2020年10月3日土曜日

マーケティング・プロセスと特許情報のその後

2012年の知財学会で以下の内容を発表しました。

マーケティング・プロセスへの特許情報の活用について

https://www.j-mac.or.jp/wp/dtl.php?wp_id=75

しかし、その後やっていないのは、以下の理由があります。

まず、論文の中の図表をつくるためには、特許マップソフトが必要な点です。特許マップソフトは高価ですので、論文の図表をつくろうと思っても、作れる人は少ないことになります。

今は、エクセルやKHCoder、Pythonなど、(ほぼ)無料ソフトを使って図表化することにトライしております 。

次に、ミクロ分析の手法を思いつかなかった点があります。この辺りは、論文では完全に無視されております。

マーケティングにおけるミクロ分析(4P)を行うためには、分析対象となる新商品のアイデアを考えねばなりませんが、これが難しいものがありました(とりあえず、既存製品でやってしまうことでもよいですが・・・)。

これも、今回、多空間デザインモデルによるアイデア発想ができましたので、これで4P分析してみることも考えられます。これは今後のテーマとなります。

結構ネックだと思うのが、マーケティングは商品と市場との関係を分析するものですが、特許情報からは技術情報を抽出できますが、商品情報を抽出できない点にあります。

したがって、テクノロジーの用語がずらりと並ぶような、いまいちマーケティングっぽくないアウトプットとなります。

これを解消するには

(1)アウトプットに商品と技術の対応表を介在させる

対応表を介在させることにより、特許情報を商品情報に変換して、これに対してマーケティング・プロセスを実施します。これですと、一般の人にもわかりやすいアウトプットとなると思います。

一応、上記論文では、商品情報に変換しているようです。

(2)開き直って技術マーケティングとする

分析対象を技術にして、マーケティング・プロセスを実施します。今流行りのIPランドスケープはこのような感じと思います(よくわかりませんが)。これですと、一般の人にはとっつきにくい感じとなると思いますが、つくりやすいというメリットがあります。

(3)意匠、商標と統合する

意匠と商標は、商品単位の権利となりますので、実のところ、マーケティングには使用しやすいという特徴があります。

そうしますと、特許のみではなく、意匠や商標の情報を使用することにより、マーケティングプロセスに組み込みやすくなると思います。

具体的に、どうするかといわれれば、特にありませんので、これも今後のテーマとなります。

ということで、余力のある方は、上記課題解決にトライしていただければと思います。

2020年10月2日金曜日

知財分析統一理論のその後

今回の知財学会では、多空間デザインモデルに関する発表をします。

このテーマを選んだ理由としましては、技術(特許)、ブランド、デザインの分析を一体的に行えないか、という個人的な仮説によります。

現時点で分析手法をまとめますと以下のようになります。

これを見ますと、一体化は可能と思われます。というより、ブランド分析とデザイン分析は、ほぼ同じようなことをやっていることに気が付きました。

ブランド分析では、便益(ベネフィット)を主軸に分析しますが、これは、デザイン分析でいうところ価値の下位概念といってもよいと思いますので、ブランド分析はデザイン分析に包含されるといってよいと思います。

言い換えれば、デザイン分析において、ベネフィットに着目すれば、ブランド分析になるということになります。

ということで、年初は知財分析を統一すると意気込んでいましたが、現状では、デザイン分析で事足りることがわかりました。

この方が考え方もシンプルでよいと思いますので、以後は、知財分析はデザイン分析、ということで、進めたいかなと考えております。

2020年9月27日日曜日

特許査定の件

懸案の特許出願の件は、先日特許査定がきました。

拒絶理由通知が来ましたら、IPsamuraiの判断結果と拒絶理由通知の内容とを比較して分析してみるのも面白いと考えておりました。しかし、すべてはブラックボックスとなりました。

これにて知財学会に向けた仕込みはすべて終了となりました。あとは、資料にまとめて発表するのみとなります。

予稿の期限が9/30で、発表が11/29で、もう発表まで2か月となってしまいました。

とはいえ、作業していたのがGW期間中でしたので、自分が何をしていたのか結構忘れてしまいました。勘を取り戻すのが先となります・・・。

自分の場合には、まず論文を書いてからパワーポイントを作ります。パワーポイントを先に作りますと、話の流れが分からなくなったりしますので、これを避ける意味があります。

