2014年12月21日日曜日

付記試験について

付記試験に受かりました。といっても、弁理士の方以外には何のことやらわからないと思いますが、この試験に合格して登録すると侵害訴訟代理ができるというものです。

昨年の合格率は40%台ということで、弁理士のレベルダウンが危惧されていたのですが、今年は運営の方もかなり気合をいれたようで、65%と高い合格率となりました。

書こうかどうか迷いましたが、来年以降受験される方のために、私が考える勉強法を以下に書きますので参考に願います。

1 とりあえず書く
弁理士であれば知識の方はそれなりにありますので、あとはそれをどうやって訴状、答弁書にアウトプットするか、の問題となります。

それには過去問をひたすら書いてみる訓練をするのが有効です。そういうのが億劫な方は、有料の答案練習会に参加するのもよいと思います。

2 知財訴訟を経験されている弁護士によるチェック
訴状、答弁書とも、独特の言い回し(方言や、業界特有のクセ)がありますので、そういう知識なしで書くと、この業界の人からみて微妙に違和感のある訴状、答弁書になります。

したがって、自分の書いた訴状、答弁書を知財訴訟を経験されている弁護士に見てもらい、表現を修正するのがよいと思います。

3 40点をどう捨てるか
国家試験は、100点満点中60点を取れれば合格ですので、60点をとる、逆に言えば、40点をどう捨ててゆくか配分を考えるとよいと思います。

特許でいえば、起案40点、小問10点となりますので、起案25点、小問5点を取れば、とりあえず合格となります。後は自分の得意、不得意に応じて、目標とする点数を考えてゆきます。

細かいテクニックはいろいろとありますが、それは勉強してゆくうちに自分で見つけられると思いますので、割愛いたします。

弁理士試験と同様、付記試験も年々受験者が減少しており、このままでは尻窄みですので、興味のある方はとりあえず受験してみてはいかがかと思います。

2014年12月13日土曜日

卵とかごについて

私は株式投資をしています。株を毎月お小遣い程度の金額でちびちび買ってゆくスタイルです。

2008年頃からやっていますが、すぐにリーマン・ショック、超円高、震災と、次々に事件が起こり、株価が超下落しましたので、本当に儲かるのかよくわからないところがあります。

株式投資には、いろいろと格言というものがあり、その1つに「卵は1つのかごに盛るな」があります。

これは、卵を1つのかごに入れて運ぶと、かごを落とした時に卵が全部割れてしまうから、いくつかのかごに分けて運べ、という教えです。

お金も1つの投資対象に投入すると、何かあった時にお金がパーになりますので、分散して投資することが推奨されます。

老人の方が投資詐欺に引っかかって全財産を失ってしまう被害を受けることがありますが、これは詐欺に引っかかるのが悪いというより(美味しい話と詐欺を見分けるのは難しい)、全財産を投入してしまうことにあります。

卵の原理に基づけば、全財産の1/3くらいが投資できる上限であり、この原則を守れば、財産の2/3は残るわけですから、生活が大きく破壊されることもないと思います。

また、借金をして何千万の家を買うというのも、資産が(借金付きの)家に集中することになり、リスクが高いといえます。

卵の原理に基づけば、1億円位の資産があって、初めて3千万円の家を(キャッシュで)買えることになります。ただし、そんなことを言ったら、誰も家を買えませんが・・・。

会社の事業も似たようなところがあり、会社としていくつかの事業を有していたほうが収益が安定します。

これは、儲かる事業、儲からない事業は、外部環境等の状況によっていろいろ代わりますので、事業を組み合わせると、儲かる事業が儲からない事業を補い、会社全体として安定するからです。

(儲かっている事業部の人が、儲かっていない事業部の人を揶揄することもあるようですが、環境が変われば、自分が揶揄される立場になりますので、 ほどほどにした方が良いようです。)

こういう考え方をポートフォリオとも言いますが、異なる性質の複数のものに分散して組み合わせることにより、全体としてうまくいくようにする考え方です。

力を集中したほうが利益が得られるような気がしますが、許容できるリスクを超えてしまう場合があるため、いろいろと分散させることを考えてみるのも必要と思います。

2014年12月7日日曜日

知財のニュースについて

このブログは一応知財のブログなので、知財の最新ニュースを紹介しようと当初は考えていました。

知財のニュースというと、裁判例、法改正、その他ビジネス上のニュースがあると思いますが、あまり知財のニュースを紹介できていません。そのいい訳は以下のとおりです。

1 裁判例について
何か判決がでますと、裁判所のHPに判決文が掲載されますが、判決文は何十ページにもなりますので、全文を読むのに時間が必要となります。

中途半端な理解をブログに公開しますと、ブログが炎上する原因となりますので、しっかり読んで、証拠にもあたって、理解を深めてから、紹介する必要があります。

しかし、そのような時間をとるのも大変ですので、怠けていると、偉い先生が雑誌等に見解を発表しはじめます。

専門に研究されている先生の方が分析が的確ですので、そちらを読んだ方がよいということになります。

こういう判決がでました!という記事でもいいのですが、あまり意味があるようにも思えませんので、裁判例を紹介する機会を逸することになります。

2 法改正について
法改正については、改正の数年前から審議会等にて法改正の内容についていろいろ審議がなされ、その審議内容が公開されることになります。

しかし、あくまでも未決の事項ですので、審議内容を紹介することは、立法過程に興味がある人は別ですが、一般の人にはあまり意味が無いのかなと思います。

改正法が成立した後はどうかといえば、法がどう解釈されるかは、裁判例の蓄積を待たねばならず、また、審査についても審査基準が改定される内容を確認せねばならず、さらに、審査基準についても、実際に審査実務が開始されてからでないとなんとも言えません。

したがって、法改正についても、実際に法が施行されないと、なんとも言えないといえます。

こういう法改正がされました!という記事でもいいのですが、あまり意味があるようにも思えませんので、法改正を紹介する機会を逸することになります。

3 ビジネス上のニュースについて
新聞などを見ますと、知財関係のニュースがしばしば報道されます。

しかし、新聞のニュースは、特定のバイアスが掛かっている可能性がありますので、報道をそのまま信用することはリスクが有ります。

最近はネイティブニュースのような、企業からお金をもらった、半分広告のようなニュースがあり、そういうニュースは客観性がありませんので、読むに値しません。

また、新聞記者の専門性が足りない場合や、特定の政治思想がある場合には、誤報、捏造の疑いがある報道がなされる場合があり、やはり読むに値しません。

そうすると、新聞報道についても、充分に裏をとらないでブログ等に紹介することは、リスクが有ります。

一応、知財ニュースについては、この欄の下に、ロボットが自動収集したものを紹介するようになっておりますので、最新ニュースはそちらで確認頂き、解釈が必要であれば、当方で調べますので、ご相談いただければと思います。

2014年11月29日土曜日

付加価値について

休みの日には家の掃除をすることになりますが、うちで使っている掃除機は一般的な日本製の掃除機です。

この掃除機には、アイドリングストップ機能というものがついており、掃除機のヘッドが床から一定時間離れると、掃除機が停止し、再度ヘッドを床につけると、数秒の後、運転を再開するというシロモノです。

このアイドリングストップ機能というものが非常にストレスで大変困っています。

掃除機のヘッドは常に床に密着している訳ではなく、床の凹凸によりヘッドは床から離れたりしますので、その度に掃除機は停止し、再起動を繰り返すことになります。

運転停止の数秒は待機しなければなりませんので、非常に掃除の能率が悪くなり、いらいらすることになります。

この掃除機を設計した人は、自動車のアイドリングストップ機能にヒントを得て、この掃除を開発したのだと思います。

自動車の場合には、ガソリンを燃やす内燃機関であり、信号待ちは数分に及びますので、アイドリングストップによる燃費の向上効果はそれなりにあると思います。

一方、掃除機の場合にはモーター駆動であり、床から離れる時間は数秒ですので、アイドリングストップ機能を設けてもその節電効果はほとんどないどころか、かえって掃除の能率を低下させ、人間の貴重な時間を奪う、負の効果の方が大きいと思います。

このような設計がどうしてなされるかといえば、製品を他社製品から差別化しなければならないという強迫観念があると思います。

差別化を図る1つの手段としては、製品に新たな機能を付加することが通常行われます。

しかし、安易に機能を付加しても、需要者にその価値が感じられなければ、付加価値とはいえず、単なるコスト上昇要因となり、逆に競争力が低下します。

したがって、機能を付加する場合には、本当に需要者に価値があるものなのか熟慮しないと、うちの掃除機のようになってしまいます。

そのためには、顧客ニーズの調査を行うとか、実際に掃除機を使用している人を設計者に加えるとかの工夫があるとよいと思います。

最近はお掃除ロボットというものが普及しておりますが、これは人間の貴重な時間を掃除で消費するのを防止できるという価値を提供できますので、顧客ニーズを(偶然かもしれませんが)掴んだ商品と言えます。

