2020年4月28日火曜日

ネーミングの商標問題について

私の会社は知財デザインといいますが、これは2011年1月に設立された会社です。しかし、商標権を取得したのは2017年と、ずいぶん後となります。

これは、このようなわけのわからないネーミングを使用するのは自分以外にいないだろうと高をくくっていたためでした。

しかしながら、2017年あたりから、特許庁がデザイン経営宣言を言い出し始め、識別力喪失のリスクが高まりましたので、やむなく権利化したものです。

その後、特許庁は知財戦略デザイナーなども始めましたので、今出願したら、記述的商標ということで、拒絶されていたかもしれません。

ということで、自分が独占的に使用したいネーミングについては、出願し権利化することが絶対必要ということになるかと思います。

一方、広めたいネーミングというのもあると思います。

例えば、私は、「知財QFD」を考案して広めようと考えておりますが、ここで私が「知財QFD」の商標権を取得するとどうなるでしょうか。

「知財QFD」の内容がどんなによいものでも、仕事で使ったりしますと商標権侵害のリスクが生じますから、誰も使いません。

よって、誰も使わないことから、「知財QFD」は盛り上がることもなく、どんづまりとなります。

一時は商標出願しようと考えておりましたが、このようなことから、商標出願をしないこととしました。

結局、特許のオープン・クローズ戦略のように、ネーミングも普及させたい場合にはオープンにする必要があると思います。

しかしながら、出願しないのも問題があります。

それは、第三者がそのネーミングを出願してしまった場合どうするか、ということです。

こういうと悪意の場合を考えてしまいがちですが、実のところ、偶然、類似のネーミングが出願されるケースもあると思います。

これを防ぐには、自分が先に出願して登録すればよいのですが、そうしますとネーミングが普及しないというジレンマがあります。

対策の一つとして、記述的商標化を進めることが考えられます。記述的商標となれば、もはや誰も登録できません。

例えば
・「知財QFD」という題名の書籍を出版する
・「知財QFD」を新聞の記事にしてもらう
・著名なウェブサイトに「知財QFD」の記事を載せてもらう
・専門誌に「知財QFD」の特集記事を載せてもらう

などがあるかと思います。

そう考えますと、記述的商標化も結構ハードルが高いな、というイメージとなります。

一人の力で記述的商標化は無理かもしれませんが、例えば、学会とかでそのような活動をすれば、記述的商標化もできるかもしれません。

ということで、なかなか難しい問題ですので、商標のオープン・クローズ戦略を誰か考えてください・・・。

2020年4月25日土曜日

GWの予定について

毎年この時期になるとGWが楽しみなのですが、今年は自宅待機が続いていることもあり、何の感慨もありません。

今年のGWは自宅待機となり、やることもありませんので、この時間を利用して、知財学会用の作業をしようと思います。

テーマは「テキストマイニングを使用した多空間デザインモデルの作成」となります。

今回は共同作業をしてくれる人がおりませんので、モチベーション維持のため、このブログを作業記録に利用しようと思います。

作業手順は以下の通りとなります。

STEP1.対象商品の決定

対象商品は「(小児用)おむつ」とするしかありません・・・。個人的には、他の商品でやりたいのですが、過去、共同作業をしてくれた人たちがおむつがよいという意見でここまで来てしまったので、テーマの継続性の観点から、変更なしとします。

STEP2.レビュー情報収集

eコマースサイトから2,3社のいくつかの製品のレビューを計1000件くらいスクレイピングします。このあたりは、今回は適当にします。

STEP3.特許情報収集

特許情報を2,3社について、計1000件くらいダウンロードします。このくらいの件数となるとJ-PlatPatは使用しにくいので、今回は素直に有料データベースを使用します。

STEP4.コード検討

多空間デザインモデルには4つの空間が存在しますが、各空間ごとに使用するコードを考えます。コードについては、テキストマイニングによるクラスタ分析を参考にしたり、各社のホームページを見てコードを考えようと思います。

STEP5.モデル生成

上記2000件のデータと上記コードを用いて、KHcoderにより類似度行列を生成し、多空間デザインモデルを作成します。

STEP6.発想

上記多空間デザインモデルを用いて、新たな構成を有する紙おむつを発想します。これがうまくゆきませんと、このテーマはお蔵入りとなります。

STEP7.権利化

上記新たな構成を有する紙おむつの特許明細書を作成し出願します。スーパー早期審査を利用することにより早期権利化を図ります。特許されればアイデア発想という観点からは、上記プロセスに妥当性があることになるかと思います。

STEP8.営業

上記特許のライセンス先(譲渡先?)を探す営業を行います。ライセンス先が見つかれば、事業的にも有用なアイデアということが証明されます。なければ、ただのアイデア倒れということになるかと思います。まあ、おそらく、ここまでは面倒なのでやりません。

