2018年7月31日火曜日

マーケティングやデザインやブランドなど

最近の国の報告書を読みますと、マーケティングやデザインやブランドなどの横文字が並んでおります。

とはいえ、概念がごちゃごちゃになっているような危惧もあります。特許庁の某広報誌でもデザイン経営の「デザイン」という用語はあえて定義していないということを言っておりました。

まあ、あえて定義しなくてもよいのかもしれませんが、意識せずに使いますと、実務の場では、思わぬ地雷を踏む場合もありますので、整理しておいた方がよいかもしれません。

私の好きな分析手法に3C分析というのがありまして、これは事業を分析するうえで、自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つについて分析する手法です。

よく知られているのはSWOT分析ですが、機会とか脅威とかイメージしにくい分析手法でもあり、3Cの方はイメージしやすいのがメリットと思います。

ここでは、3Cすべてを分析するのを「マーケティング思考」とします。

では、「デザイン思考」では、どうなるかといえば、これは顧客ニーズの分析が重要となります。したがって、分析は、自社(Company)、顧客(Customer)の分析(ニーズ・シーズ分析)が主となります。

そんな競合を無視した分析に意味があるかといえば、ブルーオーシャン戦略などにより、競合が存在しない企業においては有効かもしれません。

有効な分析ツールとしては「QFD」などがあります。

それでは、「ブランド思考」では、どうなるかといえば、自社(Company)の分析(ブランド・アイデンティティの分析)が主となります。

競合・顧客を無視した分析に意味があるかといえば、アップル、ハーレーなど自分の売りたいものを売っている企業においては、有効かもしれません。

有効な分析ツールとしては「ブランドQFD」があります。

以上の関係を、表にまとめると以下のようになります。



例えば、「デザイン思考」的な企業に、競合分析を提案しますと、「あなたデザインをわかってますか?」ということになりますし、「ブランド思考」的な企業に、顧客ニーズ分析を提案しますと、「うちの製品がわかっていない」と、経営者の逆鱗に触れる場合があります。

ということで、用語を仕事で使う場合には、注意しましょうという話でした。

2018年7月14日土曜日

ガンダムで説明する。

たまに本屋へ行き、新刊のチェックをするのですが、よく見かけるのが、著名組織にフリーライドした書名です。

例えば、「リクルート式○○」、「マッキンゼー式××」、「トヨタ式△△」、「東大□□」などです。

もといた組織の名前を書名に入れるのは、情けない気もしますが、当該組織自体はすばらしいので、すごいことが書いてあるようなイメージとなります。

同様な本のネーミング法には、漫画、アニメを題材にしたものがあります。例えば、「ガンダムで考える・・・」や「ワンピースで知る・・・」などです。

漫画やアニメはしょせんフィクションですので、現実世界に適用できる事項など何もないのですが、題名にひかれて買う人間をいるのかと思います。

とはいえ、フィクションであるがゆえに、逆に現実が理解しやすくなるという側面もあるかと思います。

話は変わりますが、仕事がら特許の有用性についての疑問が呈されることがあります。

日本の特許権侵害訴訟の勝訴率は2、3割ですし、先日見かけたある資料には、特許訴訟を起こせる国として、日本が0%の人気のなさとあり、有用性の説明に苦慮することもあります。

そこで、ガンダム世代の私としましては、ガンダムをつかって、特許の有効性を説明したいと思います。

ガンダムといいますと、無敵のロボット兵器というイメージがありますが、実はそうではありません。あのような巨大兵器が戦場に立っていましたら、通常は、誘導兵器の良い的になります。

では、なぜ、ガンダムが成立するかといえば、それはミノフスキー粒子の存在があるからです(あくまでも、アニメの設定上の架空の粒子です)。

ミノフスキー粒子というのは、簡単にいえば、電磁波を遮断する粒子という設定で、この粒子を戦場に散布することにより、通信障害を生じ、レーダーを機能させなくするそうです。

そうしますと、誘導兵器が無効となり、結局、ガンダムのような有視界戦闘の肉弾戦に特化した兵器が有用となるというロジックとなります。

ガンダムが強い兵器であるのではなく、まず、ミノフスキー粒子を散布することにより、戦場を(自己に有利な)環境に意図的に変化させ、その環境下で力を発揮する兵器としてガンダムを開発したということになります。環境操作が主であり、兵器が従の思想となります。

