2017年7月24日月曜日

ブランド知識について

(前記事)
ブランドQFDについて
ブランドの定義について

ブランドとは、「製品・サービスに関する構造化された知識」と勝手に定義しましたが、それでは知識(ブランド知識ともいいます)とは、具体的には何かといえば、その製品を説明するために使用される用語のすべてです。

例えば、原産地、原材料、デザイン、ハードウェア構造、品質、ユーザーの知覚、感想、広告宣伝・・・などです。ほかにもあるかもしれません。

余談ですが、某スーパーのプライベート商品については、以前は、原産地表示がありませんでした(今はあるようですが・・・)。

重要なブランド知識である原産地の情報を顧客が得られませんから、製品の品質を顧客が判断することができません。

この場合、狭義のブランド(PB)は製品に付されているとはいえますが、広義のブランドと言えるかどうかは疑問となります。

一方、フランスのワインなどは、原産国、原産村、原産畑、醸造者、製造年、等級などをエチケットを見るだけで分かるようにしております。つまり、過剰ともいえるブランド知識を顧客に提示しております。

こうすることにより、フランスワインのブランド価値を高めている(すなわち、高く売れる)ことになります。

ブランドQFDで使用する知識は、「ユーザーニーズ」、「品質」、「ブランド属性」の3種の知識です。

これに限られるというよりは、上記3種は、従来のQFDや特許情報解析でも分析に多用される知識ですので、実績もあり流用しやすい事情があります。

もちろんその他にいろいろな情報(デザインなど)を組み合わせても良いのですが、それは今後の課題です。

2017年7月22日土曜日

ブランドの定義について

 (前記事)
ブランドQFDについて

巷では「ブランド」や「ブランド戦略」という言葉が使われますが、そもそも「ブランド」の定義がよくわからないところがあります。

狭義には「自社製品に用いられるマーク等」となりますが、巷で「ブランド」という場合には、それ以上の意味が含まれていることが多いです。

私もいろいろ文献を当たりましたが、「ブランド」の定義を明確に書いているものは少なく、使われ方も文献によりまちまちでした。

ということで、「ブランド」のはっきりした定義はないのですが、 ケラーの「精神的な構造を創り出すこと,消費者が意思決定を単純化できるように,製品・サービスについての知識を整理すること」という考え方が自分にはしっくりきます。

私が考えるブランドとは、「製品・サービスに関する構造化された知識」としたいと思いますが、いかがでしょうか。もちろん、それは違うというお考えもあるとは思いますが・・・。


2017年7月15日土曜日

類似商品・サービスへの対処について

本屋の雑誌コーナーで「類似商品・サービスへの対処について」の特集が組まれた法律雑誌(ビジネスロージャーナルの8月号)を見かけたので、買ってみました。

1000円くらいかと思ったのですが、レジで2500円を請求されて、値段を確認しておけばよかったと後悔しました。

内容としては、弁理士、弁護士の解説が2/3で、残りが企業担当者の座談会でした。

弁理士、弁護士の解説については、特に目新しい部分はありませんでしたが、コメダ珈琲の事件について、弁護士の方が少し興味深い意見を述べられていました。

(その内容をここで書くのもなんですので、ご興味のある方は、ビジネスロージャーナルの8月号をご入手ください。)

しかしながら、1次ソースの決定をまず見ておくことが有用と思いますので、以下のリンクを参照願います(恥ずかしながら、私もこれから読みます。)

平成27年(ヨ)第22042号仮処分命令申立事件

 一方、面白かったのが、企業担当者の方の座談会です。結局のところ、類似商品・サービスへの対処として、訴訟を起こしても、勝ち目が薄い(ほとんど勝てない)ので、どうするか悩みどころとなります。

迂闊に経営陣に積極策を進言しますと、訴訟で負けた時に社内でつるし上げをくらうことがあるそうです。

しかしながら、模倣を見過ごすわけにもいかず、どうしようということになります。

結局のところ、知財担当者としては、上記のコメダ珈琲の事件などを分析して、勝てる道筋をつけるとともに、できるだけ交渉で決着をつけるような作戦しかとれません。

それでも最後は訴訟を提起する場合もありますが、この場合には、勝訴を期待するというよりも、訴えの提起により交渉が前進することを期待したり、訴訟の事実が世に広まることにより、世論の支持を集めることを期待することになります。

企業の知財担当者は大変ですね・・・。

類似商品・サービスへの対処として、訴訟を起こしても、勝ち目が薄い原因としては、ひとつは、不競法に基づく訴訟となっているからです。

そうしますと、 類似商品・サービスへの対処としては、独占排他権たる商標権、意匠権を取ってゆくのが、一番の対処となります。

とはいえ、店舗デザインのようなトレードドレスについては商標登録されにくい事情がありますので、この場合には、不競法2条1項1号で差止請求できるよう、常日頃から証拠づくりをしなければなりません。

例えば、店舗のデザインについては、他の店舗にない特徴的な部分を付加しておくことや、同一の店舗デザインを継続的に使用して周知性を獲得しておくことなどです。

あとは、もう少し不競法で勝てるように法改正でもしてほしいのですが、これは無理ですかね・・・。 

2017年7月13日木曜日

ブランドQFDについて

パテント誌2017年3月号に掲載されました、当論文「ブランドQFDを活用した調査手法の開発」が、弁理士会のホームページで公開されました。

該当ページへのリンクはこちらです。
https://system.jpaa.or.jp/patent/?freekeyword=%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89&year%5Byear%5D=2017&month%5Bmonth%5D=03

論文の内容につきましては、おいおいここで説明させていただきたいと思いますが、どうしてこのような研究をしようかと思い立ったかといえば、某所で行ったセミナーが契機となりました。

テーマとしては「中小企業のブランド戦略」だったのですが、仕事がら、商標の登録要件や、商標権の権利行使などの説明を主に説明しました。

ただこれは商標(トレードマーク)の話であり、ブランドはもう少し違うものを示すのではないかという疑問も生じてきました。

ブランドというものはトレードマークの背後にある、形のないものでありますので、やはりそちらの方を明らかにする必要があると考えました(続く)。

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