ということで、機能を追加する場合には、需要者に本当に価値を提供するものか、検証することも必要かなと思います。

2014年11月22日土曜日

暗黙知について

一昔前、MBAに行くことがもてはやされた時期がありましたが、最近はMBAは役に立たないという言説が目立つようになりました。

MBAといっても、特別なものではなく、ただの大学院ですので、あくまでも体系化された形式知を伝達する場に過ぎません。

ただし、形式知はそのままでは何の役にも立ちませんので、MBAを出た後、実務を通じて暗黙知を得て知識として完成させる必要があります。

したがって、MBAで得た知識を実務で活用する機会のない人は、知識の完成が図れず、MBAで勉強したことが役に立たないと感じてしまうわけです。

そうすると暗黙知を得る必要があるわけですが、例えばMBAをでたら起業して実際に知識を使ってゆくとか工夫すればよいと思います。

また、逆に実務経験が豊富で暗黙知が蓄積されている人であれば、MBAにゆくことにより、知識が体系的に整理され、効果が感じられるかもしれません。

似たようなことは、資格にもいえ、例えば弁理士試験は特許法などの形式知の有無を測定する試験ですので、弁理士試験に合格しただけでは、何の役にも立ちません。

したがって、合格した後は実際に特許実務をこなして暗黙知を得て、知識として完成させてゆく作業が必要となります。

ところが近年、国が需要以上に合格者を増やしたため、合格しても実務に付けない人が生じるようになりました。実務につけませんと暗黙知を得られませんので、弁理士としての知識レベルにいつまでも到達できないことになります。

そうすると、資格取得に費やす時間と費用がまったく無駄になりますので、弁理士を目指すのはリスクが高く、最近は弁理士試験の受験者が減少しています。

もちろん、合格したらすぐ独立して実務を開始し、暗黙知を得ることもできるとは思いますし、そういう方は実際にいます。

結論としては、 MBAにせよ、弁理士にせよ、暗黙知をどう得るか、ということまで考えて、自分の進む道を考える必要があるのかと思います。

2014年11月16日日曜日

思考について

私は主に特許の仕事をしておりますが、だいたいどういうことをやっているかというと、このような感じです。

①対象発明の把握⇒②公知技術の調査⇒③両者の構成の相違の把握⇒④相違による技術的効果の評価

この①から④の作業を、案件ごとに行って1日が終わるという、ある意味単調な仕事です。

最近は、特許のみならず、お客さんのご要望で意匠や商標の仕事も行っておりますが、

意匠の場合には、
①対象意匠の把握⇒②公知意匠の調査⇒③両者の態様の相違の把握⇒④相違が需要者に与える美感の評価

商標の場合には、
①対象商標の把握⇒②先行商標の調査⇒③両者の外観・称呼・観念の相違の把握⇒④相違が需要者に与える印象・連想・記憶の評価

となり、やることは同じとなることに最近気が付きました。

そうすると、意匠・商標の仕事をしても、仕事の単調さは変わらないことになり、こんなことでよいのか考えてしまいます。

そんな中で、最近読んだ波頭亮さんの「思考・論理・分析(産業能率大学出版)」という本の中に、このような一節がありました。

「思考とは、思考対象に関して何らかの意味合い(メッセージ)を得るために頭のなかで情報(知識)を加工することなのである。」

「思考の他に重要な行為が存在する。それは『情報収集』である。」

「思考のメカニズムは、情報と情報を突き合わせて、比べ、『同じ部分』と『違う部分』を見極めるプロセスである。」

そういう意味では、特許実務というのはまさに「思考プロセス」であり、何ら特別なことではなく、他の分野や仕事でも当たり前に行われている思考作業にすぎないことがわかりました。

したがって、私の単調な仕事も、他の人も似たような仕事をしていると思われ、安心しました。

この本の著者の方は、バブル時代によくテレビに出ておらられ、あまりいい印象がなかったのですが、上記の本はかなりしっかりした内容で、実務にも大きな気づきを与えてくれる本で、もう少し早く読んでおけばよかったと思わせる本でした。

この本は、「思考」のみならず、その後の「論理」と「分析」についても書かれておりますので、本屋で見かけましたら、購入をお勧めいたします。

2014年11月13日木曜日

商店街について

昼ごはんを東京駅の八重洲地下街で食べることがよくあります。

地下街を歩いて感じることは、テナントが結構な頻度で入れ替わっていることです。行きつけの店などが無くなった時などは、少し残念な気持ちがします。

テナントが家賃を負担していれば運営会社はOKのような気もしますが、 八重洲地下街は、売上の低い店を積極的に入れ替えているようです。

集客力の高い店があるとそれを目指して地下街へ人が流入し、地下街の通行量が増加し、途中にある店にも興味を示す人が何割か生じ、他の店の売上にも繋がります。

したがって、 集客力のある店は、互いに集客力の相乗効果があるといえます。逆に集客力のない店が増えると、負の相乗効果により、地下街全体が沈没することになります。

そう考えると、地方の商店街がシャッター商店街化していることも、この負の相乗効果によるところが大きいのかもしれません。

商店の売上が悪くなると、業態を変化させるか、店を閉じるかの判断が求められますが、経営者が高齢の場合には、リスクを取って業態を変化させるよりも、シャッターを閉めて、補助金や年金で暮らす人も多いと思います。

商店街の中の1軒がシャッターを閉めると、商店街の通行量が(多少なりとも)減りますので、他の商店の売上に影響を与え、他の店も閉店に追い込まれる状況になるかもしれません。

こうして1店閉店すると負の相乗効果により、ぞくぞくと閉店に追い込まれ、シャッター商店街が出来上がるわけです。

店を閉じる人には、商店街から去ってもらい、新しい人に店をやってもらえばいいと思いますが、店が持ち家の場合には、そのようなことを強制することはできません。

と、商店街の話は人ごとのようにも思えますが、例えば会社の場合には、相乗効果を与えられない社員には辞めてもらい、新しい人を入れたほうがいいと、いうことができるとも思います。

但し、法律上、社員に一方的にやめてもらうことはできませんので、負の相乗効果により会社全体が落ちぶれる・・・ということもあるのかもしれません。

2014年11月8日土曜日

国語教育について

私は今では文章を書く仕事をしておりますが、子供の頃から国語の成績が悪く、中高では常に留年・退学の危機にあり、大学も国語ができないからという消極的な理由で理系の大学に進みました。

国語の課題で特に辛かったのが、文章作成でして、原稿用紙5枚以上などノルマのある課題が特に苦手でした。

国語教育における文章作成では長い文章を書けることが評価されるようで、他の日本人の多くも、長い文章が優れていると教育(洗脳?)されているのではないかと思います。

確かに、文学の世界ではそうなのかもしれませんが、社会に出て感じるのは、ビジネスの世界では全く逆で、文章は短くしなければならないということです。

長い文章を書くのは時間がかかりますので、時間がかかるということはコストが掛かるということになります。

また、長い文章は読むのも時間がかかりますので、社長さんやお偉いさんに読ませる文章が長い場合には、それだけ会社の貴重な時間を奪うことになります。

また、人間が追いかけられる論理展開はせいぜい3段階位ですので(3段論法というのもありますが・・・)、文章が長いと論理展開が多くなり、最後の方は何を話しているのかわからない意味不明な文章となります。

そう考えますと、例えば、国語の課題では、「2ページ以内で書け」というような上限を設けて、短い文章で意味のある文章を書かせる訓練を行うことの方が有益と思います(作家を目指す人は別です。)

短く書くというのは、特許の世界でも重要でして、特許請求の範囲の記載は無用な修飾を廃し、簡便に書くことが、権利行使のために重要です。

また、外国へ出願する場合には翻訳料を節約する意味でも、明細書本文は短くすることが好ましいです。

さらに、文章が長いと論理が不明確となりやすいので、解釈に疑義が生じないように、明細書や契約書等の法律文章の文言を考える場合には、文章を短くすることが必要です。

こういう実務的な内容を学生時代の国語教育に入れるべきかどうかという話にはなると思いますが、理系の学生には論文作成という大きな壁がありますので、大学1、2年の時期にライティングの訓練を受ける必要があると思います。

2014年10月31日金曜日

オープンとクローズについて

最近はオープン・クローズ戦略という言葉が一般に使われるようになりました。

オープン・クローズ戦略とは、製品にオープン領域とクローズド領域をつくり、クローズド領域については特許網を築いて(もしくは、ノウハウとして)独占的に実施するとともに、オープン領域については標準化して、製品のディフュージョンを図る戦略をいうと思います。