ここから、特許の話となりますが、事業においても優れた技術を開発すればよいと考えてしまいますが、技術は模倣されたり、より優れた技術が開発されたり、してすぐに競争力が失われたりします。

そうしますと、まず、ガンダムのように外部環境を操作して、それに適合する技術を開発した方が、優位性を維持できると考えます。

外部環境を(自己に有利な)環境に操作する手段としては、

・特許(自社は実施できる、他社は実施できない)
・標準(自社も他社も実施しなければならない)
・契約(他社は実施できない、or、実施しなければならない)

などがあります。これら外部環境を操作する手法を組み合わせて、その環境下で自社のみが力を発揮できる技術を開発できれば、ガンダムのような強力な事業となると思います。

例えば、インテルのCPUなどは
・特許(インターフェース特許、他社にライセンス付与)
・標準(インターフェース標準、他社に実施を強制)
・契約
 などを組み合わせて有利に事業を実施した例といえます。

ということで、特許というのはガンダムで説明すれば、ミノフスキー粒子に相当し、環境操作手段として、有用ということがわかります。

まあ、この説明ではさらによくわからなくなったかもしれませんが・・・。

2018年6月14日木曜日

価値もデザインする?

本年度の知的財産戦略ビジョンとやらが内閣府の知財戦略本部から公表されたようです(PDFへのリンク)。

サブタイトルが「価値デザイン社会」を目指して、となっておりまして、なにやら似たようなタイトルの報告書が最近続いているなと感じます。

それでは、特許に関する記載はどのくらいかとキーワード検索をしましたところ、「特許」という用語は1か所に出てくるのみでした・・・。

つまり、最新の日本の知財戦略ビジョンに特許は考慮されていないことになります。

中身をざっと見ましたところ、キラキラワードが多用されており、目につくのが、「シェア」、「みんなでつくる」、「オープンイノベーション」など、みんなでやろう!というような内容でした。

特許権、意匠権、商標権は、独占排他権ですので、これをビジョンに入れますと、上記みんなで一緒にやろうというロジックと整合せず破たんすると思いますので、特許に関する言及を入れることができなかったと思料します。

さらに、委員のコメントとして、「排他権を緩くして新たに共有権を設けよう」などという提案もあり、全体としてはアンチパテント的な方向(共産主義的方向?)なのかな、と感じます。

このビジョンから何を読み取るかは非常に難しく、正直、皆様にも読んでいただいて、皆様の見解を私に教えてほしいくらいです。

とはいえ、 知的財産戦略ビジョンに特許、意匠、商標がまったく考慮されないのは、逆に面白いと感じてしまいました。これは、今の知的財産の概念が、従来の特実意商を超えた人間の精神性も含めた概念となっているともいえると思います。

そういう意味では、「デザイン」に続いて、「知財」もまた、議論の前に定義を明確にしませんと、議論がかみ合わないことになるかと思います。

2018年6月5日火曜日

経営をデザインする

【知財のビジネス価値評価検討タスクフォース 報告書及び経営デザインシートを公表いたしました(内閣府)】との案内がメールでありました。

そこでは、「経営をデザインする」 ものが紹介されておりました。

内容を見ますと、知財が企業の価値創造メカニズムにおいて果たす役割を的確に評価して経営をデザインするためのツール(経営デザインシート)が紹介されておりました。

ざっと目を通しただけですので、良し悪しはよくわからないのですが、 経営デザインシートというのは普及しないだろうなという感想です。

理由は、作るのが大変だから、ということになります。以前にも知的資産経営報告書のようなものもありましたが、普及していないのは、作るのが大変だからということになります。

実際作ってみるとよいものかもしれませんが、工数もかかりますので、費用対効果が明確でないとなかなかつくれません。

またこういうシートの作成は外注できるものではなく、内部情報に通じた企業内部の人(できれば多数の人)で作らないと意味がありませんので、なかなか機会がないと思います。

とはいえ、経営デザインシートなるものを考案できるということは素晴らしいというか、うらやましいと思います。

このブログのタイトルは「知財をデザインする」ですが、当初の目的としては「知財デザインシート」のようなものを考案することができればいいな、という目論見もありました。

