2018年6月2日土曜日

キャッチフレーズの結果について

昨年から勉強がてら作成した弁理士企業年金基金のキャッチフレーズ応募ですが、事務局から受賞作品の発表がありました。

その結果、私の応募したキャッチフレーズが最優秀賞をいただけることになり、光栄にも、今後の弁理士企業年金基金のプロモーションに使用されることになりました。

応募人数は30人超、応募総数は70件超ということでした。最優秀賞は狙っておりませんでしたので、結果を聞いてびっくりしました。

受賞作は「あなたの未来にゆとりをプラス」でした。事務局の方で、すでに商標登録出願を済ませたそうです。

ここでは負け惜しみがてら、最優秀作の批評をしようと予定しておりましたが、このようなことから、それは、なしとなります。

今回選ばれた理由は、単純に、方法論に従って作ったことが大きいと思います。

方法論に従って作ることのメリットは主観が入りにくいことがあるかと思います。客観的事実を組み立てていきますので、他者が受け入れやすい表現になるかと思います。

私個人としましては、老後に不安を感じておりますので、私の主観が入ったキャッチフレーズは不安を感じさせる内容となり、そうなると選ばれることはないかなと思います。

さて、キャッチフレーズとは、すなわち、ブランドアイデンティティですので、 弁理士企業年金基金は、宣伝に使用するだけではなく、「あなたの未来にゆとりをプラス」が実現できるよう、顧客にサービスを提供する必要がでてきます。

ここから先は、私の出る幕はありませんので、実現できるよう頑張っていただきたいと思います。

2018年5月26日土曜日

ブランドとデザインについて(その3)

「経営に「デザイン志向」取り入れを 特許庁研究会」という記事をネット上に見かけました(新聞社の記事のリンクはすぐに消えてしまいますので、リンクは割愛いたします。)

その新聞社の会員ではありませんので、記事を最後まで読めないのですが、記事の題名の「デザイン志向」は「デザイン思考」の誤りなのではないかと思い、ソースに当たってみました。

どうやら、『「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告書を取りまとめました』に関する記事のようで 、昨年の7月からウォッチングしていた研究会の報告書がまとまったようです。

報告書をみますと、「デザイン志向」は使われておらず、なんだかよくわかりませんでした。

以前、このブログでもとりあげましたが、この新聞社は用語の使用が雑という感じがします。おそらく専門知識がない方が記事を書かれているのではないでしょうか。

記事の話はここまでとして、報告書の方も見てましたが、こちらもよくわからない内容となっておりました。

『「デザイン経営」宣言』 なることが主張されておりますが、デザイン思考を取り入れた経営手法は、もう、何年も前から提唱されており、取り入れている企業は取り入れておりますので、ここでことさら強調する意味はあまりないと思います。


デザイン思考を取り入れるため、意匠法を改正するとありますが、これもよくわかりません。

デザイン思考の「デザイン」は意匠ではなく、デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である(ウィキペディアより)とされ、意匠の「物品の外形等」とは概念が異なります。

デザインというのは概念が広い用語ですので、使用する場合には、定義を明確化しませんと、ちぐはぐな感じとなります。(関係ないですが、オープンクローズ戦略も定義を明確としませんと議論がちぐはくします。)

結局、デザインに関する議論をするということで、デザインに関する専門家を集めたら「デザイン思考」の専門家があつまり、デザイン思考の報告書をまとめてしまったという感じでしょうか。

それでは、意匠法の改正の方向性はどのような感じかというと、おおまかにいえば

(1)保護対象の拡大(画像、空間)
(2)存続期間の延長
(3)多意匠保護(関連出願の拡大、多意匠一出願)

のようなことが提案されております。

以前私がこのブログで予想したのは、

(1)周知性を獲得した意匠については存続期間を(10~20年程度)延長
(2) 意匠権の存続期間が満了した意匠については、立体商標の登録を受けやすくする
(3) 不競法も同様の改正を行い、デザインが周知商品等表示として認められやすくする

