2012年5月26日土曜日

戦略と戦術について

知財関連の機関の方とお話をする機会がありました。その機関に相談に来られる方は、個人や中小企業の社長さんが多く、相談内容としては特許出願の方法が多いようでした。

何らかの技術を開発したので特許出願するという考えはよくわかるのですが、その前に少々検討が必要と思います。なぜなら、特許権を取得したからといって事業が成功するわけではありません。

失敗の本質という本には「戦術の失敗は戦闘で補うことはできず、 戦略の失敗は戦術で補うことはできない」とあります。

特許権を取得することは一つの戦術でありますので、戦略が失敗している場合には、いくら特許権を取得しても、事業の成功は覚束ないでしょう。

したがって、まず戦略の方を構築することが必要と思います。ここで、よく言われておりますのが、事業戦略、技術(研究)開発戦略、知財戦略をミックスした、三位一体の戦略の構築です。
(出典:特許行政年次報告書2000年版

まずは、マーケティングを行い事業戦略をうち立てて、必要な技術を開発する技術戦略を構築し、必要な知財を確保する知財戦略を構築し、それらの結果として、特許出願を行うことが必要でしょう。

ただし、中小企業の社長さんは、経営者でもあり、技術者でもあり、知財担当者でもありますので、三位一体などというまでもなく、本当に一体ですので、相談に行かれている社長さんは無意識に最適な戦略を打ち立てているのかもしれません。 

それでもやはり明確な事業戦略を構築して、特許出願を行ないたいものです。

「専門家なのに、なぜ予測を外すのか?」~未来予測と特許戦略のお話~

 大学生の頃の思い出話から始めさせてください。1987年ごろ、私が国際関係論の講義を取ったときのこと。 教室に入ってきた先生の第一声が、今でも耳に残っています。 「君たちは国際関係論というと、いろんな国の関係を勉強すると思っているだろうが、違う。世界には米ソの2つの超大国しか...