詳しくは知らないのですが、AIでイラストを生成するサービスが炎上の末、サービスの一時停止となったようです。
サービス内容としては、既存のイラストを教師データとした学習モデルを生成して、この学習モデルを使用して、新たなイラストを出力するサービスのようです(間違っていたらすいません。)
炎上した理由としては、勝手に有名作家のイラストを教師データに使用して、新たなイラストを自分の著作物として生成するのはよくない、ということになるかと思います。
また、このようなサービスが成立するとイラストレータの仕事を奪うとか、このサービスを中止しても、外国でこのようなサービスがどうせ開始されるので、先んじて日本でやった方がいい、などの様々な意見があるようです。
著作権法的には、他人のイラストを教師データとした学習モデルを生成して、この学習モデルを使用すること自体は著作権法違反にはなりませんが、AIにより生成されたイラストが、教師データのいずれかに類似する場合には、依拠性があるとして著作権侵害とされると思います。
そうしますと、このようなサービスを成立させるためには、アウトプットの類否判断をどうするか?という課題を解決する必要があると思います。
しかし、著作物の類否判断は裁判例に基づきますので、とても自動的にできるとは思いませんので、法律の知識がある人間がやらざるを得ませんし、その場合でも100%の判断はできないと思います。
まあ、がらっと変わったイラストを生成するようにすればいいだけかもしれませんが、それだとこのサービスの意味がないかもしれません・・・。
さて、AIにイラストを生成させることができるのであれば、発明もすることができるのではないかと思いますが、それにチャレンジしたのが、右の過去の論考の下から2番目にあるテキストマイニングを使用した多空間デザインモデルの作成について(月刊パテント)となります。
この論考では特許情報から新たな発明を生成し、実際に特許権も取得しております。ということで、すごい論文と思いますが、まったく話題になっておりません・・・。
イラストと発明が異なる点は、イラストは論理性が不要なのに対し、発明は論理性が必要なところです。
つまり、イラストや音楽は、アウトプットがなんとなく絵っぽい、音楽っぽければよいので教師データの絵や音を統計的に組み合わせれば足りるのに対し、発明は自然法則を利用していることを説明しなければなりません。
ここはAIではできませんので、ここの論考では、論理は私が考えております(ただし、論理自体は他の特許の流用です)。
AIによる発明のよいところは、イラストのような著作権問題が生じにくいところです。つまり他社の技術を利用しても、特許出願して新規性、進歩性が認められれば、私の権利として認められます。
なお、特許法は他社の技術を利用できることを制度趣旨としておりますので、技術の利用に違法性もありません。
ということで、AI発明の方が先に実用化されるかもしれませんね。