2021年5月3日月曜日

対応マップについて

掃除機の検索ですが、IPC:A47L 9/**、出願日:2016年1月1日~で母集団をつくってみました。

ヒット件数としては、1600件くらいとなりました。それを適当にスクリーニング(主に、出願件数の少ない出願人の出願を削除)して1300件くらいの母集団としました。

これをKHcoderに読み込ませて対応分析をしました。

ただ、対応分析をしましても、訳の分からない図となりますので、多少考えてみました。

KHcoderでは、形態素解析により、品詞別の用語が得られます。 ここで、用語の「名詞」は、発明の構成を示し、「サ変名詞」は発明の機能を示すのではないか、と考えてみました。

そこで、「名詞」との対応マップを作りますと以下のようになります。

人間が理解できるように、軸や分類を書き込みますと以下のようになります。なお、以下の軸等は、私の解釈によるものですので、他の方が解釈すれば、当然別の軸や分類となります。

次に、「サ変名詞」の対応マップをつくりますと、以下のようになります。

軸や分類を書き込みますと以下のようになります。


対応マップでは、上記のように、用語と出願人(今回は19社)の対応関係が、なんとなくわかります。集まっているところは対応関係が強い、離れているところでは対応関係が弱いこととなります。

ざっくり分析しますと、日本企業は集まり気味(すなわち、競争が過酷なレッドオーシャン)、外国企業は離れ気味(すなわち、競争が少ないブルーオーシャン)であるような気がします。

機能と構造の対応マップを作りましたので、アンゾフ風なマトリクスに組み合わせますと以下のようになります。

日本企業は、既存構造×既存機能で競争し、外国企業は新規構造×新規機能で競争しているような気がします(新規構造が新規機能を生み出すのはあたりまえですので、上記マトリクスは妥当なのかはよくわかりません。)

やはり、マトリクスにしますと、人間が理解しやすくなるかと思います。対応マップを、プレゼンの最終アウトプットにするのはやめた方がよいかなと思います。

さて、KHcoderを特許分析に使用するメリットですが、上記のように、出願件数の大小が(あまり)影響しないこととなります。

例えば、パナソニックとツインバード工業は、出願件数に圧倒的な差がありますので、通常の特許マップソフトでは直接の比較はできません。

KHcoderは用語の共起確率のみをみますので、件数の大小は(あまり)影響しません。極端に言えば、出願件数1000件の会社と、出願件数10件の会社も比較可能となります。

要は、会社の製品の「質」で比較可能といえます。これが、従来の「量」の比較の分析とは大きく異なるところとなります。

次は、上記マトリクスから適当な会社選んでQFDづくりをしようと思います。選び方は、既存機能×既存構造から1社、既存機能×新規構造から1社、新規機能×新規構造から1社にしようと思います。

2021年4月28日水曜日

製品の個性について

最近見るテレビ番組がなく、BSをだらだら流し見しておりましたら、ウィスキーに関する5~10分くらいの短い番組をやっておりました。

詳しく記憶しておりませんですので、また、お酒にも詳しくありませんので、間違っていたら申し訳ありませんが、まず、オーク樽を作る製造者の紹介がありました。 

ウィスキーは蒸留した後、オーク樽で熟成すると思うのですが、釘をつかいますと味に影響が出ますので、オーク板を職人が1枚ずつ現物合わせで組み合わせて樽を作ります。

しかし、オーク自体は曲面加工等難しいので、どうしても漏れが生じます。そこで組み立てた後、漏れ箇所をチェックして、漏れる場所にはくさび等打ち込んで、調整してゆきます。

要は、オーク樽をつくるのには結構な工数がかかります。値段で言えば、高級家具と同じくらいになるのではないかと推察します。

次に、ウィスキーはピートを用いて蒸留すると思いますが、ある製造者はピートを求めて、根室付近の湿地帯のそばに蒸留所を建設したような紹介がありました。

根室のピートと、そのピートを通過した水をウィスキーづくりに使用することにより、独特の風味がでるようです。

私のような工業出身の人間が考えますと、オーク樽をやめてステンレスの樽にすればコスト削減できそうです。もしくは、人件費の安い国でつくって輸入すればよいとも考えます。

