2017年11月23日木曜日

コア・アイデンティティについて

昨日、知財ビジネスアカデミーのブランド戦略基礎の講座の第2回目を受講いたしました。

第1回に引き続き、ブランドアイデンティティの策定演習がありましたが、非常に困難を感じました。

ブランドアイデンティティの策定は

ア)コアアイデンティティの考案
 ・自社の独自性を表現する要素

イ)拡張アイデンティティの考案
 ・コアアイデンティティに含まれないが補完的なアイデンティティ

ウ)ブランドエッセンスの考案
 ・コアアイデンティティをまとめた象徴的なフレーズ
 ・実務的には、広告代理店等にお任せとなる

を考えてゆくことになります。

ところが、自社(もしくはお客さん)のコアアイデンティティは何かと考えてみましたが、なんと何も頭に浮かびません・・・。

つまり、考える取っ掛かりがないと、アイデアが浮かびません。

考える取っ掛かりとしましては、前回ご紹介したブランド資産の評価や便益階層があるのですが、まずこれらを検討する必要があります。

そう考えますと、やはりブランドQFDは有用と思います。

ブランドQFDを使用すれば、コアアイデンティティに関するキーワードは自分の頭で考案せずとも(時間をかけて悩まずとも)、特許情報から多く集まりますので、コアアイデンティティを考える取っ掛かりとできます。

また、他の方の発表を聞いていて少し気になったのが、例えば、自社製品は「面白い」のがコアアイデンティティである、とのような発表がありました。

しかし、競合他社が、より「面白い」製品を製造している場合には、独自性がありませんので、それはもうコアアイデンティティとはなりません。

したがって、コアアイデンティティの策定には競合他社との比較作業が重要となりますが、 ブランドQFDは自社・他社のものを作成して比較できますので、やはり便利です。

ということで、来年はもう少しブランドQFDの研究を進めたいと思います。

2017年11月19日日曜日

弁理士業務のAI化について

先日、以下のような記事を見かました。


「AIで弁理士が失業」に異議 「そんなに単純な仕事じゃない」(記事へのリンクあり


記事の内容を真剣に読んでおりませんので、コメントは避けたいと思いますが、こういう話というのは実は昔もあったような気がします。

私が生産機械の仕事をし始めた80年代後半ごろは、完全自動化の流行りが終わる頃でした。

工場では人間が沢山働いているようなイメージですが、80年代は完全自動化、無人工場のようなのが優れた工場とされました。

つまり、人間は機械に置き換わり、工場労働者は失業する、ということがまことしやかに言われておりました。

では、そうなったかといえば、全く逆で90年代に入ると、機械の量を減らして、人間が作業をすることが主となりました。

その理由は、少品種大量生産の時代から、多品種少量生産の時代へ変わったからで、多品種少量生産で機械化するのは設備投資が過大となりやすいので、人間に作業させた方が、費用対効果が高いからです。

とはいえ、外国人の方が人件費が安いため、日本に工場を設けるよりは、海外に工場を設けた方がよい、となりました。そうしますと、今度は日本の工場労働者が失業するという話になりました。

今はどうなっているかといえば、外国も人件費が上昇し、日本も少子化によりに人件費が上昇することが見込まれるため、仕方なく機械化が進むということになるのではないでしょうか。

そう考えますと、機械化というのは、単純に進むわけではなく、人件費との兼ね合いで、進んだり、やっぱり人間が作業する、というような感じになります。

AI(AIというよりは「機械学習」「深層学習」といった方が正しいのかもしれませんがAIという用語の方が便利ですので、ここではAIを使います。) も機械化の一種にすぎませんので、費用対効果の観点から導入が進んでゆきます。

したがって、「~の仕事は難易度が高いからAI化できない」というような理由付けは、技術的課題は必ず解決されることは工学的に見て当然のことですので、無意味かと思います・・・。

もっぱら、マーケットとしておいしいかという観点で、AI化が進むのではないでしょうか。

そうしますと、AIの導入が早く進むのは、医療関係、お役所の事務関係となるでしょうか。次に、金融関係、税務会計関係となるでしょうか。

一般法務につきましては、米国のように訴訟社会でしたら、AI化が早期に進むとは思いますは、日本はそこまででもありませんので優先度は低いかと思います。

本題に戻りまして、弁理士の仕事がAI化できるかといえば、これは弁理士の仕事に魅力があるかどうかとなります。魅力があれば、AIを開発して製品化すると儲かりますし、そうでなければ、赤字となりますのでAI化されません。