STEP9.資料作成

上記内容をまとめた発表資料を作成します。

今年の知財学会ですが、コロナの影響で開催されない可能性もあるかと思いますが、趣味でやっているような作業ですので、発表できなくてもよいかと思います。

STEP6までを5月中、STEP7は6月に出願、スーパー早期審査で8月中には特許査定(とらぬ狸の皮算用ですが・・・)、STEP8は9月に軽く実施して、STEP9は10月くらいというようなイメージで進めます。

2020年4月22日水曜日

相関関係と因果関係について

先日某所で、わたくしの「テキストマイニングを使用したブランドQFD」の論文を披露しましたところ、テキストマイニングの結果なんて何かごちゃごちゃ出てくるだけで訳が分からん、とのご指摘がありました。

実のところ、わたくしもテキストマイニングのアウトプット(特に共起マップなど)は訳が分からんと思っておりましたので、ご意見はごもっともと思いました。

結局、テキストマイニングでは「A」と「B」には確率的な関係がある、すなわち相関関係がある、ということしかわかりません。

しかしながら、物事を理解するには「A」と「B」には因果関係がある、というところにまで持ってゆく必要があります。

特に、理系の人は因果関係にこだわりがありますので、上記のような意見となります。

わたしなどは、相関関係があれば因果関係もあるのではないかと安易に考えてしまいますが、厳密にいえばそれは間違いですので、テキストマイニングを使用する際には注意が必要となります。

テキストマイニングが大いに役立つのは、因果関係が必要とされない世界、例えば、心理空間の分析と思います。

心理空間では因果が存在しない(例えば、自分は赤が好き、ということには理由がない)ので、相関関係だけで処理できるのではないかと思います。

したがって、顧客のニーズ分析などは、テキストマイニングが大いに役立つのではないかと思います。

そう考えますと、心理空間は相関関係重視、物理空間は因果関係重視、それらをつなげるのが多空間デザインモデルということになると思います。

最近思っておりますのが、例えば、アイデア出しというのは、脳内で知識の相関関係が生成されることであり、研究・技術開発というのはその脳内の相関関係を因果関係に変換する作業なのではないかと思います(すなわち心理空間から物理空間への変換)。

そうしますと、テキストマイニングで、脳内の知識の相関関係生成を疑似的に行えれば、人間ではなく、家のパソコンが勝手にアイデア出しをすることができるのではないかと思います。

いままでのアイデア出しは、脳内処理であることから精神論(ブレーンストームや風呂に入るなど)が多く、一般化されておらず、誰にでもできるというものではありませんでしたが、テキストマイニングを使用することにより、アイデア出しはパソコン、実証は人間という役割分担に将来はなるかもしれません。

という話も、私の脳内で相関関係があると認識されたアイデアですので、いつか実証したいと思います。

2020年4月16日木曜日

モデルとマトリクスについて

コロナウィルスの影響で、ブログどころではないのですが、何とか投稿してみます。

この日常生活へのストレスは、東日本大震災時の計画停電を思い出させます。

コロナウィルスのような現象は、いわゆるブラックスワンと呼ばれる現象でして、個人的には、東日本大震災が自分が経験する最後のブラックスワンと思っていましたが、10年も経たずにこのような状況となりました。

そうすると、今後もブラックスワン発生前提の人生設計が必要と思います。ちなみに、私はブラックスワンという本を1ページも読んでおりません・・・(とても難解という噂ですので・・)。

さて、以前お知らせしましたように、パテント誌の3月号に「テキストマイニングを使用したブランドQFDの作成」が掲載されました。

5月中旬には、弁理士会のホームページで無料公開される予定ですので、公開されましたらリンクを張ります。

それで、すでに読んでいただいた方にはお分かりと思いますが、実のところ、ブランドQFDは不要な内容となっております。

論文では、最終的なアウトプットとしてコンテクストを作成しておりますが、これは、類似度行列から直接作成できますので、この論文のように、ブランドQFDの作成をわざわざ介する必要はありません。

情報のまとめ方としては、下記のごとくマトリクス型(QFD等)とモデル型(コンテクスト等)があるのではないか、と途中で気が付きましたが、結局論文作成時の混乱がそのまま残った形となります。


特許情報分析ではマトリクス型が多く用いられますが、モデル型の方が各要素のつながりが目で見てわかりやすいため、こちらの方がよいとも思います。

このあたりの使い分けを意識的にしているのが「デザイン科学概論」という本です。この本では、分析にはマトリクスを用い、発想にはモデルを用いております。

先日公開しましたワーキングペーパー(https://www.j-mac.or.jp/wp/dtl.php?wp_id=89)の方でも、無意識に、技術分析はモデルを用いた検討となっており、知財分析はマトリクスを用いた分析となっております。

ということで、今後このあたりの役割分担を考えるのも面白いと考えております。

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