2020年9月22日火曜日

明細書作成ツールを考える。

私は以前はメカ屋をやっておりました。私の世代はちょうど手書き図面から3D-CADへの移行期にあたる世代で、私はどちらの設計法でも機械設計が可能な最期?の世代となります。

手書きで機械設計というのは、干渉チェックや動作や構造のチェックが、実際の機械を組み立ててからでないとわからない部分もあり、手直しが多く発生し、経験がものをいう世界でした。

一方、3D-CADを使用しますと、干渉等のチェックを、設計をしながら確認できますので、設計の手直しをなくすことができ、省力化につながります。

すなわち、CADの方で設計者の経験不足を補助し、それなりの完成度の機械をはじめから設計できることになります。

その後転職して、明細書を書いておりますが、いつも感じますのが、何か便利ツールはないかな…、ということとなります。

現状の明細書作成は、機械設計における「手書き時代」に相当するかと思います。拒絶理由(29条、36条)のチェックが、審査請求をしてからでないとわからない部分があり、中間処理が多く発生し、経験がものをいう世界となります。

そうしますと、機械設計における3D-CADのような、拒絶理由の可能性をチェックしながら明細書を作成できるツールがあれば、中間処理を減らすことができ、省力化につながると思います。

ツールの方で、明細書作成者の経験不足を補助し、それなりの完成度の明細書をはじめから作成できるようになればよいと思いますし、まあ、近い将来はそうなるのかな、と思います。

明細書作成自動化という考え自体は、以前からありましたが、技術的に困難であることから、実用化に至ったものは存在しないと思います。

状況が変わったのは、いわゆる人工知能を使用すれば何とかなるのではないかという期待感があります。

しかし、現状の人工知能は、29条のざっくりとした判断ができるのみですが、明細書を作成するということは29条のみならず、36条もクリアできる必要があります。

すなわち36条対応の人工知能ができるかどうかが、明細書作成対応のポイントとなります。

私の考える、明細書作成AIの処理手順は以下のようになります。

STEP1.請求項を人間が作成する。

請求項をAIが作成するというのは、すなわち、AIが発明するということになりますので、これはこれで興味深いテーマですが、ここでは人間が作成することにします。

ここでは、請求項をA+B+Cとしておきます。

STEP2.AIが類似文献抽出

AIが請求項A+B+Cに類似する文献を抽出します。これは、現状のAIでも処理可能です。また、AとBは文献1に類似し、Cが文献2に類似するとします。

STEP3.AIが段落抽出

AIが文献1(明細書)からAとBに関する説明が記載された段落を抽出する。同様に文献2からCに関する段落を抽出する。これも現状の技術でできそうです。

STEP4.AIが明細書生成

AIが抽出した段落を適当に組み合わせて明細書を作成する(ここでの「適当」という言葉は悪い意味で使用してはおりません)。

適当に組みあわせただけでは論理的な文章にならず、36条で拒絶されると思いますので、ここで凝った処理が必要となると思います。どういう処理になるかは私にはわかりません。

この適当な明細書を人間が36条を満たすように修正するという、というのが現実的なところでしょうか。弁理士にこういう仕事が回ってきて、ディスカウントを迫られる未来が見えるようです・・・。

この凝った処理をAIにやらせるような開発も考えられますが、開発にはお金がかかりますので、市場性があるかどうかがポイントとなります。

逆に言えば、現状、明細書作成ツールが開発されていないのは、単に儲からない(開発費を回収できない)という理由だけかもしれません・・・。

2020年9月18日金曜日

多少困った件

知財学会の予稿締め切りが9/30と迫ってきましたので、そろそろ作業しようと思います。

少々困ったのが5月末に早期審査の事情説明書を提出した件について、4か月弱となる今でも審査結果の通知がないことです。

知財学会で発表する内容に関連して出願しましたので、これが特許となるか、拒絶となるかで書く内容が変わってきます。

早期審査については、通常3か月で最初の審査結果が通知されますので、これは審査が遅れているといえます。

理由についてはよくわかりませんが、コロナの影響でしょうか。

仕方がありませんので、審査結果がどうなってもよいような感じでまとめるしかありません。

本番まであと2か月であることを考えますと、そろそろパワーポイントの方も着手した方がよいかもしれません。この4連休を利用して作業を進めたいと思います。

2020年9月8日火曜日

めざせデータサイエンティスト?

