCIAという組織があることからもわかるように、企業でも情報の収集や分析に多額の予算を投じております。また、コンペティティブ・インテリジェンスといって、様々な情報を企業の競争力に結びつける研究も盛んです。

また、アップルの株の時価総額は世界一となりましたが、企業価値を構成する要素の大部分が特許やブランド、そして社外秘ノウハウ等の無形財産であるといわれています。

このように強者である米国ですら無形の力を活用しているのですから、日本企業がこの先生きのこるためにも、無形の力を利用することを真剣に考えなければならないでしょう。

2011年12月3日土曜日

知財の必要性について

いろいろな方のご意見を伺うと、弊社には特許は必要ない、というご意見を伺うことがあります。確かに、特許出願には費用がかかりますので、出費を押さえるためには特許出願を行わないという考え方もあるのかと思います。

しかしながら、特許活動(知財活動)は、特許出願のみではなく、付帯する様々な活動を含みますので、この点まず理解が必要でしょう。知財活動とは、知財の創造・保護・活用を行う活動と一般にはいわれています。ここでは知財活動の意義を考えてみましょう。

1.知財の創造
知財の創造では特許情報の活用が鍵となります。先行技術を調査することにより重複する研究によるムダな投資を防止できます。また、発明創出には様々なアイデアを出さなければなりませんが、特許情報から課題や解決手段を抽出することにより、容易にアイデアのネタを収集することができます。

2.知財の保護
せっかく考えた発明も権利化しなければ他社に模倣されてしまいます。適切な権利行使を行うためにも権利化は必須といえます。

3.知財の活用
知財とは特許権等、権利化することにより財産的活用が可能となります。特許権を有することにより製品やビジネスを独占できますので、不要な競争を排除でき利益率を高くできます。また、ライセンスにより特許料を得ることもできます。

このように、技術系の企業において知財活動は必須とも思いますが、それでは、逆に特許活動が不要な技術系の企業とはどのような企業なのでしょうか。

一つは大企業の下請けを主とする企業なのかと思います。技術的な課題や開発分野は大企業から提示されますので、特許情報を収集する必要は生じません。 権利化は大企業側でやりますし、権利行使も大企業側で行います。

そういう意味では下請けというのは事業戦略の一部を省略できますので、合理的なシステムといえるかもしれません。しかしながら、大企業に余力のなくなった昨今では、事業戦略を大企業に委ねることは経営上非常にリスクが高いのではないでしょうか。

下請けを抜け出し、中小企業独自の事業戦略を構築したいのであれば、ある程度のリソースを投入して独自の知財活動を行う必要があるといえるでしょう。

2011年11月25日金曜日

請求項の長さについて

適切に権利行使するためには、請求項の書き方が重要であると言われています。

これは、権利一体の原則という考え方があり、特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に記載されたすべての構成を備えた物または方法のみに限られるとされるからです。

したがって、請求項に使用する表現には広い概念の用語を使用する、不要な構成の記載を行わない、請求項の長さを短くする、ことなどが求められております。

さて、装置、部品、方法と様々な請求項を設けることにより、発明を多面的に保護することが可能となりますが、一般的に装置の請求項は請求項の記載がどうしても長くなり、権利行使が難しい場合もあります。

逆に部品の請求項は記載が短くなり、権利行使しやすいというメリットがあります。(ただし、特許性[新規性、進歩性]を満たすことは難しいともいえます。)

ということで、部品の請求項をどんどん書きましょう!といいたいところですが、部品の請求項の実例をみてみましょう。

【請求項1】
 互いに圧接する第1及び第2の負圧発生部材を収納するとともに液体供給部と大気連通部とを備える負圧発生部材収納室と、該負圧発生部材収納室と連通する連通部を備えると共に実質的な密閉空間を形成するとともに前記負圧発生部材へ供給される液体を貯溜する液体収納室と、前記負圧発生部材収納室と前記液体収納室とを仕切るとともに前記連通部を形成するための仕切り壁と、を有する液体収納容器において、
 前記第1及び第2の負圧発生部材の圧接部の界面は前記仕切り壁と交差し、前記第1の負圧発生部材は前記連通部と連通するとともに前記圧接部の界面を介してのみ前記大気連通部と連通可能であると共に、前記第2の負圧発生部材は前記圧接部の界面を介してのみ前記連通部と連通可能であり、
 前記圧接部の界面の毛管力が第1及び第2の負圧発生部材(132A132B)の毛管力より高く、かつ、液体収納容器の姿勢によらずに前記圧接部の界面全体が液体を保持可能な量の液体が負圧発生部材収納室内に充填されていることを特徴とする液体収納容器。(特許第3278410号:キヤノン株式会社)

これは、有名なキヤノンのインクカートリッジの発明ですが、請求項の長さははっきり言って長いです。これでは権利行使が難しいと思うのですが、最高裁まで充分に戦える請求項でした。

その理由は、インクカートリッジの侵害品とは、空になったインクカートリッジにインクを補充するものですので、侵害品はデットコピーにならざるを得ないことがあると思います。

したがって、請求項の広さ、狭さは重要ではなく、自社のインクカートリッジを守れれば狭い表現でも大丈夫といえます。

また、請求項の長さが長いことにより、無効とされる可能性も低く、訴訟を安定して戦うことも出来ます。

このように、単純に請求項の広さ、狭さを考えるのではなく、侵害品を想定して請求項の表現を考えることが重要といえるでしょう。

2011年11月19日土曜日

2011.11.18 弊社秋期知財セミナー(第3回)開催

2011年11月18日(金)に、秋期知財セミナーの第3回目が行われました。講師は新井先生です。「中小企業における知財のケーススタディ 」をテーマに、中小企業における特許出願の注意点、及び、意匠出願の戦略的出願方法など、実務的に役立つセミナー内容でした。

