2013年3月10日日曜日

特許保険について

先日、ある会社の方から特許保険について質問されたのですが、恥ずかしいことに特許保険の存在自体を知りませんでした。そこで備忘録的に調べてみました。

特許保険は、AIU保険会社の法人向け商品のようで、以下のような内容の商品です。

AIUの特許等知的財産権特約は、貴社のサービスや商品が、第三者の知的財産権を侵害しているとして、損害賠償請求(注1)を受けた結果、貴社が負担する法律上の損害賠償金・争訟費用(注2)を支払限度額1,000万円まで補償します。

(参考URL) http://www.aiu.co.jp/business/product/liability/kojin_joho/ippan/patent.htm

また、本商品についての分析が以下のHPでされています。

知財保険の研究(⽇本弁理⼠会近畿⽀部 知的財産制度検討委員会)

(参考URL) http://www.kjpaa.jp/public/pu_01studies/pdf/2012kenkyuu.pdf

支払い限度額1000万円ということで、今は試験的に提供している保険のようです。今後本保険にニーズがあれば、支払い限度額も大きくなり、使い勝手もよくなると思います。

では、このような特許保険は有効なのでしょうか。

今後支払限度額が大きくなれば損害賠償金を補填する意味で有効とは思います。

ただし、特許訴訟では、損害賠償よりも、差し止めにより将来得られるべき利益が失われることによるダメージの方が大きい場合もあります。

将来得られるべき利益の金額については、当然補償の対象とはなりませんので、特許保険の効果は限定的かと思います。

したがって、保険があるから安心、というのではなく、基本に忠実に特許調査をしっかり行って侵害を回避する努力を行い、補完的に特許保険を利用することがよいと思います。

2013年2月14日木曜日

『企業力アップのための知財セミナー』のご案内

神奈川県内の企業様向け
『企業力アップのための知財セミナー』のご案内
~知的財産の戦略的活用をデザインします~

■日 時 : 平成25年3月13日(水) 19:00~20:30
(受付開始18:30)

■会 場 : かながわ県民活動サポートセンター会議室403号室

■セミナー内容
(1)中小企業の知財管理について
(担当講師:川上)19:00~19:40
講師からのコメント
 近年知財の重要性が叫ばれ、知財を軸にした経営戦略が様々提案されております。しかし ながら、それらの多くは大企業向けのものであり、中小企業で適切な知財管理を行うことは 難しいといえます。そこで今回は、中小企業の経営から見た知財の必要性について考えたいと思います。そして、知財を有効に活用するための知財管理の方法をご紹介します。

(2)優先権を使った海外への知財活動の展開
(担当講師:高木)19:50~20:30
講師からのコメント
 マーケットとして,生産拠点として,調達先として等、ビジネスを諸外国で展開することが益々盛んになっております。日本で権利を取得しているから大丈 夫!その考え方は間違っています。知財活動も海外へ展開しなければ安心とは言えません。本セミナーは、国内での知財活動を基礎として優先権を使った海外へ の知財活動の展開について説明します。

■受付期間:平成25年2月13日~(定員20名様になり次第締め切らせて頂きます)

■受講料:1,000円(当日受付にてお支払下さい、領収書をお渡しします)

■会場アクセス:かながわ県民活動サポートセンター会議室403号室
(神奈川鶴屋町2-24-2 : 横浜駅より徒歩5分です)

■講師のご紹介
川上 成年(弁理士)
日本電気株式会社で半導体関連の製造装置の設計・製造業務に関わる。弁理士試験合格後、特許事務所で特許出願実務に関わる。2011年に中小企業の知財戦略を支援するための会社、㈱知財デザインを設立。現在、㈱知財デザイン代表取締役。㈱知財デザイン ホームページ http://www.ip-design.co.jp/