しかしながら、「知財デザインシート」のようなものを考える時間が今のところありません。

今の仮説としては、特許、意匠、商標とも、ブランドアイデンティティを用いてまとめて取り扱うことができるのではないかと思っておりますが、考える時間もありません。

ということで、最後は愚痴でした。

2018年6月2日土曜日

キャッチフレーズの結果について

昨年から勉強がてら作成した弁理士企業年金基金のキャッチフレーズ応募ですが、事務局から受賞作品の発表がありました。

その結果、私の応募したキャッチフレーズが最優秀賞をいただけることになり、光栄にも、今後の弁理士企業年金基金のプロモーションに使用されることになりました。

応募人数は30人超、応募総数は70件超ということでした。最優秀賞は狙っておりませんでしたので、結果を聞いてびっくりしました。

受賞作は「あなたの未来にゆとりをプラス」でした。事務局の方で、すでに商標登録出願を済ませたそうです。

ここでは負け惜しみがてら、最優秀作の批評をしようと予定しておりましたが、このようなことから、それは、なしとなります。

今回選ばれた理由は、単純に、方法論に従って作ったことが大きいと思います。

方法論に従って作ることのメリットは主観が入りにくいことがあるかと思います。客観的事実を組み立てていきますので、他者が受け入れやすい表現になるかと思います。

私個人としましては、老後に不安を感じておりますので、私の主観が入ったキャッチフレーズは不安を感じさせる内容となり、そうなると選ばれることはないかなと思います。

さて、キャッチフレーズとは、すなわち、ブランドアイデンティティですので、 弁理士企業年金基金は、宣伝に使用するだけではなく、「あなたの未来にゆとりをプラス」が実現できるよう、顧客にサービスを提供する必要がでてきます。

ここから先は、私の出る幕はありませんので、実現できるよう頑張っていただきたいと思います。

2018年5月26日土曜日

ブランドとデザインについて(その3)

「経営に「デザイン志向」取り入れを 特許庁研究会」という記事をネット上に見かけました(新聞社の記事のリンクはすぐに消えてしまいますので、リンクは割愛いたします。)

その新聞社の会員ではありませんので、記事を最後まで読めないのですが、記事の題名の「デザイン志向」は「デザイン思考」の誤りなのではないかと思い、ソースに当たってみました。

どうやら、『「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告書を取りまとめました』に関する記事のようで 、昨年の7月からウォッチングしていた研究会の報告書がまとまったようです。

報告書をみますと、「デザイン志向」は使われておらず、なんだかよくわかりませんでした。

以前、このブログでもとりあげましたが、この新聞社は用語の使用が雑という感じがします。おそらく専門知識がない方が記事を書かれているのではないでしょうか。

記事の話はここまでとして、報告書の方も見てましたが、こちらもよくわからない内容となっておりました。

『「デザイン経営」宣言』 なることが主張されておりますが、デザイン思考を取り入れた経営手法は、もう、何年も前から提唱されており、取り入れている企業は取り入れておりますので、ここでことさら強調する意味はあまりないと思います。


デザイン思考を取り入れるため、意匠法を改正するとありますが、これもよくわかりません。

デザイン思考の「デザイン」は意匠ではなく、デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である(ウィキペディアより)とされ、意匠の「物品の外形等」とは概念が異なります。

デザインというのは概念が広い用語ですので、使用する場合には、定義を明確化しませんと、ちぐはぐな感じとなります。(関係ないですが、オープンクローズ戦略も定義を明確としませんと議論がちぐはくします。)

結局、デザインに関する議論をするということで、デザインに関する専門家を集めたら「デザイン思考」の専門家があつまり、デザイン思考の報告書をまとめてしまったという感じでしょうか。

それでは、意匠法の改正の方向性はどのような感じかというと、おおまかにいえば

(1)保護対象の拡大(画像、空間)
(2)存続期間の延長
(3)多意匠保護(関連出願の拡大、多意匠一出願)

のようなことが提案されております。

以前私がこのブログで予想したのは、

(1)周知性を獲得した意匠については存続期間を(10~20年程度)延長
(2) 意匠権の存続期間が満了した意匠については、立体商標の登録を受けやすくする
(3) 不競法も同様の改正を行い、デザインが周知商品等表示として認められやすくする

