2020年12月20日日曜日

認知バイアスについて

先日ネットを見ておりましたら、「事後諸葛亮」という用語を見かけました。

言葉の意味としては、

「「諸葛亮」というのは三国志で有名な、中国実在した軍師であり、知恵のある人物・策士として後世に知られている。

世の中には事が起こった後になって知識をひけらかし、「こうすればよかっただろう」と策を示してくる人がいる。このような人物をして、諸葛亮名前を使って「事後諸葛亮」と呼ぶ。プロや当事者でも事前の予想ができない、または予想が難しい出来事への対応について、「これしかなかっただろう」と後になってから物申す人に対してよく使われる。」

ということのようです。

ニコニコ大百科(仮)からの引用です↓

https://dic.nicovideo.jp/a/%E4%BA%8B%E5%BE%8C%E8%AB%B8%E8%91%9B%E4%BA%AE

中国のスラングのようですが、なかなか使い勝手のよい言葉です。

私は、過去の事例分析がきらいなのですが、それは、やはり自分が事後諸葛亮化してしまうからです。

経営学も、学問なのか、事後諸葛亮なのかわからない部分もあります。例えば、ワークマンが成功した理由について様々なビジネス本が出ておりますが、これは事後諸葛亮なのではないか、と疑ってしまいますので、最近はビジネス書も読まなくなりました。

あと、かけだしのコンサルタントが、自分の宣伝のために、「私は、・・・を予想していた!」などと、SNSで自分を大げさ宣伝してしまったりしますが、これも事後諸葛亮っぽいので止めた方がよいと思います。 

さて、この事後諸葛亮というのは、どういう現象なのかというと、上記ニコニコ大百科(仮)よれば、後知恵バイアスというものだそうです。

弁理士には見逃せないキーワードが出てまいりました・・・。

では、後知恵バイアスとは何かといえば、

「物事が起きてしまった後に、それが予測可であったと判断する傾向。「そんなことだろうと思った」と、まるで予め知っていたかのように振舞う心理的傾向をす。事後の後にされる結果論は、後知恵バイアスの典的な例である。

上記の例で説明するならば、”離婚の原因が旦那浮気である”という部分に後知恵バイアスがかかっている。Aさん情報がなければ、Bさんは浮気離婚の原因だと予測することができないからだ。普通であれば"さんが浮気した可性"も十分あり得るはずなのである。しかし「旦那浮気していた」ということを知った途端に疑念が確信に変わり、「Aさんに教えて貰う前から旦那浮気していると知っていた」かのように振る舞ってしまう。そして”原因を予測できていた”と錯覚し、満足感や優越感に浸ってしまうのである。

もし仮に本当に離婚の原因が浮気だったとして、そればかりにを向けて旦那批判するのは、やはり後知恵バイアスがかかっていると言える。旦那浮気した理由が、旦那が一生懸命働いているのに給料が上がらず、さんが旦那に日頃から罵倒を浴びせていたからかもしれない。そのストレスから逃れるために旦那浮気に走ったのかもしれない。そういった可性を考慮せずに旦那の方ばかりを批判するのは、偏に「旦那浮気した」という後知恵(バイアス)がしているからなのである。」

 ということのようです。

ニコニコ大百科(仮)からの引用です↓

https://dic.nicovideo.jp/a/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%B9

後知恵バイアスが問題となるのは、発明の進歩性判断の局面です。拒絶理由を読みますと、後知恵バイアスとしか思えない理由が通知されることが多々あります。

この後知恵バイアスに対する反論は大変です。これは、後知恵バイアスは審査官の認知的バイアスによるものですので、反論した場合には、審査官の認知に対する批判も、いやですが、記載しなければならないからです。 

これは、技術の話でもなく論理の話でもなく、審査官の心理的な話ですので、非常に苦手です(やり手の弁護士さんでしたら得意かもしれませんが・・・。)

上記のように、審査官が、後知恵バイアスにより、満足感や優越感に浸ってしまった場合には、それを否定することは、審査官に不服感や劣等感を与えることになりますので、審査官も人間であることから心理的な拒絶反応を示すのではないでしょうか。

現実的には、審査官の説得をあきらめ、不服審判に進んで、審査する人を審判官に変えてもらう、というのが消極的な対応となります。 

私個人としましては、特許審査はAIに置き換えてゆく方がよいのかな・・・と思います。AIは人間ではありませんので、心もなく、認知バイアスがありません。したがって、進歩性判断の公平性は高くなると思います。

ということで、認知バイアスには気を付けようという話でした。

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