2015年4月8日水曜日

弁護士のマーケティングについて

この間twitterを見ていましたら、「仕事がない弁護士はマーケティングをすればよい。コトラーを読め」的なツイートを見かけました。

確かにそうなのかもしれませんが、少々違和感がありました。まあ、話半分なのかもしれませんが。

ということで、私なりに弁護士のマーケティングを考えてみました(弁護士ではありませんが・・・。)

マーケティングといえば、いろいろなフレームワークがありますが、有名なのが4Pです。

4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の各要件について、市場に受け入れられる組み合わせを考えるようなことをいいます。

ます、製品(Product)ですが、弁護士の業務は民事、刑事、渉外等の法律事務ですので、業務自体で差別化することはできません。

ただし、レベルの高い仕事をすることにより、質で差別化することは可能です。

したがって、製品(Product)の面からは、実務をこなし、裁判例を研究するなどして実務能力を向上することがマーケティング的には有効と思います。

次に、価格(Price)ですが、手数料を安くすれば差別化することは可能です。

しかし、ここで考えなければならないのは、弁護士はプロフェッショナルであるということです。

波頭亮さんの「プロフェッショナル原論」という本には、「プロは値引きをしない」とありますので、これはなし、ということになります。(詳しくはこの本を読んでください。とてもよい本です。)

流通(Place)につきましては、なかなかピンときませんが、例えば、人が集まるいろいろなところ(商工会、異業種交流会、同窓会、・・・)に顔を出して活動し、名前を売る活動をすることにより、仕事の紹介が得られるかもしれません。

プロモーション(Promotion)につきましては、プロフェッショナルは営業してはならないという固有のルールがあることが悩ましいところです。

波頭亮さんの「プロフェッショナル原論」という本には「プロフェッショナルの仕事はクライアントの依頼があって初めて発生するものなのである。つまり自ら売り込んだり営業活動を行ってはならない」との記載があります。

したがって、プロモーション(Promotion)もなし、ということになります。

そうすると、4Pから考える弁護士のマーケティングとは、実務能力を高め、いろいろなところに顔を出す、ということになります。

しかしこのようなことは、当たり前のことで、わざわざコトラーを持ち出す必要もありません。

先ほどのツィートは、通常のビジネスには当てはまりますが、弁護士というプロフェッショナルの特性を知らないで、つぶやいたのかもしれません。

ということで、コトラーを読む暇があるのなら、判例の研究でもしたほうが、マーケティング的には正しいということになります。

2015年3月10日火曜日

商工会議所の名刺交換会について

3/10に横浜商工会議所の新会員交流会に参加してまいりました。

交流会の前半では商工会議所のレクチャーが行われ、交流会の後半では会員同士の名刺交換が行われるのですが、ここでは少々苦戦して帰ってきました。

名刺交換はビジネスチャンスを広げる目的で行われます。

当社の事業は「知財支援」ですが、あまり知財が関係しないような企業の方には、どうにもピンとこないようで、名刺交換しても話があまり盛り上がらず、少し落ち込みました・・。

横浜商工会議所の会員の業種割合を見ますと、多い順に、建設18.7%、小売16.9%、観光・サービス14.8%、卸・貿易11.2%、機械・金属工業8.9%、情報関連8.0%、・・・となっておりますので、 特許が関係する企業は10%ない、ということになります。

そうすると、やたらめったらに名刺交換をしても、仕事の依頼につながる確率は非常に低いということになります。

もちろん、機械・金属工業系の企業を見つけて名刺交換すればよいのですが、胸の名札から業種を見分けるのは無理でしたので、早々にあきらめました。

一方、税理士や社労士のような、すべての企業にかかわる仕事の場合には、新会員は立ち上げたばかりの企業も多いと思いますので、名刺交換はビジネスチャンスを得る有効な機会となります。

同様に、小売など需要層が広い業種の場合には、 名刺交換は非常に有効と思います。

よく、「魚を釣るには、魚のいる場所で釣れ」といいますが、営業に関しても同様で、知財上の課題を抱えている企業がいる場所で営業をしたほうがよさそうです。

逆に、当社でも需要者を広くできるような商品・サービスを開発できればよいのかと思いましたが、これもまた難しく、新会員になってはみたもの、商工会議所をどう利用していくか悩みどころです。

2015年2月15日日曜日

評価軸について

BABYMETAL(以下、単にBMにします。)というグループが世界的に人気だそうです。

ベイビーメタルではなく、ヘビーメタルに引っかけて、ベビーメタルというそうです。

昨年末のテレビで見たときは、あまり魅力を感じませんでしたが、sonisphereでのライブをyoutubeで見ましたら、一流アーティストのオーラが出ており驚きました。

さて、 BMに関しましてはメタラーからはいろいろな評価がなされているようですが、当初はやはり最低の評価をする人もいたようです。

ネット上で見かけたのは、1stアルバムの評価を100点満点中30点と最低の評価をしたものの、最近は評価が変わり80点としている人です。こういう人は多いのではないかと思います。

