2014年10月12日日曜日

会社の潰し方について

最近の国の政策として起業を推進することがニュースになっています。

特に女性の起業を推進するという話ですが、正直大丈夫かと思ってしまいます。国の方針だからといって安易に起業すれば、痛い目にあうのは自分です。

博士や弁護士も国の方針によって、大幅増員しましたが、その後起きたことを考えれば、国の方針だからといって、盲目的に従うのはやめた方がいいでしょう。

そもそも会社をつくるのはとても簡単です。資本金は1円あればいいですし、登記も司法書士に頼めば数十万円でやってくれます。

一方、会社を運営して利益をあげてゆくことは、非常に難しいです。

うまくいくかどうかは結局運の問題ですので(こういう言い方はモトもコもありませんが・・・)、起業から10年後に生き残る会社は10%とも言われています。

さらに、会社の存続が不能になったとき、とても大きなリスクが現実となります。

社長が会社の連帯保証人であった場合には、会社の負債を弁済する義務が生じ、自己破産したり、最悪の場合には、自ら死を選ぶという人もいると思います。

日本で起業する人が少ない理由は、会社が潰れた時のリスクが大きすぎるからといえるでしょう。

したがって、起業を増やすには、無責任に人を煽って起業させるよりは、会社が潰れた時にソフトランディングできるような制度を整えたほうがよいと思います。

それでも起業したいというのであれば、その場合には、自分の責任でリスクをコントロールする必要があります。

例えば、ヒューレット・パッカードでは、起業に際し「小さく始めて大きく育てる」ことを推奨しているといいます。

はじめから大きなオフィスを借りて、人を雇い、外部からお金を借りて起業すると、個人では負担できないほどのリスクを背負い込むことになります。うまくいけば大儲けできますが、うまくゆかない場合には、悲劇的な結末となります。

したがって、最初は自宅で起業し、人は雇わず(アウトソーシングするなどして)、できるだけ自己資金で始めるのがよいと思います。

うまくいかない場合でも自己資金の範囲で損するだけですので、過大な借金を背負うこともありません。

逆に、うまくいきそうであれば、徐々に人を雇い、オフィスも安いところを借りる、など、徐々に大きなリスクを取るようにすればよいと思います。

結局のところ、起業とはどうリスクをとるかという話となりますので、リスクマネジメントの勉強を起業前にすることをお勧めいたします。

2014年10月5日日曜日

東京農工大学 設備サポート室のご案内


農工大MOTでお世話になった先生から「設備サポート室のご案内」がありましたので、お知らせいたします。

大学にある最先端の測定器を使用できるようですので、精密なデータを取りたい方にはおすすめと思います。

また、技術上の課題の相談にも乗っていただけるようですので、技術的な課題を抱えている方は是非利用してみてください。

以下、お知らせです。   

東京農工大学 設備サポート室のご案内

東京農工大では、学外の方に対する学内46台の設備(測定機器等)の利用を提供しております。

特許出願のデータ取り、係争準備、その他、研究開発、技術開発に伴うデータ取得が必要な場合には、ご利用ご相談いただければと思います。

また設備の利用のみならず、技術の困りごとの課題解決アプローチ法も相談にのっていただけるそうですので、ご利用いただければと思います。

詳しくはこちらをご参照下さい。
http://www.tuat-setsubi.org/

2014年10月4日土曜日

相乗効果のあるビジネスについて

「妖怪ウオッチ」というアニメが流行っているそうです。

私も毎回見ていますが、どうにもこのアニメは、「妖怪ウオッチ」という商品を売ることがまず頭にあり、そのために、ストーリーが後付で作られている、という感が拭えません。

「妖怪ウオッチ」という無料のコンテンツを入り口にして、時計というハードやゲーム・マンガという有料コンテンツを売るという、フリーミニアム的なビジネスモデルといえると思います。

昔のアニメといえば、作者なりの考えがあり、それを表現することに重きが置かれていましたが、妖怪ウォッチについては、そういうことは関係なく、とりあえずビジネスになればよいといえるでしょう。

よい著作物は陳腐化せずに、時間を超えて収益を上げられる特性がありますが、こういうアニメの作り方は、流行りが過ぎると一気に陳腐化するという欠点があると思います。

とはいえ、こういうビジネスモデルから、商売を考えるという考えは正しいとも思います。

日本の製造業は、「技術で勝って事業で負けた」といわれます。私も、メーカーで働いていた事がありますが、工業製品とは、非常に細かい1円単位のコストの削減を行なって、製品化されます。

