特許査定が出たら特許料を納付するんではないか、と言われればそうなんですが、ちょっと待って考えてみましょう。
係争事件などに携わりますと、特許された発明でも、いろいろ権利行使に支障がある場合に出くわします。
例えば、意見書で発明を限定しすぎの主張をしていたり、特許されたものの請求項が過度に減縮されており権利行使しにくい場合や、そもそも何が書かれているのかよくわからないケースなどもあります。
その場合、請求項や明細書を補正したくもなるのですが、設定登録後は請求項を広くするような補正はできません。後悔先に立たずという感じとなります。
そうしますと、請求項を修正できる最後のチャンスが、特許査定後の30日以内となりますので、このチャンスを有効活用しない手はありません。
といっても、このタイミングでは補正はできませんので、権利行使可能な請求項とした分割出願をすることになります。分割出願の場合には再度の審査となりますので、場合によっては拒絶されるリスクはあります。
したがって、権利行使の可能性や拒絶されるリスクを勘案して、分割出願するかどうか決定することになります。
権利行使が難しいかどうか判断が難しい場合には、特許訴訟の経験のある弁護士か特定侵害訴訟代理業務付記有弁理士・・・に請求項のチェックをお願いすることもいいかもしれません。
特許査定となるとうれしいものですが、落ち着いて考えてみましょうという話でした。