しかし、 オープン領域とクローズド領域の区分けをどうすればよいのか、という疑問が残ります。

技術的に考えれば、製品を技術的な構成要素に分解して、自社のコア技術を有する構成要素をクローズド領域にして、汎用技術の部分をオープンにするという考えもあると思いますが、おそらくこの考えは正しくないでしょう。

オープン領域とクローズド領域とは、結局のところ自社と他社の役割分担の話となるので、クローズ領域は儲かる領域とすべきと思います。

つまり、技術から考えるのではなく、収益のキーとなる部分をクローズ領域とし、儲からない部分をオープン領域としたいところです。

この場合に考えるべきことは、製品設計に(無理にでも)補完関係を作り出すということです。

例えば、インテルの場合にはMPUとマザーボードという補完関係のある製品設計を行い、儲かるMPUについては独占的に実施するとともに、マザーボードについては、複数の企業に参入させ競争させることにより、自社は高い収益を得るとともに、製品のディフュージョンを図っています。

また、プリンターであれば、プリンター本体とインクタンクという補完関係のある製品設計となっておりますが、この場合には、インクタンクをクローズド領域にして、プリンター本体をオープンとしたほうが、利益があがるかもしれません。

そう考えると、これからの製品設計には技術だけではなく、経営的なセンスが必要となるのかもしれません。

もちろん、オープン・クローズ戦略の根本として、知財の知識も必要ですので、これからの製品開発は、三位一体の戦略がますます必要となると思います。

2014年10月25日土曜日

航空機ビジネスについて

三菱飛行機のMRJの初号機がロールアウトしたニュースが話題となっています。YS-11以来の国産旅客機ということで大きな期待がよせられていると思います。

しかし、いろいろなニュースをみておりますと、ちょっと気になることがいくつか指摘されていました。

まず、航空機で一番儲かる部分はジェットエンジンであるということです。

ジェットエンジンは単体での価格が高価であるのみならず、一定周期でメンテナンスの必要があることから、ハードとメンテナンスを組み合わせた補完品ビジネスが成立し、利益を上げやすいとのことです。

もちろん、飛行機完成品にもそのような考えが当てはまるとは思いますが、メンテサイクルはジェットエンジンほどではなく、ボンバルディアやエンブラエルなどの競合もいますので、そう簡単には利益を上げることができません。

また、MRJのエンジンは、プラットアンドホイットニー製のものを購入しており、このジェットエンジンは燃費向上のコアの部分となりますが、将来的には、三菱以外の航空機にも搭載されることになるようです。

そうすると、MRJの性能の優位性は大きく失われますので、 ボンバルディアやエンブラエルとの価格競争に落ちいるリスクが高いものと考えられます。

このジェットエンジンのビジネスモデルはインテルのビジネスモデルに近いものとなります。

インテルの場合にはMPUのみを製造し、それが搭載されたパソコンを台湾、日本のメーカーに製造させ、台湾、日本のメーカーを価格競争に落ちいらせて、自社が大きな利益を上げるビジネスモデルです。

MRJも、ボンバルディアやエンブラエルに対抗し、値下げや過大な広告宣伝活動を行うことになるかもしれませんが、その場合一番儲かるのが、MRJ、ボンバルディア、エンブラエルにエンジンを供給しているプラットアンドホイットニーとなるわけです。

言い換えれば、プラットアンドホイットニーが行うべき営業努力を、三菱、ボンバルディア、エンブラエルがやってくれるわけです。そうして、ジェットエンジンが売れればそのメンテナンスで大きな収益を上げることができます。

もちろん、この程度のことは三菱もわかっており、対策を立ててはいると思いますが、MRJの開発には国費も投入されておりますので、儲かるビジネスモデルができていることを期待したいと思います。

一方、ホンダがジェットエンジンの外販を進めるとのニュースもありました。将来的に小型ジェットの3割位のシェアを目標にするそうです。

ホンダは、ホンダジェットという完成品を製造するだけではなく、ジェットエンジンも(自社のみではありませんが)自主開発しております。

素人の目には、ジェット機の完成品が空を飛ぶとすごいな、と感じますが、上記のように、ジェット機完成品は商売上あまり旨味がありません。

そうすると、ジェットエンジンを開発して売りたいところですが、ジェットエンジンは高価なこともあり新規参入のメーカーのエンジンをわざわざ買うことはなく、やはりエンジンとしての実績が必要となります。

ホンダの場合には、ホンダジェットが広告塔となり、ジェットエンジンの優秀性をアピールできます。

そう考えると、ホンダジェットはあくまでも動く広告宣伝手段に過ぎず、ビジネスの本丸はジェットエンジンにあるのかもしれません。はじめからこのような計画であったとしたら、軍師的な人が社内にいるのかもしれません。

もちろん、エンジンの外販は、ホンダジェットと他のメーカーの飛行機との喰い合いが発生し、ホンダジェット自体の売上が低下するリスクもありますが、そのあたりは、F1でも経験していることですので、完成品でも負けない自信があるのでしょう。

2014年10月18日土曜日

職務発明に関する誤解について

特許法35条が改正されるというニュースがあります。

職務発明で揉めた青色LEDに関してノーベル賞が授与されたこともあり、しばらくはいろいろ議論があると思います。

発明者が高額の対価を得た場合、「発明者だけではなく、営業やその他の人も利益に貢献しているのだからおかしい」、とか、「リスクをとっているのは経営者なのだからおかしい」というような意見が散見されますが、これは誤解があると思います。

まず、発明者の対価は利益額に対するものですから、利益の出ない発明に関しては発明者対価が生じることはなく、発明者対価でが赤字となることはありません。

また、例えば、利益額が100億円であった場合、発明者の貢献度が1%としたときには、対価が1億円となります。

ただし、営業の方が大変努力して販売して貢献度が10%であった場合、その対価10億円となります。したがって、発明者より営業の貢献度が大きいことは普通にあると思います。


では、営業の方が会社に訴えを起こして報酬を得られるかというとこれは難しいと思います。なぜなら、そういう法の規定がないからです。

会社を訴えるよりは、会社と交渉して給料を上げてもらう努力をする方が得策と思います。

一方、発明者の場合には、特許法35条に基いて訴えを提起できます。簡単にいえば、法律としては発明者を優遇していることになります(その理由はいわずもがなと思います。)

発明者優遇はけしからん、というのであれば、特許法35条を廃止するよう、国会議員に訴えかければよいと思います。

ただし、特許法35条を廃止することにより生じる、日本経済への影響を見極める必要があると思います。

特許法は経済法でもありますので、要は、日本経済が発展すれば、どのような法律構成であっても構わず、特許法35条がいらないのであれば、削除しても構いません。

また、リスクをとっているのは経営者というのも少しおかしいと思います。

経営者は自分の報酬を自分で決められますから、生じた利益から自分のリスクを取った分を報酬とすればいい訳です。

(報酬を取り過ぎて、発明者対価が低すぎる場合には、発明者から訴えられるリスクが生じます。)

また、経営者は、リスクをとって研究開発や事業を実施するか否かを決定できますから 、リスクをとるのが嫌なのであれば、研究開発をやめて、リスクの低い事業に集中すればいいだけのことです。

結局のところ、一従業員が高額の報酬を得ることによる妬みややっかみが、このような誤解に通じていると思いますので、将来的にはアメリカのようにアイデアがある人は起業するというような方向になればいいと思います。

2014年10月12日日曜日

会社の潰し方について

最近の国の政策として起業を推進することがニュースになっています。

特に女性の起業を推進するという話ですが、正直大丈夫かと思ってしまいます。国の方針だからといって安易に起業すれば、痛い目にあうのは自分です。

博士や弁護士も国の方針によって、大幅増員しましたが、その後起きたことを考えれば、国の方針だからといって、盲目的に従うのはやめた方がいいでしょう。

そもそも会社をつくるのはとても簡単です。資本金は1円あればいいですし、登記も司法書士に頼めば数十万円でやってくれます。

一方、会社を運営して利益をあげてゆくことは、非常に難しいです。

うまくいくかどうかは結局運の問題ですので(こういう言い方はモトもコもありませんが・・・)、起業から10年後に生き残る会社は10%とも言われています。

さらに、会社の存続が不能になったとき、とても大きなリスクが現実となります。

社長が会社の連帯保証人であった場合には、会社の負債を弁済する義務が生じ、自己破産したり、最悪の場合には、自ら死を選ぶという人もいると思います。

日本で起業する人が少ない理由は、会社が潰れた時のリスクが大きすぎるからといえるでしょう。

したがって、起業を増やすには、無責任に人を煽って起業させるよりは、会社が潰れた時にソフトランディングできるような制度を整えたほうがよいと思います。

それでも起業したいというのであれば、その場合には、自分の責任でリスクをコントロールする必要があります。

例えば、ヒューレット・パッカードでは、起業に際し「小さく始めて大きく育てる」ことを推奨しているといいます。

はじめから大きなオフィスを借りて、人を雇い、外部からお金を借りて起業すると、個人では負担できないほどのリスクを背負い込むことになります。うまくいけば大儲けできますが、うまくゆかない場合には、悲劇的な結末となります。

