2020年10月18日日曜日

戦略について

経営の本などを読みますと、~戦略、という用語をよく見かけます。

私が、戦略という言葉を初めて知ったのが、1987年ごろのシステムソフト社の「大戦略」というPCゲームとなります。

大戦略はPC9801で動くソフトであり、当時のPC9801は非常に高価でしたので、金持ちの友人の家に入り浸ってゲームを徹夜でやっておりました。 

その後、ゲームもやめ大戦略から遠ざかっておりましたが、弁理士になってからしばしば目にするようになったのが、知財戦略という言葉です。

それまでは戦略とは戦争用語という認識でしたので、知財戦略とは、ちょっと物騒な使い方と思いましたが、世間的なインパクトを狙うとこんな感じとなるのかなと思いました。

その後、MOTで、事業戦略、技術戦略、ブルーオーシャン戦略、オープンクローズ戦略・・・と、世の中には無数の戦略があることが分かりました。 

ご存じと思いますが、戦略とは戦術とセットとなって語られる言葉で、下記のような階層性を有します。

 

戦略とは、全体の大きな動き、戦術とは、個々の具体的な動きといったところでしょうか。

ちなみに、前述の大戦略というゲームは、兵器を動かすゲームでしたので、戦略というより、戦術のゲームでした。一方、外交や資金調達を含む、光栄の歴史ゲームは戦略級といえるかと思います。

それで、知財戦略とは、戦争用語にならって言えば「知財戦術」か「知財作戦」となるかと思います(むりやり戦争に当てはめればですが・・・)。

企業における戦略は一つですので、それにぶら下がる形でマーケティング戦術や知財戦術、技術戦術などの複数の戦術があるのが、階層として理解しやすいと思います。

ただし、このようなことを声高にいいますと、ミリオタ扱いされますので、決して言うことはありません・・・。

ただし、無理に戦争用語を使用しなくても、「知財管理」や「知財マネジメント」でよいのではないでしょうか。

こういう分野に「戦略」という言葉を使用し始めたのは、私の記憶では、マッキンゼーあたりの戦略コンサルという言葉となります。

米国はしょっちゅう戦争をしている国ですし、ランド研究所などの戦争専門のシンクタンクもありますので、そのあたりの人が経営コンサルに転職するときに、セールストークに使用したのかなと推測しております。

それで、戦略と戦術の見分け方ですが、簡単な方法があります。それは有名な格言に下記のものがありますので、それに当てはめて考えればよいです。

戦術のミスは戦略でカバーできるが、戦略のミスは戦術でカバーできない(正確にはわすれましたが、このような感じです。)

知財に関しましては、上記格言に照らしますと「戦術」となります。

世の中には、「知財」に劣っているにもかかわらず、成功している企業はたくさんあります。そういう企業は戦略に優れており、知財の劣勢をカバーしているといえます。

一方、「知財」に優れているにも関わらず、失敗している企業は・・・どうでしょうか?

知財の専門家としては、 成功している企業に「御社は知財戦略がないのでダメです!」といってしまうのは世間知らずといえますし、業績が悪化している企業に「もっと知財を頑張りましょう!」といってしまうのも、よろしくないといえます。

ということで、ミリオタが感じている「戦略」の使用法の違和感を述べさせていただきました・・・。

2020年10月16日金曜日

第1稿完成

もう知財学会まで1か月ちょっととなりました・・・。

発表の内容の第1稿は、ひとまずできました。

不思議なもので、自分の書いた文章をずっとみておりますと、この内容がよいのか悪いのかさっぱり認識できなくなります。

一種のゲシュタルト崩壊みたいな感じでしょうか。

これを避けるには、他の人に読んでもらったりするのがよいと思いますが、特にそういう方もおりませんので、これで本番を迎えることになります。 

学会発表で何か指摘がありましたら、その内容をフィードバックして、論文化したいと思います。

次の作業はパワーポイント化となります。発表時間は12分ですので、正味20~25ページくらいとなります。 

おそらく、来月には特許証もくると思いますので、パワーポイントの最後にページに、スキャンした特許証を張り付けて、うけを狙いたいと思います(外す可能性大ですが・・・)。

