2016年4月3日から2016年4月16日までになされた裁判は、侵害訴訟2件(特許2件、商標0件)、審決取消訴訟7件(特許3件、商標4件)です。
なお、この裁判例ウォッチングの目的は、裁判所の使用するロジックや有効な証拠を確認するためで、攻防における双方の代理人の主張等は特に注目しておりません・・・。
1.
侵害訴訟
(2)平成27(ネ)10125 特許権侵害差止(東京地方裁判所 平成25(ワ)3360)
平成28年4月13日判決 控訴棄却(2部)
特許権 (非磁性材粒子分散型強磁性材スパッタリングターゲット)
損害額,構成要件充足性,均等侵害,特許の有効性(新規性,進歩性
平成28年4月13日判決 控訴棄却(2部)
特許権 (非磁性材粒子分散型強磁性材スパッタリングターゲット)
損害額,構成要件充足性,均等侵害,特許の有効性(新規性,進歩性
*コメント
金属組織のようなミクロ的構造をクレーム化することの困難を感じさせます。ミクロ的構造を測定する方法を明確化してクレームに入れることが必要でしょうか・・・。この事件とは関係ないですが、外観の認識に関し、肉眼、可視光という前提で見がちなところは注意が必要と思いました。
2審決取消訴訟
*コメントはありませんが、やはり3条2項の主張ができないと苦しそうです。
(2)平成27(行ケ)10141 審決(無効・不成立)取消
平成28年4月13日判決 請求棄却(2部)
特許権 (発光装置,面光源装置,表示装置及び光束制御部材)
新規性,進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断
平成28年4月13日判決 請求棄却(2部)
特許権 (発光装置,面光源装置,表示装置及び光束制御部材)
新規性,進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断
*コメントはありません
*コメント
外観・称呼は近似、観念は特定の観念は生じない造語のため比較できず、商標類似とされました。男性用衣服であり取引実情から混同は生じない旨主張しましたが、引用商標も女性用に限られず、男性用も含むことから商品類似とされました。
*コメント
上記商標に「はさみ」の図形等が組み合わさったものについても、図形部分は識別力が小さいため分離して観察され、上記結論と同様の結論となりました。
*コメントはありません・・・。
*コメント
原告は周知例に記載された具体的な機構を前提とした主張をしましたが、審決は周知例に記載された具体的な機構を周知技術として認定したり,引用発明に適用したりしたものではないから,原告の上記主張は,失当であるとされてしまいました。周知技術と異なり、周知例については、あまり細かく分析しても意味がないということになるでしょうか。とはいえ、周知例と周知技術の差とは何なんでしょうかね?
(7)平成27(行ケ)10219 審決(無効・成立)取消
平成28年4月12日判決 審決取消(3部)
商標権
類似性(4条1項10号,4条1項11号,8条1項),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
平成28年4月12日判決 審決取消(3部)
商標権
類似性(4条1項10号,4条1項11号,8条1項),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)
*コメント
ニュースにもなった判決です。外観と観念が非類似であるため、商標非類似と判断されております。本件は最高裁へ上告されておりますので、そちらの判断がどうなるか注目です。