したがって、最初は自宅で起業し、人は雇わず(アウトソーシングするなどして)、できるだけ自己資金で始めるのがよいと思います。

うまくいかない場合でも自己資金の範囲で損するだけですので、過大な借金を背負うこともありません。

逆に、うまくいきそうであれば、徐々に人を雇い、オフィスも安いところを借りる、など、徐々に大きなリスクを取るようにすればよいと思います。

結局のところ、起業とはどうリスクをとるかという話となりますので、リスクマネジメントの勉強を起業前にすることをお勧めいたします。

2014年10月5日日曜日

東京農工大学 設備サポート室のご案内


農工大MOTでお世話になった先生から「設備サポート室のご案内」がありましたので、お知らせいたします。

大学にある最先端の測定器を使用できるようですので、精密なデータを取りたい方にはおすすめと思います。

また、技術上の課題の相談にも乗っていただけるようですので、技術的な課題を抱えている方は是非利用してみてください。

以下、お知らせです。   

東京農工大学 設備サポート室のご案内

東京農工大では、学外の方に対する学内46台の設備(測定機器等)の利用を提供しております。

特許出願のデータ取り、係争準備、その他、研究開発、技術開発に伴うデータ取得が必要な場合には、ご利用ご相談いただければと思います。

また設備の利用のみならず、技術の困りごとの課題解決アプローチ法も相談にのっていただけるそうですので、ご利用いただければと思います。

詳しくはこちらをご参照下さい。
http://www.tuat-setsubi.org/

2014年10月4日土曜日

相乗効果のあるビジネスについて

「妖怪ウオッチ」というアニメが流行っているそうです。

私も毎回見ていますが、どうにもこのアニメは、「妖怪ウオッチ」という商品を売ることがまず頭にあり、そのために、ストーリーが後付で作られている、という感が拭えません。

「妖怪ウオッチ」という無料のコンテンツを入り口にして、時計というハードやゲーム・マンガという有料コンテンツを売るという、フリーミニアム的なビジネスモデルといえると思います。

昔のアニメといえば、作者なりの考えがあり、それを表現することに重きが置かれていましたが、妖怪ウォッチについては、そういうことは関係なく、とりあえずビジネスになればよいといえるでしょう。

よい著作物は陳腐化せずに、時間を超えて収益を上げられる特性がありますが、こういうアニメの作り方は、流行りが過ぎると一気に陳腐化するという欠点があると思います。

とはいえ、こういうビジネスモデルから、商売を考えるという考えは正しいとも思います。

日本の製造業は、「技術で勝って事業で負けた」といわれます。私も、メーカーで働いていた事がありますが、工業製品とは、非常に細かい1円単位のコストの削減を行なって、製品化されます。

そうして得られる製品の利益率は、10%以下程度に過ぎません(数値はイメージです・・・)。

そういう製品を量を売ることにより、必要な利益の額を得ようとする訳ですが、競合もいますので、単に作って売る、だけではなかなか儲かりません。

こういう状況を改善する手段として、「補完品ビジネス」という物があります。これはある製品を売った場合に、他の補完品を組み合わせて売るというビジネスモデルです。

例えば、プリンターとインクカートリッジ、自動車とオプション用品、カーナビと地図データDVDなどです。

このモデルの良い所は、1つの製品を売ると、複数の収益機会が得られますので、収益が増大するというところです。

但し、消費者も馬鹿ではありませんので、こういう収益構造に気付いてしまうと、補完品が高い製品は購入を避けられることになります。

また、補完品自体も製造物に変わりはありませんので、利益率もそうは高くできません。

そうすると、更に収益を得るには相乗効果のあるビジネスモデルを考えればよいわけですが、例えば、アップルのビジネスモデルがあると思います。

iPhoneが非常に人気ですが、アップルは同時に App Storeというものも運営しています。iPhoneが売れれば売れるほどApp Storeからの売上が増加します。

アプリはソフトウエアですので、複製に要するコストは無視でき、売れば売れるほど収益が得られます。

そうなると、iPhoneというハードと、App Storeというソフトの組み合わせは、ビジネス上の相乗効果があるといえます。

日本のメーカのようにスマホというハードだけの販売では、従来のように収益機会が1度しかなく、一生懸命売っても、プラットフォームを運営しているAppleやGoogleを儲けさせているだけ、という皮肉な結果となりかねません。

そう考えると、「妖怪ウオッチ」も時計というハードと、ゲーム、アニメ、漫画というソフトを組み合わせたビジネスですので、実はよく考えられたビジネスなのではとも考えます。

2014年9月13日土曜日

ライバル不在の戦略について

芸能ネタで申し訳ありませんが、Perfumeが全米デビューするそうです。

日刊スポーツの記事
 http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20140909-1363803.html

この話で面白いと思ったのは、米国デビューに向けて新しい曲を特に作るのではなく、従来の曲を多少リミックスして販売する部分です。

従来の全米デビューといえば、アメリカの大物プロデューサーに曲作りやプロモーションを依頼し、アーティストは日本を離れアメリカに滞在してダンスや英語のレッスンをし、詩、曲、アピアランスはあくまでもアメリカ人好みとするのが一般的でした。

こういう戦略は経営学的には、レッドオーシャン戦略といわれます。

 

従来の音楽のレベルを緑の線とすれば、そのレベルに近づく、そして超えるように曲作りをし、ライバルを蹴落とすべく赤色の線のレベルを目指すのが、いわゆるレッドオーシャン戦略です。

ただし、日本人は英語が苦手ですし、アメリカ自体アーティストの層が厚いので、レッドオーシャン戦略を成功させるには、努力と運が必要となります。

一方、Perfumeについては、レッドオーシャン戦略を取らず、ブルーオーシャン戦略を採っているように見えます。

つまり、英語はあきらめ、アメリカ人好みの曲作りをあきらめるが、従来にない新たな価値要因(テクノロジーやダンス)などを付加することにより、全体として差別化を図る戦略です。

ブルーオーシャン戦略はライバル不在となるのがメリットですが、それが成功するためには、新たに付加した価値観がアメリカ人に受け入れられるかがポイントとなります。

また、この全米デビューのやり方の良い所は、日本市場を失う可能性が低いところです。

全米デビューに向けて、英語で歌う等、アメリカ人好みの曲作りをすれば、それは日本人好みではない可能性が高いため、日本での売上が低下するおそれがあります。

日本の音楽市場は、現在ではアメリカの音楽市場とほぼ同等、CD売上に関しては上回っておりますので、日本市場を手放すことは、経営的にはありえません。

夢の無いこといえば、経営的には日本で売れれば充分であり、外国に関しては、多少の利益が出ればいいというところでしょうか。

このブルーオーシャン戦略はPerfumeが初めてではなく、YMOも同じような戦略だったと思います。

YMOも歌詞を無くして言語的な壁を乗り越えるとともに、テクノロジーやアジア的な雰囲気を付加して、世界を目指しました。そういう意味では、本当にテクノサウンドの継承者といえるのかもしれません。

2014年9月6日土曜日

情報源について

先日、以下のような報道がありました。

特許、無条件で会社のもの 社員の発明巡り政府方針転換(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASG924QNWG92ULFA00K.html

「無条件」という強い表現が用いられておりましたので、どのような法律の構成にするのだろうと思っていましたが、どうやら誤報だったようです。

日本の報道は「早ければ価値がある」という意識が強すぎるような気がします。

したがって、不正確な情報の元、よくわからない上記のような報道がなされるのではないかと思います。

個人的には、報道には「事実」とその「根拠」がしっかりしていれば、あとはその内容を自分で解釈しますので、不正確な記者の考えというものはまったくいらないどころか、かえって害になると思います。

自分は新聞をとっていないのですが、インターネットを利用すれば一次情報にあたれますので、新聞からのバイアスがかかった情報が不要ということもあります。

同様な理由でニュースもあまりみません。事実のみを素直に伝えてくれればいいのですが、専門家でもないキャスターやコメンテーターが、的はずれなコメントを事実に載せてきますので、事実が汚染されて伝わります。

