2014年1月24日金曜日

よい明細書について

最近、他の人の書いた明細書に関する相談を受けることが多くなりました。

他人に書いた明細書ですので第三者的な目で客観的に見れるせいか、明細書の記載の不備部分がどうしても目につきます(あら探しのようですが・・・)。

例えば、請求項に技術的な特徴がよく表現されておらず特許されることが難しそうな明細書や、特許されたものの請求項の記載が非常に限定されており権利行使が難しそうな明細書が散見されます。

一度、出願すると明細書の内容を補充することは難しいので、上記のような欠陥がある明細書について相談されても、打てる手は限られてしまいます。

こういう明細書が作成されてしまう大きな理由としては、先行技術調査の不備があると思います。

新規性、進歩性を満たすような請求項の記載とするためには、先行技術調査を行い、もっとも近い先行技術調査を抽出し、その相違点、効果を明細書に記載する必要があります。

しかし、もっとも近い先行技術の抽出に失敗する(もしくは、先行技術調査すらしない)と、発明の特徴、相違点、効果の記載が的外れなものとなり、特許性に貢献する記載を行うことができません。

さらに、特許性を満たすため必要以上に狭い請求項の記載とした場合には、確かに特許される場合もありますが、近い先行技術を抽出する努力を行えば、もっと広い請求項で特許にできた可能性もあります。

よい明細書といえば、きれいな日本語を使用することや、何か特殊な明細書作成テクニックを使って文章を構成するようなイメージがあります。

しかし、実際には、しっかりと先行技術調査を行い、たどたどしい日本語で構いませんので、先行技術との相違をきちんと表現し、先行技術を含まないギリギリの範囲を見極めた請求項の記載がされている明細書が、よい明細書と思います。

先行技術については、明細書中に【特許文献】、【非特許文献】として記載されておりますので、明細書チェックの際には、この欄の文献をまずチェックしたほうがよいと思います。

的はずれな特許文献のようでしたら、きちんとした特許調査をお願いし、明細書を書きなおしてもらうことも必要と思います。

2014年1月11日土曜日

よいビジネスモデルについて

子供をファミレスにつれてゆくと困ることがあります。それは、レジにおもちゃが置いてあることです。

子供がそれを見つけますと、子供の欲望にはストップボタンがありませんから、欲しいとおねだりが始まります。

そういうおもちゃは大したものではないのに、ちょっと高かったりして、どうせ飽きてゴミになるのだから買いたくない!と大人は考えてしまいます。

しかし、一度始まったおねだりは止まりませんので、子供を説得しようと努力しますが、そのうち、レジに支払いの列ができ始め、他の人の迷惑を考えると、買わざるを得ない状況となります。

ファミレスからすれば、食事以外に収益を得られるという点で優れたビジネスモデルといえますが、お金を払う立場からすれば、もやもやしたものが残ります。

このビジネスモデルを一言で言えば、欲望に弱い人間を使用対象として、その使用対象外の大人にお金を支出させるモデルと言えます。 つまり、使用対象と支出対象が分離されていることが特徴です。


最近のスマホのゲームも同じビジネスモデルといえます。小中学生はゲームに没頭しますが、いくらやっても自分の懐が痛みませんので、際限なくやり続け、そのゲーム代を大人が負担しなければなりません。

こういうビジネスモデルはいいといえるのか少々疑問です。お金を払う人間に納得感がない点で、よろしくないと思います。

こういうビジネスを拡大した人が、優れた経営者として本に紹介されたりしますが、よいビジネスモデルとは、支払っていただくお金に納得感があり、それなりの価値をお客さんに提供できることが必要と思います。

と、少々愚痴っぽくなってしましたが、自分の仕事についても金儲け主義に走らないように気をつけたいと思います。

2013年12月14日土曜日

インセンティブについて

最近のニュースでは、若い人が忘年会に参加しないため忘年会が中止になることが話題になっていました。

忘年会とか社員旅行とかは1960、70年台の会社では大変盛んに行われていたと思いますが、最近は参加したくない人が多いようです。

なぜこのようなこととなったかといえば、その理由の一つに、参加するインセンティブがなくなったことがあると思います。

インセンティブとは、人や組織のモチベーションを誘引するものをいいます。

終身雇用制のもとでは、忘年会の参加は上司との結びつきを深くし、自身の雇用を安定させる意味で参加のインセンティブがありましたが、終身雇用も崩壊しつつある現在ではそのようなインセンティブはありません。

