会社ではアイデア出しの会議など行われると思いますが、私はこのアイデア出しというものがあまり好きではありません。その理由は単純にアイデアが出ないからです。
つまらないアイデアなど出すと会議の場がしら~とする場合もありますし。なかなかエッジの聞いたアイデアを出せる人は素直に尊敬してしまいます。
しかしながら、仕事上何らかのアイデアを出してゆかなければならない状況も多いと思います。では、どうしたらアイデアを生み出すことができるのでしょうか?
ジェームズ・W・ヤング著の「アイデアのつくり方」では「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」とされています。
つまりアイデアを出すには、兎にも角にも関連する情報をいろいろと知っていることが必要となります。したがって、アイデア出しの前には事前に本を読んだり、インターネットで情報収集をしたりすることが重要となります。
もちろん情報を集めるだけでは既存の要素の寄せ集めに過ぎませんので、新規なアイデアとするには要素の組み合わせを考えねばなりません。
この本では、組み合わせの処理を、寝たり散歩するなどして自己の無意識に任せることを薦めています。なので、情報を集めたら何も考えずにすぐに寝てしまうのが良いかもしれません。まあ、会議中に寝るわけにもいきませんが・・・。
ところで、シュンペンターは、イノベーションを「新結合」と定義していますので、新しいものを生み出すには、既存の要素の結合関係をいろいろと考えるのが昔からの常套手段のようです。
結論としましては、アイデアを生み出すには、まず、 頭にいろいろな情報をインプットしておくことが必要と言えるでしょう。
2011年8月13日土曜日
2011年8月11日木曜日
知財デザイン:夏期セミナー第1回目の模様
2011年8月10日(水)の夜、夏期セミナーの第1回目が行われました。講師は当社鶴見です。今回の講義では、特許、実用新案、意匠、商標、著作権、不正競争防止の各法にわたり、基礎的な知識について説明がされました。
質疑応答では、様々な知財上の課題が参加者様から提起され、熱い意見交換がなされました。
ご参加頂きました皆様、誠にありがとうございました。次回の講師は私が担当させていただきますのでよろしくお願いいたします。
(当社からのお知らせ)
神奈川県内の中小企業様向けに知的財産に関するセミナーを企画させていただきました。詳しくは、当社ホームページを参照願います。第1回目は終了いたしましたが、第2~4回目につきましては引き続き募集中です。
質疑応答では、様々な知財上の課題が参加者様から提起され、熱い意見交換がなされました。
(セミナー風景)
ご参加頂きました皆様、誠にありがとうございました。次回の講師は私が担当させていただきますのでよろしくお願いいたします。
(当社からのお知らせ)
神奈川県内の中小企業様向けに知的財産に関するセミナーを企画させていただきました。詳しくは、当社ホームページを参照願います。第1回目は終了いたしましたが、第2~4回目につきましては引き続き募集中です。
2011年8月8日月曜日
特許の広さについて
特許は陣取り合戦のようなものだとお話しました。そこでは、出願の数がものをいうのですが、1件で広い特許を取ればいいという意見もあると思います。多数出願を行うと費用がかかりますので、1件で広い権利が取れればコスト削減になります。
しかしながら、この広い特許をとるというのはなかなか容易ではありません。広い権利とはすなわち特許請求の範囲の表現が広いこと意味するのですが、特許請求の範囲を広い表現とすると、公知技術を含む可能性が高くなり、審査において新規性、進歩性無しとして拒絶されてしまう可能性が高いからです。
したがって、可能な限り広い権利を取るためには、審査、審判、訴訟を通じて、拒絶理由となるリスクを勘案しつつ、特許請求の範囲を根気よく確定してゆくことが必要です。
先日某所で、某企業の方が、「うちで雇っている弁理士が、とても狭い範囲に特許請求の範囲を補正しようとしたので、クビにしてやったぜ。」と、大きな声でしゃべっていましたが、どのような権利を取るかはあくまでも企業の経営判断であり、弁理士が権利範囲を確定するわけではありません。
弁理士は拒絶とならないよう安全サイドで考えますが、拒絶となるリスクを出願人がとれれば、弁理士としても広い権利にチャレンジできると思います。このように、よい権利を取るためには企業が弁理士に拒絶のリスクをかぶせるのは、あまり得策とはいえないでしょう。
リスクをとれなければリターンもありません。