そう考えると、今の記者に必要なのは専門性かもしれません。先ほどの朝日の記事も、弁護士や大学の教授がチェックすれば、明らかにおかしいことが自明です。

また、最近はネイティブ記事という、事実の報道なのか、企業の宣伝なのかよくわからない記事も見受けられます。

企業の宣伝の場合には、内容にバイアスがかかりますので、これも不要な情報、役に立たない情報といえます。

こうなると、新聞やニュースのみをニュースソースとすると痛い目に合うことになりますので、ある程度は情報を自分で取ってこなければなりません。

ということで、朝日の一件は、いろいろ考えさせることになりました。

2014年8月30日土曜日

幸福感について

以前、幸福を感じるにはどうすればよいか?というテーマの本を読みました(書名は失念しました・・・)。

その中に、物を買うことにより幸福感を得られるか?、ということについて調査した結果が載っていました。

結論としては、幸福感は得られるが、その感情は数ヶ月しか持続しないということでした。

人間の心理には感覚が減衰する機能があるそうで、これは例えば、身内の死等の、とてつもなく不幸な状況が生じた場合でも、その感覚は時間とともに薄れてゆき、不幸な感情が持続しないという心理的作用のようです。

不幸な感情が持続した場合には、生きる気力が失われ自己の生命に危険が及びますが、感情が薄れることにより、生命の保護を図っているといえるでしょう。

この心理的作用が、不幸な感情にのみ作用すればよいのですが、幸福な感情にも作用してしまうとのことです。

例えば、メルセデス・ベンツを買ったとしても、嬉しいのは3ヶ月くらいで、その後は、ベンツがある生活が当たりまえとなってしまいます。

したがって、物による幸福感を持続させるためには、定期的に物を買ってゆくことが必要となります。ベンツであれば、モデルチェンジのたびに買い換えるなどです。

但し、幸福感が多少麻痺していますので、単に買い換えるのではなく、グレードの高いベンツにしなければなりません。まあ、お金持ちにしかできないことです。

それでは、そこまでお金のない人はどうすればよいかというと、経験に投資することがよいと書いてありました。

経験は頭の中に記憶されますので、思い出すたびに幸福感が(多少なりとも)蘇り、幸福感が持続しやすいとのことです。

そう考えると、これはものづくりのヒントとなるかもしれません。

私はアップル製品をもっていないのですが、アップル製品はユーザー・エクスペリエンスを大事にすると聞いております。

つまり、単に物としてのスマホを売るのではなく、スマホを使用して得られる経験も売っているといえます。これにより、アップル製品を使用する幸福感が持続し、熱狂的なファンを得ているのではないでしょうか。

また、ハーレーという大型バイクが、日本の大型バイク市場の大きなシェアを占めていますが、ハーレーのバイク自体はメカニズム的に優れた部分もなく、性能、品質の面で日本のバイクに劣っています。

それでも、ハーレーに乗ることによるアウトロー的経験は格別のものですし、ショップもイベントを開催し、購入者がそういう経験を得られる仕組みも整えております。

そこでやはり、物としての幸福感に加えて経験が加わる幸福感の相乗効果があり、熱狂的なファンがいるのだと思います。

日本製品はハイスペックですが、使用者の心理的な面の考慮が少々弱いと思います。

製品設計のみにエンジニアを配置するのではなく、ユーザーが製品を使用することに得られる経験を設計する人や、ハーレーのように能動的に経験させる仕組みを設計する人も開発に加えると、厚みのあるものづくりができるのではと思います。

2014年8月10日日曜日

意匠と商標の狭間で

先日、ジャポニカ学習帳の商品形態について立体商標の登録がされたとのニュースが有りました。そういえば、ホンダのスーパーカブも立体商標となりました。

立体商標とは、立体的な形状からなる商標をいう、とされますが、商標権は半永久権ですので、商品形態に独占権を付与することは、ちょっと強すぎる権利となりすぎますので、従来はなかなか商標登録を受けることはできませんでした。

しかし、こういうニュースが連続して飛び込んでくるということは、審査の方針が商標登録を受けやすい方向へ変化したのかもしれません。

商品形態は、基本的には意匠法で保護を図るのが基本と思いますが、その意匠を継続的に使用することにより業務上の信用が化体した場合には、商標登録を受けうることになります。

そう考えると意匠と商標というものは明確に区別できるものではなく、その境界はぼんやりとしているのかもしれません。

こういう考え方をトレードドレスともいうようですが、日本もこのような方向に実務が動いてゆくのかもしれません。
 
それでは、今後は商品形態の保護をどのように図るべきなのでしょうか。商品形態を保護する方としては、意匠法、商標法(立体商標)、及び、不正競争防止法(周知表示、形態模倣)があります。



商品販売当初は、不競法2条3号で保護を図り、意匠登録後は意匠法で保護をはかり、意匠権の存続期間満了後は、不競法2条1号で保護を図り、自他商品識別機能を有した段階で商標登録を受ける、というような感じでしょうか。

もちろん、このような考えができる商品はものすごくライフサイクルの長い商品(少なくとも50年?)に限られると思います。

スマートフォンや乗用車のような数年でモデルチェンジする商品の形態は、数年守られればよく、立体商標の登録を受ける場合は、ほぼ無いと思います。

それでは、どのような商品があるのかといえば、私の身の回りでいえば、腕時計、万年筆、椅子などの家具、ハンドバックなどがあるでしょうか。

ということで、今後は、長く愛されるデザインというものを創作してゆく、というのも1つの考えかもしれません。

2014年7月26日土曜日

敗訴の捉え方について

特許権侵害訴訟の原告勝訴率は2~3割といわれています。和解した件も含めると実質的な勝訴率はもう少し高いと考えられています。

とはいえ、時間とコストをかけて取った特許権でも、権利行使した場合には敗訴する可能性が多いにあるといえます。

これでは特許を取る意味が無い、とか、勝てそうにないから訴訟は提起しない、などとネガティブな考えにもなります。

ただ、敗訴というものをそこまで重大に捉える必要があるのか、とも思います。

原告が敗訴した場合のデメリットとしては、多額の訴訟費用が無駄になることや、特許が無効と判断されてしまうことなどがあると思います。

ただし、被告が敗訴した場合には、差止や損害賠償請求で多大な事業のダメージが生じますが、原告敗訴の場合には、訴訟費用が無駄になる程度で、事業上のダメージはほとんどないと思われます。

逆に、侵害訴訟をきっちりと提起してゆくことにより、知財活用をきちんと考えている企業と市場で認知され、業務上の信用が向上する大きなメリットがあると思います。

また、競合企業もわざわざ訴えられるような面倒を避けようとするので、競合企業は類似する製品を販売しないよう圧力が加わると思われ、知財権の参入障壁としての機能が有効に発揮されると思います。


一方、敗訴のリスクを大きく捉えすぎ、訴えの提起を躊躇した場合には、知財権の威嚇効果が失われ、競合企業による模倣が横行することにもなりかねません。

したがって、特許権の活用の一形態として、侵害訴訟をきっちり行ってゆくことが知財を有効活用するためには必要と思われます。

また、侵害訴訟を行ってゆくことにより、社内に訴訟のノウハウが蓄積され勝訴率も向上することが期待でき、営業の方による他社の侵害発見などの社内の知財意識も向上すると思います。

ということで、侵害品を見つけたら勇気をもって訴えを提起することも今後は必要と思います。

2014年7月11日金曜日

知財診断について

以前、当ブログで切り餅事件をとりあげましたが、それに関連したニュースが報じられました。

株式会社きむら食品 民事再生法の適用を申請 負債49億3357万円
(帝国データバングホームページ:http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3948.html) 

2013年6月には、同業の越後製菓(株)(長岡市)から、切り餅をきれいに焼くための特許が侵害されたとして、製品の製造販売の差し止めおよび約45億 3000万円の損害賠償請求の訴訟を起こされたことや、過去の不適切な会計処理が判明したことで対外信用が悪化。資金繰りがひっ迫するなか、民事再生手続きによる再建を図ることとなった。(引用終わり)

特許権侵害訴訟が民事再生の直接の原因とは思いませんが、1つの要因となったことは間違いないと思われます。

訴えられるリスクといえば、差止による製造販売の禁止や損害賠償による金銭負担、多額の訴訟費用負担を考えてしまいますが、一番大きなリスクは、業務上の信用が失われて資金繰りが悪化することなのかもしれません。

特に、中小企業の場合には、資金繰りの悪化がそのまま企業の存亡に直結すると思われますので、何としてでも侵害訴訟に巻き込まれないよう、普段から準備しておく必要があると思います。

その手段として、弊社が中小企業で行っている支援の1つが「知財診断」です(宣伝となり申し訳ありませんが・・・)。

「知財診断」とは、製品の上市前に他社の知的財産権(特許、実案、意匠、商標、著作権) を侵害していないかすべてチェックすることをいいます(他にも診断する事項はありますが、ここでは割愛します)。