同じものに対して評価が時間変化しているところが面白いと感じました。

もともとへヴィーメタルは様式美のようなものが強いのでメタラーの評価は固定的なものが多いと思います。

そういう人がBMを評価すると以下のようなイメージとなると思います。





女性ボーカルですので、パワーに見劣りし、様式的には、白人至上主義が強いジャンルでもありますし、そもそも十代前半の女の子がやる音楽ではありません。演奏については職人が演奏しておりますので、優っている部分も多いかと思います。

このような感じで5段階で評価してゆきますと、全体的な印象では、従来のバンドに対し評価は低い感じとなります。

一方、BMをアイドルとした場合には、以下のイメージかと思います(数値に根拠はありません。あくまでもイメージです・・・。)



さて、メタラーの評価が変化した、というのは、すなわち、メタラーの頭の中に、メタルに対しての新しい評価軸が形成されたのでは、という仮説を立ててみました。

その評価軸は、以下のようにメタルとアイドルを組み合わせたものになります。



新しい評価軸では、従来のバンドはダンスもしませんし、ポップさもあまりありませんので、評価が低くなります。一方BMは、全体的に従来バンドを上回り、評価も高くなります。

このことはいろいろ考えさせるものがあります。

一つ目は、イノベーションは新結合とはいいますが、評価軸の結合でもあるということです。イノベーションは単に物事を組み合わせただけでは生じません。

そこでイノベーションを人々に普及させることが必要となりますが、それには新しい評価軸を構想し、人々の頭に植え付けることがは必要と思います。

ではどうすればよいかというと、よくわかりません・・・が、早くプロトタイプを作って市場に投入し、人々の心理的な影響を考察し、改善してゆくプロセスとなると思います。

新しい評価軸の構築に成功すれば、従来のものの評価は一気に低くなり、ライバル不在の状態となります(このあたりはブルーオーシャン戦略にも通じます)。

二つ目は、新しいものを評価する場合に、既存の評価軸を用いることは危ないということです。

例えば、スマホが登場した際に、携帯電話の評価軸をもって評価すると、電池がもたない、フリーズする、大きく重い、などネガティブな評価ばかりとなり、スマホなどやる必要がないという評価になってしまいます。

実際、日本のメーカーはスマホへの参入が遅れ、取り返しのつかない状態となってしまいました。

そうすると、新しいものを見る場合には、まず、新しい評価軸とは何ぞや、というところから始める必要があると思います。

三つめは、非常にうまくやっていたとしても、評価軸の変化に気がつかないと、相対的な評価が下がってゆくということです。

ガラケーあたりも既存の評価軸を改善する技術開発を行って高度なものとなっておりましたが、スマホの登場によって評価軸が変わり、高度な技術であるにも関わらず製品の競争力が低下してゆきました。

さて、 BMに戻り、5、6万人もの白人のおっさんを前に臆することなくパフォーマンスをしていることに感心しました。

おそらく、日ごろから非常な修練を積んでいるのだと思います。この調子で頑張ってほしいと思います。

2015年2月8日日曜日

円安と円高について

昨年末、気分転換に数日沖縄へ行ってきました。


(写真は勝連城です。)

沖縄へは毎年年末に行っているのですが、今年は外国人観光客が非常に多いと感じました。

私は主に路線バスを利用して移動します。北部の方のバスは、運転手と私だけ乗っているという状況が従来なのですが、今年は中国人(台湾人)でいっぱいということもありました。

また、基地で働く米国人はクリスマス休暇で本国へ帰還してしまうのが従来なのですが、今年は家族連れで観光している姿が多く見受けられました。

そんな感じですので、今年の沖縄は例年に比べて活気があり、円安の効果を実感しました。

思えば、ここ何年かは大変な円高の時代でした。

円高になりますと、日本のものや、サービスの相対価値が上昇しますので、平均的な労働者の給料も相対的に高くなって競争力を失い、仕事が海外に逃げてゆきます。

したがって、日本国内に仕事がなくなり、一般的な労働者は失業のリスクが高まります。

ただし、資産のある人や、一定の収入が確保されている人(公務員、年金生活者)については、相対的な資産価値や収入が上昇しますので、よい生活ができます。

一方、円安になりますと、日本の物、サービスの相対価値が低下しますので、日本人の給料が相対的に安くなり競争力が向上し、日本国内に仕事が戻ってきます。

ただし、円の価値は低下しますので、働いて収入を得ても、あまり豊かにはなりません。

結局どちらが良いかといえば、私のような国際競争力のない普通の労働者には、円安の方が給料は安いものの、失業のリスクが低くなる点で有利かと思います。

とはいえ、理想としては、仕事のスキルを高め、国際競争力のある人材となり、資産を蓄積することが、円安、円高にかかわらずいい生活ができますので目指すところになりますが・・・。


さて、今年はさらに円安になるのでしょうか。それとも円高に戻るのでしょうか。

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