先日、以下のような報道がありました。
特許、無条件で会社のもの 社員の発明巡り政府方針転換(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASG924QNWG92ULFA00K.html
「無条件」という強い表現が用いられておりましたので、どのような法律の構成にするのだろうと思っていましたが、どうやら誤報だったようです。
日本の報道は「早ければ価値がある」という意識が強すぎるような気がします。
したがって、不正確な情報の元、よくわからない上記のような報道がなされるのではないかと思います。
個人的には、報道には「事実」とその「根拠」がしっかりしていれば、あとはその内容を自分で解釈しますので、不正確な記者の考えというものはまったくいらないどころか、かえって害になると思います。
自分は新聞をとっていないのですが、インターネットを利用すれば一次情報にあたれますので、新聞からのバイアスがかかった情報が不要ということもあります。
同様な理由でニュースもあまりみません。事実のみを素直に伝えてくれればいいのですが、専門家でもないキャスターやコメンテーターが、的はずれなコメントを事実に載せてきますので、事実が汚染されて伝わります。
そう考えると、今の記者に必要なのは専門性かもしれません。先ほどの朝日の記事も、弁護士や大学の教授がチェックすれば、明らかにおかしいことが自明です。
また、最近はネイティブ記事という、事実の報道なのか、企業の宣伝なのかよくわからない記事も見受けられます。
企業の宣伝の場合には、内容にバイアスがかかりますので、これも不要な情報、役に立たない情報といえます。
こうなると、新聞やニュースのみをニュースソースとすると痛い目に合うことになりますので、ある程度は情報を自分で取ってこなければなりません。
ということで、朝日の一件は、いろいろ考えさせることになりました。
2014年9月6日土曜日
2014年8月30日土曜日
幸福感について
以前、幸福を感じるにはどうすればよいか?というテーマの本を読みました(書名は失念しました・・・)。
その中に、物を買うことにより幸福感を得られるか?、ということについて調査した結果が載っていました。
結論としては、幸福感は得られるが、その感情は数ヶ月しか持続しないということでした。
人間の心理には感覚が減衰する機能があるそうで、これは例えば、身内の死等の、とてつもなく不幸な状況が生じた場合でも、その感覚は時間とともに薄れてゆき、不幸な感情が持続しないという心理的作用のようです。
不幸な感情が持続した場合には、生きる気力が失われ自己の生命に危険が及びますが、感情が薄れることにより、生命の保護を図っているといえるでしょう。
この心理的作用が、不幸な感情にのみ作用すればよいのですが、幸福な感情にも作用してしまうとのことです。
例えば、メルセデス・ベンツを買ったとしても、嬉しいのは3ヶ月くらいで、その後は、ベンツがある生活が当たりまえとなってしまいます。
したがって、物による幸福感を持続させるためには、定期的に物を買ってゆくことが必要となります。ベンツであれば、モデルチェンジのたびに買い換えるなどです。
但し、幸福感が多少麻痺していますので、単に買い換えるのではなく、グレードの高いベンツにしなければなりません。まあ、お金持ちにしかできないことです。
それでは、そこまでお金のない人はどうすればよいかというと、経験に投資することがよいと書いてありました。
経験は頭の中に記憶されますので、思い出すたびに幸福感が(多少なりとも)蘇り、幸福感が持続しやすいとのことです。
そう考えると、これはものづくりのヒントとなるかもしれません。
私はアップル製品をもっていないのですが、アップル製品はユーザー・エクスペリエンスを大事にすると聞いております。
つまり、単に物としてのスマホを売るのではなく、スマホを使用して得られる経験も売っているといえます。これにより、アップル製品を使用する幸福感が持続し、熱狂的なファンを得ているのではないでしょうか。
