2014年12月21日日曜日

付記試験について

付記試験に受かりました。といっても、弁理士の方以外には何のことやらわからないと思いますが、この試験に合格して登録すると侵害訴訟代理ができるというものです。

昨年の合格率は40%台ということで、弁理士のレベルダウンが危惧されていたのですが、今年は運営の方もかなり気合をいれたようで、65%と高い合格率となりました。

書こうかどうか迷いましたが、来年以降受験される方のために、私が考える勉強法を以下に書きますので参考に願います。

1 とりあえず書く
弁理士であれば知識の方はそれなりにありますので、あとはそれをどうやって訴状、答弁書にアウトプットするか、の問題となります。

それには過去問をひたすら書いてみる訓練をするのが有効です。そういうのが億劫な方は、有料の答案練習会に参加するのもよいと思います。

2 知財訴訟を経験されている弁護士によるチェック
訴状、答弁書とも、独特の言い回し(方言や、業界特有のクセ)がありますので、そういう知識なしで書くと、この業界の人からみて微妙に違和感のある訴状、答弁書になります。

したがって、自分の書いた訴状、答弁書を知財訴訟を経験されている弁護士に見てもらい、表現を修正するのがよいと思います。

3 40点をどう捨てるか
国家試験は、100点満点中60点を取れれば合格ですので、60点をとる、逆に言えば、40点をどう捨ててゆくか配分を考えるとよいと思います。

特許でいえば、起案40点、小問10点となりますので、起案25点、小問5点を取れば、とりあえず合格となります。後は自分の得意、不得意に応じて、目標とする点数を考えてゆきます。

細かいテクニックはいろいろとありますが、それは勉強してゆくうちに自分で見つけられると思いますので、割愛いたします。

弁理士試験と同様、付記試験も年々受験者が減少しており、このままでは尻窄みですので、興味のある方はとりあえず受験してみてはいかがかと思います。

2014年12月13日土曜日

卵とかごについて

私は株式投資をしています。株を毎月お小遣い程度の金額でちびちび買ってゆくスタイルです。

2008年頃からやっていますが、すぐにリーマン・ショック、超円高、震災と、次々に事件が起こり、株価が超下落しましたので、本当に儲かるのかよくわからないところがあります。

株式投資には、いろいろと格言というものがあり、その1つに「卵は1つのかごに盛るな」があります。

これは、卵を1つのかごに入れて運ぶと、かごを落とした時に卵が全部割れてしまうから、いくつかのかごに分けて運べ、という教えです。

お金も1つの投資対象に投入すると、何かあった時にお金がパーになりますので、分散して投資することが推奨されます。

老人の方が投資詐欺に引っかかって全財産を失ってしまう被害を受けることがありますが、これは詐欺に引っかかるのが悪いというより(美味しい話と詐欺を見分けるのは難しい)、全財産を投入してしまうことにあります。

卵の原理に基づけば、全財産の1/3くらいが投資できる上限であり、この原則を守れば、財産の2/3は残るわけですから、生活が大きく破壊されることもないと思います。

また、借金をして何千万の家を買うというのも、資産が(借金付きの)家に集中することになり、リスクが高いといえます。

卵の原理に基づけば、1億円位の資産があって、初めて3千万円の家を(キャッシュで)買えることになります。ただし、そんなことを言ったら、誰も家を買えませんが・・・。

会社の事業も似たようなところがあり、会社としていくつかの事業を有していたほうが収益が安定します。

これは、儲かる事業、儲からない事業は、外部環境等の状況によっていろいろ代わりますので、事業を組み合わせると、儲かる事業が儲からない事業を補い、会社全体として安定するからです。

(儲かっている事業部の人が、儲かっていない事業部の人を揶揄することもあるようですが、環境が変われば、自分が揶揄される立場になりますので、 ほどほどにした方が良いようです。)