ということで、この手の話は、「AI化できない」というよりは、弁理士の仕事は魅力的であるので、早期にAI化が進む、とか言っておいた方がかっこいいのではないでしょうか。

2017年11月11日土曜日

情緒的/自己表現的便益について


先日、知財ビジネスアカデミーのブランド戦略基礎の講座を受講いたしました。

ブランドは本を読むだけの自己流で勉強してきましたので、こういう講座で勉強するのは初めてでした。

(知財ビジネスアカデミーは弁理士会主催ではありますが、弁理士以外の方もゲスト参加可能です(受講料はかかります・・・。数回コースで数万円ですので内容に対して非常にリーズナブルと思います。)。)

講座の中では、ブランドアイデンティティー策定の演習がありました。

ブランドアイデンティティの策定は、

STEP1)現在・将来のブランド資産の評価
STEP2)ブランドが提供する便益の階層分析
STEP3)ブランドアイデンティティ の策定

の3ステップで策定作業を進めます。

ここで、STEP2の「便益の階層」ですが、

第1階層が、情緒的/自己表現的便益
第2階層が、機能的便益
第3階層が、属性

となります。

と、講義でここまで聞いて、頭にピンときました。それは、ブランドQFDとの共通性です。

(ブランドQFDについては、過去記事を参照願います。)

ブランドQFDでは、消費目的、品質特性、ブランド属性の関係を明らかにしますが、便益階層と対比しますと以下のようになります。



比較しますと、便益階層とブランドQFDは、内容としては同じであり、そうしますと、ブランドアイデンティティー策定にブランドQFDを活用できる可能性があります。

すごいことを思い付いたと、一瞬思いましたが、よく考えれば当たり前のことで、ブランドQFD自体は、名工大のブランドの先生が考案したもので、当然便益階層は頭にあったと思います。

つまりは、私の知識不足で、恥ずかしながら後付け的に理解したということになります。そういう意味では勉強が足りてません。

さて、この便益階層の作成ですが、実際に企業内で行う場合には、社内各部署から20~30名を集め、ブレインストーミングをしながら、半年~1年かけて完成させるようです。

この便益階層づくりに、ブランドQFDを利用した場合には、以下の効果が見込まれます。

(1)一人でつくれる。
ブランドQFDはデータを集めて処理するだけですので、社内の人間を集めて議論せずともつくれます・・・。

(2)客観性がある
人間を集めて議論しますと、主観的な議論になりやすいですが、ブランドQFDはデータを集めて処理するだけですので、主観が入らず、客観的な分析ができます。

(3)もれがない
人間の議論のみでは、重要な観点がうっかり漏れてしまう可能性がありますが、ブランドQFDは多数のデータを集めて処理するだけですので、観点の漏れを防ぐことができます。

(4)各便益間の関係性がわかる
人間の議論では、便益はたくさん挙がると思いますが、各便益間の関係はわかりません。ブランドQFDは各便益間の関係性が数値化されますので、単なる便益の羅列ではなく、便益の知識構造としての理解が可能となります。

ということで、ブランドアイデンティティ の策定には、ブランドQFDを是非ご利用ください。

さて、ここからが本題ですが、便益階層の頂点にありますのが、情緒的/自己表現的便益となります。

頂点にあることからわかるように、ブランドアイデンティティの策定に対して、もっとも重要な便益となります。

つまり、情緒的/自己表現的便益が優れているほど、顧客ロイヤルティが高く、模倣が困難なブランドとなります。

情緒的/自己表現的便益とは具体的に何かといえば、自分は優れている!、本当の自分になれる!、と感じるとか、優越感、安心感が得られる、などのような便益です。

私も機械の分野で生きてきましたが、製品開発に際し、このような情緒的/自己表現的便益というようなものは考えたことがありません。

もっぱら仕様を充たすことと、コストを下げること、のみを念頭に開発をしており、それ以外のことをした場合には、コスト上昇につながることから、上司や先輩に怒られることもあります。

しかしながら、ブランドというものを考える場合には、情緒的/自己表現的便益を考慮する必要があり、さてどうしようとなります。

1つは、技術者も情緒的/自己表現的便益に対応できるよう、人間の感情を研究するということがあると思います。技術というのはロジカルに考えがちですが、ブランドの観点からは、人間というものを理解する必要があります。

