2020年1月1日水曜日

混ぜると危険?

昨年の知財学会で、レビュー情報と特許情報を混ぜないほうが良いのではというご意見があったことを、以前ブログに書きました。

知財をデザインする: 発表終了の件

顧客の生の声の集合であるレビュー情報は、内容が整理されておらず、一般には汚いデータと言われるそうです。

一方、特許情報の元となる明細書は文書作成のプロである弁理士さんが書いておりますので、(比較的)綺麗なデータと言えそうです。

そうしますと、汚いデータを綺麗なデータを混ぜて処理するのは危険という考えはごもっともとなります。

今回混ぜましたのは、テキストマイニングの技術を使用しますと、混ぜて処理できる、ということを試したかったからです。

従来の特許情報分析では、特許分類や書誌的事項等を含む所定のフォーマットのデータしか分析しませんでしたが、テキストマイニングによれば、テキストデータであれば何でも処理できます。

そうしますと、特許情報に限らず、技術論文やアンケート、その他何でもテキスト化したデータであれば混ぜて処理できることになります。

もちろん混ぜたら混ぜたで弊害はあるかもしれませんが、このような処理を考えたというアピールを含めて、上記発表となった訳です。

さて、テキストマイニングの共起性に基づく評価に関しては、特許情報よりもレビュー情報のほうが有用となります。

それは、特許情報の方は、自然法則に基づいておりますので、共起性を考えずとも、要素間の関係の強さは論理的に予測可能だからです。

一方、レビュー情報の方は、心理的なものですので、論理的な分析は不可能(解釈は可能)ですので、共起性が要素間の関係を理解する唯一の手段となります。

ということで、特許分析に限れば、テキストマイニングの利用価値はあまりないかもしれませんが、レビュー情報を含める場合には利用価値は高いということになります。

2019年12月21日土曜日

来年について

最近は1年に1つは新しいことをやろうと考えております。そうしませんと、時代の流れに置いてきぼりになるためです。

しかし、義務的に考えますと精神的に苦しくなりますので、できなくてもかまわないという適当な心持で臨んでおります。

来年やろうと考えているのは、以下のような感じとなります。

1.アプリ開発

今年は、KHcoderを使って特許マップを書くという論文を発表しましたが、KHcoderは特許分析用のソフトではありませんので使い勝手が悪い部分もあります。

そこで、KHcoderを魔改造して特許分析用に使いやすくしてみるのもいいと思います。

ただし、KHcoder自体フリーソフトですので、できたアプリが100万円では話になりません。そういう意味では、はたして採算ベースにのるのか?という課題はあります。

私にアプリ開発の能力はありませんので、特許マップソフトメーカーに2,3社あたって、断られましたら、その時点であきらめます。

ご興味のあるメーカー様がございましたら、ご連絡ください。

2. デザイン思考QFDの作成

現在、デザイン思考に使えるQFDを考えておりますが、先行研究がないようですので、少々困りました。このあたりのロジックを自分で考える必要があります。

ひとまず、デザイン思考に関する本を読んで(非常にたくさんあり、何を読めばよいのかわかりません・・・)、ロジックを考えたいと思います。

それができますと、ブランドとデザインと技術の関連性を示すQFDを作成できることとなります。そこで、気が早いですが、ひとまずマークを考えてみました。


品質を中心にして、ブランドとデザインと技術が結合するイメージとなります。品質管理系の人が喜びそうな図です。

ネーミングとしては、IP-QFD、知財QFDあたりになるかと思います(商標出願しないでください・・・)。

できれば、来年の知財学会(東京で開催されればですが・・・)で発表できればと思います。

2019年12月10日火曜日

今後の進め方について

次のテーマは、デザイン思考に資するQFD分析となりますが、これは簡単な話となります。

もともとQFDはニーズシーズマッチング機能がありますので、デザイン思考につかえるのは明白であり、そのような事例も既にあると思います。

では、なぜやらなかったかといえば、デザイン思考自体は何年も前から流行っており、今から始めても後追い感があるからです。(同様の理由でIPランドスケープもやってません。)

では、なぜやるかといえば、今回の知財学会で、最も難易度が高いと思われた、ブランドの分析について、ある程度の道筋がつきましたので、残るはデザインとなったからです。

デザイン分析が可能となりますと、

1、特許情報を用いた技術分析
2.特許情報とレビュー情報を用いたブランド分析
3.特許情報とレビュー情報を用いたデザイン分析

が可能となりますので、特、意、商の知財のすべての分析が可能となります。

そして、QFDは、多数の2元表を組み合わせることが可能ですので、

4.特許情報とレビュー情報を用いた、技術・デザイン・ブランド分析

を1つの表にすることができます。(1つにまとめると逆にわかりにくくなるかもしれませんが・・・。)

そうすると、このブログのタイトル通りの、「知財をデザインする」感がでてまいります。

ということで、4.を最終の目標として作業したいと思います。

2019年12月8日日曜日

ブランド的な商品開発の課題について


学会発表も終わりましたが、発表の主題を、テキストマイニングによるブランドQFDの作成から、ブランド的な商品開発へ変更しておきました。

ブランド的な商品開発を簡単に言えば、自己表現や情緒を充足するよう技術開発をすることとなります。



と、簡単に言いましたが、本当にできるのでしょうか?

このような技術開発をするには、自己表現やら情緒やらを、組織が理解する必要がありますが、日本の企業では、情緒的なことは甘えと捉えられ、うけが良くありません。

自己表現より自己犠牲、情緒より論理、というのが今の労働環境ではないでしょうか。

ということで、ブランド的な商品開発を行うには、自己表現やら情緒やらを受け入れるよう、組織が変わりませんとどうしようもありません。

他の考え方としては、日本企業は技術面で頑張り、自己表現やら情緒やら考えないということもあるかと思います。

ところが、この考えにも落とし穴があり、技術とは論理的思考でどうとでもなりますので、模倣に弱いという欠点があります。

つまり、工学部卒の優秀な人材を集めてお金を投入すれば、どこの国でもそれなりのものができますので、優位性を維持しにくい欠点があります(そのために特許があるのですが・・・)。

一方、自己表現やら情緒やらは心理的なものですので、論理的思考では分析しにくく、模倣されにくいという長所があります。

したがって、ブランドを確立すれば模倣されにくいという長所があります(商標の模倣は発生しますが・・・)。

ということで、このあたりを課題として、今後も考えてゆきたいと思います。

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