2014年1月11日土曜日

よいビジネスモデルについて

子供をファミレスにつれてゆくと困ることがあります。それは、レジにおもちゃが置いてあることです。

子供がそれを見つけますと、子供の欲望にはストップボタンがありませんから、欲しいとおねだりが始まります。

そういうおもちゃは大したものではないのに、ちょっと高かったりして、どうせ飽きてゴミになるのだから買いたくない!と大人は考えてしまいます。

しかし、一度始まったおねだりは止まりませんので、子供を説得しようと努力しますが、そのうち、レジに支払いの列ができ始め、他の人の迷惑を考えると、買わざるを得ない状況となります。

ファミレスからすれば、食事以外に収益を得られるという点で優れたビジネスモデルといえますが、お金を払う立場からすれば、もやもやしたものが残ります。

このビジネスモデルを一言で言えば、欲望に弱い人間を使用対象として、その使用対象外の大人にお金を支出させるモデルと言えます。 つまり、使用対象と支出対象が分離されていることが特徴です。


最近のスマホのゲームも同じビジネスモデルといえます。小中学生はゲームに没頭しますが、いくらやっても自分の懐が痛みませんので、際限なくやり続け、そのゲーム代を大人が負担しなければなりません。

こういうビジネスモデルはいいといえるのか少々疑問です。お金を払う人間に納得感がない点で、よろしくないと思います。

こういうビジネスを拡大した人が、優れた経営者として本に紹介されたりしますが、よいビジネスモデルとは、支払っていただくお金に納得感があり、それなりの価値をお客さんに提供できることが必要と思います。

と、少々愚痴っぽくなってしましたが、自分の仕事についても金儲け主義に走らないように気をつけたいと思います。

2013年12月14日土曜日

インセンティブについて

最近のニュースでは、若い人が忘年会に参加しないため忘年会が中止になることが話題になっていました。

忘年会とか社員旅行とかは1960、70年台の会社では大変盛んに行われていたと思いますが、最近は参加したくない人が多いようです。

なぜこのようなこととなったかといえば、その理由の一つに、参加するインセンティブがなくなったことがあると思います。

インセンティブとは、人や組織のモチベーションを誘引するものをいいます。

終身雇用制のもとでは、忘年会の参加は上司との結びつきを深くし、自身の雇用を安定させる意味で参加のインセンティブがありましたが、終身雇用も崩壊しつつある現在ではそのようなインセンティブはありません。

このインセンティブは、資本主義や自由主義社会では非常に重要なものでして、例えば、特許法もインセンティブを刺激するような制度設計となっております。

特許法は、公開の代償として特許権という排他権を与えることにより、特許出願を行うインセンティブを刺激し、これにより国としての経済発展を実現する制度といえます。

特許権という排他権はビジネス上非常に有用ですので、企業は我先にと特許出願するわけです。

一般的な法律もインセンティブを与えるような設計となっているようです。インセンティブがあればその法律を国民自ら守ろうという意思が働きますので、国家権力を行使しなくても世の中の安定が図れます。

例えば、健康保険とか国民年金とかは未納の人が増えて問題となっておりますが、これは、制度自体が崩壊しており保険金を納付するインセンティブがないからです。

したがって、納付を強制するために口座差押えや訴訟の提起など国家権力を行使しなければなりませんが、このようなことは行政コストが上昇しますので、うまい方法とはいえません。

良い法律とは、国民自ら守ろうというインセンティブがしっかり設計されている法律といえるでしょう。

また、インセンティブというのは、一般のビジネスではさらに重要です。国の場合には最後には国家権力を駆使して従わせることが可能ですが、自社製品を強制的に買わせるということはできません(押し売りというものがありますが・・・)。

したがって、自社製品を買ってもらうインセンティブの設定が重要となり、このあたりがビジネスマンの腕の見せどころとなります。

忘年会に戻りますが、ビジネスマンとしてはインセンティブをしっかり設計し直すことが必要でしょう。逆に、人が集まる忘年会を企画できる人はビジネスマンとしての能力も高いのではないでしょうか。