上市前に、他社の知財権のチェックを行いますので、製品を市場に出しても訴えられることはなく、安心して製品を市場に出せます。

侵害チェック作業については、特許事務所に依頼すればよいと思いますので、企業としては、上市の数ヶ月前に「知財診断」を行うことを義務付けるスケジュールを組めばよいと思います。

そして、「知財診断」の結果、大丈夫と判断できる製品のみ市場へ出す決定を、経営者がすることになります。

「知財診断」自体は、特許事務所に依頼するとそれなりの額となると思いますが、業務上の信用が失われる不利益に比べれば、大きな負担とはいえないでしょう。

「知財診断」を行なっていないのであれば、是非導入してみてはいかがでしょうか。

(以下、広告です。)

私が著者として加わっている書籍が出版されました。

『知的財産イノベーション研究の諸相』(日本知財学会知財学ゼミナール編集委員会編), コンテンツ・シティ出版

知財学会の論文集ということで、10論文中の「5. 戦略的商品開発手法の開発―QFDと特許情報の融合―」を担当させていただいております。

ご注文はこちらへお願いいたします。 (MARUZEN & JUNKUDOネットストアHP

よろしくお願いいたします。

2014年7月8日火曜日

知財インフラについて

国民経済の発展にはインフラ整備が欠かせないとよくいわれます。

インフラとは、学校、病院、道路、港湾、工業用地、公営住宅、橋梁、鉄道路線、バス路線、上水道、下水道、電気、ガス、電話…等、社会基盤となる施設を示すとされます。

インフラを整備することにより、産業活動が活発となり、それらから得られる収益(税収)が増大する効果があります。

しかし、インフラ自体は収益を生むというよりは、むしろ経費が掛かる存在といえます。以前、熊しか走らない高速道路が北海道にありましたが、経済効果を生まないインフラは経費負担のみが重くのしかかることになります。

したがって、インフラを整備する場合には、そのインフラに乗っかる工場、ショッピングセンター、住宅団地等、具体的なビジネスを想定しなければなりません。

会社で行っている「御社の知財部」(登録商標)というサービスも、インフラ事業(いうなれば知財インフラの整備)に近いと最近感じています。

「御社の知財部」(登録商標)というサービスは、中小企業の知財管理規定の整備や、知財教育の実施、知財活動の運営の支援等を行っています。

これらは利益を直接生み出す活動というより、利益を生み出す活動をサポートする、いうなれば社内インフラを整備する活動といえます。

したがって、当社が構築する知財インフラの上に、うまくビジネスが乗っかれば、参入障壁形成の効果等により、収益が増大するという相乗効果が得られます。

一方、ビジネスとの合体に失敗すると、単なる経費を消耗するだけの不要な存在となってしまいます。よく、特許出願は無駄だ、という意見がありますが、これは、知財活動と事業のリンクがとれてなく、知財活動が自己目的化した場合に起きる現象と思います。

では、どうしたら知財インフラの上に、うまくビジネスが乗っかるのかといいますと、一般的な答えはないと思いますが、長期間継続的に知財活動を行いその方法を会社なりに学習してゆくしか方法はないと考えています。

当社では、料金を押さえて、その代り長期間の活動(数年以上)を前提に中小企業の知財活動を支援させていただいておりますが、これは、我々の方も学習する必要があるからです。

ということで、わが社も知財をやってみたいという会社様がありましたら、ぜひお声かけください。

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私が著者として加わっている書籍が出版されました。

『知的財産イノベーション研究の諸相』(日本知財学会知財学ゼミナール編集委員会編), コンテンツ・シティ出版

知財学会の論文集ということで、10論文中の「5. 戦略的商品開発手法の開発―QFDと特許情報の融合―」を担当させていただいております。
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(アマゾン http://www.amazon.co.jp/dp/490686502X )

よろしくお願いいたします。

2014年6月23日月曜日

著書出版のお知らせ。

私が著者として加わっている書籍が出版されました。

『知的財産イノベーション研究の諸相』(日本知財学会知財学ゼミナール編集委員会編), コンテンツ・シティ出版

知財学会の論文集ということで、10論文中の「5. 戦略的商品開発手法の開発―QFDと特許情報の融合―」を担当させていただいております。

少数出版・・のためか、どの本屋に置いていないようですので・・・、ネットからご注文いただければと思います。(ご注文はこちらへMARUZEN & JUNKUDOネットストアHP

よろしくお願いいたします。

追記)2014.6.28
アマゾンでも販売が7/3から開始されるようです。

(ご予約はこちらへ http://www.amazon.co.jp/dp/490686502X )

よろしくお願いいたします。

2014年6月14日土曜日

広い請求の範囲について

先日、某企業の知財部長の方の講演をお聞きする機会がありました。その中で出た話として、このようなものがありました。

知財部長さんのところに、部下が「とても広い請求項の記載で権利化できました!」と喜んで報告にきたそうです。

その知財部長さんは、「で、そのクレームで権利行使できるの?」と部下に一言いったそうです。なかなか厳しいお言葉です。

広いクレームで権利化しろ、とはよく言われることですし、弁理士も請求の範囲を記載する場合には、とりあえず広く書きます。狭いと先輩に怒られたりしますし・・・。

しかし、広いクレームは権利行使のときに無効にされやすいという問題があります。審査の結果、特許されたのだから、後で無効とされるのはおかしいと誰でも思います。

ただし、審査官は地球上すべての文献を調査できるものではなく、まれに調査漏れが生ずる場合があります。

したがって、時間とコストをかけて文献調査を行えば、無効の根拠となる資料を探し出すことも可能かと思います。

ある弁護士の方は1億円の調査費用があれば、大抵の特許は無効とできるとおっしゃってましたし、ある調査専門の弁理士の方は、世の中の特許の8割を無効にできる調査能力が自分にはある、とおっしゃってました(敵には回したくありませんね・・・)。

また、訴訟となると、判断主体が特許庁の審査官ではなく、裁判官となるため、同じ証拠でも、事実認定の相違により異なる判断がされる可能性もあります。

実際に、現在の侵害訴訟の原告勝訴率は2~3割程度であり、敗訴の原因として、権利が無効と判断されたケースが約半分となっており、権利の有効性は非常に厳しく判断されます。

そういう観点からすると、クレームの広さ、狭さは、実際の権利行使や権利の用途によって、いろいろ変えてみることも必要かと思います。

例えば、競合他社への牽制、威嚇にしか用いないのであれば、広いクレームでよいと思います。一方、侵害訴訟の可能性がある場合には、公知技術をほぼ含まないような狭いクレームの権利とする必要があると思います。

現実的には、複数の特許で広い、狭いの役割分担をさせることになるのかと思います。

2014年6月1日日曜日

出口戦略について

弁理士試験の志望者が減少傾向にあるようです。



この10年の減少傾向を多項式近似曲線に当てはめると、平成30年には志望者が「0」になるという結果になりました。

実際には「0」になることはありませんが、志望者が3000~4000人程度になることは覚悟したほうが良さそうです。

近年、幅広い人材を集めるために、弁理士試験の合格者数を激増させて来ました。しかしながら、需要以上の弁理士数となったため、市場原理が働いて志望者数の激減につながっていると思います。

そうすると、幅広い人材を集めることができなくなり、優秀な方は他の分野を目指すことになるため、当初の目論見とは異なる皮肉な結果となりそうです。

しかし、こういう数字を見ますと、人々の賢さに気が付きます。人為的な政策に惑わされず、市場というものを理解し、判断していることがよくわかります。

こういう減少は弁理士に限られす、例えば、博士号も同様な状況にあるようです。

とある偉い大学の先生のお話を伺う機会があったのですが、昔の博士号は「碩学」であることの証明であり、一部の人間にしか与えられませんでしたが、近年は基準が代わり、「研究活動を独力で行うことができる」ことの証明となったそうです。

つまり、昔は博士号をとることが「ゴール」だったのですが、今は「スタート」となったといえるでしょう。 したがって、今の博士はレベルが低い、という考えは間違っており、資格の考え方や基準が変化しただけということになります。

弁理士数を急増させたのも同様な考えと思います。昔は弁理士資格をとることが「ゴール」といえましたが、今は「スタート」となったといえるでしょう。

しかしそうなると、資格をとった後どうするか真剣に考えねばならない、いわゆる出口戦略をどうするか、各人に委ねられることになります。

そうすると、弁理士になるのは容易化しましたが、弁理士として食べてゆくのは難しくなりますので、そういうことはひっくるめた資格の難易度としては、今も昔もそう変わらないのかもしれません。

