芸能ネタで申し訳ありませんが、Perfumeが全米デビューするそうです。
日刊スポーツの記事
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20140909-1363803.html
この話で面白いと思ったのは、米国デビューに向けて新しい曲を特に作るのではなく、従来の曲を多少リミックスして販売する部分です。
従来の全米デビューといえば、アメリカの大物プロデューサーに曲作りやプロモーションを依頼し、アーティストは日本を離れアメリカに滞在してダンスや英語のレッスンをし、詩、曲、アピアランスはあくまでもアメリカ人好みとするのが一般的でした。
こういう戦略は経営学的には、レッドオーシャン戦略といわれます。
従来の音楽のレベルを緑の線とすれば、そのレベルに近づく、そして超えるように曲作りをし、ライバルを蹴落とすべく赤色の線のレベルを目指すのが、いわゆるレッドオーシャン戦略です。
ただし、日本人は英語が苦手ですし、アメリカ自体アーティストの層が厚いので、レッドオーシャン戦略を成功させるには、努力と運が必要となります。
一方、Perfumeについては、レッドオーシャン戦略を取らず、ブルーオーシャン戦略を採っているように見えます。
つまり、英語はあきらめ、アメリカ人好みの曲作りをあきらめるが、従来にない新たな価値要因(テクノロジーやダンス)などを付加することにより、全体として差別化を図る戦略です。
ブルーオーシャン戦略はライバル不在となるのがメリットですが、それが成功するためには、新たに付加した価値観がアメリカ人に受け入れられるかがポイントとなります。
また、この全米デビューのやり方の良い所は、日本市場を失う可能性が低いところです。
全米デビューに向けて、英語で歌う等、アメリカ人好みの曲作りをすれば、それは日本人好みではない可能性が高いため、日本での売上が低下するおそれがあります。
日本の音楽市場は、現在ではアメリカの音楽市場とほぼ同等、CD売上に関しては上回っておりますので、日本市場を手放すことは、経営的にはありえません。
夢の無いこといえば、経営的には日本で売れれば充分であり、外国に関しては、多少の利益が出ればいいというところでしょうか。
このブルーオーシャン戦略はPerfumeが初めてではなく、YMOも同じような戦略だったと思います。
YMOも歌詞を無くして言語的な壁を乗り越えるとともに、テクノロジーやアジア的な雰囲気を付加して、世界を目指しました。そういう意味では、本当にテクノサウンドの継承者といえるのかもしれません。