noteの方に、記事を投稿しました。

Pythonで特許マップを作成してみる#8   


一応、特許マップ完成ということで終わりにしましたが、何か、こう、出願件数ベースのマップというのは素朴な感じがします。

Pythonを使いますと、もっと込み入った分析ができますので、件数の大小レベルのマップというのは、レベルが低そうな感じもします。

しかし、マップの分かりやすさで言えば件数ベースのマップがよいと思います。

統計的な解析や機械学習による解析を行えば、面白いアウトプットが得られると思いますが、マップを作った人以外には真偽の判断がつかず、誰も理解できないということも起きかねません。

とはいえ、Pythonを使う以上、一通りの解析法をマスターしておこうと思います。要はデータサイエンティスト(IPデータサイエンティスト?)を目指そうかなと思いました。

データサイエンティストといえば今流行りですのでよいかと思いましたが、私がtwitterでフォローしているえらい某先生は、そろそろデータサイエンティストも、流行りを過ぎた、とつぶやいておりました。

要は、データサイエンスの限界が見え始めて、期待が失望に変わるような兆しが見えているのだと思います。

こういう流行りものは手を出すタイミングが難しく、手を出さないという選択が正しい場合もあります。例えば、ロースクールができた後の弁護士などはそうかと思います。

あとは、IPランドスケープも、ちょっと手を出すには遅かったかな、と思います。

もちろん、流行りが過ぎても、そこで得られた知識は無駄にならず、いずれ役に立つときがきますので、流行りにはすべて手を出す、ということでもよいと思います。

おそらく今のAIブームも長続きはしないと思いますので、データサイエンスの勉強も無駄になるかもしれませんが、いろいろ勉強するのもよいかもしれません。

まあ、その前に、知財学会の発表資料を作らねばならないのですが・・・。

2020年9月3日木曜日

自己表現と情緒について

今、noteで特許マップを書くことにチャレンジしておりますが、次回のテーマはブランドQFDを使った分析を実例を使ってやろうと思っています。

ブランドQFDによる分析とは、簡単に言えば、特定商品の自己表現的ベネフィット、情緒的ベネフィット、機能的ベネフィットの関係を明らかにするということになります。

そのうち、特にユーザーにインパクトがあるのは、自己表現的ベネフィットと情緒的ベネフィットとなりますので、これらを重視した商品開発をしましょうということになります。

特にBtoC商品においてブランドが重要となります。

しかし、ここで問題となるのが自己表現とか情緒とかは、日本の社会においては、余計なもの扱いとされがちな点です。

日本の職場環境はハラスメントや精神論だらけで情緒などありませんし、自己表現をしますと、出る杭が打たれる状況となります。

そういう会社が作る製品に自己表現的ベネフィットと情緒的ベネフィットがあるはずもありませんので、BtoC製品はあきらめ、機能が重視されるBtoB製品に軸足を移すしかないことになります。

また、学校でも自己表現(self expression)とか情緒(emotion)とかの教育はしませんので、技術者にも自己表現や情緒に関する知識がなく、自己表現的ベネフィットと情緒的ベネフィットがある商品を開発しろといわれても無理な相談となります。

しかし、自己表現とか情緒とかの勉強をしなければ、BtoBの世界でしか生きられなくなってしまいますので、このあたりの知識を吸収する必要が今後の技術者には出てくると思います。

具体的な勉強のジャンルとしては、アートとなるのでしょうか?あとは心理学などもあるかと思います。何かアートの理論を商品開発に応用できれば、面白いと思います。

このあたりは、いずれ勉強したいと思います。

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