2014年5月6日火曜日

専門性と差別化について

先日、旅行の帰りに某地方都市のアウトレットモールに行ってきました。よく知らなかったのですが、アウトレットモールは現在大人気だそうで。なかなかの人手でした。

普段の私はスーツ姿の人に囲まれていることが多いですが、こういう所へゆくと普段見慣れない人たちを観察でき、非常に興味深いです。

やはり、こういう所で驚くのは、若い人たちのファッションです。金髪に近いややショートの茶髪に、西部警察のようなサングラス、 浅黒い肌というルックスの方が、4、5人の集団で歩いていました。

集団で歩いていますので、何かのコスプレかと思いましたが、今流行しているファッションのようです。ただし、皆同じ格好ですので、個性がないというか、わざと無個性にしているのか、とも思いました。

無個性の理由を私なりに考えた結果、これは、個性的であろうとした結果、逆に無個性になってしまったのではないかと思います。

ファッションで個性を出そうとすると、ファッション雑誌やネット情報でいろいろ流行を研究して、自分にあうアイテムを購入するパターンが多いと思います。

しかし、流行にうるさい他の方も同様にファッションを研究して、アイテムを購入すると思いますので、研究熱心であれば有るほど、皆似たようなファッションとなり、個性を出そうとすればするほど、無個性化するというジレンマがあるのではないかと思います。

とはいえ、こういう現象は若者だけに限るわけではありません。以前某研究所の方々と名刺交換する機会があったのですが、最初に名刺交換した方は、名刺に「博士」と入っており、すごいなと思いました。

しかし、以後名刺交換した方々も、名刺に「博士」と入っており、この研究所では「博士」であることが当たり前であり、博士号を持っているだけでは無個性な存在となってしまいます。そうすると、研究所で生き残るためには、さらに差別化のための工夫が必要となると思います。

こういう話は博士に限らず、例えば、法律事務所の弁護士や、特許事務所の弁理士にも同様なことがいえると思います。

差別化のために他の専門性を付加することが良いような気もしますが、人間の能力や時間には限りがありますので手を広げることは効率が悪く、実現性はあまりありません。

そこで、自分の専門分野のレベルを効率よく高めることを考えますが、他のライバルも同様に研究をしておりますので差別化につなげることは難しく、とても優秀な人以外は無個性化するジレンマがあると思います。

そうすると、若者も私のようなおっさんも、個性を出すことは難しいという点で、悩みは同じということになるかと思います。

結局のところ、その分野のリーダ的な存在となることが解決手段の一つと思いますが、そのレベルに到達できるのは一握りの人間のみかもしれません。

2014年3月16日日曜日

始めることと、やめることについて

私は、twitterやっておりまして、タイムラインにリンクされるブログ等をたまに見ることがあります。

そうすると、たまに感銘を受ける意見など見つけることがあります。先日もうなづける意見を見かけました。

内容としましては、起業の相談でして、新しく起業したいのだけれど、今の仕事を辞めなければならなく、どうしたらいいと悩んでいる人への回答でした。

回答としましては、まず始めることだけを考えた方が良い、今の仕事を辞めるのはその次に考えれば良い、とのことでした。

起業というのは自分のアイデアを試す場でもありますので、できるだけ早く始めることが重要です。 しかしながら、成功するかしないかは運次第の面もありますので、リスクが高い状況にもなります。

そこで、今の仕事を続けながら新しいことにチャレンジすれば、現在の仕事から生活に必要な収入は得られますし、起業がうまくゆくか知見も得られることになります。

もちろん、会社には副業禁止規程がある場合もありますので、その場合には会社を辞めざるを得ませんが、できるだけ粘ってみるのもいいかもしれません。

そういえば、バイオベンチャーが生き残る方法について、以前見聞きしたことがあるのですが、これも似たようなものがありました。

バイオ関連の製品は実用化に十年単位の時間が必要となりますので、メインの仕事のみで事業を進めますと、資金不足で立ちいかなくなる可能性が高くなるそうです。

したがって、事業内容に、試験業務や検査業務などの日銭を稼げる仕事を含めたほうがいいそうです。これなら、ある程度の収益を得られますので、製品上市まで生き残ることができる可能性が高まります。

こういう考えは、いわゆるリスク分散、リスクヘッジ、リスクマネジメントなどとも言われます。

資本主義の世界では、リスクがリターンにつながることになります。ただし、リスクが高いということは、失敗する可能性も高まりますので、リスクを自分が取れる範囲に制御する必要があります。

会社を辞めて起業することは非常にリスクが高いので、大きなリターンを得られる可能性は高まりますが、同時に、大きな負債を抱える可能性もあります。

したがって、自分が採れるリスク量を見積もり、適切なリスク分散を図ることが重要となります。

例えば、独身の人や、家が金持ちの人などは、比較的リスクが取りやすいので、後先考えず起業してもよいかもしれません。その場合にはうまく行けば、高いリターンを得られるでしょう。

一方、家庭がある人や、借金しなければ起業できない人の場合には、リスク分散を真剣に考える必要があると思います。この場合、成功しても得られるリターンは下がりますが、徐々にリスクを採れるような仕事を増やしてゆけばよいと思います。

世間一般の常識では、一つの仕事を続けながらもう一つの仕事を始めることは、男らしくないとか、自分を追い込んでないので失敗するとか、真剣味がないとか外野からいろいろ言われることになります。

しかしながら、過剰にリスクをとった場合には、失敗したときに再起不能となるおそれがあります。やはり、自分や家族の生活が一番重要なのであり、起業などというものは、生活を守る範囲でやればいい程度のものと思います。

したがって、こういう外野の声は無視して、まずは、自分の置かれた状況や資金量を冷静には把握して、採れるリスクを見積もり、自分に採れるリスク内で起業することが、自分の身を守るためには必要と思います。

2014年3月6日木曜日

知財のガラパゴス化について

先日研修で大企業の知財部長の方のお話を聞いてまいりました。

やはり大企業ということで、グローバルな観点から知財を捉えている点に強い印象を受けました。

その中で少々気になりましたのが、日本への特許出願の位置づけです。大企業の方から見れば、もはや日本は世界の中の一地域に過ぎません。

大企業は、出願して意味のある国には出願しますが、意味のない国には出願しません。日本はどちらかと言えば、出願する意味のない国になりつつあるようです。

その理由としては、まず、訴訟の勝訴率が低いことがあります。現在日本の特許訴訟の勝訴率は20%位といわれています。

簡単にいえば裁判になれば負けるわけですので、事実上権利行使不能といえます。コストをかけて特許権を取得しても、お飾りにすぎないともいえます。

一方、米国や中国などでは特許権者は訴訟を起こして、侵害する会社を排除することが日常的に行われておりますので、これら国に重点的に出願をすることが経営上有効となります。

さらに、米国などでは特許権の売買も積極的に行われており、特許権自体が価値を持ちますので、このような国で特許権を取ることは、資産形成上にも役に立ちます。

一方、日本では特許権を単独で売却することは難しく、売却できても売却金額は特許権の取得・維持に要した費用程度にしかなりません。

結局、企業のグローバル化が進むと、日本で特許出願する意義が弱くなります。ある企業の方が今でも日本に出願する理由として、技術者のモチベーションの維持くらいしかない、とおっしゃってました。

出願をやめると技術者のモチベーションが下がるので、 お付き合い程度に日本に出願しているといえます。したがって、明細書の品質は特に高くなくてもよいので、安く仕事をしてくれる特許事務所に仕事を出すそうです。

弁理士には辛い話ですが、これが今の日本の現実のようです。

そういう意味では、日本の知財制度はガラパゴス化しているのではと考えます。もう少し特許権が価値を持てるような制度設計や運用をしないと、特許出願件数は減り続けるのではないでしょうか。

そうすると特許出願件数の多い国の発言力が増して、日本の知財の存在感は低下してしまうのではと危惧します。

2014年2月23日日曜日

ドーナツの穴について

本日、次のようなニュースを見つけました。

「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」とは 2ちゃんねるの「難問」に阪大教員が大真面目に答えた!(J-CASTニュース)

残念ながら、この本を私は読んでいないのですが、「穴」という虚無の状態をどう捉えるかについて、アカデミックな考察がなされていると思います。

この「穴」というのは特許請求の範囲を記載する際にも、いろいろ悩むところであります。

特許請求の範囲には、発明の構成要件を記載するのですが、「穴」は実体のない空虚な存在ですので、 実体を記載すべき特許請求の範囲に記載して良いものか、という問題があります。

事実、日本の審査では、特許請求の範囲に「穴」を記載しても記載不備(拒絶理由)とはならない可能性がありますが、アメリカでは「穴」を記載すると記載不備となり、拒絶されるようです。

