本日は7月2日ということで、1年も半分が過ぎました・・・。
今年は弁理士知財キャラバンの仕事をしようとスケジュールに余裕を持たせてましたが、依頼もまったくありませんので、こちらの仕事はもうないという前提で、空いた時間に何かをしようと思います。
1つ考えているのは、12月の知財学会での発表です。知財学会では3年前までは発表していたのですが、付記試験の勉強の時間が必要だったことや、面白いネタがなかったことから、ここ数年発表をお休みしていました。
今年は、発表できそうなネタを見つけましたので、それを膨らませて、発表したいと思います。
6/30に発表のエントリーはしましたが、発表が認められるかどうかは、8月に通知されます。ダメなら仕方ないですね・・・。
もう一つは、会社の営業をしようかと思います。弊社サービス「御社の知財部®」 を1~2社募集いたしますので、知財活動にお悩みの会社様がありましたら、 「御社の知財部®」 へお問い合わせいただければと思います。
2016年7月2日土曜日
知財高裁判決(2016年4月17日~2016年4月30日)
2016年4月17日から2016年4月30日までになされた裁判は、侵害訴訟1件(特許1件、商標0件)、審決取消訴訟8件(特許5件、意匠1件、商標2件)です。
1.
侵害訴訟
*コメント
クレームが長いですね・・・。均等の第5要件が包袋禁反言(第2補正の内容)により、否定されました。均等侵害を主張する際には、補正の内容も吟味しなければいけないようです。補正により削除した内容を、やっぱり均等の範囲に含まれるとするのは、無理があるようです。
2審決取消訴訟
*コメント
主引例と相違点に係る技術を組み合わせるためには、必須の構成を除外・改変する必要があるため、当業者であっても容易に想到し得たということはできないとされました。
*コメントはありません。
*コメント
原告は取引の実情や需要者層の相違から出所混同は生じないと主張しましたが、認められませんでした。
*コメント
プログラムが格納された装置の使用が指定商品「プログラム」の使用に該当するか争われましたが、プログラムを格納したCD-ROMの流通をもって使用に該当するとされました。プログラムについては装置の付属品としての流通のみでは、単独で取引された事実がないとされるリスクがあります。
(5)平成27(行ケ)10170 審決(無効・不成立)取消
平成28年4月26日判決 請求棄却(3部)
特許権 (水中切断用アブレシブ切断装置)
新規性・進歩性(相違点の判断),公然実施,特許請求の範囲の記載要件,明細書の記載要件(実施可能要件)
平成28年4月26日判決 請求棄却(3部)
特許権 (水中切断用アブレシブ切断装置)
新規性・進歩性(相違点の判断),公然実施,特許請求の範囲の記載要件,明細書の記載要件(実施可能要件)
*コメントはありません。
*コメントはありません。
*コメント
冒認出願について争われました。原告意匠は本件意匠と同一でないこと、本件意匠の創作者の他の複数の出願状況を鑑みると、本件意匠は当該創作者がなしたことは非合理でないことなどから、冒認ではないとされました。しかし、意匠を言葉で特定するのが難儀です。出願は図面のみでOKなのですが、争いになると言葉にしなければならないというのは大変です。
*コメント
原告は単位容量「0.05~1mg」に相違があると主張しましたが、引用例2から5に開示があり、動機づけもあり、阻害要因もないことから、容易であるとされました。また、顕著な効果も主張しましたが、本件明細書に言及がないことから採用されませんでした。
2016年6月22日水曜日
知らないことの怖さについて
最近感じますのが、知らないことの怖さです。
例えば、お客さんに特許関係のアドバイスする場合に、裁判例を1つ知らなかっただけで、誤ったアドバイスをしてしまう可能性があります。
誤ったアドバイスによりお客さんに損害が生じる場合がありますので、知らなかったでは済まされません。
私が、最低限、知財高裁の判決を目に通すようにしているのは、勉強好きなのではなく、こういう恐怖心からと思います。
技術開発も同様で、主観のみで研究開発を進めてしまうと、すでに類似の技術があったりして、それまで研究開発に投じた資金や時間が無駄となることがあります。
また、既存の研究結果を流用したりすれば、開発をショートカットでき、研究開発コストを下げられたというような状況もあると思います。
大企業であれば、資金的に余裕があると思いますので、上記ロスはあまり問題とならないかもしれませんが 、資金的に余裕のない中小企業やベンチャーにとっては死活問題となります。
そうすると、何事を始めるにせよ、その仕事の分野に関して、ほぼすべての知識を有している、という状況にまで自分をもってゆかないと、いかんということになります。
知識に穴があると、判断を誤るリスクが高まると思います。
ということで、お勉強とリサーチが重要ということになります。自分でリサーチしたり、調査会社を利用して穴のないリサーチをしたりすることが、行動を起こす前に必要なのではないでしょうか。
例えば、お客さんに特許関係のアドバイスする場合に、裁判例を1つ知らなかっただけで、誤ったアドバイスをしてしまう可能性があります。
誤ったアドバイスによりお客さんに損害が生じる場合がありますので、知らなかったでは済まされません。
私が、最低限、知財高裁の判決を目に通すようにしているのは、勉強好きなのではなく、こういう恐怖心からと思います。
技術開発も同様で、主観のみで研究開発を進めてしまうと、すでに類似の技術があったりして、それまで研究開発に投じた資金や時間が無駄となることがあります。
また、既存の研究結果を流用したりすれば、開発をショートカットでき、研究開発コストを下げられたというような状況もあると思います。
大企業であれば、資金的に余裕があると思いますので、上記ロスはあまり問題とならないかもしれませんが 、資金的に余裕のない中小企業やベンチャーにとっては死活問題となります。
そうすると、何事を始めるにせよ、その仕事の分野に関して、ほぼすべての知識を有している、という状況にまで自分をもってゆかないと、いかんということになります。