そうして得られる製品の利益率は、10%以下程度に過ぎません(数値はイメージです・・・)。

そういう製品を量を売ることにより、必要な利益の額を得ようとする訳ですが、競合もいますので、単に作って売る、だけではなかなか儲かりません。

こういう状況を改善する手段として、「補完品ビジネス」という物があります。これはある製品を売った場合に、他の補完品を組み合わせて売るというビジネスモデルです。

例えば、プリンターとインクカートリッジ、自動車とオプション用品、カーナビと地図データDVDなどです。

このモデルの良い所は、1つの製品を売ると、複数の収益機会が得られますので、収益が増大するというところです。

但し、消費者も馬鹿ではありませんので、こういう収益構造に気付いてしまうと、補完品が高い製品は購入を避けられることになります。

また、補完品自体も製造物に変わりはありませんので、利益率もそうは高くできません。

そうすると、更に収益を得るには相乗効果のあるビジネスモデルを考えればよいわけですが、例えば、アップルのビジネスモデルがあると思います。

iPhoneが非常に人気ですが、アップルは同時に App Storeというものも運営しています。iPhoneが売れれば売れるほどApp Storeからの売上が増加します。

アプリはソフトウエアですので、複製に要するコストは無視でき、売れば売れるほど収益が得られます。

そうなると、iPhoneというハードと、App Storeというソフトの組み合わせは、ビジネス上の相乗効果があるといえます。

日本のメーカのようにスマホというハードだけの販売では、従来のように収益機会が1度しかなく、一生懸命売っても、プラットフォームを運営しているAppleやGoogleを儲けさせているだけ、という皮肉な結果となりかねません。

そう考えると、「妖怪ウオッチ」も時計というハードと、ゲーム、アニメ、漫画というソフトを組み合わせたビジネスですので、実はよく考えられたビジネスなのではとも考えます。

2014年9月13日土曜日

ライバル不在の戦略について

芸能ネタで申し訳ありませんが、Perfumeが全米デビューするそうです。

日刊スポーツの記事
 http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20140909-1363803.html

この話で面白いと思ったのは、米国デビューに向けて新しい曲を特に作るのではなく、従来の曲を多少リミックスして販売する部分です。

従来の全米デビューといえば、アメリカの大物プロデューサーに曲作りやプロモーションを依頼し、アーティストは日本を離れアメリカに滞在してダンスや英語のレッスンをし、詩、曲、アピアランスはあくまでもアメリカ人好みとするのが一般的でした。

こういう戦略は経営学的には、レッドオーシャン戦略といわれます。

 

従来の音楽のレベルを緑の線とすれば、そのレベルに近づく、そして超えるように曲作りをし、ライバルを蹴落とすべく赤色の線のレベルを目指すのが、いわゆるレッドオーシャン戦略です。

ただし、日本人は英語が苦手ですし、アメリカ自体アーティストの層が厚いので、レッドオーシャン戦略を成功させるには、努力と運が必要となります。

一方、Perfumeについては、レッドオーシャン戦略を取らず、ブルーオーシャン戦略を採っているように見えます。

つまり、英語はあきらめ、アメリカ人好みの曲作りをあきらめるが、従来にない新たな価値要因(テクノロジーやダンス)などを付加することにより、全体として差別化を図る戦略です。

ブルーオーシャン戦略はライバル不在となるのがメリットですが、それが成功するためには、新たに付加した価値観がアメリカ人に受け入れられるかがポイントとなります。

また、この全米デビューのやり方の良い所は、日本市場を失う可能性が低いところです。

全米デビューに向けて、英語で歌う等、アメリカ人好みの曲作りをすれば、それは日本人好みではない可能性が高いため、日本での売上が低下するおそれがあります。

日本の音楽市場は、現在ではアメリカの音楽市場とほぼ同等、CD売上に関しては上回っておりますので、日本市場を手放すことは、経営的にはありえません。

夢の無いこといえば、経営的には日本で売れれば充分であり、外国に関しては、多少の利益が出ればいいというところでしょうか。

このブルーオーシャン戦略はPerfumeが初めてではなく、YMOも同じような戦略だったと思います。

YMOも歌詞を無くして言語的な壁を乗り越えるとともに、テクノロジーやアジア的な雰囲気を付加して、世界を目指しました。そういう意味では、本当にテクノサウンドの継承者といえるのかもしれません。

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