2016年3月19日土曜日

2016/2/7~2/13の知財高裁判決



201627日から2016213日までになされた裁判は、侵害訴訟1(著作権1)、審決取消訴訟3件(特許1件、商標2件)です。

1.侵害訴訟

(1)平成27()10086  文書返還(東京地方裁判所 平成26()33095
平成28210日判決 控訴棄却(4部)
著作権 (ビジネスモデル等)
その他

*コメント
著作権の帰属(会社か個人か)について争われました。

2.審決取消訴訟

(1)平成27(行ケ)10180  審決(無効・不成立)取消
平成2829日判決 審決取消(1部)
商標権 (宮古養命草)
混同を生ずるおそれ(4条1項15号)

*コメント
口頭弁論に出頭しないから自白したとみなされています。何があったのでしょうか・・・。

(2)平成27(行ケ)10132  審決(無効・不成立)取消
平成2829日判決 請求棄却(1部)
商標権 (KAMUI)
公序良俗違反(4条1項7号)

*コメント
商標のライセンサーとライセンシーが共同事業を解消するにあたり、その後の互いの使用する商標について争いになったケースです。ライセンシーによる商標出願が、業務上の信用の横取りを目的とする行為に相当するかどうかが争われました。

そうしますと、共同事業を解消する際には、その後互いにどのような商標を使用するか、取り決めておくことも必要と思います。

(3)平成27(行ケ)10098  審決(無効・成立)取消
平成2828日判決 請求棄却(2部)
特許権 (地盤強化工法)
新規性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断),明細書の記載要件(明確性)

*コメント
無効審判では、記載不備、新規性・進歩性欠如が指摘されたケースで、審取では、記載不備はないが、新規性はやはりないと認定されました。請求項をみますと作用的な記載があり、これはこれで権利範囲が広くなるのでよいのですが、その広さゆえに先行技術と構成の相違がないとされてしまいました。

権利化の際には、広いクレームで登録されればよいような気もしますが、その後の無効審判や侵害訴訟を考えますと、広ければ良い訳でもないと思いました。



2016年3月18日金曜日

ブランド戦略について



仕事がらブランド戦略の相談をされることがあります。とはいえ、ブランド戦略とは何なのかよくわからないところもあります。

ブランド戦略のセミナーなどに参加しますと、講師が弁理士の場合には、商標の取り方や、権利行使の話が主となり、ブランド戦略というより、商標管理の話がメインとなります。

MBAの先生が講師の場合には、 コカ・コーラやP&Gなどの成功事例・失敗事例が主となり、ブランド戦略というより、経営戦略の話がメインとなります。

そうすると、どう捉えればよいかと悩みますが、とりあえず特許的にまとめればわかりやすいかと思い整理してみました。

特許では、創造、保護、活用の、局面がありますが(知財サイクルともいいますが)、 ブランドで当てはめてみると以下のようになると思います。




まず、ブランド創造(創造という表現は語弊があるかもしれませんが)の局面では、表面的にはネーミング(アップル、ソニーなど)を考えることになります。

ただし、よく言われますが、ネーミング自体には価値がなく、ネーミングの裏に存在する、形のない何か(とりあえず世界観としております)に価値があり、これを構築することがブランド創造につながります。

ブランド保護は、商標権による保護が主となると思いますが、もしかしたら、別の観点もあるかもしれません。

ブランド活用は、 いろいろな観点があるかもしれませんが、マーケティングに使用されるのが主と思います。

商品にブランドが付加されることにより品質が保証され(Product)、価格を高く維持でき(Price)、流通過程で出所を表示し(Place)、CMや広告でブランドが表示されます(Promotion)。

そう考えますと、世界観の構築以外は、分析手法は確立されているといえますので、経営部門、知財部門、営業部門の連携をとればブランド戦略を実行できそうです。

それでは、ブランド戦略には技術部門は関係ないのか・・・、となってしまいますが、それはまた、別途考えてゆきたいと思います。


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