弁理士試験の志望者が減少傾向にあるようです。
この10年の減少傾向を多項式近似曲線に当てはめると、平成30年には志望者が「0」になるという結果になりました。
実際には「0」になることはありませんが、志望者が3000~4000人程度になることは覚悟したほうが良さそうです。
近年、幅広い人材を集めるために、弁理士試験の合格者数を激増させて来ました。しかしながら、需要以上の弁理士数となったため、市場原理が働いて志望者数の激減につながっていると思います。
そうすると、幅広い人材を集めることができなくなり、優秀な方は他の分野を目指すことになるため、当初の目論見とは異なる皮肉な結果となりそうです。
しかし、こういう数字を見ますと、人々の賢さに気が付きます。人為的な政策に惑わされず、市場というものを理解し、判断していることがよくわかります。
こういう減少は弁理士に限られす、例えば、博士号も同様な状況にあるようです。
とある偉い大学の先生のお話を伺う機会があったのですが、昔の博士号は「碩学」であることの証明であり、一部の人間にしか与えられませんでしたが、近年は基準が代わり、「研究活動を独力で行うことができる」ことの証明となったそうです。
つまり、昔は博士号をとることが「ゴール」だったのですが、今は「スタート」となったといえるでしょう。 したがって、今の博士はレベルが低い、という考えは間違っており、資格の考え方や基準が変化しただけということになります。
弁理士数を急増させたのも同様な考えと思います。昔は弁理士資格をとることが「ゴール」といえましたが、今は「スタート」となったといえるでしょう。
しかしそうなると、資格をとった後どうするか真剣に考えねばならない、いわゆる出口戦略をどうするか、各人に委ねられることになります。
そうすると、弁理士になるのは容易化しましたが、弁理士として食べてゆくのは難しくなりますので、そういうことはひっくるめた資格の難易度としては、今も昔もそう変わらないのかもしれません。