特に意匠につきましては、なかなか実務について書かれた書籍などないため、権利行使を考えてどの形態で出願すべきか、部分意匠をどう利用するか、意匠の類比の判断はどう行われるかなど、私にとっても非常に勉強になりました。

(セミナー風景)

ご参加頂きました皆様、誠にありがとうございました。次回の講師は鶴見先生が担当させていただきますのでよろしくお願いいたします。
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(セミナーのご案内)
本セミナー最終回が11月30日(水)に開催されます。今回のセミナーは中小企業の知財管理の事例を交えた実戦的な内容となっておりますので、お役に立つ情報を提供できると思います。最終回のみご参加も歓迎しております。最終回は広い教室しか空いていなかった関係上、お席には余裕があります。詳しくは弊社ホームページへの下記リンクをクリック願います。


ふるってご参加下さい。

2011年11月11日金曜日

2011.11.1 弊社秋期知財セミナー(第1回)開催

2011年11月1日(火)に、秋期知財セミナーの第1回目が行われました。講師は鶴見先生です。「中小企業における知財の基礎 」をテーマに、知財部の運営の仕方、特許情報の活用方法など、盛り沢山の内容でした。


(セミナー風景)
ご参加頂きました皆様、誠にありがとうございました。次回の講師は私が担当させていただきますのでよろしくお願いいたします。

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(セミナーのご案内)
弊社の知財セミナーが11月に開催されます。今回のセミナーは中小企業の知財管理の事例を交えた実戦的な内容となっておりますので、お役に立つ情報を提供できると思います。詳しくは弊社ホームページへの下記リンクをクリック願います。


ふるってご参加下さい。

2011年10月21日金曜日

施行日(まとめ)

米国特許改正法がオバマ大統領の署名により2011年9月16日に発効しました。しかしながら、実際に法の運用が開始される施行日については条文ごとにまちまちのようですので備忘録的にまとめました。

1.改正法発効日と同日に施行(施行済)
・先使用権の拡大
・マイクロ・エンティティ
・ベストモードの無効理由からの除外
・バーチャル特許表示
・虚偽特許表示
・人体組織の不特許
・脱税発明等の先行技術との差の否認

2.改正法発効日から10日後に施行(施行済)
・料金一律15%値上げ

3.改正法発効日から60日後に施行(もうすぐ施行)
・ペーパー出願付加料金

4.改正法発効日から1年後に施行
・冒認出願
・補助審査
・査定系再審査
・当事者系レビュー
・登録後レビュー
・情報提供期間拡大

5.改正法発効日から18ヶ月後に施行
・先願主義への移行

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(セミナーのご案内)
弊社の知財セミナーが11月に開催されます。今回のセミナーは中小企業の知財管理の事例を交えた実戦的な内容となっておりますので、お役に立つ情報を提供できると思います。詳しくは弊社ホームページへの下記リンクをクリック願います。


ふるってご参加下さい。 

2011年10月12日水曜日

御社の知財部:秋期知財セミナー開催のお知らせ

■セミナー概要
経済のグローバル化が急速に進展する中、中小企業が事業を継続し発展を続けるために新たな戦略が求められています。その一つの鍵となるのが、事業戦略、技術開発戦略、及び、知財戦略をミックスした三位一体の経営戦略を実現することにあります。
本セミナーでは、具体的な中小企業の知財マネジメントの事例を取り上げて、いかにして知的財産を中小企業の経営に生かしてゆくか皆さんと一緒に考えて行きたいと思います。
中小企業に生じる知財上の問題とはいかなるものか、また、知財を活用する際の苦労、さらに、その問題を解決するためにはどのような方法があるのかなど、実例に基づいて様々考えて行きますので、貴社が知財を活用される際に非常に参考となると考えます。
知的財産が初めての方にもわかりやすく説明いたします。この機会に是非ともご参加ください。

■開催スケジュール
第1回 11月1日(火)18:45~20:30
知的財産の基礎
・中小企業にとって知的財産はどのような意味を持っているのか
・知的財産を持っているとどんな利益が得られるのか
(講師:鶴見隆)

第2回 11月10日(木)18:45~20:30
中小企業と知的財産(ケーススタディ1)
(講師:川上成年)

第3回 11月18日(金)18:45~20:30
中小企業と知的財産(ケーススタディ2)
(講師:新井信昭)

第4回 11月30日(水)18:45~20:30
中小企業と知的財産(ケーススタディ3)
(講師:鶴見隆)

*ケーススタディに用いる事例の詳細につきましては、後日お知らせいたします。

■会場: かながわ県民活動サポートセンター(神奈川鶴屋町2-24-2:横浜駅徒歩5分です)
■受講料: セミナーの参加費用は1,000円/回です。
*第1回は基礎的な内容となっておりますので、応用編からの受講を希望される方は、第2回から第4回までの申し込みをお願いいたします。
*各回の1回のみ、又は、任意の回を組み合わせたご参加も可能です。
■当日は無料相談も承っておりますので、ご希望の方は受講申し込み時にその旨の記載をお願いします。
■お申し込みは下記の特設ページからお願いいたします。

御社の知財部:秋期知財セミナー特設ページへ移動します

2011年10月10日月曜日

国家資格と特許について

最近、弁護士や博士号の難関国家資格を取っても仕事がなかなか無いという話を聞きます。博士といえば、末は博士か大臣かといわれ、博士号を取れば一生の身分が保証されたものでした。また、弁護士といえばエリートの証としてこちらも高収入が保証された資格でした。

これら国家資格の価値が現在低下した理由としてはいろいろあると思いますが、例えば、資格を取る人間の数が需要を上回る勢いで増えたことや、経済のグローバル化が進み日本国内のドメスティックな資格の価値が低減したことなどがあると思います。

