2016年3月20日から2016年3月26日までになされた裁判は、侵害訴訟3件(特許、商標、著作権、各1件)、審決取消訴訟11件(特許6件、商標5件)です。
1.侵害訴訟
(1)平成27(ネ)10014 特許権侵害行為差止(東京地方裁判所 平成25(ワ)4040)
平成28年3月25日判決 控訴棄却(特別部)
特許権 (ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法)
均等侵害,特許の有効性(進歩性)
平成28年3月25日判決 控訴棄却(特別部)
特許権 (ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法)
均等侵害,特許の有効性(進歩性)
*コメント
均等論を認めた超重要判決です(ニュースになったような気がします)。本件に関しては偉い先生がまとめた記事をいろいろ書いてくれるでしょうから、それを待ちたいと思います。
*コメント
商標の使用が、共有者によるものか、この共有者が勝手に使用許諾した者によるものか、について争われました。商品タグに販売元が共有者であることが記載されていることから、共有者の使用とされ、商標権を侵害しないこととなりました。
*コメント
まず、Accessのファイルの著作物性が争われました。当該ファイルに関しコンピュータに対する指令の組合せに個性が顕れる余地はほとんどなく,プログラムの著作物としての創作性が否定されました。翻案については、創作性を有する部分が依拠していることが必要であり、単に共通するだけでは、翻案とならないとされ、控訴人は、プログラムの特異な一致を主張しましたが、創作性を有する部分の一致ではないため、翻案でもないとされました。
2.審決取消訴訟
(1)平成27(行ケ)10014 審決(無効・不成立)取消
平成28年3月25日判決 請求棄却(1部)
特許権 (ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法)
進歩性(相違点の判断)
平成28年3月25日判決 請求棄却(1部)
特許権 (ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法)
進歩性(相違点の判断)
*コメントはありません。
*コメントはありません・・・。
*コメント
審判で相違点と認定された構成要件は相違していないと認定されました。
(4)平成27(行ケ)10075 審決(無効・成立)取消
平成28年3月24日判決 請求棄却(3部)
特許権 (立体網状構造体,立体網状構造体製造方法及び立体網状構造体製造装置)
進歩性(相違点の判断)
平成28年3月24日判決 請求棄却(3部)
特許権 (立体網状構造体,立体網状構造体製造方法及び立体網状構造体製造装置)
進歩性(相違点の判断)
*コメント
本件における2段組みでの商標の使用は社会通念上同一の商標の使用とは認められませんでした。登録商標に言葉を付加しての使用は不使用とされるリスクがあることがわかります。
(6)平成27(行ケ)10174 審決(無効・不成立)取消
平成28年3月23日判決 請求棄却(2部)
商標権 (チャッカボー)
類似性(4条1項10号),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
平成28年3月23日判決 請求棄却(2部)
商標権 (チャッカボー)
類似性(4条1項10号),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
*コメント
商標の一部分「チャッカ」に需要者が着目するかについて、原告がアンケート結果を提出しましたが、どうにも、アンケートの設問がよろしくなかったようで、難しいところです。
(7)平成27(行ケ)10173 審決(無効・不成立)取消
平成28年3月23日判決 請求棄却(2部)
商標権
類似性(4条1項10号),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
平成28年3月23日判決 請求棄却(2部)
商標権
類似性(4条1項10号),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
*コメント 同上です。
(8)平成27(行ケ)10172 審決(無効・不成立)取消
平成28年3月23日判決 請求棄却(2部)
商標権 (チャッカ棒)
類似性(4条1項10号),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
平成28年3月23日判決 請求棄却(2部)
商標権 (チャッカ棒)
類似性(4条1項10号),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
*コメント 同上です。
*コメント
引用発明の断面8角形の枕は転がりやすくすることを目的とするのに対し、本件発明の断面5角形の枕は転がりにくくすることを目的とすることから、本件の断面5角形形状は、容易に想到できるものではないと認定されました。
*コメント
周知性に関する意見書は原告と一定の関係を有する専門家により作成されたものであるから直ちに信用はできないとされました。上記のアンケートもそうですが、商標の訴訟は証拠づくりがポイントとなりそうです。
*コメント
3回目の審決取消訴訟です。やはり審決は取り消されました。引用発明に本件発明の構成を採用する動機づけもなく、周知例にもそのような構成は開示されていない、とされます。