経過情報を見ましたところ、軒並み「発明ではない」という理由で拒絶査定となっておりました。
明細書を幾らしっかり書いても、数行の拒絶理由で処理されてしまいますので、出願する方としては、やってられないような気持だったのではないでしょうか。
確か、当時のビジネスモデルの特許査定率は20%程度だったと思います(今はもっと高いようです)。
なぜ、このようなこととなったかといえば、一つにはビジネスモデルのような特許を認めると、独占権が乱立して経済活動が阻害されるというアンチパテント的な意見があったと思います。
また、当時は審査の滞貨が増大しており、これ以上特許出願が増えると困るという事情もあったと思います。
とはいえ、今考えれば、このときビジネスモデル特許を積極的に保護していれば、今のような出願件数低下に苦しむことはなかったのだろうなと思います。
また、近年、商標法や意匠法はサービス業対応の法改正がなされ、内容が世の中の変化についていけている気がしますが、特許法の方もそろそろ世の中の変化に合わせる必要があるのではないでしょうか。
ここで問題となりますのが、特許法における発明の定義に「自然法則の利用」という要件が入っているところです。
私の勝手な予想ですが、今後の技術開発は、AIなどの仮想空間や、ブランド・デザインなどの心理空間へ伸長してゆくと考えます。
しかし、特許法の保護対象は物理空間内に限られますので、仮想空間内や心理空間内の発明特定事項は、人為的取り決めとかに過ぎず、自然法則を利用せず、発明でない、すなわち特許できない、となってしまうのではないでしょうか。
今の特許実務では、物理空間内の発明特定事項(サーバーやネットワークなどのハードウェア)などを無理やり含ませて請求項を記載しますが、このようなハードウェア依存の請求項では、発明をうまく保護できません。
そうしますと、発明の定義を変えて、仮想空間や心理空間の発明をうまく保護できるような特許法の改正が望まれますが、まあ、どうなんでしょうか?