知識に穴があると、判断を誤るリスクが高まると思います。
ということで、お勉強とリサーチが重要ということになります。自分でリサーチしたり、調査会社を利用して穴のないリサーチをしたりすることが、行動を起こす前に必要なのではないでしょうか。
2016年6月16日木曜日
都知事の雑感
東京都知事が辞職しました。
私もニュースをウォッチしてて、あまりよくないな、と感じたのが、資金の使い道の違法性について弁護士に判断させたことです。
弁護士がでてくる、ということは、裁判を前提とした対応となります。裁判は、対話の道が途絶えた場合の最後の手段といえます。
本当であれば、まず、有権者と対話を行うべきであったと思いますが、争うモードに入りましたので、対話ができないのであれば、有権者は知事の辞任を求めるしかありません。
弁護士が合法です、といっても、有権者はそうですかと納得して、都知事を支持するわけではありません。弁護士の判断には支持を強制する力がありませんので、やるだけ無駄とも言えます。
ビジネス上の争いであれば、裁判に勝訴して判決をもらえば、敗訴した相手に対し、強制執行を行うことが可能です。したがって、強制力がありますので、弁護士を入れて違法性を判断してもらうことは有効です。
ということで、いろいろ感想はありますが、政治家には対話力が必要と感じました。
私もニュースをウォッチしてて、あまりよくないな、と感じたのが、資金の使い道の違法性について弁護士に判断させたことです。
弁護士がでてくる、ということは、裁判を前提とした対応となります。裁判は、対話の道が途絶えた場合の最後の手段といえます。
本当であれば、まず、有権者と対話を行うべきであったと思いますが、争うモードに入りましたので、対話ができないのであれば、有権者は知事の辞任を求めるしかありません。
弁護士が合法です、といっても、有権者はそうですかと納得して、都知事を支持するわけではありません。弁護士の判断には支持を強制する力がありませんので、やるだけ無駄とも言えます。
ビジネス上の争いであれば、裁判に勝訴して判決をもらえば、敗訴した相手に対し、強制執行を行うことが可能です。したがって、強制力がありますので、弁護士を入れて違法性を判断してもらうことは有効です。
ということで、いろいろ感想はありますが、政治家には対話力が必要と感じました。
2016年6月11日土曜日
2016/4/3~4/16の知財高裁判決
2016年4月3日から2016年4月16日までになされた裁判は、侵害訴訟2件(特許2件、商標0件)、審決取消訴訟7件(特許3件、商標4件)です。
なお、この裁判例ウォッチングの目的は、裁判所の使用するロジックや有効な証拠を確認するためで、攻防における双方の代理人の主張等は特に注目しておりません・・・。
1.
侵害訴訟
(2)平成27(ネ)10125 特許権侵害差止(東京地方裁判所 平成25(ワ)3360)
平成28年4月13日判決 控訴棄却(2部)
特許権 (非磁性材粒子分散型強磁性材スパッタリングターゲット)
損害額,構成要件充足性,均等侵害,特許の有効性(新規性,進歩性
平成28年4月13日判決 控訴棄却(2部)
特許権 (非磁性材粒子分散型強磁性材スパッタリングターゲット)
損害額,構成要件充足性,均等侵害,特許の有効性(新規性,進歩性
*コメント
金属組織のようなミクロ的構造をクレーム化することの困難を感じさせます。ミクロ的構造を測定する方法を明確化してクレームに入れることが必要でしょうか・・・。この事件とは関係ないですが、外観の認識に関し、肉眼、可視光という前提で見がちなところは注意が必要と思いました。
2審決取消訴訟
*コメントはありませんが、やはり3条2項の主張ができないと苦しそうです。
(2)平成27(行ケ)10141 審決(無効・不成立)取消
平成28年4月13日判決 請求棄却(2部)
特許権 (発光装置,面光源装置,表示装置及び光束制御部材)
新規性,進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断
平成28年4月13日判決 請求棄却(2部)
特許権 (発光装置,面光源装置,表示装置及び光束制御部材)
新規性,進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断
*コメントはありません
*コメント
外観・称呼は近似、観念は特定の観念は生じない造語のため比較できず、商標類似とされました。男性用衣服であり取引実情から混同は生じない旨主張しましたが、引用商標も女性用に限られず、男性用も含むことから商品類似とされました。
*コメント
上記商標に「はさみ」の図形等が組み合わさったものについても、図形部分は識別力が小さいため分離して観察され、上記結論と同様の結論となりました。
*コメントはありません・・・。
*コメント
原告は周知例に記載された具体的な機構を前提とした主張をしましたが、審決は周知例に記載された具体的な機構を周知技術として認定したり,引用発明に適用したりしたものではないから,原告の上記主張は,失当であるとされてしまいました。周知技術と異なり、周知例については、あまり細かく分析しても意味がないということになるでしょうか。とはいえ、周知例と周知技術の差とは何なんでしょうかね?
(7)平成27(行ケ)10219 審決(無効・成立)取消
平成28年4月12日判決 審決取消(3部)
商標権
類似性(4条1項10号,4条1項11号,8条1項),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
平成28年4月12日判決 審決取消(3部)
商標権
類似性(4条1項10号,4条1項11号,8条1項),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
*コメント
ニュースにもなった判決です。外観と観念が非類似であるため、商標非類似と判断されております。本件は最高裁へ上告されておりますので、そちらの判断がどうなるか注目です。
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