さて、私は特許関係の仕事をしているのですが、最近似たような話しを聞きます。それは、「特許を取っても役にたたない」という話です。

国家資格も特許も国が与えるお墨付き(権威)という点で共通していますが、本当に役に立つのか疑問が生じている点でも共通してしまっています。

特許が役に立つのかどうかいえば、役に立つともいえますし、役に立たないともいえます。

特許をとること自体が目的化した場合には役に立たなくなる可能性が高くなり、特許を取ることがある目的を達成するための手段(の一つ)と位置づけた場合には活用が図れる可能性が高くなります。

つまり、「特許(弁護士、博士)を取る」ことを目標とするのではなく、「○○するために、特許(弁護士、博士)を取る」と解決手段化する必要があると思います。

更に役に立てるためには、「○○する」部分は他社(他者)と十分に差別化されている必要があると思います。

例えば、「大学の先生になるために博士号をとる」とした場合には差別化されておりませんので過酷な競争を勝ち抜く必要がありますが、バイオベンチャー企業を立ち上げるために博士号をとるというのであれば差別化できるかもしれません(もっといい例があるとは思いますが)。

結局、「○○する」という部分を考えることは、すなわちマーケティングをするということと同義ですので、まずマーケティングを行い自分の目的を定め、その目的を達成するために「特許(弁護士、博士)を取る」ことを考えてみることが役立てるために必要といえるでしょう。

2011年10月6日木曜日

御社の知財部:秋期知財セミナーについて

ブロクが更新できていませんが、ただいま11月に実施予定ののセミナー準備で忙しく作業をそちらに集中している為です。

次回のセミナーでは事例を多く取り上げ、中小企業の役に立つ講義内容とする予定です。詳細につきましては近日中に公開させていただきます。

2011年9月24日土曜日

知的資産とは?

下町ロケットの後半は特許権をライセンスするか、若しくは、特許製品を納入するか、の主人公の判断が主軸となります。

特許権をライセンスすれば年間5億円のライセンス料が自動的に会社の口座に振り込まれることとなります。一方、製品を納入する場合には、一下請け業者として大企業からコスト削減や品質向上などの厳しい要求がなされることとなります。

ライセンスではあまり面白くありませんので、小説内では特許製品納入の道を主人公は選ぶのですが、この判断は果たして正しいのでしょうか?

特許権のライセンスの場合にはキャッシュフローが確実に得られますので財務状況が好転します。一方、特許製品納入の場合には、そもそも特許製品を購入してもらえるか不明ですので事業上のリスクが高くなります。
 
したがって、普通に考えれば特許ライセンスの方を選択すると考えられ、逆に、それ以上の価値が合理的に存在しなければ製品納入の道は選べないことになります。

製品納入を選ぶことによるメリットとしては、 大企業の要求に答えることにより従業員が成長しまた技術力の更なる向上を図ることができます。さらに、新たな技術的課題が判明すれば、新たな発明のタネとなったりします。

実際小説の中では、従業員が実際に超機密のロケット組立工場に入り、不具合の原因究明をしたりしているので、この経験により得られるノウハウはお金で買えるものではありませんし、人間の成長はかなりのものではないでしょうか。

このようなノウハウや人的資産などの無形の資産を知的資産と呼び、最近は知的資産を生かした経営が奨励されているようです。しかしながら、このような知的資産は財務諸表上に現れるものではありませんので、経営に対する効果はなかなか論理的に説明できるものではありません。

結局、知的資産経営を重視するか否かは経営者の考え方にかかっているといえるでしょう。

2011年9月16日金曜日

米国特許法改正について

アメリカの特許法がいよいよ改正されることとなりそうです。改正の話は毎年のようにあったのですがお流れになることが多く、今回も流れるだろうとなまけていましたらあっさり成立しそうなので、あわてて情報収集をはじめました。

法案(リーヒ・スミス米国発明法案)の詳しい情報につきましては、これから精度の高いものがでてくると思いますので、私が気になった点を2、3コメントしたいと思います。

まず、なんといっても外せないのが先発明主義から先願主義への移行です。

日本など多くの国では最初に出願した人が特許をとれるのですが、米国では最初に発明した人が特許をとることができるという特異な制度を維持しておりました。制度の相違により米国出願はいろいろと面倒でしたが、今回の改正で多少わかりやすくなったといえます。

ただ、日本の先願主義とは微妙に違う箇所もあるようです。

日本の特許法は新規性の喪失の例外として、自己の行為により開示された場合にはその発明は新規性を失わないという規定があるのですが、この場合でも、第三者が同様の発明を開示した場合には新規性を失ってしまいます。

ところが、米国特許法のグレースピリオドでは、自身の発明開示後であって、自身の出願前に第三者が同一発明を開示した場合であっても、自身の出願は第三者の開示による影響は受けないこと(いわゆる「先発表主義」)となるようです。つまり、先発明主義的ニュアンスが多少残ることになります。

米国では発明者の保護が重要であるとの考えが強いようです。

また、日本では出願人は自然人、法人どちらでも可能ですが、従来の米国特許法では、発明者のみが出願人となれるとされていました。今回の改正で、発明者からの承継人(法人) も出願人となれるようです。したがって、企業名で今後は出願できるようです。

その他いろいろ改正点がありますが、最初に述べましたようにこれから精度の高い情報が出てくると思いますので今後の情報に注意が必要と思います。

(補足:2011.9.19)
本法案につきましては2011.916にオバマ大統領が署名し無事に成立いたしました。米国特許法改正の概要につきましてはJETROのホームページにわかりやすいまとめがありますので、下記PDFファイルを参照願います。

http://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/ip/news/pdf/110908.pdf