しかしながら、この広い特許をとるというのはなかなか容易ではありません。広い権利とはすなわち特許請求の範囲の表現が広いこと意味するのですが、特許請求の範囲を広い表現とすると、公知技術を含む可能性が高くなり、審査において新規性、進歩性無しとして拒絶されてしまう可能性が高いからです。
したがって、可能な限り広い権利を取るためには、審査、審判、訴訟を通じて、拒絶理由となるリスクを勘案しつつ、特許請求の範囲を根気よく確定してゆくことが必要です。
先日某所で、某企業の方が、「うちで雇っている弁理士が、とても狭い範囲に特許請求の範囲を補正しようとしたので、クビにしてやったぜ。」と、大きな声でしゃべっていましたが、どのような権利を取るかはあくまでも企業の経営判断であり、弁理士が権利範囲を確定するわけではありません。
弁理士は拒絶とならないよう安全サイドで考えますが、拒絶となるリスクを出願人がとれれば、弁理士としても広い権利にチャレンジできると思います。このように、よい権利を取るためには企業が弁理士に拒絶のリスクをかぶせるのは、あまり得策とはいえないでしょう。
リスクをとれなければリターンもありません。
2011年8月7日日曜日
陣取り合戦について
「下町ロケット」では、主人公が経営する佃製作所(T社)がナカシマ工業(N社)に訴えられるエピソードが前半の山場ですが、いろいろ興味深いのでいろいろ考えてみたいと思います。
T社は以前N社から、T社の製品(エンジン)が、N社特許権を侵害しているとの警告を受け、そのときは侵害していないとの結果となったが、しばらくしていきなり侵害訴訟を提起され主人公が当惑することになります。
では、以前は特許権を侵害していないものが、時間が経つと特許権を侵害するということはあるのでしょうか?
当初の状態では、このような感じです。
T社は自己の実施の製品(エンジン)に対応した特許権を保有している、ただし、その特許はクレームの記載が悪く、製品(エンジン)の技術をすべてカバーする特許とはなっていない。
一方、N社はT社の製品に関連する特許権を有しているが、T社の製品はN社の特許権を侵害するまでとはなっていない。
ただし、そのままほおっておくと、次のようなことが起こります。
自社の製品(エンジン):図中の点線の円は、時間と共に技術的に改良がなされ、次第に大きな円(技術範囲)と変化してゆきます。したがって、自社の特許が自社の製品をカバーしている範囲は相対的に狭くなってゆきます。また、自社の製品の範囲が広がるため他社の権利を侵害する可能性が高まります。
一方、N社はT社の権利を模倣して次々と改良発明を特許化してゆきます。N社の技術は公開されていますので模倣、改良は容易です。 さらに、出願を進めると、T社の製品を完全に包囲することが可能となり、T社はN社の特許を利用しなければ、これ以上製品の改良を進められないことになります。
このように、特許出願戦略とは陣取り合戦のようなもので、排他的力を有効に機能させるためにはある程度の出願数が必要といえるでしょう。最近は特許は量より質といわれ出願数が低下する傾向がありますが、量が重要であることに注意が必要と思います。
また、時間と共に勢力が変化しますので、継続的な特許の監視が必要です。
ただし、中小企業の場合には大企業のように年に何千件も出願するわけにはいきませんので、対応をどうするかを考えねばなりません。対応としては次の2つが考えられると思います。
(1)改良発明については細目に出願をしてゆく。
たとえ年1件出願でも、10年で10件出願となるわけですから、長い目で見て地道に特許網が強化されてゆくことになり、他社からの模倣や他社の権利の発生を邪魔できる可能性が高まります。
(2)特許情報の細目な収集
定期的に自社製品関連の特許情報を収集しておくことにより、あやしい動きを見せる企業を早期に察知することができ、手遅れにならない段階でいろいろな対応をとる余裕ができます。
いずれにしましても、特許出願とは陣取り合戦をイメージしていただくと、次にどう手を打てばよいか考えやすいと思います。
(当社からのお知らせ)
神奈川県内の中小企業様向けに知的財産に関するセミナーを企画させていただきました。詳しくは、当社ホームページを参照願います。
T社は以前N社から、T社の製品(エンジン)が、N社特許権を侵害しているとの警告を受け、そのときは侵害していないとの結果となったが、しばらくしていきなり侵害訴訟を提起され主人公が当惑することになります。
では、以前は特許権を侵害していないものが、時間が経つと特許権を侵害するということはあるのでしょうか?
