「妖怪ウオッチ」というアニメが流行っているそうです。
私も毎回見ていますが、どうにもこのアニメは、「妖怪ウオッチ」という商品を売ることがまず頭にあり、そのために、ストーリーが後付で作られている、という感が拭えません。
「妖怪ウオッチ」という無料のコンテンツを入り口にして、時計というハードやゲーム・マンガという有料コンテンツを売るという、フリーミニアム的なビジネスモデルといえると思います。
昔のアニメといえば、作者なりの考えがあり、それを表現することに重きが置かれていましたが、妖怪ウォッチについては、そういうことは関係なく、とりあえずビジネスになればよいといえるでしょう。
よい著作物は陳腐化せずに、時間を超えて収益を上げられる特性がありますが、こういうアニメの作り方は、流行りが過ぎると一気に陳腐化するという欠点があると思います。
とはいえ、こういうビジネスモデルから、商売を考えるという考えは正しいとも思います。
日本の製造業は、「技術で勝って事業で負けた」といわれます。私も、メーカーで働いていた事がありますが、工業製品とは、非常に細かい1円単位のコストの削減を行なって、製品化されます。
そうして得られる製品の利益率は、10%以下程度に過ぎません(数値はイメージです・・・)。
そういう製品を量を売ることにより、必要な利益の額を得ようとする訳ですが、競合もいますので、単に作って売る、だけではなかなか儲かりません。
こういう状況を改善する手段として、「補完品ビジネス」という物があります。これはある製品を売った場合に、他の補完品を組み合わせて売るというビジネスモデルです。
例えば、プリンターとインクカートリッジ、自動車とオプション用品、カーナビと地図データDVDなどです。
このモデルの良い所は、1つの製品を売ると、複数の収益機会が得られますので、収益が増大するというところです。
但し、消費者も馬鹿ではありませんので、こういう収益構造に気付いてしまうと、補完品が高い製品は購入を避けられることになります。
また、補完品自体も製造物に変わりはありませんので、利益率もそうは高くできません。
そうすると、更に収益を得るには相乗効果のあるビジネスモデルを考えればよいわけですが、例えば、アップルのビジネスモデルがあると思います。
iPhoneが非常に人気ですが、アップルは同時に App Storeというものも運営しています。iPhoneが売れれば売れるほどApp Storeからの売上が増加します。
アプリはソフトウエアですので、複製に要するコストは無視でき、売れば売れるほど収益が得られます。
そうなると、iPhoneというハードと、App Storeというソフトの組み合わせは、ビジネス上の相乗効果があるといえます。
日本のメーカのようにスマホというハードだけの販売では、従来のように収益機会が1度しかなく、一生懸命売っても、プラットフォームを運営しているAppleやGoogleを儲けさせているだけ、という皮肉な結果となりかねません。
そう考えると、「妖怪ウオッチ」も時計というハードと、ゲーム、アニメ、漫画というソフトを組み合わせたビジネスですので、実はよく考えられたビジネスなのではとも考えます。