高木康志(弁理士)
京浜工業地域にある化学薬品メーカーの技術開発職を経て、現在、高木特許事務所の所長に至る。『企業技術開発職』と『事務所弁理士職』の両方の経験を活か した知的財産専門家としてのサービスを提供することを理念とする。昨年度、担当企業が特許庁長官表彰知財功労賞を受賞された。高木特許事務所ホームページ  http://takagi-pat.com/

■セミナーのお問い合わせ(セミナー事務局)
高木特許事務所 担当:高木 までご連絡ください。
Tel:045-651-4008 / E-Mail:office@takagi-pat.com

■セミナーのお申し込みはセミナー申し込みページからお願いいたします。


よろしくお願いいたします。
 

2013年2月13日水曜日

イノベーションを防ぐ方法について

近年、イノベーションの重要性がいろいろなところでいわれております。イノベーティブな製品は市場をあっという間に席巻し、旧来の製品を駆逐してゆきます。

日本企業もイノベーションを起こすことが求められていますが、大企業ともなれば経営者や従業員の官僚化や保守化が進みますので、イノベーションを起こすアイデアもなかなか生まれて来にくいのが実情です。

ただし、イノベーションが起きなければ、既存の市場の中で大企業も強みを発揮し続けることができるともいえます。したがって、少々後ろ向きではありますが、大企業としてはイノベーションの目を潰す戦術も有効と思います。

イノべーションを妨害する方法はいろいろあると思いますが、高い参入障壁を築く方法、例えば、技術標準(規格)を利用する方法などがあると思います。

特定の技術分野において技術標準が定められれば、それに反する製品を製造することはできませんので、新製品誕生の芽を積むことができます。

なおかつ、技術標準の内容を高い技術レベルに設定出来れば、新規参入してくる企業もおいそれとは現れないでしょう。例えば、自動車であれば、環境規格や安全規格を高い数値とすれば、高い参入障壁となると思います。

このように高い参入障壁を築くことによって、イノベーションの起きにくい市場を形成することが可能となりますが、これをやり過ぎるといわゆるガラパゴス化した市場となりますので、ある程度はイノベーションが生じるしくみを取り入れたほうがよいとは思います。

また、高い参入障壁は諸刃の剣となる可能性もあります。ホンダが小型ジェットに参入したのも、高い参入障壁を突破出来れば、その後のライバルは、ビーチやセスナなどの自動車ほどの競争が熾烈でない企業となりますので充分に勝てると考えたからです。

ということで、イノベーションを起こすだけでなく、イノベーションを邪魔する戦略も考えてみてはいかがでしょうか。
 

2013年1月25日金曜日

変化できるものが生き残る?

強いものが生き残るのではない。変化するものが生き残る、という有名な名言があります。ダーウィンの言葉と言われてますが、実際には言った事実は無いようです。

よくこの言葉を引用して、日本の企業は変化しないからダメなのだとか言われたりします。生き残るには変化しなければいけないな、と思ったりもします。

しかし、本当に変化することがよいことなのでしょうか?

この言葉をさらに正確にいえば、変化する生物は「大部分は死滅するが、ごく稀に」生き残る、となると思います。

なぜなら、変化が環境に適合できるかどうかは、偶然に頼るしかないからです。ただし、生き残った生物は、環境に最高度に適合し、既存の生物を淘汰してゆくでしょう。

そう考えると日本企業が変化しない理由もわかります。それは変化すると会社が潰れるリスクが高まるからです。

日本では会社が潰れると、社長は会社の債務の連帯保証人となっていたり、従業員も年金、退職金が減額され、個人の生活に大きな影響がありますので、何としても避けなければなりません。

一方、アメリカなどでは会社を潰すことに対する抵抗感は日本ほどありませんので、どんどん変化して、潰れる会社は多くとも、一部の環境に適合した強力な会社が誕生しやすいともいえます。

ということで、変化できるものが生き残るのは確かですが、それは、多くの生き残れないものの上になりたつ考えであることを冷静に考えて欲しいと思います。

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