2011年9月13日火曜日

中秋の名月

中秋の名月を撮影してみました。


やはり望遠レンズがないとダメなようです。マニュアル撮影の知識も必要ですね。

月明かりというのは思うより明るいものです。以前、大洗から苫小牧へ向かうフェリーに乗ったとき、真夜中に船のデッキに出てみると、月明かりに照らされた水面が船の方へまっすぐ伸びていて、とても幻想的だったことを思い出します。

と、まあ知財に関係ない話でした。

2011年9月9日金曜日

発明が終わるとき

日本では1年間で35万件程度の特許出願がされています。ちょっと前までは40万件以上出願されていたのですが現在は減少傾向です。

ところで、毎年こんなに多くの特許出願がされてゆけば、いずれ発明はし尽くされ特許出願も0になる日が来るのではないかと、エンジニアをやっていた頃疑問に思っていました。

発明とは技術的課題を解決するための手段ですので、発明が0となるかどうかは、技術的な課題がなくなるか否かを考えればよいことになります。

そう考えると技術的な課題はまだぞくぞくと出てきそうです。例えば、先の震災により、新たにエネルギー、防災対策、放射能除去、原子炉解体などの新たな課題が生じました。そしてそれらを解決するための発明がこれからいろいろとなされるでしょう。

したがって、発明が0となる日はまだまだ先のようです。

ただし、ミクロ的な話となるとまた別のことが考えられます。例えば、日本に限っていえば、これから少子高齢化や理系離れが進み、また、借金が増えすぎて研究開発へ資金を投入できなくなった場合には、日本では発明がされず、もっぱら元気な外国(アメリカ、中国)などにて発明がされてゆくのではないでしょうか。

また、特定の技術分野については発明が減少する場合もあるのではないでしょうか。単純な機械要素などは発明と呼ばれるものが生み出されにくい状況にあります。電気、ソフトウエア、バイオ、ナノテクなど様々な技術分野が登場し発明創造の中心が新たな技術分野に移動してゆくと思われます。

したがって、特定の国、特定の技術などミクロ的に考えれば発明が0となる可能性もあるということです。

もっと、簡単にいえば、日本に住んでいて機械が専門の私には特許の仕事が来なくなる可能性があるということです。。。そうならないよう日本を盛り上げてゆきたいと思います。

2011年9月8日木曜日

知財デザイン:無料相談のご案内

8月に行いました夏期知財セミナーも終わりそろそろ次の企画を考えねばと思い、無料相談を実施いたします。以下ご案内です。

■月4社様限定の無料相談のご案内です。
特許権や商標権などの知的財産権を生かした経営を行ないたいと考えておられる企業様も多いと思います。しかしながら、実際どのように生かしてゆけばよいのよくわからないのが実情とも思います。

そこで、月4社様限定で2時間の無料相談を企画させていただきました。当社コンサルタントが貴社の知財上の課題をお聞きし、その解決方法を貴社様と一緒に考えます。この機会に当社に是非ご相談下さい。

お申し込みはこちらです(御社の知財部.com 特設ページ)


4社限定とさせていただいたのは、どうしても資金的時間的な制約がありますので、その中で対応が可能と思われる数とさせていただきました。

また、本無料相談とは別に別途会場を確保した相談会も10月をめどに実施する予定です。詳細が決定致しましたらお知らせします。

まずは、お気軽にお問い合わせ下さい。

2011年9月4日日曜日

facebookはじめました。

大変遅ればせながらfacebookをはじめました。



まだ初めて1週間ですので特に発言もせず雰囲気を掴んでいるところです。「いいね!」が何を意味しているのか未だによくわかりませんが使っているうちにわかるでしょう。

twitterにつきましては、今年の1月から始めております。

当方のtwitter

こちらも1日数回つぶやく程度です。ほぼ雑談(反応のない独り言・・)と、あとはニュースクリップに使用しています。興味のあるニュースを記録できますので、この点非常に便利です。

フォロー数も100人程度ですので大したことはありません。これ以上フォロー数を増やすととても読めませんのでこのあたりが個人的な限界と思います。フォロー数が1000人以上の方はどう読んでいるのでしょうか?

twitterは、先の震災の時に情報収集に大変役に立ちました。携帯電話も使えずTVも見れない状況下でもそれなりに稼動しておりましたので、やっててよかったと少し感動しました。

facebookとtwitterを始めてみて思うことは、私はtwitter派ということです。

facebookは人間関係がロジカルすぎて、一匹狼の私にはやや窮屈感があります。逆に言えば、特定の組織(グループ)に属していて、その中で交流を図りたい場合には大変便利なツールといえるでしょう。

私の場合には、もっぱら大学の同窓会の連絡用に使用しており、人間関係もその中で閉じてしまっています。

その点twiiterはつながりが緩いので非常に気が楽ですし、知り合いでない人ともつながれます。アイドルや読者モデル?の方など、私と関連のない世界の方のつぶやきも見れます。

また、facebookは人気がある人とない人がすぐに比較しやすく一目でわかってしまいますが、twitterの場合には、独り言が続いても気になりません(気にすべきかもしれませんが・・・。)

このようにSNS初心者の私ですが調子にのって、会社のfacebookページも作ってしまいました。

株式会社知財デザイン

Facebookページも宣伝

ところで、最近facebookとtwitterを使用したマーケティングの本がぞくぞくと出版されておりますが、はたして宣伝に使用できるのでしょうか?

facebookとtwitterとは無料で使用できるという点で非常にメリットがあります。ただし、プロモーションは潜在的な顧客にリーチできることが重要です。当社の潜在的な顧客は中小企業様と考えております。

