2025年1月3日金曜日

生成AIが示唆する知財業界の悲しい未来

2025年になりました!本年もよろしくお願いいたします!ということで、元気よく始めましたが、これからは暗い話題です。

先日、X上で、仕事がなくなった翻訳者の方のツィートが話題になってました(リンクは貼りませんが、検索すればすぐ出てくると思います。)

内容としては、生成AIが翻訳してしまうので、翻訳の仕事がなくなった、という話となります。

翻訳の仕事がなくなることは予期されていましたので、驚きはありませんが、いよいよこのような事態が現実化してきたと感じました。

知財業務が生成AIに置き換わり始めるのが2025年となるかと思います。以下は、私の悲観的な予想となりますので、当たらないかもしれませんし、当たらないでほしくもあります。

予想1:明細書作成業務

まず、生成AIに置き換わる可能性があるのが明細書作成業務となります。生成AIが生成する明細書は、現状大したことはありませんが、生成AIの能力の急速な発展を鑑みますと、そろそろ今年あたりから生成AIに置き換わり始めるのではないかと思います。

おそらく、明細書作成AI的なものが大企業を中心に普及を始めるのではないかと思います。そうしますと、明細書につきましては大企業を中心に内製化が進み、特許事務所へ依頼する件数が激減するのではないかと思います。

予想2:特許分析業務

特許分析業務も生成AIに置き換えが進むと思います。もともと分析自体はコンピュータが得意なところではありますが、それに生成AIの解釈能力が加わりますので、人間が太刀打ちできるところはまったくありません。

そうしますと、特許分析業務も大企業の内製化が進み、特許分析業者への依頼も激減するとと思います。

つまり、翻訳業界と同じように、明細書作成や特許分析をやっている人の仕事はなくなるのが2025年以降の宿命という悲しい未来がやってきます。

それでは、どうすればよいかも考えてみました。

1.若い人(20~30歳代)

若い人につきましては、まず、知財業界からの脱出を検討すべきと思います。若い人は転身が容易ですので、生成AIの影響が少ない業界へ転身するのがよいと思います。

具体的には、どんな仕事かといわれると困るのですが(知っていたら、私も転職します)、少なくとも生成AIに置き換わる可能性がある仕事は選ばないのがよいと思います。

2.中堅(30~40歳代)

中堅どころは、他の収入源の確保を考えるべきと思います。明細書作成や特許分析の売り上げが激減すると思いますので、他の収入源を確保して、収入の低下を補完するのがよいと思います。

具体的には、どんな収入源かといわれると困るのですが(知っていたら、私もやります)、今の仕事と相乗効果がある仕事や、逆にまったく関係ない仕事を副業的にするなどの対応が必要と思います。

場合によっては、新たなスキルを得るために、大学院へ通ったり、資格を取るなどのリスキリングが必要となると思います。

3.お年寄り(50歳以上)

50歳以上は、転職もリスキリングも容易でないので、残存者利益を狙うことになるかと思います。明細書の仕事が激減するといっても、まったくなくなるわけでもないので、少なくなった仕事を拾って生き延びることが考えられます。

ただし、売り上げは低下すると思いますので、固定費の削減等、売り上げが低下しても生き延びられる対策が必要となると思います。

しかし、知財業界の悲しい未来というタイトルにしましたが、知財業界自体は生成AIの活用により大きくレベルアップしますので、悲しいのは生成AIに置き換えられる実務者のみで、業界自体は発展するということになります。

私も、弁理士を廃業することを含めて、いろいろ考えております。まあ、人手不足で仕事は選ばなければあるようですので、深刻に考えず、どうにかなるという楽観的な考えでいたいとは思います。

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