最近見るテレビ番組がなく、BSをだらだら流し見しておりましたら、ウィスキーに関する5~10分くらいの短い番組をやっておりました。
詳しく記憶しておりませんですので、また、お酒にも詳しくありませんので、間違っていたら申し訳ありませんが、まず、オーク樽を作る製造者の紹介がありました。
ウィスキーは蒸留した後、オーク樽で熟成すると思うのですが、釘をつかいますと味に影響が出ますので、オーク板を職人が1枚ずつ現物合わせで組み合わせて樽を作ります。
しかし、オーク自体は曲面加工等難しいので、どうしても漏れが生じます。そこで組み立てた後、漏れ箇所をチェックして、漏れる場所にはくさび等打ち込んで、調整してゆきます。
要は、オーク樽をつくるのには結構な工数がかかります。値段で言えば、高級家具と同じくらいになるのではないかと推察します。
次に、ウィスキーはピートを用いて蒸留すると思いますが、ある製造者はピートを求めて、根室付近の湿地帯のそばに蒸留所を建設したような紹介がありました。
根室のピートと、そのピートを通過した水をウィスキーづくりに使用することにより、独特の風味がでるようです。
私のような工業出身の人間が考えますと、オーク樽をやめてステンレスの樽にすればコスト削減できそうです。もしくは、人件費の安い国でつくって輸入すればよいとも考えます。
また、湿地帯のそばのような辺鄙な場所に蒸留所をつくるのではなく、ピートは適当にスコットランドのものを輸入すれば、コスト削減になると感じます。
しかし、わざわざ(あえて)、オーク樽を内製化したり、根室のピートと水を求めたりするかといえば、そうすることによって、ウィスキーに個性が出るからと思います。
誰でも購入可能な樽やピートをつかって作るウィスキーは、誰でも作れる個性のない風味となります。ウィスキーは趣味的な飲み物ですから、個性がないのは存在価値もないことになります。
ウィスキーに限らず、ワインも、原材料やテロワール、ドメーヌ等が重要となるのも同様の理由と思います。
ブランド的に言えば、属性の組み合わせで差別化するのが、お酒の考え方となります。
一方、工業製品は個性がなくなりがちです。パソコンやスマホは、CPUやらメモリーやらディスプレイやらを購入して組み立てるだけとなってしまったので、製品として個性を出すのはもはや無理な状況です(したがって、安くつくるしかありません)。
例えば、CPUだけ内製化したパソコンをつくれば差別化できるかもしれません。ただし、価格が高くなりますので、結局売れないでしょう。
お酒が内製化により個性を出せる(差別化できる)のは、趣味的な商品だからと思います。
いずれにせよ、工業製品においては、属性を組み合わせる場合には、個性を失っていないかチェックが必要と思います。 そうしませんと価格競争に巻き込まれ、体力のない企業から撤退となると思います。