2014年10月18日土曜日

職務発明に関する誤解について

特許法35条が改正されるというニュースがあります。

職務発明で揉めた青色LEDに関してノーベル賞が授与されたこともあり、しばらくはいろいろ議論があると思います。

発明者が高額の対価を得た場合、「発明者だけではなく、営業やその他の人も利益に貢献しているのだからおかしい」、とか、「リスクをとっているのは経営者なのだからおかしい」というような意見が散見されますが、これは誤解があると思います。

まず、発明者の対価は利益額に対するものですから、利益の出ない発明に関しては発明者対価が生じることはなく、発明者対価でが赤字となることはありません。

また、例えば、利益額が100億円であった場合、発明者の貢献度が1%としたときには、対価が1億円となります。

ただし、営業の方が大変努力して販売して貢献度が10%であった場合、その対価10億円となります。したがって、発明者より営業の貢献度が大きいことは普通にあると思います。


では、営業の方が会社に訴えを起こして報酬を得られるかというとこれは難しいと思います。なぜなら、そういう法の規定がないからです。

会社を訴えるよりは、会社と交渉して給料を上げてもらう努力をする方が得策と思います。

一方、発明者の場合には、特許法35条に基いて訴えを提起できます。簡単にいえば、法律としては発明者を優遇していることになります(その理由はいわずもがなと思います。)

発明者優遇はけしからん、というのであれば、特許法35条を廃止するよう、国会議員に訴えかければよいと思います。

ただし、特許法35条を廃止することにより生じる、日本経済への影響を見極める必要があると思います。

特許法は経済法でもありますので、要は、日本経済が発展すれば、どのような法律構成であっても構わず、特許法35条がいらないのであれば、削除しても構いません。

また、リスクをとっているのは経営者というのも少しおかしいと思います。

経営者は自分の報酬を自分で決められますから、生じた利益から自分のリスクを取った分を報酬とすればいい訳です。

(報酬を取り過ぎて、発明者対価が低すぎる場合には、発明者から訴えられるリスクが生じます。)

また、経営者は、リスクをとって研究開発や事業を実施するか否かを決定できますから 、リスクをとるのが嫌なのであれば、研究開発をやめて、リスクの低い事業に集中すればいいだけのことです。

結局のところ、一従業員が高額の報酬を得ることによる妬みややっかみが、このような誤解に通じていると思いますので、将来的にはアメリカのようにアイデアがある人は起業するというような方向になればいいと思います。

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