2013年12月7日土曜日

御社の知財部®について

御社の知財部(登録商標です)というサービスを提供させていただいて、今月で丸3年になります。来年1月から4年目に入ります。

サービス開始当初は鳴かず飛ばずでしたが、今年に入り何社か契約いただきまして、今は少々忙しく活動させていただいております。

私もこのサービスを始めて、初めて営業活動というものを行ったのですが、引き合いがあっても、やはりお断りされることも多くあります。こういうときは結構落ち込みます。

お断りの理由として1番多いのが、都県や市が行っている無料の知財コンサルティングを利用することにしました、というものです。

都県・市は、中小企業支援のメニューとして無料の知財コンサルティングを行っているところが多くあります。

これは中小企業に対し弁理士や中小企業診断士などの資格を持つ人を派遣して、中小企業の知財の相談にのるというような内容となっています。しかも基本的には無料ですので、これを利用しない手はありません。

この理由でお断りをいただくと、仕方がないと諦めるしかありません。無料にはどうやっても勝てません。

このような無料の知財コンサルティングは、事業の規模が小さく知財上の課題が少ない場合に特に有用と思います。

知財上の経営課題が少なく、課題が生じるごとに解決するスタイルならば、無料の知財コンサルティングは経費削減の観点から有用と思います。

ただし、事業の規模が拡大すると知財上の課題が常時発生することになりますので、この場合、無料の知財コンサルティングですべてに対応することは難しくなると思います。

したがって、どこかの段階で、特許調査や特許出願等の知財活動の費用を自社でしっかり確保するとともに、自社に知財部のような組織を設け、組織的に知財活動を実施する必要があります。

このような知財活動を自社で行うと決意した段階で当社にご依頼いただければ、知財活動の自社による独自実施へスムーズに移行できると思います。

会社内の方を知財責任者として我々がその方を補佐しますので、社外の人材を新たに登用するよりも人件費を削減できますし、何より社内の方が知財部の責任者となりますので、組織的にも受け入れやすいと思います。

と、宣伝めいて申し訳ありませんが、ご興味がありましたら弊社(御社の知財部.com)までお気軽にお問い合わせ合わせ下さい。よろしくお願いいたします。

2013年12月3日火曜日

「させる」と「させない」について


特許権とは排他権であるとよく言われます。排他権とは権利を持たない者による特許発明の実施を排除できるということを意味します。

権利者のみが特許発明を実施できますので、特許発明にかかるビジネスを支配することが可能となります。このように、特許権とは特許発明を実施「させない」作用を有します。

従来の知財マネジメントはこの排他権に着目して行われてきましたが、近年は、標準化というものが重要視されています。

技術標準とは、所定の技術において満たさなければならない仕様、取り決めのようなものです。技術標準が確定しますとその技術を使用しなければなりません。

したがって、自社に有利な技術標準が確定しますと、その技術をあらゆる会社に使用「させる」ことができます。

このように、特許権と技術標準を組みわせることにより、競合他社にある技術を使用「させる」、「させない」という具合にコントロールできますので、競合他社は自由度を奪われ、自社の競争優位が得られます。

さて、他社に使用「させる」、「させない」ようにするには、特許権、技術標準以外の方法もあります。それは、契約です。

例えば、契約により、実施権を許諾し使用「させる」こともできますし、地域を限定して実施「させない」ことも可能です。

ただし、特許権、技術標準は不特定多数に対して効力があるのに対して、契約の効力は契約を締結した特定の会社に限られます。

また、契約によれば、ノウハウ・営業秘密を使用「させる」ことも可能です。さらに、契約でなんでも実施「させない」こととできるわけではなく、公序良俗に反せず、独占禁止法に抵触しないことが必要です。

以上をまとめると以下の図のようになります。



他社をコントロールするという観点からは、特許権のみを考慮した知財マネジメントでは足りず、今後は、技術標準、不正競争防止法、独占禁止法を駆使して、「させる」、「させない」の戦略をねる必要があると思います。

もちろん他社も自社をコントロールしようと仕掛けてまいりますので、どのように防御するか、契約書の内容はどうあるべきか、いろいろと準備しておくことも必要と思います。

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