しかしながら、私がfacebookとtwitterとつながっている人は、友人及び同業者が主ですので、この人達に宣伝を行ってもあまり意味はありません。

逆に、友人同士の会話の中に会社の宣伝を紛れ込ませると、話の流れを折り、空気が読めない感じとなります。その結果友人を失ってしまうかもしれません。

そういう意味では、現在のところはfacebookとtwitterで宣伝を行ってもほとんど効果がないといえるでしょう。facebookとtwitterでは雑談や簡単な活動報告にとどめたほうが無難と思ってます。

2011年9月1日木曜日

特許出願と製品化について

ある有望な技術のアイデアがある場合、特許権の取得と製品化のタイミングをどう調整するかは非常に悩ましいところです。

大企業の場合には、自社で製造し販売ルートを確保し、宣伝も行う能力があります(資金も豊富です)ので、特許活動はある程度計画的に行えると思います。

しかしながら、中小企業の場合には、製造を外部に委託したり、場合によっては、大企業に技術を売り込みにいったり、販売ルートを確保したり、そもそも製品化しても採算にのるのか?という様々な課題があります。

ここで、特許活動を先行させた場合にはお金にならない無駄な特許を取得してしまう可能性があります。

したがって、中小企業の場合には、事業化の活動と同期させて特許活動を行い、無駄な特許出願による費用が発生することを防止する必要があると思います。

特許取得までには大まかに言って、特許出願、出願公開、審査請求などのイベントがありますので、その時々の事業化活動の留意点について考えたいと思います

まず、特許出願ですが、特許は早いもの勝ちともいえますので、アイデアが固まった段階で早期に出願する必要があります。

ただし、この段階ではまだ営業活動はしないでください。特許出願から1年6月の間は特許出願の内容は公開されませんので、この間に営業活動をしてしまうと発明を真似され出願されてしまうおそれがあります。

この期間は、改良発明の出願や国内優先の利用を考えて、事業を守れる特許網の構築を行いたいところです。

ただし、直ぐにでも売れそうなどの特別の事情がある場合には、別途秘密保持契約を結んで情報を開示するような営業活動が求められます。

次に、出願公開ですがこの出願公開により、発明の内容は秘密の状態から脱しますので、特許公開公報を手にいろいろな人と会って、事業化の活動を行うことが可能です。

ただし、この場合でも明細書に記載されていない特別のノウハウや改良発明の可能性については模倣を防ぐ意味でうかつにしゃべらないようにした方が無難です。

最後、審査請求ですが、ここではまず請求項の内容の最終確認をしたいところです。最終的な製品はその後の改良などにより、出願当初の請求項の範囲から外れている可能性があります。

したがいまして、この点の確認が必要ですが専門知識が必要ですので弁理士に依頼するのが無難です(費用はかかりますが・・・)。

製品が出願当初の請求項の範囲から外れている場合には、請求項を補正したり、国内優先件制度を利用したり、場合によっては、新たな出願をしたりします。

また、同時に特許になりそうか否か確認をしておきたいところです。審査請求には多少安くはなりましたが費用がかかりますので、ある程度の見通しを持って審査請求することにより、費用をセーブできます。

以上、特許出願のスケジュールから対応を考えて見ましたが、製品化のスケジュールから対応を考えて見たり、研究開発のスケジュールから考えてみると、いろいろな作戦が練れると思います。

2011年8月31日水曜日

(株)知財デザイン:夏期知財セミナー第4回を実施しました。



2011年8月31日(水)に、夏期セミナーの第4回目が行われました。講師は鶴見先生です。「中小企業における知財管理の進め方 」をテーマに、本セミナーのまとめの位置づけで、知財管理上重要な事項の確認を行いました。

ご参加いただいた皆様におかれましては、お暑い中、また、お忙しい中ご参加いただき誠にありがとうございました。皆様欠席されることなく参加され、企画した当社といたしましても光栄に思います。今後も定期的にセミナーを企画させて頂きますので、ご参加いただければと思います。

私も、この8月はセミナー開催に全力を投入しましたので、夏休みなしで頑張りました!ここで一息といきたいところですが、もう9月でもあり夏休みという雰囲気でもありませんね・・。

2011年8月27日土曜日

MOT修了パーティーについて




2011年8月27日(土)に、東京農工大学MOT第5期生の修了パーティーが銀座の某所にてとり行われました。本当であれば3月に実施されるはずでしたが、先の震災のため、中止するか延期するか議論があり、結局皆が集まりやすい8月にやろうとなったものです。




鶴見ゼミの面々です。左から私、森野さん、本田さん、鶴見先生です。



MOTのおじさんたちと美女です。和気あいあいとしておりますが、会社へ戻ればとても厳しく仕事をしている人たちです(多分)。

今の日本は課題が山積ですがMOTで学んだ問題解決方法や、MOTで得た人的ネットワークを大いに活用して、少しでも競争力のある日本を取り戻せるよう活動してゆきたいと思います。

2011年8月25日木曜日

定石について

当社の夏期知財セミナーをこれまで3回ほど開催させていただいておりますが、その内容は知財戦略の定石的なものが多いです。特殊な事例は適用範囲が狭いため、まずは、定石をという考えです。

しかしながら、定石とは過去の事例を系統的にまとめて分析したものですので、やや退屈でもあり、変化の激しい今後の世の中に適用できるのか(つまり、役に立たないのでは!)という疑問もあるかと思います。

余談ですが、MBAやMOTなどでもケーススタディとして主に経営の定石的なものを学びますが、定石は世の中の人が広く知ってますので、MBAやMOTは役に立たないと言われることもあります。

では、定石を勉強することは役に立たないのでしょうか?