でしたので、存続期間の延長のみ、当たったようです。

意匠法の改正のみ念頭におかれているようですので、商標法や不競法の改正の議論には到達しなかったようです。

私は、この研究会の趣旨を「ブランドアイデンティティ」 の保護と思っていましたので、商標法の議論は不可避と思っておりましたが、これは勘違いで、デザイン思考で日本企業も頑張ろう、というのが研究会の趣旨のようです。

それでしたら、意匠法の改正も不要ですし、そもそも、デザイン思考と意匠とブランドにどのような関連があるのかどうかよくわからないといいますか、自分でも頭が混乱してきましたので、この話はここで終わりとします。

少なくとも「デザイン」のような多義的な用語に基づく議論を行う場合には、定義を明らかにしておくことは重要と思います。

2018年4月3日火曜日

STEP3)ブランドアイデンティティの策定について(その2)

さて、キャッチフレーズですが、ここまでくると、ボキャブラリーやセンスの勝負となります。

とはいえ、迷うのが、
(1)具体的な表現とするか、抽象的な表現とするか

(2)加入者向けの表現ととするか、事業者向けの表現とするか
です。

加入者向けであればBtoCとなりますので、抽象的な表現が良さそうです。一方、事業者向けであればBtoBとなりますので、具体的な表現が良さそうです。

幸い、応募はいくつでもできるということで、以下の表のような感じで、4つ応募することとしました。


加入者向け
加入者+事業者向け
オーソドックス
キャッチー


キャッチフレーズですが、2016年の商標審査基準の改定で、登録を受けやすくなりましたので、応募前に、一応商標調査を行い、第三者の登録商標がないかを確認します。

また、応募したキャッチフレーズはあえて伏せておりますが、これは、人に見せられるレベルではないというのもありますが、第三者による悪意の商標出願を防ぐためでもあります。

私の応募が採用される可能性はないので、こういう心配はしなくてよいのですが、一応、知財の仕事をしている関係上、抜かりはないことのアピールです。

今回をもちまして、キャッチフレーズ作成関係の記事は終了です。当選作品がわかりましたら感想の記事を書きたいと思います。

キャッチフレーズに関しましては、センスのいい人が適当に作っていると、今まで思っておりましたが、実際はある程度のところまではロジカルに作っていることがわかったのが収穫でした。

2018年3月31日土曜日

STEP3)ブランドアイデンティティの策定について(その1)

ブランドアイデンティティの策定ですが、STEP1のブランド資産の評価、及び、STEP2の便益の階層分析の結果を踏まえて、最終案を策定します。

具体的な作業としては、いろいろやり方はあると思いますが、私は以下の進め方としました。

(1) STEP1のブランド資産の評価、及び、STEP2の便益の階層分析で抽出されたキーワードのスクリーニング

アイデンティティを表現するのに重要と思われるキーワードのみ残し、ありふれたキーワードは削除する。これを「拡張アイデンティティ」とします。

(2) 「拡張アイデンティティ」をKJ法を用いて、グルーピングする。グループを4~6つ作成する。これらを「コアアイデンティティ」とする。

グループ数を4~6とするのは、人間の記憶力の限界や、経営資源の選択集中のためです。

KJ法を用いて、同一上位概念化できる「拡張アイデンティティ」をまとめ、作ったグループの共通の上位概念を「コアアイデンティティ」 とする。

(3) コアアイデンティティからブランドエッセンスを考案する。

4~6つのコアアイデンティティをまとめた象徴的なフレーズを考案する。今回の場合、これがキャッチフレーズとなります。

それで、まとめたのが以下の表となります。実際にはこういうまとめ方はしないのですが、ここでは、使い慣れた系統図表としています。

ブランドエッセンス
(=キャッチコピー)
コアアイデンティティ
拡張アイデンティティ
老後の安心、ゆとり
安心、豊かさ、ゆとり
節税、管理容易
職場の魅力UP
採用、離職の改善
事務所の魅力向上
特許業界に特化
特許業界への貢献
信頼できる基金
信用・信頼
健全・安定運営


論理的な処理ができるのはここまでで、最後のブランドエッセンスについては、センスの良い言葉を考えねばなりません。

ただし、BtoBサービスと考えるのであれば、抽象的な言葉より、少々センスはないですが、具体的な言葉の方が良さそうでもあります。