2012年4月15日日曜日

【広告】御社の知財部:Lightサービス開始について

この度、弊社では、新しいサービスを企画させていただきました。

その名も「Lightサービス」です。これは、従来のサービスと比較しまして、料金を低減し、契約期間を短くしたサービスです。


このようなサービスを設けた背景としましては、知財活動が必要か否か判断がつきかねるので、試験的にサービスを導入したい、とのご要望があったからです。

契約期間は6ヶ月ですので、様子見で導入した場合でも不必要と判断出来れば早期に中止することができ、それ以上のご負担は生じません。

もちろん必要であると判断していただければ、標準サービスへ移行することにより、更に高度な知財活動を行うことも可能です。

詳しくは、弊社ホームページも参照願います。よろしくお願い致します。

2012年4月12日木曜日

失敗の本質と情報の収集について

「失敗の本質」という本があります。私もだいぶ昔のこの本を買ったのですが、半分程度しか読んでいません。

その理由は、文章が少々難解であることもありますが、一番の理由は日本の負け戦が延々と述べられ読む意欲が失われたからです。

昨日本屋で、「失敗の本質」の入門書なるものを見かけましたので、買って、今度は最後まで読みました。そうすると、現在の日本にも当てはまる様々な課題が存在することがわかりました。

中でも興味深かったのは兵器へのレーダーの導入部分です。技術的にはアメリカが進んでいたと思われがちですが、当時の日本にもそれなりのレーダー技術は存在しておりました。

しかしながら、アメリカは兵器へのレーダーの導入を積極的に進めたのに対し、日本ではアンダーグラウンドの技術とみなされ、十分な予算がつきませんでした。

戦艦にレーダーを搭載する実験を行おうにも、軍人からゲジゲジのようなものを船につけるのはいやと拒否され、艦内には設置させてもらえず、甲板上の掘っ立て小屋で実験を行う始末となりました。

また、攻撃機にレーダーをせっかく搭載したのに、パイロットがわざわざレーダーを取り外して夜間攻撃に飛び立ち、当然何の戦果もあげず帰って来たそうです。

なぜこうなったかはよくわかりませんが、日本軍は情報を軽視していたことが考えられます。一方、アメリカは日本の暗号も早い段階で解読していることからも、情報を重要視していたことがわかります。

アメリカ軍は情報をベースに合理的な作戦を立ててきますので、日本軍が勝てるはずもありません。

現在のアメリカの企業も情報収集に積極的に費用を投じており、情報分析に基づいて経営戦略を構築します。情報にはもちろん特許情報も含まれます。

一方、日本企業はどうでしょうか。レーダーの無い戦艦、攻撃機になっていないでしょうか?グローバルな競争に打ち勝つためには、特許情報を積極的に利用したいものです。

2012年4月7日土曜日

桜も満開となりました

知財とは関係ありませんが、桜の写真を撮ってみました。




昨年の今頃は日々の生活に不安があり、桜を楽しむ余裕もありませんでしたが、今年は平穏な暮らしが戻ればと思います。

特許権の売却について(その4)

前回までの検討で、農工大特許の売却先として船井電機は好適であることがわかりました。

では、売却先として船井電機自体を抽出するにはどうすればよいか疑問があると思います。

実際には、この技術分野の出願件数TOP10は、ソニー、シャープ、富士通などの大手電機メーカで占められており、船井電機は20位くらいに登場します。

そこで売却候補は、ソニーやシャープあたりが候補になるのが自然と思います。

出願件数の多少に影響されずに売却候補を選定するためには、特許情報以外の情報も参考にする必要があると思います。

非特許情報には、論文、技報、プレスリリース、IRなどがありますが、これら資料の内容と特許情報とを組み合わせて総合的に判断すれば、確度が高くなるのではと思います。

実際には、特許情報や非特許情報から候補を10社程度に絞った段階で、各社に営業をかける方が時間の節約となると思います。

その場合でも、特許情報を解析した結果を営業資料として持参すれば、説得力のある営業トークができると思います。

ということで、営業活動に特許情報をもっと使用すれば、時間も節約できますし、営業の確度も向上すると思いますので、どんどん利用していただければと思います。

2012年4月2日月曜日

特許権の売却について(その3)

前回は船井電機の出願傾向を把握いたしました。特許権が売れそうな可能性は感じさせますが、これではまだ特許権が売れるかどうかの判断はつきかねます。

そこで次に、農工大特許が船井電機が必要とする技術か否かを検討したいと思います。必要とする技術には次の2つのパターンがあると思います。

一つ目は、船井電機の技術上の強みを更に強化する技術であり、二つ目は、船井電機の技術上の弱みを補完する技術です。

そこで、船井電機の出願のFIと農工大特許のFIを比較してみたいと思います。なお、FIとは日本独自の特許分類であり、内容はIPCとほぼ共通してます。IPCと同様に全ての特許出願に割り振られております。



図からわかりますように、船井電機と農工大とはG06F 3/048 630(マウス等におけるユーザインターフェース)で共通することがわかります(赤枠内)。

一方、農工大はG09G 5/34 Z(スクロールに関する事項に特徴の有るもの)等に関して、船井電機にはない技術を有していることがわかります(青枠内)。

つまり、農工大の特許技術は船井電機の技術を補完する技術であることがわかります。そして、船井電機は農工大特許を購入することにより、自己の特許ポートフォリオを抜けのないものとすることが可能となります。

したがって、農工大特許の売却先に船井電機は好適であることがわかります。次回はまとめです。

2012年3月31日土曜日

特許権の売却について(その2)

さて、今回は農工大が船井電機に特許権を販売することを考えたいと思います。船井電機に特許権を買ってもらうためにはどのような検討をすればよいのでしょうか。

営業をするとか、販売価格を安くするとかの方法が考えられますが、ここでは技術的な面からのアプローチを考えたいと思います。

例えば、農工大の特許権の技術分野が船井電機の求める技術にマッチしていれば、購入してもらえる可能性が高まります。技術的なマッチングを確認する方法としては特許情報を解析する手法があります。

農工大特許の技術分野を特許公報で確認しますと、IPCでいえば、G06F 3/033、G06F 3/041、G06F 3/048あたりですので、この分野の船井電機の出願状況を確認してみましょう。

ちなみにIPC(国際特許分類)は、国際的に統一されて用いられる特許文献の技術内容による分類のことをいいます。すべての特許出願にはこのIPCが割り振られておりますので、特許解析に用いるには非常に便利です。

また、G06Fは「電気的デジタルデータ処理」を示す分類です(特許電子図書館のパテントマップガイダンスで詳細な内容を確認することができます)。

まず、船井電機のIPC別出願件数を時系列で確認します。




上の図の縦軸がIPC、横軸が出願年です。なお、図では2010年以降の出願がほとんどありませんが、これは出願公開は出願から1年6ヶ月以降になされるため、出願の有無を確認できないからです。

赤枠内が、船井電機のG06F 3/033、G06F 3/041、G06F 3/048の時系列の出願件数を示しております(丸(バブル)の大きさが出願件数の多さを示しております)。

図からわかりますように、船井電機はこの技術分野の出願を2004年から始めており2009年まで出願件数は増加傾向にあります。

したがって、船井電機はこの分野に多くの投資を行なっていることが想像できますので、特許権を売却できる可能性は高いと判断できます。

次回は、農工大特許と船井電機の技術との関係を考えたいと思います。

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