2012年1月4日水曜日

グローバル化について


前回はパラダイムシフトの話をしましたが、現在生じているパラダイムシフトのキーワードとなるのは「グローバル化」と「イノベーション」と個人的には思っています。つまり、「グローバル化」と「イノベーション」を推進することが生き残りの鍵と考えます。

さて、「グローバル化」と簡単にいいますが実際にはどうすればよいのでしょうか。ちまたでは「グローバル化」に対応するために英語を勉強することが薦められておりますが、語学を習熟すればグローバル化に対応できるのでしょうか?

確かに語学はコミュニケーションを図る意味で重要と思いますが、会社内に通訳の方を沢山雇っただけではグローバル化企業となれるわけではないことは明らかと思います。

「グローバル化」の一つの考え方としては、「課題」や「解決手段」のネタを日本国内だけではなく国外に求めることにあると思います。つまり、従来は日本国内で閉じていた「課題」や「解決手段」の探索の範囲を国外に広げるということです。

例えば、製造コストを低減したいという課題を解決するために、「解決手段」として、人件費、土地代、税金が安い外国に工場を建設することなどがあります。従来は、国内に工場を建設していましたが、この検討範囲を海外にまで広げることが、「グローバル化」の一つの形なのではないでしょうか。

実際に日本企業は中国やベトナム、タイに工場を立てて、ユニクロなど成功している企業も多くあります。

ただし、「解決手段」をグローバル化することは非常に容易であり、第三者が模倣しやすいというデメリットがあります。つまり、「解決手段」をグローバル化しても差別化できる期間は短く、競争優位はすぐに失われることになり、価格競争から逃れることはできません。

それでは、「課題」のグローバル化はどうでしょうか?例えば、PGなどはインドで歯磨きを売るために超低価格のハミガキを販売していたりもします。これは、インドの低収入や歯磨きの習慣がないという課題に対応するものです。

同様にサムスン電子などは、低価格のテレビをブラジルなどの新興国に投入しております。このような国に応じた「課題」をうまく拾えれば、中々真似されにくく競争優位を長く維持することが可能となるでしょう。

ただし、このような国に応じた「課題」を抽出するには、その国の課題を把握する必要があり、非常に難易度が高いともいえます。ある程度のリソースを投入してその国の情報収集(マーケティング)に時間をかける必要があるといえるでしょう。

このような考え方は、グローカルとか現地化とも言われますが、マクドナルドやi-podなど現地化せずとも世界中に普及するビジネスもありますので、世界共通の課題を解決するという考え方もあるかもしれません。

したがって、日本国内に限らずこの世に存在する課題をいろいろ考えてみることが「グローバル化」の第一歩といえるでしょう。

2012年1月1日日曜日

謹賀新年

本年が皆様にとって幸多き年となりますようお祈り申し上げます。

 (2011.12.29 竹富島にて)

2011年12月28日水曜日

パラダイムシフトについて

羽生善治さんの「決断力」を読みました。羽生さんといえば将棋の棋士であり、七冠を達成したことで有名なのは言うまでもありません。私も子供の頃、将棋をやったことがありますが、全く強くなく、将棋の強い方はどのようにして勝負に挑むのか興味がありました。

羽生さんの時代から、コンピュータを使ったデータ重視の将棋に移行したようで、戦う前のデータ解析や戦略策定が勝負を左右するとのことでした。つまり、経験以上にデータ解析が重要な時代に変化しました。

このあたりは野村監督のデータ野球と共通するところでもありますが、勝負に勝つための定石なのかもしれません。もちろんデータをただ集めるだけではなく、データに基づいて新しい戦略を導き出す必要はあります。

さて、私がこの本を読んで感じたのは、パラダイムシフトの怖さです。従来の将棋の世界では、威圧感や精神の持久力、人の嫌がる手を打つなど、人間の駆け引きが勝負の鍵を握っていました。ところが、コンピュータの登場により必勝法が大きく変わってしまいました。

従来の将棋の世界で強みを発揮していた棋士は、データ重視の作戦が浸透するにつれ、全く勝てなくなっていったと推測されます。もし自分がそのとき棋士であったどうしただろうと考えると恐怖を感じました。

