前回はよい明細書について書かせていただきましたが、逆にいえば、それらを予め踏まえて明細書をチェックすれば、よい明細書となると思います。
まずは、 第三者的な観点で明細書を見直す必要があると思います。実際に第三者にチェックしてもらう方法もありますが、人からいろいろ言われ気落ちすることにもなりますので、とりあえず自分でするのがよいでしょう。
例えば、明細書を完成してから1日おいて確認作業を行えば、頭の中がリセットされておりますので、第三者的な気分で確認できるかもしれません。
次に特許性を確認するために、審査官になった気分で明細書を見直します。審査官のつもりで新規性、進歩性を確認するとともに、記載不備がないかを確認します。
このあたりは中間処理の実務を経験している人でないとなかなか難しいと思いますが、例えば、追加的な先行技術調査を行なって、近い先行技術ときちんと差別化できているかを確認すればよいと思います。
最後に、権利行使できる請求項の表現となっているかを確認します。例えば、ライバルメーカーの技術者になったつもりで、権利侵害とならないような代替設計ができるかを検討します。
もし、抜け道となるような設計ができるようであれば、その内容を実施例に加える事により、より強固な権利とできると思います。このあたりも実際に侵害事件の当事者となった方ならば真剣に考えることであると思います。
このように視点をいろいろ変えて明細書をチェックすれば、隙のない明細書に仕上がると思います。
ただし、特許明細書の出願のタイミングも重要です。明細書のチェックに時間をかければ完成度は高まりますが、出願が遅れ、出願日の利益が得られなくなるおそれもあります。
したがって、現実的にはある程度のチェックが完了したら、早期に出願を行う決断を行う必要もあると思います。
そういう意味では明細書の完成度を高めることはなかなか難しいのかもしれません。