2016年3月18日金曜日

ブランド戦略について



仕事がらブランド戦略の相談をされることがあります。とはいえ、ブランド戦略とは何なのかよくわからないところもあります。

ブランド戦略のセミナーなどに参加しますと、講師が弁理士の場合には、商標の取り方や、権利行使の話が主となり、ブランド戦略というより、商標管理の話がメインとなります。

MBAの先生が講師の場合には、 コカ・コーラやP&Gなどの成功事例・失敗事例が主となり、ブランド戦略というより、経営戦略の話がメインとなります。

そうすると、どう捉えればよいかと悩みますが、とりあえず特許的にまとめればわかりやすいかと思い整理してみました。

特許では、創造、保護、活用の、局面がありますが(知財サイクルともいいますが)、 ブランドで当てはめてみると以下のようになると思います。




まず、ブランド創造(創造という表現は語弊があるかもしれませんが)の局面では、表面的にはネーミング(アップル、ソニーなど)を考えることになります。

ただし、よく言われますが、ネーミング自体には価値がなく、ネーミングの裏に存在する、形のない何か(とりあえず世界観としております)に価値があり、これを構築することがブランド創造につながります。

ブランド保護は、商標権による保護が主となると思いますが、もしかしたら、別の観点もあるかもしれません。

ブランド活用は、 いろいろな観点があるかもしれませんが、マーケティングに使用されるのが主と思います。

商品にブランドが付加されることにより品質が保証され(Product)、価格を高く維持でき(Price)、流通過程で出所を表示し(Place)、CMや広告でブランドが表示されます(Promotion)。

そう考えますと、世界観の構築以外は、分析手法は確立されているといえますので、経営部門、知財部門、営業部門の連携をとればブランド戦略を実行できそうです。

それでは、ブランド戦略には技術部門は関係ないのか・・・、となってしまいますが、それはまた、別途考えてゆきたいと思います。


2016年3月12日土曜日

2016/1/31~2/6の知財高裁判決



2016131日から201626日までになされた裁判は、侵害訴訟1(不競法1)、審決取消訴訟2件(特許2件)です。

1.侵害訴訟

(1)平成27()10109  損害賠償(大阪地方裁判所 平成26()3119
平成2829日判決 原判決一部取消(1部)
不正競争 (発光ダイオード)
虚偽事実の陳述流布

*コメント
一審原告の侵害訴訟を提起した旨のプレスリリースが虚偽事実の陳述流布(不競法2115号(旧14号))に相当するとの主張に対し、裁判所は一審被告には過失がなく損害賠償請求は認められない旨、判示しました。

逆にいえば、プレスリリースの内容に不備(確認漏れなど)がある場合には、過失があると認定されるともいえますので、プレスリリースを作成する際には、特許権侵害の要件(技術的範囲の属否、特許発明の実施等)をしっかりと確認する必要があるようです。

2.審決取消訴訟

(1)平成27(行ケ)10070  審決(拒絶)取消
平成2823日判決 請求棄却(2部)
特許権 (バックライト光源用発光装置)
進歩性(相違点の認定,相違点の判断)

*コメントはありません。

(2)平成27(行ケ)10035  審決(無効・不成立)取消
平成2823日判決 請求棄却(4部)
特許権 (破袋機とその駆動方法)
進歩性(相違点の判断)

*コメント
引用発明には本件発明の(相違点に係る)技術的思想は記載も示唆もなく、引用発明に相違点に係る構成を適用する動議づけもないとされ、容易想到であるとはいえないとされました。

ここでいう技術的思想とは発明の課題なのか、解決手段なのか、はたまた効果なのかよくわかりませんが、判決文を読みますと課題ともとれ、解決手段ともとれ、効果ともとれますので、包括的に使用しているのかと思います。なんとなく、まとめの言葉に使用すると収まりが良い気がします。



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