また、論文にしておきますと、発表が終わった後、すぐに公開できるというメリットもあります。

SNSなどを見ておりますと、「・・・は、私が最初に考えた!」などといっておられる方を見かけます。

しかし、アイデアは、複数の人間が同時多発的に考えつくことが普通です。したがって、部外者からみるとみっともない印象となります。

これを避けるには、自分のアイデアについては、適当に公開するしかありません。

公開といっても、私の過疎ブログのような媒体で公開しても、ほぼ秘密の状態が守られてしまいます・・ので、何かよい媒体を見つけることが必要となります。

ということで、はやく公開できるよう作業を進めたいと思います。

2020年9月22日火曜日

明細書作成ツールを考える。

私は以前はメカ屋をやっておりました。私の世代はちょうど手書き図面から3D-CADへの移行期にあたる世代で、私はどちらの設計法でも機械設計が可能な最期?の世代となります。

手書きで機械設計というのは、干渉チェックや動作や構造のチェックが、実際の機械を組み立ててからでないとわからない部分もあり、手直しが多く発生し、経験がものをいう世界でした。

一方、3D-CADを使用しますと、干渉等のチェックを、設計をしながら確認できますので、設計の手直しをなくすことができ、省力化につながります。

すなわち、CADの方で設計者の経験不足を補助し、それなりの完成度の機械をはじめから設計できることになります。

その後転職して、明細書を書いておりますが、いつも感じますのが、何か便利ツールはないかな…、ということとなります。

現状の明細書作成は、機械設計における「手書き時代」に相当するかと思います。拒絶理由(29条、36条)のチェックが、審査請求をしてからでないとわからない部分があり、中間処理が多く発生し、経験がものをいう世界となります。

そうしますと、機械設計における3D-CADのような、拒絶理由の可能性をチェックしながら明細書を作成できるツールがあれば、中間処理を減らすことができ、省力化につながると思います。

ツールの方で、明細書作成者の経験不足を補助し、それなりの完成度の明細書をはじめから作成できるようになればよいと思いますし、まあ、近い将来はそうなるのかな、と思います。

明細書作成自動化という考え自体は、以前からありましたが、技術的に困難であることから、実用化に至ったものは存在しないと思います。

状況が変わったのは、いわゆる人工知能を使用すれば何とかなるのではないかという期待感があります。

しかし、現状の人工知能は、29条のざっくりとした判断ができるのみですが、明細書を作成するということは29条のみならず、36条もクリアできる必要があります。

すなわち36条対応の人工知能ができるかどうかが、明細書作成対応のポイントとなります。

私の考える、明細書作成AIの処理手順は以下のようになります。

STEP1.請求項を人間が作成する。

請求項をAIが作成するというのは、すなわち、AIが発明するということになりますので、これはこれで興味深いテーマですが、ここでは人間が作成することにします。

ここでは、請求項をA+B+Cとしておきます。

STEP2.AIが類似文献抽出

AIが請求項A+B+Cに類似する文献を抽出します。これは、現状のAIでも処理可能です。また、AとBは文献1に類似し、Cが文献2に類似するとします。

STEP3.AIが段落抽出

AIが文献1(明細書)からAとBに関する説明が記載された段落を抽出する。同様に文献2からCに関する段落を抽出する。これも現状の技術でできそうです。

STEP4.AIが明細書生成

AIが抽出した段落を適当に組み合わせて明細書を作成する(ここでの「適当」という言葉は悪い意味で使用してはおりません)。

適当に組みあわせただけでは論理的な文章にならず、36条で拒絶されると思いますので、ここで凝った処理が必要となると思います。どういう処理になるかは私にはわかりません。

この適当な明細書を人間が36条を満たすように修正するという、というのが現実的なところでしょうか。弁理士にこういう仕事が回ってきて、ディスカウントを迫られる未来が見えるようです・・・。

この凝った処理をAIにやらせるような開発も考えられますが、開発にはお金がかかりますので、市場性があるかどうかがポイントとなります。

逆に言えば、現状、明細書作成ツールが開発されていないのは、単に儲からない(開発費を回収できない)という理由だけかもしれません・・・。

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