また、湿地帯のそばのような辺鄙な場所に蒸留所をつくるのではなく、ピートは適当にスコットランドのものを輸入すれば、コスト削減になると感じます。

しかし、わざわざ(あえて)、オーク樽を内製化したり、根室のピートと水を求めたりするかといえば、そうすることによって、ウィスキーに個性が出るからと思います。

誰でも購入可能な樽やピートをつかって作るウィスキーは、誰でも作れる個性のない風味となります。ウィスキーは趣味的な飲み物ですから、個性がないのは存在価値もないことになります。

ウィスキーに限らず、ワインも、原材料やテロワール、ドメーヌ等が重要となるのも同様の理由と思います。

ブランド的に言えば、属性の組み合わせで差別化するのが、お酒の考え方となります。

一方、工業製品は個性がなくなりがちです。パソコンやスマホは、CPUやらメモリーやらディスプレイやらを購入して組み立てるだけとなってしまったので、製品として個性を出すのはもはや無理な状況です(したがって、安くつくるしかありません)。

例えば、CPUだけ内製化したパソコンをつくれば差別化できるかもしれません。ただし、価格が高くなりますので、結局売れないでしょう。

お酒が内製化により個性を出せる(差別化できる)のは、趣味的な商品だからと思います。

いずれにせよ、工業製品においては、属性を組み合わせる場合には、個性を失っていないかチェックが必要と思います。 そうしませんと価格競争に巻き込まれ、体力のない企業から撤退となると思います。

2021年4月22日木曜日

知財デザインの本の案

掲題の件、構成を考えてみました。

1.導入部

前提部分の簡単な説明となります。長々と書いても意味はありません(誰も読まない)ので、手短に記載したいと思います。

内容としては、QFDを使用する動機づけのための、こじつけとなります。

(1) 分析と設計について

特許情報分析により、新製品を開発したいという要望がでることがありますが、それは難しいことをここでは説明したいと思います。

分析は現状把握には向きますが、新製品の開発のためには、別途設計行為が必要となります。

分析結果を利用して、設計を行うことができるかどうかが、知財デザインプロセスのポイントとなります。

(2) 量的分析と質的分析について

従来の特許情報分析は量的分析といえます。量的分析によれば企業の競争状態を的確に把握できますが、量的分析の結果から、製品設計という流れにもってゆくのは難しいことをここでは説明したいと思います。

製品設計のためには、質的分析が必要となります。質的分析とは、デザイン要素の関係性を分析して、製品の意味を分析する手法となります。

2.事例編

事例では、特定商品について分析と設計とを1セットで実施します。つまり、分析のみではなく、実際に設計します。ツールはKHcoderとなります。

I 事例1:おむつの事例(新製品開発)

 (1) 分析ステップ

「テキストマイニングを使用したブランドQFDの作成」を流用します。

ブランドQFDにより、自社・競合他社製品のブランド分析を行い、自社製品開発の方向性を決定します。

 (2) 設計ステップ

「テキストマイニングを使用した多空間デザインモデルの作成」を流用します。

自社製品開発の方向性に基づいて、新規製品を設計します。

II 事例2:〇〇の事例(新事業開発)

 (1) 分析ステップ

「テキストマイニングを使用したMFTフレーム分析」ということで事例をGW中に作ります。

3~4社が競合した製品についてQFDを作成して、競争状態分析(量的分析)と製品分析(質的分析)を試みます。

 (2) 設計ステップ

「テキストマイニングを使用したMFTモデルの作成」ということで、知財学会向けの事例を作成します。

MFTモデルを用いて、新規事業の探索を行います。(実際に事業化までを行うことはできません・・・ので、候補探索で終わりとなります。)

事例は計4つくらいあるとよいと思いますが、1年で1つずつ細々と増やそうかと思います。こんな感じでどうでしょうか。

「専門家なのに、なぜ予測を外すのか?」~未来予測と特許戦略のお話~

 大学生の頃の思い出話から始めさせてください。1987年ごろ、私が国際関係論の講義を取ったときのこと。 教室に入ってきた先生の第一声が、今でも耳に残っています。 「君たちは国際関係論というと、いろんな国の関係を勉強すると思っているだろうが、違う。世界には米ソの2つの超大国しか...