2019年1月1日火曜日

2018年12月19日水曜日

マーケティングプロセスと特許情報について


私のレベルの低い無査読論文が公開されましたので、ご笑覧願います。

 


 

この論文は、実のところ2012年に書いたものなのですが、お蔵入りとなっておりました。

 

しかし、今年、日本マーケティング学会に入会しましたので、会費を払っている以上、何か1件上げてみたくなったのと、野崎さんという非常にとても著名なコンサルタントの方が、私が2012年の知財学会で発表した図をご自身のブログにあげられておりましたので、今でも需要があるのかと思い、公開してみました。

 

この論文を読んで、よいと思うところはセミマクロ分析を行っているところです。最近よく見る特許情報分析は、マクロ分析が主と思います。

 

なぜ、そうなるかといえば、マクロ分析は書誌的事項のみで分析をしますので、明細書を読まなくて済むからです。一方、セミマクロ分析は1件1件明細書を読むことになりますので、とても時間がかかります。

 

特許分析をやっている方には、「明細書を読んだら負け」という人もいます。といっても、1件1件明細書を読み始めると工数がかかりすぎますので、仕事として特許分析を行う場合には、そうなることは仕方がないかもしれません。

 

マクロ分析の場合には、技術分析は特許分類で行いますので、特許マップの軸にはIPCやらFIなどのわけのわからない記号が並ぶことになります。セミマクロ分析の場合には意味が理解できる単語が並びますので、マップを理解しやすくなります。しかし、作るのが大変であることから、あまり普及はしていません。

 

論文の内容的には、IPランドスケープ(登録商標)を先取りしたような内容となっておりますが、今公開しますと後追いのようなイメージとなるのがかっこ悪く感じます。

 
このようなかっこ悪いこととならぬよう、皆様も新しいアイデアを思いついたら、つまらないことでも、その都度、論文で発表するなり、特許出願をした方がよいと思います。

2018年10月17日水曜日

顕在ニーズ、潜在ニーズについて

twitterで知りましたが、アロンアルファの釣名人という製品が売れているそうです。釣りの道具(竿や浮き)を接着することを目的とした製品です。

驚くことに、釣名人というからには釣り人に売れているのかと思えば、そうではなく、Amazonレビューを見ますとギタリストに強く支持されているのがわかります。

ギターを弾くと爪が欠けますので、爪の補強用に、爪にこの釣名人を塗るそうです。

安っぽい言い方をすれば、「釣り」という顕在ニーズに対し、「ギター」という潜在ニーズが見つけられたことになります。

もともと、釣名人の機能としては、「竿をくっつける」があります。これを顕在機能とします。そして、この顕在機能が発揮される状況として「釣り」があります。これを顕在場とします。

潜在ニーズを見つけるには、釣り名人の潜在機能を見つけなけばなりません。

1つの考え方としては、釣り名人の顕在機能である「竿をくっつける」を様々な文言に置き換えることです。

機能は「○○を××する」と表現されますので、この「○○」、「××」を他の用語に置き換えてみます。

この事例では、「竿をくっつける」の「竿」を「爪」に置き換えることにより、潜在機能を「爪をくっつける」としました。

そしてこの潜在機能が発揮できる場(顕在場)になにがあるかといえば「ギター」があった。ということになります(他にも潜在場はあるかもしれません。)

 また、「竿をくっつける」の「くっつける」を「固定する」に置き換えて、潜在機能を「竿を固定する」とすることにより、新たな潜在場が見つかるかもしれません。

要は、 「○○」、「××」を置き換える言葉を考えて潜在機能を決め、その機能を発揮しうる顕在場があるかどうかを考えればよいことになります。





また、逆に「釣り」という顕在場に対する、潜在場を考え、それに対応する顕在機能を考えることにより、「竿をくっつける」という顕在機能に対する潜在機能を考案できるかもしれません。

釣名人の新たな機能を見出したのは、スペインのフラメンコギター奏者のようですが、こういう製品に新たな意味が見いだされる事例というのは多いと思います。

それらを分析すれば、新製品開発のヒントとなるかもしれません。

2018年7月31日火曜日

マーケティングやデザインやブランドなど

最近の国の報告書を読みますと、マーケティングやデザインやブランドなどの横文字が並んでおります。

とはいえ、概念がごちゃごちゃになっているような危惧もあります。特許庁の某広報誌でもデザイン経営の「デザイン」という用語はあえて定義していないということを言っておりました。

まあ、あえて定義しなくてもよいのかもしれませんが、意識せずに使いますと、実務の場では、思わぬ地雷を踏む場合もありますので、整理しておいた方がよいかもしれません。

私の好きな分析手法に3C分析というのがありまして、これは事業を分析するうえで、自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つについて分析する手法です。

よく知られているのはSWOT分析ですが、機会とか脅威とかイメージしにくい分析手法でもあり、3Cの方はイメージしやすいのがメリットと思います。

ここでは、3Cすべてを分析するのを「マーケティング思考」とします。

では、「デザイン思考」では、どうなるかといえば、これは顧客ニーズの分析が重要となります。したがって、分析は、自社(Company)、顧客(Customer)の分析(ニーズ・シーズ分析)が主となります。

そんな競合を無視した分析に意味があるかといえば、ブルーオーシャン戦略などにより、競合が存在しない企業においては有効かもしれません。

有効な分析ツールとしては「QFD」などがあります。

それでは、「ブランド思考」では、どうなるかといえば、自社(Company)の分析(ブランド・アイデンティティの分析)が主となります。

競合・顧客を無視した分析に意味があるかといえば、アップル、ハーレーなど自分の売りたいものを売っている企業においては、有効かもしれません。

有効な分析ツールとしては「ブランドQFD」があります。

以上の関係を、表にまとめると以下のようになります。



例えば、「デザイン思考」的な企業に、競合分析を提案しますと、「あなたデザインをわかってますか?」ということになりますし、「ブランド思考」的な企業に、顧客ニーズ分析を提案しますと、「うちの製品がわかっていない」と、経営者の逆鱗に触れる場合があります。

ということで、用語を仕事で使う場合には、注意しましょうという話でした。

【PR】“AI、生成AI”による知財業務の効率化、スピード化のセミナーについて(9/27開催)

掲題の件、セミナーの1/4を担当することになりました。私の担当分は、「【第2部】生成AIで革新する特許データ分析」です。URLは以下となります。 AI 生成AI 特許調査 分析 翻訳 技術情報協会はセミナー・出版・通信教育を通じて企業の最前線に立つ研究者、技術者をサポートし社会に...