また、ハーレーという大型バイクが、日本の大型バイク市場の大きなシェアを占めていますが、ハーレーのバイク自体はメカニズム的に優れた部分もなく、性能、品質の面で日本のバイクに劣っています。
それでも、ハーレーに乗ることによるアウトロー的経験は格別のものですし、ショップもイベントを開催し、購入者がそういう経験を得られる仕組みも整えております。
そこでやはり、物としての幸福感に加えて経験が加わる幸福感の相乗効果があり、熱狂的なファンがいるのだと思います。
日本製品はハイスペックですが、使用者の心理的な面の考慮が少々弱いと思います。
製品設計のみにエンジニアを配置するのではなく、ユーザーが製品を使用することに得られる経験を設計する人や、ハーレーのように能動的に経験させる仕組みを設計する人も開発に加えると、厚みのあるものづくりができるのではと思います。
その中に、物を買うことにより幸福感を得られるか?、ということについて調査した結果が載っていました。
結論としては、幸福感は得られるが、その感情は数ヶ月しか持続しないということでした。
人間の心理には感覚が減衰する機能があるそうで、これは例えば、身内の死等の、とてつもなく不幸な状況が生じた場合でも、その感覚は時間とともに薄れてゆき、不幸な感情が持続しないという心理的作用のようです。
不幸な感情が持続した場合には、生きる気力が失われ自己の生命に危険が及びますが、感情が薄れることにより、生命の保護を図っているといえるでしょう。
この心理的作用が、不幸な感情にのみ作用すればよいのですが、幸福な感情にも作用してしまうとのことです。
例えば、メルセデス・ベンツを買ったとしても、嬉しいのは3ヶ月くらいで、その後は、ベンツがある生活が当たりまえとなってしまいます。
したがって、物による幸福感を持続させるためには、定期的に物を買ってゆくことが必要となります。ベンツであれば、モデルチェンジのたびに買い換えるなどです。
但し、幸福感が多少麻痺していますので、単に買い換えるのではなく、グレードの高いベンツにしなければなりません。まあ、お金持ちにしかできないことです。
それでは、そこまでお金のない人はどうすればよいかというと、経験に投資することがよいと書いてありました。
経験は頭の中に記憶されますので、思い出すたびに幸福感が(多少なりとも)蘇り、幸福感が持続しやすいとのことです。
そう考えると、これはものづくりのヒントとなるかもしれません。
私はアップル製品をもっていないのですが、アップル製品はユーザー・エクスペリエンスを大事にすると聞いております。
つまり、単に物としてのスマホを売るのではなく、スマホを使用して得られる経験も売っているといえます。これにより、アップル製品を使用する幸福感が持続し、熱狂的なファンを得ているのではないでしょうか。
また、ハーレーという大型バイクが、日本の大型バイク市場の大きなシェアを占めていますが、ハーレーのバイク自体はメカニズム的に優れた部分もなく、性能、品質の面で日本のバイクに劣っています。
それでも、ハーレーに乗ることによるアウトロー的経験は格別のものですし、ショップもイベントを開催し、購入者がそういう経験を得られる仕組みも整えております。
そこでやはり、物としての幸福感に加えて経験が加わる幸福感の相乗効果があり、熱狂的なファンがいるのだと思います。
日本製品はハイスペックですが、使用者の心理的な面の考慮が少々弱いと思います。
製品設計のみにエンジニアを配置するのではなく、ユーザーが製品を使用することに得られる経験を設計する人や、ハーレーのように能動的に経験させる仕組みを設計する人も開発に加えると、厚みのあるものづくりができるのではと思います。
2014年8月10日日曜日
意匠と商標の狭間で
先日、ジャポニカ学習帳の商品形態について立体商標の登録がされたとのニュースが有りました。そういえば、ホンダのスーパーカブも立体商標となりました。
立体商標とは、立体的な形状からなる商標をいう、とされますが、商標権は半永久権ですので、商品形態に独占権を付与することは、ちょっと強すぎる権利となりすぎますので、従来はなかなか商標登録を受けることはできませんでした。
