昔、「中央研究所なんてコスパ悪いから廃止しちゃおう!必要な技術は買ってくればいいじゃん」と考えた企業がありました。実際、日本の大手企業でも研究所を縮小したり、統廃合したりする動きが増えていますよね。
確かに、研究所を維持しても成果がすぐに出ないし、お金もかかるし...周りを見渡せば優れた技術がすでに世の中にある状況だと、そう思っちゃうのも無理ないかも。四半期ごとの決算や短期的な業績を求められる現代のビジネス環境では、なおさらその誘惑は強いと思います。
でも、特にメーカーさんがこんな判断をすると、だんだん先細りになっちゃうと思うんです。理由は3つ!それぞれ掘り下げて考えてみましょう。
なぜ研究開発能力は必要なの?
- 技術を買おうとしても高額になる
「お金さえ出せば技術は買える」と思いがちですが、開発費用がかかっているから簡単には売ってくれません。さらに、「この会社は自分で研究開発できないんだな」と見られると、足元を見られて高い金額を請求されるかも😓 例えば、ある自動車メーカーが電気自動車の基幹技術を持っていなかったため、他社から高額なライセンス料を支払って導入することになり、結果的に製品の価格競争力が失われてしまったケースがあります。自前で開発していれば、そのコストを10年以上かけて回収できたかもしれないのに、短期間で支払わなければならなくなったんですね。 - そもそも売ってくれないこともある
良い技術ほど、開発した会社は「これは自社だけで使おう!」と考えます。だって独占した方が儲かりますからね。そうなると、その技術が必要なビジネスはあきらめるしかなくなります。 スマートフォン業界を見てみると、画面技術や半導体技術など、最先端の技術を持つ企業は自社製品に優先的に使い、他社には古い世代の技術しか提供しないことがよくあります。結果的に、技術を持たない企業は常に一歩遅れた製品しか出せなくなるんですよね。 - 欲しい技術がまだ市場に存在しないことも
「買おう!」と思っても、まだ誰も開発していない技術だったらどうしますか?誰かが開発するのをただ待つしかなくなり、新しい事業に参入するタイミングも他人任せになっちゃいます。 例えば、カーボンニュートラルや循環型社会に対応する新素材の開発。これから需要が高まる分野ですが、まだ誰も完全な解決策を持っていません。こういった未来の市場で勝負するには、自分たちで技術を作り出す力が必須なんです。
このように考えると、「技術は買えばいい」という考え方には大きな落とし穴があるんですね。短期的にはコスト削減になっても、長期的には会社の競争力を弱めてしまうかもしれません。
なぜこういう考え方が生まれるの?
これって、分析が得意な人が経営トップになると起きやすい問題かなと思います。私たちの周りにもこういうタイプの上司、いませんか?
分析の仕事って、確度の高い作業を99回積み重ねて1つの結論を出すような感じで、無駄が少なくコスパが見えやすいんですよね。数字で成果を示しやすく、「この施策でコストが15%削減できました」と報告できるから評価もされやすい。
一方で、発想や創造の仕事は、99回失敗して1回成功するような感じ。分析タイプの経営者からすると「この99回の失敗って無駄じゃない?」と思えちゃうんです。研究開発の価値を数字で示すのは難しいですよね。「今は成果が出ていないけど、10年後に花開くかもしれない」なんて説明では、短期的な成果を求める株主も納得しにくいでしょう。
だから「失敗にお金を使うくらいなら、できあがった技術を買った方がいい」という考えになりがち。でも、そうすると新技術が生まれず、高いお金で技術を導入することになって、結局は会社の収益が徐々に減っていく...
発想型の人がトップに立てばいいんですけど、残念ながら発想型の人って出世しにくいんですよね😢 企業文化として「失敗を許容する」「長期的な視点を持つ」という価値観が根付いていないと、なかなか難しい問題です。
成功している企業の研究開発の特徴
でも、世界を見渡すと研究開発に力を入れて成功している企業もたくさんありますよね。そういった企業には、どんな共通点があるのでしょうか?
- 長期的な視点を持っている
四半期ごとの成果にこだわりすぎず、5年、10年単位の成果を期待している企業は強いです。アップルやグーグルといった企業は、すぐに収益にならない技術にも投資し続けています。 - 失敗を許容する文化がある
「失敗は成功のもと」という言葉がありますが、本当にそう考えている企業は、研究者の挑戦を応援します。3Mは「15%ルール」といって、勤務時間の15%を自分の好きな研究に使っていいという文化があります。 - 研究と事業の橋渡しをする仕組みがある
研究所と事業部の間の「死の谷」を乗り越える仕組みを持っている企業は強いです。研究だけでなく、それを製品化するプロセスまでしっかり考えているんですね。
まとめ
研究所を「コスパが悪い」と切り捨てるのは短期的な見方。長い目で見ると、自社の研究開発能力は会社の未来を支える大切な力なんです。99回の失敗も、実は次の成功への大切なステップ。研究所を大事にする企業文化が、これからの時代を生き抜くカギかもしれませんね!