こういう考え方をポートフォリオとも言いますが、異なる性質の複数のものに分散して組み合わせることにより、全体としてうまくいくようにする考え方です。

力を集中したほうが利益が得られるような気がしますが、許容できるリスクを超えてしまう場合があるため、いろいろと分散させることを考えてみるのも必要と思います。

2014年12月7日日曜日

知財のニュースについて

このブログは一応知財のブログなので、知財の最新ニュースを紹介しようと当初は考えていました。

知財のニュースというと、裁判例、法改正、その他ビジネス上のニュースがあると思いますが、あまり知財のニュースを紹介できていません。そのいい訳は以下のとおりです。

1 裁判例について
何か判決がでますと、裁判所のHPに判決文が掲載されますが、判決文は何十ページにもなりますので、全文を読むのに時間が必要となります。

中途半端な理解をブログに公開しますと、ブログが炎上する原因となりますので、しっかり読んで、証拠にもあたって、理解を深めてから、紹介する必要があります。

しかし、そのような時間をとるのも大変ですので、怠けていると、偉い先生が雑誌等に見解を発表しはじめます。

専門に研究されている先生の方が分析が的確ですので、そちらを読んだ方がよいということになります。

こういう判決がでました!という記事でもいいのですが、あまり意味があるようにも思えませんので、裁判例を紹介する機会を逸することになります。

2 法改正について
法改正については、改正の数年前から審議会等にて法改正の内容についていろいろ審議がなされ、その審議内容が公開されることになります。

しかし、あくまでも未決の事項ですので、審議内容を紹介することは、立法過程に興味がある人は別ですが、一般の人にはあまり意味が無いのかなと思います。

改正法が成立した後はどうかといえば、法がどう解釈されるかは、裁判例の蓄積を待たねばならず、また、審査についても審査基準が改定される内容を確認せねばならず、さらに、審査基準についても、実際に審査実務が開始されてからでないとなんとも言えません。

したがって、法改正についても、実際に法が施行されないと、なんとも言えないといえます。

こういう法改正がされました!という記事でもいいのですが、あまり意味があるようにも思えませんので、法改正を紹介する機会を逸することになります。

3 ビジネス上のニュースについて
新聞などを見ますと、知財関係のニュースがしばしば報道されます。

しかし、新聞のニュースは、特定のバイアスが掛かっている可能性がありますので、報道をそのまま信用することはリスクが有ります。

最近はネイティブニュースのような、企業からお金をもらった、半分広告のようなニュースがあり、そういうニュースは客観性がありませんので、読むに値しません。

また、新聞記者の専門性が足りない場合や、特定の政治思想がある場合には、誤報、捏造の疑いがある報道がなされる場合があり、やはり読むに値しません。

そうすると、新聞報道についても、充分に裏をとらないでブログ等に紹介することは、リスクが有ります。

一応、知財ニュースについては、この欄の下に、ロボットが自動収集したものを紹介するようになっておりますので、最新ニュースはそちらで確認頂き、解釈が必要であれば、当方で調べますので、ご相談いただければと思います。

2014年11月29日土曜日

付加価値について

休みの日には家の掃除をすることになりますが、うちで使っている掃除機は一般的な日本製の掃除機です。

この掃除機には、アイドリングストップ機能というものがついており、掃除機のヘッドが床から一定時間離れると、掃除機が停止し、再度ヘッドを床につけると、数秒の後、運転を再開するというシロモノです。

このアイドリングストップ機能というものが非常にストレスで大変困っています。

掃除機のヘッドは常に床に密着している訳ではなく、床の凹凸によりヘッドは床から離れたりしますので、その度に掃除機は停止し、再起動を繰り返すことになります。

運転停止の数秒は待機しなければなりませんので、非常に掃除の能率が悪くなり、いらいらすることになります。

この掃除機を設計した人は、自動車のアイドリングストップ機能にヒントを得て、この掃除を開発したのだと思います。

自動車の場合には、ガソリンを燃やす内燃機関であり、信号待ちは数分に及びますので、アイドリングストップによる燃費の向上効果はそれなりにあると思います。

一方、掃除機の場合にはモーター駆動であり、床から離れる時間は数秒ですので、アイドリングストップ機能を設けてもその節電効果はほとんどないどころか、かえって掃除の能率を低下させ、人間の貴重な時間を奪う、負の効果の方が大きいと思います。

このような設計がどうしてなされるかといえば、製品を他社製品から差別化しなければならないという強迫観念があると思います。

差別化を図る1つの手段としては、製品に新たな機能を付加することが通常行われます。

しかし、安易に機能を付加しても、需要者にその価値が感じられなければ、付加価値とはいえず、単なるコスト上昇要因となり、逆に競争力が低下します。

したがって、機能を付加する場合には、本当に需要者に価値があるものなのか熟慮しないと、うちの掃除機のようになってしまいます。

そのためには、顧客ニーズの調査を行うとか、実際に掃除機を使用している人を設計者に加えるとかの工夫があるとよいと思います。

最近はお掃除ロボットというものが普及しておりますが、これは人間の貴重な時間を掃除で消費するのを防止できるという価値を提供できますので、顧客ニーズを(偶然かもしれませんが)掴んだ商品と言えます。

ということで、機能を追加する場合には、需要者に本当に価値を提供するものか、検証することも必要かなと思います。

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