ただし、技術者が何でも勉強するというのも、現実的ではありませんので、その場合には、 情緒的/自己表現的便益については、それに長けた人(具体的にはよくわかりませんが・・・)にお任せして、技術者の方はロジカルな便益を検討し、それら便益を結合するという考えもあると思います。

ブランドQFDは、そのような知識の結合に便利にできておりますので、ここでも活用できるかと思います。

また、情緒的/自己表現的便益がもっとも重要な便益というのは、BtoCビジネスの場合には腑に落ちると思いますが、BtoBビジネスの場合はどうなのか、という気がします。

BtoCビジネスの場合には、需要者が自然人となりますので、情緒/自己表現に訴えるのは効果的とおもいます。しかし、BtoBビジネスの場合には、需要者が、情緒もなく、自己表現もない企業となりますので、情緒的/自己表現的便益は効果がないと思われます。

模倣困難な情緒的/自己表現的便益が無意味となると、BtoBビジネスのブランド化は困難となります。とはいえ、BtoBビジネスのブランドというのは存在しますので、機能的便益で差別化を図っているのかもしれません。

電機メーカーなどは、BtoCビジネスからBtoBビジネスに軸足を移していますが、これは、企業が老化して、情緒的/自己表現的便益をユーザーに提供できなくなっているからかもしれません。


と、ブランド戦略の講座を受けていろいろ感じたところを書いてみました。

2017年10月22日日曜日

金がないなら知恵を出せ

会社のスローガンで、たまに「金がないなら知恵を出せ」のような標語を見かけることがあります。

実際その通りの部分もありますが、文字通りに受け取るとまずい部分もあります。

1つは、知恵のみでは経営に対するインパクトがない点です。知恵というのはただのアイデアですから、これに、人・物・金の資源を投入して、はじめて経営に貢献することが可能となります。

アイデアに人・物・金を投入してレバレッジを効かせることが重要となりますので、知恵のみでなんとかなるという考えは、悪い精神論となります。

また、例えば、「すごく良いアイデア×少ないお金の投入」の戦略と、「そこそこのアイデア×大量のお金の投入」の戦略とでは、どちらが成功する可能性が高いかといえば、これはなんとも言えないところとなります。

しかし、アイデアが良くても資金の量で負けたという事例はいろいろあると思いますので、お金で負けたというのは、なんとも悔しい結果となります。

私個人としては、物量戦略というのは好きでして、なぜなら、細かいミスも物量でカバーできるからです。一方、日本は精神論好きですので、こういう考えは嫌われると思います。

あとは、ベンチャー企業の仕事でたまにありますのが、 人・物・金は何とかするから、結果を出してくれという状況です。

ベンチャー企業は「成長が命」ですので、 人・物・金を投入してでも、成長したいという状況が生じます。

こういう仕事ですと、人・物・金が投入できるのだからいいのではと思いますが、全く逆で、投入した資源に見合う成果を出さなくてはいけませんから、プレッシャーは大きなものとなります。

そうしますと、アイデアが重要なことは変わりませんが、人・物・金の効率的な使い方が重要となります。

「金がないなら知恵を出せ」的な考えで仕事をしておりますと、人・物・金を使用する経験を積むことができず、金がでる(でてしまう・・・)状況下での仕事の進め方がわからなくなります。

ということで、知恵も重要ですが、やはりお金も重要と思います。        

2017年10月14日土曜日

人間性のいらない仕事について

先日、高校の同期の男が暗黒舞踏の世界で成功している、という話をSNS経由で知りました。

なんでも、平井堅のPVで踊ってるそうで、自分はPVをちょっとテレビで見た記憶はあるのですが、こわいという印象しかありませんでした・・・。

私のようなレベルの低い人間からすると、暗黒舞踏で生活できるなんて、すごいなと、舞踏の内容よりも収入の方が気になったりもします。

暗黒舞踏を知らない私がいうのもなんですが、こういう世界で生きてゆくためには、特殊なセンスが必要と思います。

単なる舞踏テクニックだけでは見る人の心に染み入らない(すなわち、お金を出さない)とも思いますので、一般人が知ることは無い、人生経験から滲み出る、内心の世界観の潤沢さが必要と思います。