でしたので、存続期間の延長のみ、当たったようです。

意匠法の改正のみ念頭におかれているようですので、商標法や不競法の改正の議論には到達しなかったようです。

私は、この研究会の趣旨を「ブランドアイデンティティ」 の保護と思っていましたので、商標法の議論は不可避と思っておりましたが、これは勘違いで、デザイン思考で日本企業も頑張ろう、というのが研究会の趣旨のようです。

それでしたら、意匠法の改正も不要ですし、そもそも、デザイン思考と意匠とブランドにどのような関連があるのかどうかよくわからないといいますか、自分でも頭が混乱してきましたので、この話はここで終わりとします。

少なくとも「デザイン」のような多義的な用語に基づく議論を行う場合には、定義を明らかにしておくことは重要と思います。

2018年4月3日火曜日

STEP3)ブランドアイデンティティの策定について(その2)

さて、キャッチフレーズですが、ここまでくると、ボキャブラリーやセンスの勝負となります。

とはいえ、迷うのが、
(1)具体的な表現とするか、抽象的な表現とするか

(2)加入者向けの表現ととするか、事業者向けの表現とするか
です。

加入者向けであればBtoCとなりますので、抽象的な表現が良さそうです。一方、事業者向けであればBtoBとなりますので、具体的な表現が良さそうです。

幸い、応募はいくつでもできるということで、以下の表のような感じで、4つ応募することとしました。


加入者向け
加入者+事業者向け
オーソドックス
キャッチー


キャッチフレーズですが、2016年の商標審査基準の改定で、登録を受けやすくなりましたので、応募前に、一応商標調査を行い、第三者の登録商標がないかを確認します。

また、応募したキャッチフレーズはあえて伏せておりますが、これは、人に見せられるレベルではないというのもありますが、第三者による悪意の商標出願を防ぐためでもあります。

私の応募が採用される可能性はないので、こういう心配はしなくてよいのですが、一応、知財の仕事をしている関係上、抜かりはないことのアピールです。

今回をもちまして、キャッチフレーズ作成関係の記事は終了です。当選作品がわかりましたら感想の記事を書きたいと思います。

キャッチフレーズに関しましては、センスのいい人が適当に作っていると、今まで思っておりましたが、実際はある程度のところまではロジカルに作っていることがわかったのが収穫でした。

2018年3月31日土曜日

STEP3)ブランドアイデンティティの策定について(その1)

ブランドアイデンティティの策定ですが、STEP1のブランド資産の評価、及び、STEP2の便益の階層分析の結果を踏まえて、最終案を策定します。

具体的な作業としては、いろいろやり方はあると思いますが、私は以下の進め方としました。

(1) STEP1のブランド資産の評価、及び、STEP2の便益の階層分析で抽出されたキーワードのスクリーニング

アイデンティティを表現するのに重要と思われるキーワードのみ残し、ありふれたキーワードは削除する。これを「拡張アイデンティティ」とします。

(2) 「拡張アイデンティティ」をKJ法を用いて、グルーピングする。グループを4~6つ作成する。これらを「コアアイデンティティ」とする。

グループ数を4~6とするのは、人間の記憶力の限界や、経営資源の選択集中のためです。

KJ法を用いて、同一上位概念化できる「拡張アイデンティティ」をまとめ、作ったグループの共通の上位概念を「コアアイデンティティ」 とする。

(3) コアアイデンティティからブランドエッセンスを考案する。

4~6つのコアアイデンティティをまとめた象徴的なフレーズを考案する。今回の場合、これがキャッチフレーズとなります。

それで、まとめたのが以下の表となります。実際にはこういうまとめ方はしないのですが、ここでは、使い慣れた系統図表としています。

ブランドエッセンス
(=キャッチコピー)
コアアイデンティティ
拡張アイデンティティ
老後の安心、ゆとり
安心、豊かさ、ゆとり
節税、管理容易
職場の魅力UP
採用、離職の改善
事務所の魅力向上
特許業界に特化
特許業界への貢献
信頼できる基金
信用・信頼
健全・安定運営


論理的な処理ができるのはここまでで、最後のブランドエッセンスについては、センスの良い言葉を考えねばなりません。

ただし、BtoBサービスと考えるのであれば、抽象的な言葉より、少々センスはないですが、具体的な言葉の方が良さそうでもあります。

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