ひとつ考えられるのは、定石を駆使する敵に対しては定石にを知ることにより、少なくとも負けることはないということです。定石を知らない場合には定石により敵にあっさり負けてしまいます。定石を知っている場合には、定石を超えるアイデアの戦いとなります。勉強不足で負けてしまうのはちょっと悲しいですよね。

また、アイデアは既存の知識の組み合わせですので、定石を多く知ることにより、様々な定石を組み合わせて、新たな戦略を構築できます。新たな戦略により、敵に対して優位に立つことができます。

したがいまして、定石を知ることが負けないために重要であり、さらに勝つためには、定石を自分のものとすることが必要と言えるでしょう。

シャーロック・ホームズも千以上の過去の事件を研究し、それに基づいて優れた推理を行ったそうですので、めんどうで退屈でもありますが定石を勉強するしかないようです。

2011年8月24日水曜日

知財デザイン:夏期セミナー第3回目を実施しました

2011年8月24日(水)に、夏期セミナーの第3回目が行われました。講師は新井弁理士です。

「大企業を活用する!! 零細企業の知財マネジメント 」をテーマとしたセミナーでした。

零細企業の実際の知財マネジメントの事例について、かなり突っ込んだ話がされました。現在ドクター論文の作成の山場とのことで、大変お忙しい中ありがとうございました。

(セミナー風景)

次回はいよいよ最終回です。第4回のテーマは「中小企業における知財管理の進め方:こうすれば知財に強い会社になれる!」です。講師は鶴見教授に第1回に引き続いて担当頂きます。第4回からの参加も歓迎いたしますので、ご希望の方は当社ホームページからお申し込みください。

夏の終わりに知財について考えてみてはいかがでしょうか。

課題と解決手段について

さて、発明とはそもそも何でしょうか。簡単にいえば、発明とは「課題を解決する手段」といえると思います。つまり、何らかの技術的な問題が存在し、それを解決するためにいろいろとアイデアを出す作業を行うわけです。

それでは、発明をする場合に「課題」を考えるのと「解決手段」を考えるのと、どちらの作業が重要でしょうか?解決手段は公知の技術を組み合わせればよいのでgoogleで調べれば誰でも考えつくと思います。

一方、技術的な課題というのはその分野の専門家でなければ、なかなか認識することはできません。 したがって、この課題の分析・検討がその後の発明の良し悪しに大きく影響することになります。

課題の分析にはロジックツリーなどを用いて課題をブレイクダウンし、より本質的な課題を抽出する作業を行います。また、特許データベースから課題部分を抽出して課題を分類し、課題の系統図を作成したりもします。

このように課題を考えることは、良い発明を生み出すために非常に重要です。また、新たな課題に基づく発明は、新規性や進歩性を有し特許される可能性も高まります。

この点、特許明細書の構成は、課題⇒解決手段の順となっておりますので、ロジック的に合理的な構成となっています。 

また、必ずしも技術の専門家ではない弁理士が最新の発明の明細書をかける理由もここにあります。明細書に記載するのはあくまでも公知の手段ですので、本やインターネットを調べる程度の能力があれば明細書をとりあえず書くことができます。

2011年8月20日土曜日

発明の作り方について

メーカ系の会社に勤めていると、発明をどんどんしろと上司からはっぱをかけられることも多いと思いますが、そんな簡単に発明を思いつくことはできません。

しかしながら、仕事ですので何とかしなければいけない状況もあると思います。

発明とは簡単にいえば技術的なアイデアです。特許法的にいえば技術的思想の創作うんぬんなのですが、まあどうでもいいでしょう。

したがって、発明もアイデアの一種であるならば、発明を作るにはアイデアの作り方を真似すればいいこととになります。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」ですので、これを発明に適用すると、「発明とは既存の技術の組み合わせ」とでもなるでしょうか。(特許性まで考えれば、公知の構成の格別の効果を生じる組み合わせとでもなると思います)。

つまり発明を作るには、兎にも角にも既存の技術を調査して、その組み合わせを考えることが必要と思います。

既存の技術の調査には、技術者の頭の中にある程度の知識があると思いますし、書籍や雑誌、論文を通じて調査する場合もあると思います。

ここで、是非利用していただきたいのは特許情報です。例えば特許情報図書館(IPDL)を使えば、過去の国内出願の情報に24時間365日無料でアクセスできます。加えて、キーワードを使用して検索できますので、必要な情報を的確に抽出することができます。

ということで、発明をしなければならない場合には、まずIPDLをサッと見てみることがおすすめです。

次に、技術の組み合わせを考える方法ですが、これは、人間の無意識に任せるのが基本となります。私も、JR川崎駅の京浜東北線のホームで電車を待っているときにとても複雑なメカニズムを思いついた経験があります(その後、出願して特許になりました)。

したがって会社としては、技術者によく睡眠をとらせ、職場環境を良好にしてストレスを減らし、たまには長期の旅行にいってもらうなどするのが、発明を量産するためには必要と思います。しかしながら実際には、長時間労働させたり、むりやりブレインストーミングさせるなど逆のことをしています。

アメリカなどは自由な雰囲気の会社が多いですが、あまり技術者を束縛しないようにして、アイデアを量産しようとしているのかもしれません。

ここで、人間の無意識に頼ることはなかなか管理できず個人の能力に依存しすぎるので、システマチックに発明をする方法がいろいろ考案されてきました。

代表的な方法としては、TRIZがあります。これは簡単にいえば、技術の組み合わせのヒントをどんどん出してくれる仕組みであり(違うというご意見もあると思いますがご容赦ください・・)、多くはソフトウェア化されてますので、コンピュータの誘導に従って発想して行けます。

例えていうなら、とても難しいクイズがちょっとしたヒントで、はっと答えがわかる、というような感覚です。

私もTRIZを使用して、とても困難な技術的課題をあっさり解決したことが1回だけあります。しかし、TRIZのソフトは使い方がよくわからず実際にはあまり使っていません・・・。大企業ではTRIZを発明に使用しているところも多いと聞きます。