こういう内心の世界観をここでは、ひとまず人間性とします。こういう人間性が必要な仕事は、芸術家とかデザイナーということになるでしょうか。

一方、世の中の仕事のほとんどは人間性が不要であり、論理的に仕事を処理すればよい仕事となります。弁理士の仕事も100%論理の世界であり、仕事の処理に人間性は不要です。

そういう意味では、特別な才能がある人が人間性のある仕事をし、私のような才能のない人間は、人間性のない仕事をすればよい・・・、というのが今までの話でした。

しかし、そうも言えない状況が生じつつあります。それはAI(+ロボット)の進化です。

AIは論理的な仕事が得意ですので、人間性のいらない仕事はAIに置換されてゆくことが考えられます。弁理士の仕事も92%がAIに置換可能というニュースもありました。

もちろん、危険性の高い仕事や負荷の高い仕事はAI(+ロボット)に置換することがよいのですが、普通の仕事もAIとなると、一般人は失業して生活できません。

そうしますと、今後はAIに置換されないように、自分の仕事に人間性を取り入れてゆくしかないのかと感じます。

そういう意味では、仕事を一生懸命やることもいいですが、今後は仕事以外の本を読んだり、芸術作品に触れたり、いろいろな所を旅するような人間性を高める経験をしてゆくことも必要なのかと思います。

2017年9月30日土曜日

ブランドとデザインについて(その2)

以前こんな記事を書きました経産省の産業競争力とデザインを考える研究会ですが、9月28日(木)に3回目の会議が終了したようです。

2回目までの会議資料が、こちらに開示されております。2回目の配布資料の中に田中委員のプレゼン資料が開示されております(PDFへの直接リンク

この資料の26ページ以降を読みますと(非公表だらけですが・・・)、デザインとブランドの関係が、おぼろげながら見えてまいります。

といっても話は簡単で、統一性のあるデザインを使用し続ければ、ブランド(出所表示)として機能を発揮し始めるいうものかな・・・と思います(詳しくは資料をお読みください)。

他の研究会の様子をみますと、この研究会の取りまとめ内容によって、直ちに法改正がなされることは無いようですが、その結果は今後に生かされる、ということでしょうか。

法改正はすぐにはされないようですが、ブランド化したデザインをうまく保護する手段が今はありませんので、私なりに法改正案を考えてみました。

意匠法の改正からのアプローチとしては、周知性を獲得した意匠については存続期間を(10~20年程度)延長することなどが考えられます。

現状では、存続期間が満了した意匠については誰でも自由に使えるのが建前ですので、存続期間を延長することにより、それを防ぎます。

商標法改正からのアプローチとしましては、意匠権の存続期間が満了した意匠については、立体商標の登録を受けやすくすることが考えられます。

これにより、デザインの保護が意匠法から商標法による保護へ移行できますので、半永久的なデザインの保護が可能です。

不競法も同様の改正を行い、デザインが周知商品等表示として認められやすくすることがあると思います。

と、思い付きで考えましたので、上記案には論理的に穴があるかもしれませんが、ご容赦願います。

余談ですが、田中委員はGKデザインの方で、私が7台乗り継いでいるYAMAHAのバイクは昔からGKデザインによるデザインが多いです。

とはいえ、ブランド化したデザインというのはYAMAHAのバイクにはほとんどなく(SRくらいでしょうか)、一方、ハーレーのデザインはブランド化していますし、HONDAのスーパーカブは立体商標登録まで受けている点でやはりブランド化している点が、なんとも難しいところであります。

2017年9月9日土曜日

リスクの取り方について

以前、私は「技術リスクマネジメント専攻」という専攻の大学院に通っていました(今は名前は変わっております。)

そこで学んだことはもうほとんど覚えていないのですが、今でも覚えていることは、「リスクはリターンの源泉」という考えです。

「ハイリスク・ハイリターン」、「ローリスク・ローリターン」という言葉は誰でも知っているとは思いますが、リスクを取らねばリターンはないというのがビジネスの原則となります。

私は、普通に学校教育を受けて、その後、いわゆる大企業で働いておりましたが、そのような経歴ですと、「リスクは悪」のようなマインドとなり、リスクを避けるような判断をする思考となりがちです。