しかし、こういうニュースが連続して飛び込んでくるということは、審査の方針が商標登録を受けやすい方向へ変化したのかもしれません。
商品形態は、基本的には意匠法で保護を図るのが基本と思いますが、その意匠を継続的に使用することにより業務上の信用が化体した場合には、商標登録を受けうることになります。
そう考えると意匠と商標というものは明確に区別できるものではなく、その境界はぼんやりとしているのかもしれません。
こういう考え方をトレードドレスともいうようですが、日本もこのような方向に実務が動いてゆくのかもしれません。
それでは、今後は商品形態の保護をどのように図るべきなのでしょうか。商品形態を保護する方としては、意匠法、商標法(立体商標)、及び、不正競争防止法(周知表示、形態模倣)があります。
商品販売当初は、不競法2条3号で保護を図り、意匠登録後は意匠法で保護をはかり、意匠権の存続期間満了後は、不競法2条1号で保護を図り、自他商品識別機能を有した段階で商標登録を受ける、というような感じでしょうか。
もちろん、このような考えができる商品はものすごくライフサイクルの長い商品(少なくとも50年?)に限られると思います。
スマートフォンや乗用車のような数年でモデルチェンジする商品の形態は、数年守られればよく、立体商標の登録を受ける場合は、ほぼ無いと思います。
それでは、どのような商品があるのかといえば、私の身の回りでいえば、腕時計、万年筆、椅子などの家具、ハンドバックなどがあるでしょうか。
ということで、今後は、長く愛されるデザインというものを創作してゆく、というのも1つの考えかもしれません。
立体商標とは、立体的な形状からなる商標をいう、とされますが、商標権は半永久権ですので、商品形態に独占権を付与することは、ちょっと強すぎる権利となりすぎますので、従来はなかなか商標登録を受けることはできませんでした。
しかし、こういうニュースが連続して飛び込んでくるということは、審査の方針が商標登録を受けやすい方向へ変化したのかもしれません。
商品形態は、基本的には意匠法で保護を図るのが基本と思いますが、その意匠を継続的に使用することにより業務上の信用が化体した場合には、商標登録を受けうることになります。
そう考えると意匠と商標というものは明確に区別できるものではなく、その境界はぼんやりとしているのかもしれません。
こういう考え方をトレードドレスともいうようですが、日本もこのような方向に実務が動いてゆくのかもしれません。
それでは、今後は商品形態の保護をどのように図るべきなのでしょうか。商品形態を保護する方としては、意匠法、商標法(立体商標)、及び、不正競争防止法(周知表示、形態模倣)があります。
商品販売当初は、不競法2条3号で保護を図り、意匠登録後は意匠法で保護をはかり、意匠権の存続期間満了後は、不競法2条1号で保護を図り、自他商品識別機能を有した段階で商標登録を受ける、というような感じでしょうか。
もちろん、このような考えができる商品はものすごくライフサイクルの長い商品(少なくとも50年?)に限られると思います。
スマートフォンや乗用車のような数年でモデルチェンジする商品の形態は、数年守られればよく、立体商標の登録を受ける場合は、ほぼ無いと思います。
それでは、どのような商品があるのかといえば、私の身の回りでいえば、腕時計、万年筆、椅子などの家具、ハンドバックなどがあるでしょうか。
ということで、今後は、長く愛されるデザインというものを創作してゆく、というのも1つの考えかもしれません。
2014年7月26日土曜日
敗訴の捉え方について
特許権侵害訴訟の原告勝訴率は2~3割といわれています。和解した件も含めると実質的な勝訴率はもう少し高いと考えられています。
とはいえ、時間とコストをかけて取った特許権でも、権利行使した場合には敗訴する可能性が多いにあるといえます。
これでは特許を取る意味が無い、とか、勝てそうにないから訴訟は提起しない、などとネガティブな考えにもなります。
ただ、敗訴というものをそこまで重大に捉える必要があるのか、とも思います。
原告が敗訴した場合のデメリットとしては、多額の訴訟費用が無駄になることや、特許が無効と判断されてしまうことなどがあると思います。
