2012年7月28日土曜日

コア・コンピタンス経営について

ものづくり革新ナビに、コア技術の展開に関する事例分析の記事を投稿いたしました。

自社のコア技術を様々な分野に展開してゆくことが、外部環境の変化に対応するためには、重要と思います。是非ご参考に願います。

(記事はこちらです)
http://www.monodukuri.com/jirei/article/32

コア技術を活用することは、コア・コンピタンス経営などともいわれますが、私がこの言葉を始めて聞いたのがNECに在職しているときでした。

当時新任の社長が、この言葉を使い始め、コアコンピタンス経営の実行の名のもとに、様々な不採算事業を切り離し、他社へ売却し始めました。

私は、不採算事業の側におりましたので、いろいろ考え退社することにしました。

さて、この経営方針がうまくいったのかといえば、現在のNECの株価が100円を切っていることからも、いうまでもないでしょう。

結果論でいえば、企業の規模は縮小し、未来に向かって収益を上げそうな事業がなくなってしまいました。不採算事業を売却すれば当面の収益は改善しますが、未来の事業を育てる努力をしなくてはジリ貧ということです。

今思えば、当時の社長も私も、コア・コンピタンスという概念の捉え方が誤っていたのではと思います。コア・コンピタンス経営とは、コア事業に集中し、他の事業は切り捨てることと考えがちですが、コア事業に集中すれば当然に事業リスクは高くなります。

本当に集中すべきはコア技術であって、事業はむしろ多角化すべきなのではないでしょうか。NECにはC&Cという優れたコア技術がありますので、これを用いて様々な分野に適用できれば、当時の不採算事業も形を変えて存続が可能であったかもしれません。

2012年7月24日火曜日

必ず特許にしてください・・・について

特許出願をして審査が始まり、拒絶理由が通知されると、クライアントから何とか特許にして下さいといわれることがあります。

しかしながら、補正や反論の内容は出願時の明細書の内容を超えることができませんので、審査段階では採れる手段は限られます。その結果、先行技術との差別化ができず、残念ながら拒絶査定となる場合もあります。

したがって、必ず特許にするためには、審査段階で困らないように、出願前の明細書作成時に充分な手を打っておくことが必要です。

それならば、明細書作成のときに、必ず特許になる記載にするよう弁理士に依頼すればよいかというと、それでは足りません。

弁理士は確かに法的要件を満たすべく明細書を作成しますが、特許になるか否かは、先行技術との兼ね合いで決まりますので、明細書作成時に、先行技術に関する十分な情報を弁理士に提供する必要があります。

特許性を向上するためには、何はなくとも十分な先行技術調査が必要です。漏れのない特許調査を行うために、プロのサーチャーに調査を依頼することも考えたほうがよいでしょう。

さて、特許調査をすれば必ず特許になるかというと、そうでもありません。最近の特許査定率は50%位(若干特許査定率が上がる傾向あり)です。つまり、半分は拒絶査定となるのが現状です。

優秀な知財部員がいて、特許出願にコストをかけている企業でも、特許査定率は70%がいいところではないでしょうか。

ということで、必ず特許にする方法はないのですが、特許調査にコストをかけることによって、特許査定率を上げることは可能です。特許出願の前に、十分な特許調査が行われているか是非見直していただければと思います。

2012年7月14日土曜日

情報の入手経路について

特許の仕事をしていると様々な調査を行う場合があります。特許調査の場合には、IPDLなどの無料のデータベースを利用することが多いです。

さらに、事業戦略を考える場合には、政府が発行する白書や、インターネット上の情報などのコストのかからない情報を収集します。

このように仕事で情報を収集する場合にはコスト的な理由もあり、公開情報が主体となってしまいます。

しかし、誰でも入手できる情報にはたして価値があるのか、だとか、もっとコストを掛けて特殊な情報を集めたほうがよいのでないか、と少々不安になることもあります。

情報収集のプロといえばアメリカのCIAですが、CIAの収集する情報の97%は一般的な公開情報だそうです。映画のようなスパイを使って収集する情報は、高々3%にすぎないことになります。

CIAですら公開情報が主体であることを考えれば、民間企業も公開情報を主体とすることは何の問題もないことがわかります。

さらに、出所不明な情報の入手は違法性を伴うリスクがあり、不正競争防止法により刑事罰の対象となる可能性があります。コンプライアンスの観点からも、特殊な情報に手を出さないほうがよいでしょう。

さて、CIAの場合には情報を収集する能力は当然高いといえますが、情報を解析し、知識化する、いわゆるインテリジェンスサイクルに優れているため、公開情報のみで充分ということもできます。

民間企業においても情報の収集は重要ですが、情報解析及び社内に知識として蓄える仕組みを整えることも重要といえるでしょう。したがって、情報解析にはコストを掛けてゆきたいものです。

2012年7月8日日曜日

コア技術戦略について

ものづくり革新ナビに、特許技術導入に関する事例分析の記事を投稿いたしました。

自社技術にこだわるか、それともオープンイノベーションを進めるか、議論の余地はありますが、事業を加速させるためには、技術導入も有効な手段と思います。是非ご参考に願います。

(記事はこちらです)
http://www.monodukuri.com/jirei/article/29


上記事例は、自社のコア技術に他社の特許技術を導入して事業化を志向する事例です。

コア技術とは「顧客に対して他社には真似の出来ない自社ならではの価値を提供する企業の中核的な力(コア・コンピタンス経営:ハメルとプラハラード)」をなす技術と考えればよいと思います。

コア技術戦略のイメージは、自社のコア技術を支点として、他社技術を力点とする梃子(レバレッジ)のようなものです。自社技術を他社技術で増幅するということでしょうか。

したがって、やみくもに特許技術を導入すればよいというものではなく、梃子の支点となる自社のコア技術の存在がコア技術戦略を進める上で必要なことはいうまでもありません。

さらに、コア技術については、しっかりと特許権化して、他社に支点を奪われないようにしたいものです。

このように事業戦略を守る観点からも、しっかりとした知財戦略を構築してみてはいかがでしょうか。

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