データ重視の作戦をまねすればよいという考えもありますが、そう簡単にはゆきません。たとえ真似を始めても先行者はさらに先を行ってしまいますのでキャッチアップすることは非常に難しく、遅れている不利はなかなか解消できるものではありません。ということで、私が棋士でなくて安心しました。

ただし、安心するのはまだ早く、このようなパラダイムシフトはビジネスの世界でも起きてしまいます。例えば、レコードからCD、フィルムカメラからデジカメ、最近では、ガラケーからスマートフォンなどです。このように、自分の仕事が古いパラダイムとなってしまっていたら、仕事にあぶれてしまいます。

それでは、パラダイムシフトを無事に乗り切るにはどうしたらよいのでしょうか?2つ対策を考えてみました。

1.自らパラダイムシフトを起こす人となる
スティーブ・ジョブスのようにイノベーティブな人は自らの力でパラダイムシフトを起こしますので、世の中の変化を恐れる必要はありません(当たり前ですが・・・)。誰もが彼のような天才になれるわけではありませんが、毎日少しづつ新しいことを始めるなど自らを変革してゆく心構えがあれば、世の中の変化に対応しやすいのではないでしょうか。

2.パラダイムシフトを素早く感じ取り、すぐに先行者のまねを始める。
タイムラグがあると先行者に追いつくことが難しくなりますので、とにかく早くまねを始めることが考えられます。 60、70年代ころの日本は欧米の真似をして技術のキャッチアップを果たしましたし、最近の韓国、中国も基本的に先行者を真似して今の地位を得ました。ただし、真似をする場合には、先行者の知的財産を侵害していないか判断が必要ではありますが。

さて、今年はいろいろなことがありましたが、2011年はおそらく日本にパラダイムシフトが起きた年として将来評価されることとなるのではないでしょうか。パラダイムシフトの内容は、私にはよくわかりませんが、もう行動を起こしている企業や人は沢山いると思います。

したがって、それらの情報を集めて、自らどのような行動を起こすべきか、考えてみてはいかがでしょうか。

2011年12月19日月曜日

知識と知恵について

先日のニュースで弁護士の就職難が深刻化していることが報じられました。弁護士会の会費は年間50万円程だそうで、それ以上の売上を上げられなければ登録すらできません。

一昔前では弁護士といえば高収入が保証された仕事でしたが、なぜこのような事態となったのでしょうか。弁護士の需要と供給に不均衡が生じていることが主たる理由と思いますが、知識の価値が低下してることも理由の一つと思います。

弁護士になるには1日24時間厳しい勉強をして法律の知識を身につけなければなりません。昔はこの知識自体に非常に価値があったといえます。しかしながら、ネットが普及した現在ではある程度の法律の知識は無料で入手できますので、知識の価値は低下しているといえるでしょう。

また、社会の変化が早く、複雑化しており、所詮過去の体系である知識がたくさんあっても役に立たないという事情もあると思います。

現在求められているのは、 知識を使いこなす知恵だと思います。知恵はネットを調べて身につくものではなく、また、社会の変化や複雑化に対応するために必要な能力と思います。

ただし、知恵というものは学校で学べるものではなく、実務を通じて悩んだり、課題を解決することを通じて身につくものと思います。そう考えると、就職先のない弁護士はまずどうにかして実務経験を得る必要があるということになります。

では、実務経験を積めば安心なのかというとそうでもありません。 実務に注力しすぎて知識のインプットが不足してくると、自分の中の知識が陳腐化してゆきます。知恵というのは、知識の組み合わせを考えることですので、知識が陳腐化すると知恵も陳腐化してしまいます。

また、知識が不足していると知識の組み合わせの数も不足しますので、知恵の絶対量も不足することになります。このように、知識と知恵というものは、互いに関係するものであり、実務経験を積みつつ継続して知識を増やす努力が必要といえます。

そういう意味では、ロースクールとは、実務経験のある社会人を受け入れたり、実務家教員を雇ったりして、実務と知識をうまくバランスさせることができる筈でしたが、就職難が生じていることを考えると、まだまだ改善の余地があるようです。

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