ただし、被告が敗訴した場合には、差止や損害賠償請求で多大な事業のダメージが生じますが、原告敗訴の場合には、訴訟費用が無駄になる程度で、事業上のダメージはほとんどないと思われます。
逆に、侵害訴訟をきっちりと提起してゆくことにより、知財活用をきちんと考えている企業と市場で認知され、業務上の信用が向上する大きなメリットがあると思います。
また、競合企業もわざわざ訴えられるような面倒を避けようとするので、競合企業は類似する製品を販売しないよう圧力が加わると思われ、知財権の参入障壁としての機能が有効に発揮されると思います。
一方、敗訴のリスクを大きく捉えすぎ、訴えの提起を躊躇した場合には、知財権の威嚇効果が失われ、競合企業による模倣が横行することにもなりかねません。
したがって、特許権の活用の一形態として、侵害訴訟をきっちり行ってゆくことが知財を有効活用するためには必要と思われます。
また、侵害訴訟を行ってゆくことにより、社内に訴訟のノウハウが蓄積され勝訴率も向上することが期待でき、営業の方による他社の侵害発見などの社内の知財意識も向上すると思います。
ということで、侵害品を見つけたら勇気をもって訴えを提起することも今後は必要と思います。
とはいえ、時間とコストをかけて取った特許権でも、権利行使した場合には敗訴する可能性が多いにあるといえます。
これでは特許を取る意味が無い、とか、勝てそうにないから訴訟は提起しない、などとネガティブな考えにもなります。
ただ、敗訴というものをそこまで重大に捉える必要があるのか、とも思います。
原告が敗訴した場合のデメリットとしては、多額の訴訟費用が無駄になることや、特許が無効と判断されてしまうことなどがあると思います。
ただし、被告が敗訴した場合には、差止や損害賠償請求で多大な事業のダメージが生じますが、原告敗訴の場合には、訴訟費用が無駄になる程度で、事業上のダメージはほとんどないと思われます。
逆に、侵害訴訟をきっちりと提起してゆくことにより、知財活用をきちんと考えている企業と市場で認知され、業務上の信用が向上する大きなメリットがあると思います。
また、競合企業もわざわざ訴えられるような面倒を避けようとするので、競合企業は類似する製品を販売しないよう圧力が加わると思われ、知財権の参入障壁としての機能が有効に発揮されると思います。
一方、敗訴のリスクを大きく捉えすぎ、訴えの提起を躊躇した場合には、知財権の威嚇効果が失われ、競合企業による模倣が横行することにもなりかねません。
したがって、特許権の活用の一形態として、侵害訴訟をきっちり行ってゆくことが知財を有効活用するためには必要と思われます。
また、侵害訴訟を行ってゆくことにより、社内に訴訟のノウハウが蓄積され勝訴率も向上することが期待でき、営業の方による他社の侵害発見などの社内の知財意識も向上すると思います。
ということで、侵害品を見つけたら勇気をもって訴えを提起することも今後は必要と思います。
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ご無沙汰しております。 最近投稿をさぼっておりますが、これはこのHPのアクセス数がなさ過ぎて、モチベーションが上がらないからです。 1つの記事のアクセス数が5くらいしかありません(1日ではなく、総アクセスで)ので、さすがにひどいと言わざるをえません。 このような状態になったのは、...
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https://note.com/ip_design へしばらく移転します。
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東京オリンピックのメインスタジアムの建設費用が高すぎるとして問題となっています。 今の日本であれば3000億円程度であれば、出せない額ではありませんが、世論的には批判の的となっています。 その理由はなぜかといえば、あのヌメッとしたデザインに3000億円の価値はないと日本国...