当時はVAIO自身はスマートフォンを製造しておりませんでしたので、外国メーカーのOEMとなりましたが、他社のスマートフォンと形状・スペックに相違があまりありませんでしたので、そこに齟齬が生じたようです。
そう考えますと、ブランド戦略において、ブランドの世界観と製品(Product)の連携が取れていなかったということになるかと思います。
私も10何年前、VAIOのノートパソコンを買ったことがあります。30万円弱しましたが、デザインもよく、軽量コンパクトで、所有欲を満たしてくれる製品でした。
VAIOにはそういうブランドイメージがあると思いますが、スマートフォンの販売に際しては、会社を立ち上げたばかりという事情もあり、ブランドイメージについてあまり考慮されていなかったのではないでしょうか。
そうしますと、ブランドの価値を守るためには、単に、製品にブランドを付けて売ればよいのではなく、技術的な検討も必要なことがわかります。
こういう考え方を、デザイン思考に対抗して、ブランド思考としたいと思います。
ブランドから製品設計をする手順としては、次のようになると思います。
1 まず、ブランドの世界観から要求される製品の品質を確定します。
2 次に、その製品の品質を実現する製品の機能を確定します。
3 次に、その製品の機能を実現する製品の構成を確定します。
4 最後に、その製品の構成をすべて備えた設計による製品(Product)とします
こうすることで、ブランドの世界観と齟齬が生じない製品設計が可能となると思います。
今年に入って新型のVAIOのスマートフォンが販売開始となったようです。新製品は自社の工場で製造するということでVAIOのブランドイメージに沿う製品になっているのではと思います。