そのため、ローリスク・ローリターンの人生となってしまいましたが、仕事をする際には、この原則を常に考えておかないと、まずいことになります。

話は飛びますが、以前、弁理士会の研修で「ベンチャー支援」という講義を受けましたが、そこで講師の方が強調されていましたのが、ベンチャーで一番重要なのが「成長」ということです。

1年で規模を倍にする、2年で4倍にするような規模の拡大を図ることがベンチャーの使命だそうです。

私は、ベンチャーはお金のない小規模企業のようなイメージをもっていましたが、そういう訳でもなく、投資家からお金を集めようとすれば、それなりに集まるそうです。ただし、お金の使い道は「成長」に寄与することが必須です。

ベンチャーの特許出願についても、成長に寄与することが説明できれば、費用をかけることも厭わない、ということでした。

結局のところ、ベンチャーは「リスクを取って成長する」タイプの会社と思います。資金・費用については2の次です。

さて、そういうベンチャーを、ローリスク・ローリターンのマインドで携わるとまずいことになります。例えば、この請求項は広すぎるからリスクを減らすため狭くしよう、特許出願は費用がかかるからやめて節約しよう、などとリスクを減らすようなアドバイスをしがちとなります。

大企業の場合には、リスクを減らす考えも有用ですが、ベンチャーの場合には、ある程度リスクをとってゆかないと、成長できずにジリ貧となります。

そうすると、ベンチャーの場合にはリスキーな判断をすることも必要となりますが、これはなかなか怖くてできないところもあります。

とりあえず、大企業の仕事の場合にはリスクを減らすことを考え、ベンチャーの仕事の場合にはある程度リスクをとるような考えで進めるしかないのかもしれません。 


2017年8月15日火曜日

日本の特許制度の大欠陥?

「日本の特許制度の大欠陥、アイデアが世界中に流出する理由」、というネット記事を見かけました(リンクは割愛いたします)。

記事の内容については、新井先生の書かれた『レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?』という書籍の解説記事のようです。

こういう題名ですと、日本の特許制度に大きな欠陥があるような感じになりますが、諸外国の特許制度は統一が図られておりますので、日本の特許制度特有の欠陥というものはないと思います。

あとは、特許制度自体に欠陥があるのかどうなのか、アンチパテント、プロパテント等の考えもありますが、上記ネット記事はそこまで言及するものではありません。

上記記事の内容(新井先生の書籍ではありません)につきましては、簡単言えば、特許公開により技術が公開され、競合に模倣されるから、秘匿可能な技術については出願しないようにしましょう、という感じでしょうか(厳密に読んでいませんが・・・。)

こういう記事を読みますと、頭の中が20年くらい前で止まっているのかな、と感じます。20年くらい前でしたら、日本の技術力は世界一のレベルにあり、特許出願件数も世界一でした。したがって、日本の技術は盗まれる側でした。

しかし、現在では、日本の技術の多くがキャッチアップされ、出願件数も諸外国に抜かれております。そうすると、現在では、外国公開特許情報を分析して、技術を盗んでやろう(もちろん権利侵害にならない範囲ですが・・・)、という考え、すなわち盗む側にそろそろなると思います。

ノウハウ秘匿戦略に良い悪いはないのですが、ノウハウ秘匿戦略を選択する場合には、先使用権を確保することが必須となります。これは、競合が権利化した場合には、自社実施が不可能となるからです。

もちろん、製造方法は、ばれないからいいという考えもありますが、権利侵害を放置するのは、コンプライアンス上問題がありますので、まともな会社でしたら、自社実施をやめると思います。

国内だけのビジネスを実施している会社でしたら、先使用権は日本国内のみで確保すればよいのですが、グローバルなビジネスを展開している企業でしたら、各国ごとに先使用権確保の作業をしなければなりませんので、大変です。

個人的には、競合他社が権利化しそうなノウハウにつきましては、先んじて権利化することもよいのではと思います。そうすることにより、先使用権確保の作業の負担が低減できます。

もちろんコカ・コーラの製法のような、競合他社が永遠に開発不可能な技術については、秘匿戦略でよいと思います。

さて、こういうネット記事というものは著作権法上どうなのかという気もします。書籍の要約でも翻案権の侵害になりますので、著作権者の許諾を得ていると思いますが、著作者の意図と違うような解釈がなされる要約の場合には、同一性保持権とか問題になりそうな気もします(もちろん同意があればよいのですが)。

要約の内容が、著者の意図と多少異なっているようですので、気になるところです。