本日は文化の日ということで、近くの小学校にて文化祭が開かれていました。そこに集まる子供たちを見ていると、自分もこのころが一番楽しかったと感じます。
その理由としては、小学校には男女がいて、勉強ができる・できない、運動が得意・不得意と、いろいろな人がいて、いろいろな価値観の中で、特定の価値観に固定されずに過ごせたからと思います。
しかしながら、成長とともに属する集団の価値観が狭まってきたように感じます。
中学では都内の男子校に入ったため、男の(まあまあ)賢い集団に属することになりました。価値観としては、男女→男のみ、勉強ができるできない→勉強が(まあまあ)できると、一気に1/4の大きさとなったため、かなり息苦しかった覚えがあります。
大学ではさらに理系単科大学に入ったため、理系・文系→理系のみと、さらに1/2の集団となり、昔からの1/8の狭い価値観のなかで研究生活を送り、その後、メーカに入りましたが、そこも大学と似たような感じでした。
こういう狭い考えの世界というのは、適応できる人にとっては天国のような環境ですが、そうでない人は、なかなか苦しい環境となります。
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近年、商品開発に際し、デザイン思考という考えが広まっています。デザイン思考の方法論としては、 (1)ユーザー視点、(2)多様な選択肢と統合、(3)視覚化、が重要なステップとなります。
このうち、(2)多様な選択肢と統合に際しては、多人数によるブレーンストーミングを行い、選択肢を増やすことが推奨されます。
ただし、ブレーンストーミングに参加するメンバーによって、その効果が異なります。メンバーの同質性が高い場合には、アイデアの質は向上しますが、ブレークスルーに結びつくアイデアはほとんどでません。
一方、多様なメンバーによってブレインストーミングをすれば、アイデアの質は低下しますが、たまにブレークスルーに結びつくアイデアが出やすくなります。
したがって、既存の技術の改善を目的とする場合には、同質性の高いメンバーでブレインストーミングを行うことが有効ですが、何か新しいことをやりたい場合には、多様性のあるメンバーで行う必要があります。
そう考えますと、日本のメーカーの開発部門には、理系の勉強のまあできる男子が集まっていることから、同質性が高く、技術の改良には向いていますが、突飛もないアイデアというものは出にくい状況なのではと考えます。
そうすると、新しいことをやるには、考えの異質性のようなものを積極的に確保する必要がありますが、そのような方法論に、デザイン・ドリブン・イノベーションがあるのかと思います。
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個人にせよ、組織にせよ、一つのことに集中することが時間的、コスト的に効率が高いですし、成果も出易いと思います。
しかし、それでは、新しいアイデアが浮かばない状態となり、集中した一つの分野の沈没とともに自身も沈没することになると思います。
そうすると、効率は悪いですが、個人にせよ、組織にせよ、異質なものを受け入れることが、変化の速い現在の世の中では必要なのかと考えます。