特許出願をして審査が始まり、拒絶理由が通知されると、クライアントから何とか特許にして下さいといわれることがあります。
しかしながら、補正や反論の内容は出願時の明細書の内容を超えることができませんので、審査段階では採れる手段は限られます。その結果、先行技術との差別化ができず、残念ながら拒絶査定となる場合もあります。
したがって、必ず特許にするためには、審査段階で困らないように、出願前の明細書作成時に充分な手を打っておくことが必要です。
それならば、明細書作成のときに、必ず特許になる記載にするよう弁理士に依頼すればよいかというと、それでは足りません。
弁理士は確かに法的要件を満たすべく明細書を作成しますが、特許になるか否かは、先行技術との兼ね合いで決まりますので、明細書作成時に、先行技術に関する十分な情報を弁理士に提供する必要があります。
特許性を向上するためには、何はなくとも十分な先行技術調査が必要です。漏れのない特許調査を行うために、プロのサーチャーに調査を依頼することも考えたほうがよいでしょう。
さて、特許調査をすれば必ず特許になるかというと、そうでもありません。最近の特許査定率は50%位(若干特許査定率が上がる傾向あり)です。つまり、半分は拒絶査定となるのが現状です。
優秀な知財部員がいて、特許出願にコストをかけている企業でも、特許査定率は70%がいいところではないでしょうか。
ということで、必ず特許にする方法はないのですが、特許調査にコストをかけることによって、特許査定率を上げることは可能です。特許出願の前に、十分な特許調査が行われているか是非見直していただければと思います。