このインセンティブは、資本主義や自由主義社会では非常に重要なものでして、例えば、特許法もインセンティブを刺激するような制度設計となっております。

特許法は、公開の代償として特許権という排他権を与えることにより、特許出願を行うインセンティブを刺激し、これにより国としての経済発展を実現する制度といえます。

特許権という排他権はビジネス上非常に有用ですので、企業は我先にと特許出願するわけです。

一般的な法律もインセンティブを与えるような設計となっているようです。インセンティブがあればその法律を国民自ら守ろうという意思が働きますので、国家権力を行使しなくても世の中の安定が図れます。

例えば、健康保険とか国民年金とかは未納の人が増えて問題となっておりますが、これは、制度自体が崩壊しており保険金を納付するインセンティブがないからです。

したがって、納付を強制するために口座差押えや訴訟の提起など国家権力を行使しなければなりませんが、このようなことは行政コストが上昇しますので、うまい方法とはいえません。

良い法律とは、国民自ら守ろうというインセンティブがしっかり設計されている法律といえるでしょう。

また、インセンティブというのは、一般のビジネスではさらに重要です。国の場合には最後には国家権力を駆使して従わせることが可能ですが、自社製品を強制的に買わせるということはできません(押し売りというものがありますが・・・)。

したがって、自社製品を買ってもらうインセンティブの設定が重要となり、このあたりがビジネスマンの腕の見せどころとなります。

忘年会に戻りますが、ビジネスマンとしてはインセンティブをしっかり設計し直すことが必要でしょう。逆に、人が集まる忘年会を企画できる人はビジネスマンとしての能力も高いのではないでしょうか。

2013年12月7日土曜日

御社の知財部®について

御社の知財部(登録商標です)というサービスを提供させていただいて、今月で丸3年になります。来年1月から4年目に入ります。

サービス開始当初は鳴かず飛ばずでしたが、今年に入り何社か契約いただきまして、今は少々忙しく活動させていただいております。

私もこのサービスを始めて、初めて営業活動というものを行ったのですが、引き合いがあっても、やはりお断りされることも多くあります。こういうときは結構落ち込みます。

お断りの理由として1番多いのが、都県や市が行っている無料の知財コンサルティングを利用することにしました、というものです。

都県・市は、中小企業支援のメニューとして無料の知財コンサルティングを行っているところが多くあります。

これは中小企業に対し弁理士や中小企業診断士などの資格を持つ人を派遣して、中小企業の知財の相談にのるというような内容となっています。しかも基本的には無料ですので、これを利用しない手はありません。

この理由でお断りをいただくと、仕方がないと諦めるしかありません。無料にはどうやっても勝てません。

このような無料の知財コンサルティングは、事業の規模が小さく知財上の課題が少ない場合に特に有用と思います。

知財上の経営課題が少なく、課題が生じるごとに解決するスタイルならば、無料の知財コンサルティングは経費削減の観点から有用と思います。

ただし、事業の規模が拡大すると知財上の課題が常時発生することになりますので、この場合、無料の知財コンサルティングですべてに対応することは難しくなると思います。

したがって、どこかの段階で、特許調査や特許出願等の知財活動の費用を自社でしっかり確保するとともに、自社に知財部のような組織を設け、組織的に知財活動を実施する必要があります。

このような知財活動を自社で行うと決意した段階で当社にご依頼いただければ、知財活動の自社による独自実施へスムーズに移行できると思います。

会社内の方を知財責任者として我々がその方を補佐しますので、社外の人材を新たに登用するよりも人件費を削減できますし、何より社内の方が知財部の責任者となりますので、組織的にも受け入れやすいと思います。

と、宣伝めいて申し訳ありませんが、ご興味がありましたら弊社(御社の知財部.com)までお気軽にお問い合わせ合わせ下さい。よろしくお願いいたします。

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