一昔前、MBAに行くことがもてはやされた時期がありましたが、最近はMBAは役に立たないという言説が目立つようになりました。
MBAといっても、特別なものではなく、ただの大学院ですので、あくまでも体系化された形式知を伝達する場に過ぎません。
ただし、形式知はそのままでは何の役にも立ちませんので、MBAを出た後、実務を通じて暗黙知を得て知識として完成させる必要があります。
したがって、MBAで得た知識を実務で活用する機会のない人は、知識の完成が図れず、MBAで勉強したことが役に立たないと感じてしまうわけです。
そうすると暗黙知を得る必要があるわけですが、例えばMBAをでたら起業して実際に知識を使ってゆくとか工夫すればよいと思います。
また、逆に実務経験が豊富で暗黙知が蓄積されている人であれば、MBAにゆくことにより、知識が体系的に整理され、効果が感じられるかもしれません。
似たようなことは、資格にもいえ、例えば弁理士試験は特許法などの形式知の有無を測定する試験ですので、弁理士試験に合格しただけでは、何の役にも立ちません。
したがって、合格した後は実際に特許実務をこなして暗黙知を得て、知識として完成させてゆく作業が必要となります。
ところが近年、国が需要以上に合格者を増やしたため、合格しても実務に付けない人が生じるようになりました。実務につけませんと暗黙知を得られませんので、弁理士としての知識レベルにいつまでも到達できないことになります。
そうすると、資格取得に費やす時間と費用がまったく無駄になりますので、弁理士を目指すのはリスクが高く、最近は弁理士試験の受験者が減少しています。
もちろん、合格したらすぐ独立して実務を開始し、暗黙知を得ることもできるとは思いますし、そういう方は実際にいます。
結論としては、 MBAにせよ、弁理士にせよ、暗黙知をどう得るか、ということまで考えて、自分の進む道を考える必要があるのかと思います。
2014年11月22日土曜日
2014年11月16日日曜日
思考について
私は主に特許の仕事をしておりますが、だいたいどういうことをやっているかというと、このような感じです。
①対象発明の把握⇒②公知技術の調査⇒③両者の構成の相違の把握⇒④相違による技術的効果の評価
この①から④の作業を、案件ごとに行って1日が終わるという、ある意味単調な仕事です。
最近は、特許のみならず、お客さんのご要望で意匠や商標の仕事も行っておりますが、
意匠の場合には、
①対象意匠の把握⇒②公知意匠の調査⇒③両者の態様の相違の把握⇒④相違が需要者に与える美感の評価
商標の場合には、
①対象商標の把握⇒②先行商標の調査⇒③両者の外観・称呼・観念の相違の把握⇒④相違が需要者に与える印象・連想・記憶の評価
となり、やることは同じとなることに最近気が付きました。
そうすると、意匠・商標の仕事をしても、仕事の単調さは変わらないことになり、こんなことでよいのか考えてしまいます。
そんな中で、最近読んだ波頭亮さんの「思考・論理・分析(産業能率大学出版)」という本の中に、このような一節がありました。
「思考とは、思考対象に関して何らかの意味合い(メッセージ)を得るために頭のなかで情報(知識)を加工することなのである。」
「思考の他に重要な行為が存在する。それは『情報収集』である。」
「思考のメカニズムは、情報と情報を突き合わせて、比べ、『同じ部分』と『違う部分』を見極めるプロセスである。」
そういう意味では、特許実務というのはまさに「思考プロセス」であり、何ら特別なことではなく、他の分野や仕事でも当たり前に行われている思考作業にすぎないことがわかりました。
したがって、私の単調な仕事も、他の人も似たような仕事をしていると思われ、安心しました。
この本の著者の方は、バブル時代によくテレビに出ておらられ、あまりいい印象がなかったのですが、上記の本はかなりしっかりした内容で、実務にも大きな気づきを与えてくれる本で、もう少し早く読んでおけばよかったと思わせる本でした。
この本は、「思考」のみならず、その後の「論理」と「分析」についても書かれておりますので、本屋で見かけましたら、購入をお勧めいたします。
①対象発明の把握⇒②公知技術の調査⇒③両者の構成の相違の把握⇒④相違による技術的効果の評価
この①から④の作業を、案件ごとに行って1日が終わるという、ある意味単調な仕事です。
最近は、特許のみならず、お客さんのご要望で意匠や商標の仕事も行っておりますが、
意匠の場合には、
①対象意匠の把握⇒②公知意匠の調査⇒③両者の態様の相違の把握⇒④相違が需要者に与える美感の評価
商標の場合には、
①対象商標の把握⇒②先行商標の調査⇒③両者の外観・称呼・観念の相違の把握⇒④相違が需要者に与える印象・連想・記憶の評価
となり、やることは同じとなることに最近気が付きました。
そうすると、意匠・商標の仕事をしても、仕事の単調さは変わらないことになり、こんなことでよいのか考えてしまいます。
そんな中で、最近読んだ波頭亮さんの「思考・論理・分析(産業能率大学出版)」という本の中に、このような一節がありました。
「思考とは、思考対象に関して何らかの意味合い(メッセージ)を得るために頭のなかで情報(知識)を加工することなのである。」
「思考の他に重要な行為が存在する。それは『情報収集』である。」
「思考のメカニズムは、情報と情報を突き合わせて、比べ、『同じ部分』と『違う部分』を見極めるプロセスである。」
そういう意味では、特許実務というのはまさに「思考プロセス」であり、何ら特別なことではなく、他の分野や仕事でも当たり前に行われている思考作業にすぎないことがわかりました。
したがって、私の単調な仕事も、他の人も似たような仕事をしていると思われ、安心しました。
この本の著者の方は、バブル時代によくテレビに出ておらられ、あまりいい印象がなかったのですが、上記の本はかなりしっかりした内容で、実務にも大きな気づきを与えてくれる本で、もう少し早く読んでおけばよかったと思わせる本でした。
この本は、「思考」のみならず、その後の「論理」と「分析」についても書かれておりますので、本屋で見かけましたら、購入をお勧めいたします。
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