当初の状態では、このような感じです。
T社は自己の実施の製品(エンジン)に対応した特許権を保有している、ただし、その特許はクレームの記載が悪く、製品(エンジン)の技術をすべてカバーする特許とはなっていない。
一方、N社はT社の製品に関連する特許権を有しているが、T社の製品はN社の特許権を侵害するまでとはなっていない。
ただし、そのままほおっておくと、次のようなことが起こります。
自社の製品(エンジン):図中の点線の円は、時間と共に技術的に改良がなされ、次第に大きな円(技術範囲)と変化してゆきます。したがって、自社の特許が自社の製品をカバーしている範囲は相対的に狭くなってゆきます。また、自社の製品の範囲が広がるため他社の権利を侵害する可能性が高まります。
一方、N社はT社の権利を模倣して次々と改良発明を特許化してゆきます。N社の技術は公開されていますので模倣、改良は容易です。 さらに、出願を進めると、T社の製品を完全に包囲することが可能となり、T社はN社の特許を利用しなければ、これ以上製品の改良を進められないことになります。
このように、特許出願戦略とは陣取り合戦のようなもので、排他的力を有効に機能させるためにはある程度の出願数が必要といえるでしょう。最近は特許は量より質といわれ出願数が低下する傾向がありますが、量が重要であることに注意が必要と思います。
また、時間と共に勢力が変化しますので、継続的な特許の監視が必要です。
ただし、中小企業の場合には大企業のように年に何千件も出願するわけにはいきませんので、対応をどうするかを考えねばなりません。対応としては次の2つが考えられると思います。
(1)改良発明については細目に出願をしてゆく。
たとえ年1件出願でも、10年で10件出願となるわけですから、長い目で見て地道に特許網が強化されてゆくことになり、他社からの模倣や他社の権利の発生を邪魔できる可能性が高まります。
(2)特許情報の細目な収集
定期的に自社製品関連の特許情報を収集しておくことにより、あやしい動きを見せる企業を早期に察知することができ、手遅れにならない段階でいろいろな対応をとる余裕ができます。
いずれにしましても、特許出願とは陣取り合戦をイメージしていただくと、次にどう手を打てばよいか考えやすいと思います。
(当社からのお知らせ)
神奈川県内の中小企業様向けに知的財産に関するセミナーを企画させていただきました。詳しくは、当社ホームページを参照願います。
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掲題の件、セミナーの1/4を担当することになりました。私の担当分は、「【第2部】生成AIで革新する特許データ分析」です。URLは以下となります。 AI 生成AI 特許調査 分析 翻訳 技術情報協会はセミナー・出版・通信教育を通じて企業の最前線に立つ研究者、技術者をサポートし社会に...
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ご無沙汰しております。 最近投稿をさぼっておりますが、これはこのHPのアクセス数がなさ過ぎて、モチベーションが上がらないからです。 1つの記事のアクセス数が5くらいしかありません(1日ではなく、総アクセスで)ので、さすがにひどいと言わざるをえません。 このような状態になったのは、...
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東京オリンピックのメインスタジアムの建設費用が高すぎるとして問題となっています。 今の日本であれば3000億円程度であれば、出せない額ではありませんが、世論的には批判の的となっています。 その理由はなぜかといえば、あのヌメッとしたデザインに3000億円の価値はないと日本国...