このあたりの作業を効率的にできれば、発明をどんどん量産できるかもしれません。

2011年8月19日金曜日

知財デザイン:夏期セミナー第2回目を実施しました

2011年8月17日(水)に、夏期セミナーの第2回目が行われました。講師は当社川上です。今回の講義では、国内及び外国における知財戦略について説明がされました。

ご参加頂きました皆様、誠にありがとうございました。次回の講師は新井弁理士です。よろしくお願いいたします。

(当社からのお知らせ)
神奈川県内の中小企業様向けに知的財産に関するセミナーを企画させていただきました。詳しくは、当社ホームページを参照願います。第3、4回目につきましては引き続き募集中です。

2011年8月13日土曜日

アイデアとは

会社ではアイデア出しの会議など行われると思いますが、私はこのアイデア出しというものがあまり好きではありません。その理由は単純にアイデアが出ないからです。

つまらないアイデアなど出すと会議の場がしら~とする場合もありますし。なかなかエッジの聞いたアイデアを出せる人は素直に尊敬してしまいます。

しかしながら、仕事上何らかのアイデアを出してゆかなければならない状況も多いと思います。では、どうしたらアイデアを生み出すことができるのでしょうか?

ジェームズ・W・ヤング著の「アイデアのつくり方」では「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」とされています。

つまりアイデアを出すには、兎にも角にも関連する情報をいろいろと知っていることが必要となります。したがって、アイデア出しの前には事前に本を読んだり、インターネットで情報収集をしたりすることが重要となります。

もちろん情報を集めるだけでは既存の要素の寄せ集めに過ぎませんので、新規なアイデアとするには要素の組み合わせを考えねばなりません。

この本では、組み合わせの処理を、寝たり散歩するなどして自己の無意識に任せることを薦めています。なので、情報を集めたら何も考えずにすぐに寝てしまうのが良いかもしれません。まあ、会議中に寝るわけにもいきませんが・・・。

ところで、シュンペンターは、イノベーションを「新結合」と定義していますので、新しいものを生み出すには、既存の要素の結合関係をいろいろと考えるのが昔からの常套手段のようです。 

結論としましては、アイデアを生み出すには、まず、 頭にいろいろな情報をインプットしておくことが必要と言えるでしょう。

2011年8月11日木曜日

知財デザイン:夏期セミナー第1回目の模様

2011年8月10日(水)の夜、夏期セミナーの第1回目が行われました。講師は当社鶴見です。今回の講義では、特許、実用新案、意匠、商標、著作権、不正競争防止の各法にわたり、基礎的な知識について説明がされました。

質疑応答では、様々な知財上の課題が参加者様から提起され、熱い意見交換がなされました。

(セミナー風景)

ご参加頂きました皆様、誠にありがとうございました。次回の講師は私が担当させていただきますのでよろしくお願いいたします。

(当社からのお知らせ)
神奈川県内の中小企業様向けに知的財産に関するセミナーを企画させていただきました。詳しくは、当社ホームページを参照願います。第1回目は終了いたしましたが、第2~4回目につきましては引き続き募集中です。

2011年8月8日月曜日

特許の広さについて

特許は陣取り合戦のようなものだとお話しました。そこでは、出願の数がものをいうのですが、1件で広い特許を取ればいいという意見もあると思います。多数出願を行うと費用がかかりますので、1件で広い権利が取れればコスト削減になります。

しかしながら、この広い特許をとるというのはなかなか容易ではありません。広い権利とはすなわち特許請求の範囲の表現が広いこと意味するのですが、特許請求の範囲を広い表現とすると、公知技術を含む可能性が高くなり、審査において新規性、進歩性無しとして拒絶されてしまう可能性が高いからです。

したがって、可能な限り広い権利を取るためには、審査、審判、訴訟を通じて、拒絶理由となるリスクを勘案しつつ、特許請求の範囲を根気よく確定してゆくことが必要です。

先日某所で、某企業の方が、「うちで雇っている弁理士が、とても狭い範囲に特許請求の範囲を補正しようとしたので、クビにしてやったぜ。」と、大きな声でしゃべっていましたが、どのような権利を取るかはあくまでも企業の経営判断であり、弁理士が権利範囲を確定するわけではありません。

弁理士は拒絶とならないよう安全サイドで考えますが、拒絶となるリスクを出願人がとれれば、弁理士としても広い権利にチャレンジできると思います。このように、よい権利を取るためには企業が弁理士に拒絶のリスクをかぶせるのは、あまり得策とはいえないでしょう。

リスクをとれなければリターンもありません。

2011年8月7日日曜日

陣取り合戦について

「下町ロケット」では、主人公が経営する佃製作所(T社)がナカシマ工業(N社)に訴えられるエピソードが前半の山場ですが、いろいろ興味深いのでいろいろ考えてみたいと思います。

T社は以前N社から、T社の製品(エンジン)が、N社特許権を侵害しているとの警告を受け、そのときは侵害していないとの結果となったが、しばらくしていきなり侵害訴訟を提起され主人公が当惑することになります。

では、以前は特許権を侵害していないものが、時間が経つと特許権を侵害するということはあるのでしょうか?