したがって、構成要件に「穴」と直接的に記載するのではなく、「穴を有する部材」のような実体を伴う構成として、特許請求の範囲に書く工夫が必要となります。

また、「穴」以外にも実体のない表現として、「溝」とか、切り餅事件のような「~がない」とかいう表現も、実際に使えるか注意が必要です。

さらに「穴」として特許された場合に、今度は権利行使できるのかが問題となります。権利行使時にはまず特許請求の範囲の属否を判断することになりますが、その際、構成要件の対比を行うことになります。

実体のある構成要件を対比することは容易ですが、「穴」は実体として存在しませんので、存在しないものを対比するという、なんだかよくわからないことになります。

実際的には「穴を有する部材」として拡大解釈して、対比することになると思います。

さて、「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」ですが、私なりに考えますと、 ドーナツを周辺から食べ始めますと、ドーナッツ本体の幅が徐々に縮小し、ドーナツの幅が「0」になった瞬間、ドーナツの穴は認識できなくなります。

ドーナツの穴は、もともと実体がありませんので、 ドーナツの幅が「0」になった瞬間、消滅するのではなく、認識できなくなるだけです。

したがって、認識できるよう別の手段を考えればよいわけで、例えば、ドーナツを食べる過程を画像・動画で撮影し、ドーナツの幅が「0」になった瞬間を記録するとか、ドーナツの穴に、気体、液体、固体を充満させ、虚無の状態を実体化させておくとかすればよいと思います。

2014年2月14日金曜日

起業するときに気をつけたいこと

日本は起業家が少ないといわれますが、それでも起業にチャレンジする人も多いです。しかしながら現実は厳しく、生き残る企業は5年で半分ともいわれています。

起業した当初は売上も少なく、資金繰りに苦労する場合も多いと思います。とはいえ、起業するときには是非気をつけてほしいことがあります。

それは、自社の事業に関係すると思われる知的財産権の確認です。

例えば、会社を登記するときに会社名を定めることになりますが、自社企業名が他社の商標と類似する場合には、自社名を業務に使えなくなるおそれがあります。

登記後に他社商標が見つかった場合には、社名変更に手続き・費用がかかってしまいますし、プレスリリースや商材を作成済みの場合には、取り消す必要もあり目も当てられない状況となります。

したがって、社名を決定する際には商標調査を行っておく必要があります。

商標調査はIPDLにより個人でもできますが、調査に漏れがあった場合には上記の問題が生じることになりますので、調査会社や特許事務所に調査を依頼することがリスク管理上必要と思います。

もちろん、調査を依頼しますとそれなりの料金が発生しますので、起業時のお金のない状態で調査を依頼することは気が進まないかもしれません。

しかし、会社のスタートからつまずいてしまうのも縁起が悪いと思いますので、何とか予算を確保してほしいと思います。

また、自社名に関し先行する商標がない場合には、商標登録出願を行なって自社商標を確保したほうがよいと思います。これにより、他社による類似商標の使用を排除できます。

商標登録にもお金が必要ですので、これも気が進まないかもしれませんが、会社を作るということは、法律を知り、積極的に利用してゆく姿勢が求められますので、何とか予算を確保してほしいと思います。

実務的には、会社名の候補を幾つか出願して、商標登録されたものから会社名を選ぶことになります。

その後、その決定した会社名で法人登記を行ったり、商材を作成することになります。

つまり、商標出願は会社設立前に前倒しで済ませておくことになりますので、会社設立のスケジュール作成の際、ご留意いただければと思います。

2014年2月2日日曜日

明細書のチェック法について

前回はよい明細書について書かせていただきましたが、逆にいえば、それらを予め踏まえて明細書をチェックすれば、よい明細書となると思います。

まずは、 第三者的な観点で明細書を見直す必要があると思います。実際に第三者にチェックしてもらう方法もありますが、人からいろいろ言われ気落ちすることにもなりますので、とりあえず自分でするのがよいでしょう。

例えば、明細書を完成してから1日おいて確認作業を行えば、頭の中がリセットされておりますので、第三者的な気分で確認できるかもしれません。

次に特許性を確認するために、審査官になった気分で明細書を見直します。審査官のつもりで新規性、進歩性を確認するとともに、記載不備がないかを確認します。

このあたりは中間処理の実務を経験している人でないとなかなか難しいと思いますが、例えば、追加的な先行技術調査を行なって、近い先行技術ときちんと差別化できているかを確認すればよいと思います。

最後に、権利行使できる請求項の表現となっているかを確認します。例えば、ライバルメーカーの技術者になったつもりで、権利侵害とならないような代替設計ができるかを検討します。

もし、抜け道となるような設計ができるようであれば、その内容を実施例に加える事により、より強固な権利とできると思います。このあたりも実際に侵害事件の当事者となった方ならば真剣に考えることであると思います。

このように視点をいろいろ変えて明細書をチェックすれば、隙のない明細書に仕上がると思います。

ただし、特許明細書の出願のタイミングも重要です。明細書のチェックに時間をかければ完成度は高まりますが、出願が遅れ、出願日の利益が得られなくなるおそれもあります。

したがって、現実的にはある程度のチェックが完了したら、早期に出願を行う決断を行う必要もあると思います。

そういう意味では明細書の完成度を高めることはなかなか難しいのかもしれません。

2014年1月24日金曜日

よい明細書について

最近、他の人の書いた明細書に関する相談を受けることが多くなりました。

他人に書いた明細書ですので第三者的な目で客観的に見れるせいか、明細書の記載の不備部分がどうしても目につきます(あら探しのようですが・・・)。

例えば、請求項に技術的な特徴がよく表現されておらず特許されることが難しそうな明細書や、特許されたものの請求項の記載が非常に限定されており権利行使が難しそうな明細書が散見されます。

一度、出願すると明細書の内容を補充することは難しいので、上記のような欠陥がある明細書について相談されても、打てる手は限られてしまいます。

こういう明細書が作成されてしまう大きな理由としては、先行技術調査の不備があると思います。

新規性、進歩性を満たすような請求項の記載とするためには、先行技術調査を行い、もっとも近い先行技術調査を抽出し、その相違点、効果を明細書に記載する必要があります。

しかし、もっとも近い先行技術の抽出に失敗する(もしくは、先行技術調査すらしない)と、発明の特徴、相違点、効果の記載が的外れなものとなり、特許性に貢献する記載を行うことができません。

さらに、特許性を満たすため必要以上に狭い請求項の記載とした場合には、確かに特許される場合もありますが、近い先行技術を抽出する努力を行えば、もっと広い請求項で特許にできた可能性もあります。

よい明細書といえば、きれいな日本語を使用することや、何か特殊な明細書作成テクニックを使って文章を構成するようなイメージがあります。

しかし、実際には、しっかりと先行技術調査を行い、たどたどしい日本語で構いませんので、先行技術との相違をきちんと表現し、先行技術を含まないギリギリの範囲を見極めた請求項の記載がされている明細書が、よい明細書と思います。

先行技術については、明細書中に【特許文献】、【非特許文献】として記載されておりますので、明細書チェックの際には、この欄の文献をまずチェックしたほうがよいと思います。

的はずれな特許文献のようでしたら、きちんとした特許調査をお願いし、明細書を書きなおしてもらうことも必要と思います。

2014年1月11日土曜日

よいビジネスモデルについて

子供をファミレスにつれてゆくと困ることがあります。それは、レジにおもちゃが置いてあることです。

子供がそれを見つけますと、子供の欲望にはストップボタンがありませんから、欲しいとおねだりが始まります。

そういうおもちゃは大したものではないのに、ちょっと高かったりして、どうせ飽きてゴミになるのだから買いたくない!と大人は考えてしまいます。

しかし、一度始まったおねだりは止まりませんので、子供を説得しようと努力しますが、そのうち、レジに支払いの列ができ始め、他の人の迷惑を考えると、買わざるを得ない状況となります。

ファミレスからすれば、食事以外に収益を得られるという点で優れたビジネスモデルといえますが、お金を払う立場からすれば、もやもやしたものが残ります。

このビジネスモデルを一言で言えば、欲望に弱い人間を使用対象として、その使用対象外の大人にお金を支出させるモデルと言えます。 つまり、使用対象と支出対象が分離されていることが特徴です。


最近のスマホのゲームも同じビジネスモデルといえます。小中学生はゲームに没頭しますが、いくらやっても自分の懐が痛みませんので、際限なくやり続け、そのゲーム代を大人が負担しなければなりません。

こういうビジネスモデルはいいといえるのか少々疑問です。お金を払う人間に納得感がない点で、よろしくないと思います。

こういうビジネスを拡大した人が、優れた経営者として本に紹介されたりしますが、よいビジネスモデルとは、支払っていただくお金に納得感があり、それなりの価値をお客さんに提供できることが必要と思います。

と、少々愚痴っぽくなってしましたが、自分の仕事についても金儲け主義に走らないように気をつけたいと思います。