2020年6月6日土曜日

発明は逆推論

順推論とは、原因から結果を導出する行為で、逆推論とは結果から原因を導出する行為です。

一般には、順推論より逆推論の方が論理的に難しいとされます。

例えば、「Aが大きな声を出した」→「うるさい」という順推論は容易ですが、「うるさい」→「Aが大きな声を出した」という逆推論は、A以外に人間がいた場合や周りの環境によっては単純にはなりたちません。

発明行為は逆推論といえると思います。つまり、効果(結果)から構成(原因)を導出する行為と言えます。

だから何だといえば、何でもないのですが、順推論と逆推論とは論理的に非対称性があることは認識した方が良いと思います。

以下は私の勝手な作り話ですが、企業も大きくなるとイノベーションが起きにくくなりますが、一つの要因として有名大学の官僚的な人材が増えるからと言えます。

イノベーションを考えることは逆推論ですので、論理的に穴だらけとなります。企業内でよいアイデアが出た場合でも、官僚的な社員が順推論でつぶすことはとても容易です。

頭のよい方の順推論には、論理的に穴がありませんので、アイデアはお蔵入りとなってしまうでしょう。こうして企業の活力が失われます。

以上は作り話ですが、私が発明相談を行う際にも、似たような状況になることがあります。発明者の説明を聞きますと、技術的な問題が明らかにあることが多いです。これは順推論なので、容易な推論となります。

そこで私が発明者の方に、順推論をひたすらぶつけますと、発明者としては返答しようがない状況に陥るおそれがあります。これでは、発明する気もなくなります。

したがって、発明者からヒアリングする際には、順推論と逆推論との論理的非対称性(順推論は容易、逆推論は困難)を頭に置いておきませんと、けんかになる可能性もあります。

これを逆手にとったのが、デザイン思考のプロトタイプをすぐつくる行為です。デザインは逆推論ですので、当初は問題があるのかどうかよくわかりません。

そこで、プロトタイプをつくって市場にすぐ出せば、これは順推論問題となりますので、容易に問題点を明らかにすることができます。

ようは、逆推論状態を短くして順推論状態へもってゆく合理的な考えです。これを繰り返せば妥当なデザインに近づくのではないでしょうか。

結論としましては、発明者は逆推論という論理的に非常な困難な仕事に取り組んでおりますので、温かい目で見てほしいということになります。

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