当初の状態では、このような感じです。

T社は自己の実施の製品(エンジン)に対応した特許権を保有している、ただし、その特許はクレームの記載が悪く、製品(エンジン)の技術をすべてカバーする特許とはなっていない。

一方、N社はT社の製品に関連する特許権を有しているが、T社の製品はN社の特許権を侵害するまでとはなっていない。

ただし、そのままほおっておくと、次のようなことが起こります。

自社の製品(エンジン):図中の点線の円は、時間と共に技術的に改良がなされ、次第に大きな円(技術範囲)と変化してゆきます。したがって、自社の特許が自社の製品をカバーしている範囲は相対的に狭くなってゆきます。また、自社の製品の範囲が広がるため他社の権利を侵害する可能性が高まります。

一方、N社はT社の権利を模倣して次々と改良発明を特許化してゆきます。N社の技術は公開されていますので模倣、改良は容易です。 さらに、出願を進めると、T社の製品を完全に包囲することが可能となり、T社はN社の特許を利用しなければ、これ以上製品の改良を進められないことになります。





このように、特許出願戦略とは陣取り合戦のようなもので、排他的力を有効に機能させるためにはある程度の出願数が必要といえるでしょう。最近は特許は量より質といわれ出願数が低下する傾向がありますが、量が重要であることに注意が必要と思います。

また、時間と共に勢力が変化しますので、継続的な特許の監視が必要です。

ただし、中小企業の場合には大企業のように年に何千件も出願するわけにはいきませんので、対応をどうするかを考えねばなりません。対応としては次の2つが考えられると思います。

(1)改良発明については細目に出願をしてゆく。
たとえ年1件出願でも、10年で10件出願となるわけですから、長い目で見て地道に特許網が強化されてゆくことになり、他社からの模倣や他社の権利の発生を邪魔できる可能性が高まります。

(2)特許情報の細目な収集
定期的に自社製品関連の特許情報を収集しておくことにより、あやしい動きを見せる企業を早期に察知することができ、手遅れにならない段階でいろいろな対応をとる余裕ができます。

いずれにしましても、特許出願とは陣取り合戦をイメージしていただくと、次にどう手を打てばよいか考えやすいと思います。

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神奈川県内の中小企業様向けに知的財産に関するセミナーを企画させていただきました。詳しくは、当社ホームページを参照願います。

2011年8月6日土曜日

IBS-LLP訪問

8月4日(木)に当社鶴見と一緒にIBS-LLP様を訪問させて頂きました。IBS-LLPは、国内2番目のLLP(有限責任事業組合)であり、専門サムライ士業のチームとして主に静岡県内を中心に活動されている組織です。

ミーティングでは、当社鶴見による簡単な知財のレクチャー及び当社の業務のご説明を私からさせていただきました。今後は、IBS-LLP様と当社とでコラボレーションを図れるような活動してゆきたいと思います。

ミーティングの後、私はとんぼ返りで横浜へ帰還いたしましたが、富士市に親類がいる当社鶴見は時間を気にせず、IBS-LLPの方々と飲みに行かれたとのことで、次回は余裕のあるスケジュールで伺いたいと思います。

どうもありがとうございました。

ミーティング風景

(当社からのお知らせ)
神奈川県内の中小企業様向けに知的財産に関するセミナーを企画させていただきました。詳しくは、当社ホームページを参照願います。

2011年8月3日水曜日

プロモーションについて

会社をつくると、兎にも角にもまず宣伝を行わなければなりません。しかしながら、私は会社勤めが長かったため、この宣伝をどうやって行えばいいかよくわかりません。

私に限らず会社勤めのサラリーマンの方は自分のプロモーションなどやったことはないのではないでしょうか。 この理由の一つには、組織内で個人が不用意に目立つと、周囲の反感を買い、足を引っ張られたりすることがあるためと思います。

また、組織全体としての宣伝は会社の宣伝部がやってくれますので、個人がプロモーションを行う必要はありません。

一方、会社を始めると全くの逆な状況となり、自分で積極的にアピールしてゆかなければ仕事が1つもやってきませんので頭の切替が必要となります。

例えば、プロフィールに資格や学歴や実績などをまとめて公開するのですが非常に恥ずかしいものがあります。しかし、恥ずかしがらずにアピールしなければなりません。

では、宣伝にはどのような方法があるのでしょうか。テレビCM、雑誌広告、インターネット、口コミ・・・、などいろいろな方法がありますが、重要なことは、ターゲットとする会社へ宣伝が到達(リーチ)することです。

例えば、当社は知財を扱う会社ですので、主婦や若年層が視聴主体のテレビCMを行ってもあまり意味はありません。 一方、技術系の雑誌などに広告を出せば有効かもしれません(そんな、お金がありませんが・・・)。

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神奈川県内の中小企業様向けに知的財産に関するセミナーを企画させていただきました。詳しくは、当社ホームページを参照願います。

2011年7月31日日曜日

下町ロケットを読んで

遅ればせながら「下町ロケット」を読みました。知財ネタで直木賞を受賞した異色の小説ですので、知財業界に身をおくものとしては読まねばならないと思いました。

話のスジとしましては、主人公の経営する中小企業の特許権をめぐって、大企業との熾烈な知財の争いが描かれます。この話の中心となるのは主人公が有する大企業を脅かすほど強力な特許権の存在です。

さらに詳しくは本を読んでいただくとして・・・、実際に中小企業が大企業を脅かすほどの特許を持つことがあるのでしょうか?

大企業が攻めぎ合っている分野に中小企業が進出しても物量(ヒト、モノ、カネ)で力負けてしまいます。したがって、中小企業の技術開発はニッチな分野を見つけて行われ、その特許は大企業の特許取得の範囲と重複しない範囲となるはずです。

発明は累積的な課題解決の結果なされるものであって、ある日突然、強力な特許が出来上がるわけでもありません。したがって、大企業と中小企業とは発明の方向性は自ずと異なり、自然に棲み分けができるのではないでしょうか。

小説の中では主人公が会社の業務内容とは別に独自に開発した特許技術となっていますので、研究開発に余力のある会社なのでしょうが、事業的には無駄な特許権のままとなる可能性が高いです。もちろん、経営者が将来的に大企業とやりあう覚悟があれば別ですが・・・。

いずれにせよ、これだけ正面から特許権の財産的活用をエンターテイメントとして扱った作品はありませんから、企業で知財に関わる方、特に中小企業の方には読んでいただきたい作品です。

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