しかし、感じますのが1年は早いということです。

よほど計画的に物事を進めませんと、あっという間に1年は過ぎてゆきます。

知財学会で発表することは、私にとって何の利益もありませんが、このようなイベントを設定して、強制力を持たせませんと何のアウトプットもなく1年が終わります。

そういうことで、今年はコロナもありよくない1年でしたが、 アウトプットは1つできたということで満足したいと思います。

2020年10月9日金曜日

日本特許庁への出願が増加しないのはなぜか

掲題の件、産業構造審議会知的財産分科会 基本問題小委員会にて議論されるそうです。

資料はこちら

明確な理由は、よくわかりませんが、感じることは以下のような事項となります。

1.訴訟が有効でない

特許権が侵害されると最終的には訴えるしかないのですが、勝訴率が低かったり、無効審判を何回も請求されたり、損害賠償額が低かったりして、訴えることに躊躇することになります。

権利行使できないのであれば、権利化の費用も無駄ですので、日本には出願しない判断となります。

これを避けるには、どなたかがおっしゃってましたが、登録後5年で無効審判請求は禁止にするとか、3倍賠償にするとか、過激な措置も考えられますが、個人的にはどうすればよいかわかりません・・・。

2.発明の概念が狭すぎる

発明相談をしますと、これは法上の発明でないので出願できません、とお断りすることが多々あります。

特に近年、産業のサービス化が進んでおりますので、ハードウェアに依存しない発明や、心理的作用を狙った発明がなされますが、これらは出願しても29条1項柱書で拒絶されてしまいます。

したがって、発明の概念を拡大すれば、出願も増えるのではないかと思います。

とはいえ、日本のみ発明の概念を拡大するわけにもいきませんので、これも対応が難しいかもしれません。

3.出願費用

これに関しては、審査請求料も(中小企業等には)安くなりましたので、出願しやすくはなりました。私も出願して特許を取りました。

弁理士費用についても、弁理士志望者が激減してしまうほどの過当競争により、以前と比べて安くなったと思います。 

あとは、中国のように特許出願に補助金を出すような施策を打つことが考えられます。

個人的には、裁判の問題が一番なのかな。。。という感じとなりますが、どうでしょうか? 

2020年10月3日土曜日

マーケティング・プロセスと特許情報のその後

2012年の知財学会で以下の内容を発表しました。

マーケティング・プロセスへの特許情報の活用について

https://www.j-mac.or.jp/wp/dtl.php?wp_id=75

しかし、その後やっていないのは、以下の理由があります。

まず、論文の中の図表をつくるためには、特許マップソフトが必要な点です。特許マップソフトは高価ですので、論文の図表をつくろうと思っても、作れる人は少ないことになります。

今は、エクセルやKHCoder、Pythonなど、(ほぼ)無料ソフトを使って図表化することにトライしております 。

次に、ミクロ分析の手法を思いつかなかった点があります。この辺りは、論文では完全に無視されております。

マーケティングにおけるミクロ分析(4P)を行うためには、分析対象となる新商品のアイデアを考えねばなりませんが、これが難しいものがありました(とりあえず、既存製品でやってしまうことでもよいですが・・・)。

これも、今回、多空間デザインモデルによるアイデア発想ができましたので、これで4P分析してみることも考えられます。これは今後のテーマとなります。

結構ネックだと思うのが、マーケティングは商品と市場との関係を分析するものですが、特許情報からは技術情報を抽出できますが、商品情報を抽出できない点にあります。

したがって、テクノロジーの用語がずらりと並ぶような、いまいちマーケティングっぽくないアウトプットとなります。

これを解消するには

(1)アウトプットに商品と技術の対応表を介在させる

対応表を介在させることにより、特許情報を商品情報に変換して、これに対してマーケティング・プロセスを実施します。これですと、一般の人にもわかりやすいアウトプットとなると思います。

一応、上記論文では、商品情報に変換しているようです。

(2)開き直って技術マーケティングとする

分析対象を技術にして、マーケティング・プロセスを実施します。今流行りのIPランドスケープはこのような感じと思います(よくわかりませんが)。これですと、一般の人にはとっつきにくい感じとなると思いますが、つくりやすいというメリットがあります。

(3)意匠、商標と統合する

意匠と商標は、商品単位の権利となりますので、実のところ、マーケティングには使用しやすいという特徴があります。

そうしますと、特許のみではなく、意匠や商標の情報を使用することにより、マーケティングプロセスに組み込みやすくなると思います。

具体的に、どうするかといわれれば、特にありませんので、これも今後のテーマとなります。

ということで、余力のある方は、上記課題解決にトライしていただければと思います。

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