2022年3月21日月曜日

Excel問題

弁理士会のプロジェクトチームでは、特許マップの標準化を進めているそうです。

これは、標準化を進めることにより、弁理士によるサービスの向上を図ることが目的と思います。

それで、最近標準化案というものが、弁理士会内で公開されましたが、そのマップはほとんどExcelで書かれておりました。

Excelで特許マップを書くのは大変だったと思いますので、プロジェクトチームの方のご苦労が感じられました。

何故Excelで特許マップを書くのかといえば、特定特許マップソフトを使用しますと、弁理士会として、その特定特許マップソフトの使用を推奨しているようなイメージとなるからと思います。

また、特定特許マップソフトを所有していない弁理士は、サービスを提供できないので、標準化の意味もなくなると思います。

安いソフトを弁理士会で開発して、それを推奨するような進め方もあるかもしれませんが、開発費がかかりますし、特許マップソフトメーカーの業務を阻害する可能性もありますので、Excelの使用に落ち着いたのかと思います。 

私も上記の点が気になるため、論文に特許マップを使用する場合にはExcelを使用しております。

特定特許マップソフトの特殊機能を使用した分析論文などは、特定特許マップソフトを購入しなければ、自分では分析できませんので、参考にはなりますが、そのレベルとなります。

Excelのよいところは、解説本が多数出ているところと思います。最近ですと、データビジュアライゼーションに関する本がでていると思いますが、これを使用しますと、洗練されたプレゼン資料を作れると思います。 

また、Excelは年々機能改善が進みますので、昔より使いやすくはなりました。今後はさらに使いやすくなると思います。

あとは、私が今やっている知財デザインマトリクスも現状Excelでしか作れませんので、これは仕方なく使うという感じとなります。

個人的には、特許マップソフトを使用するのと、Excelを使用するのとどちらがよいのかといえば、最近は、Excelかな・・・と思います。それは、Excelの方が表現の自由度が高いので、自分のイメージ通りのマップを作れるからです。

特許マップソフトは、定型のマップを素早く作ることはできますが、定型外のマップは作りにくいと思います(もしかしたら最近のソフトは作れるのかもしれませんが・・・。間違っておりましたらすいません。)

まあ、これも、特許マップをつくる目的によって、感じ方も変わると思いますので、定型業務なら特許マップソフト、面白い特許マップを作るならExcelとなる感じでしょうか。

2022年3月18日金曜日

kindle本の件

懸案のkindle 本の件ですが、実のところ自分はkindleで本を買ったことがないことに気がつきました。

丸善や八重洲ブックセンターをぶらっとして、気になる本を買うのが常ですので、データのみの本というのはイメージがわきません。

今回は在庫(売れ残り・・・)を持つのがいやですので、何もわからないにも関わらず、kindleにしております。

本を書いていて思いますのが、まず、図がしょぼくなるということです。

正式な出版でしたら、プロのデザイナーが図を起こすのでしょうけど(出版したことがないので詳しくは知りませんが・・・)、今回は自分で書きますので、パワポレベルの図が並ぶことになります。

もちろん、プロに頼めばよいのですが、貧乏弁理士ですので、そこまでのお金もありません・・・。

次に気がつきますのが、文章もしょぼくなるということです。

通常の出版でしたら編集者が内容のクオリティを管理するのでしょうけれど、そういうお目付け役もおりませんので、好きに書いてしまいます。

ということで、かなり当初のイメージとは異なる感じとなります。このようなことから、本の値段は5000円とかは無理な状況です。

また、kindle出版の手続きも覚えねばなりませんし、表紙も作らねばなりませんので、簡単にはいかない感じです。

とはいえ、書いていてよかったと思うのが、自分用には役に立つ、ということです。

日頃の業務ではExcelは使用しませんので、いざ、特許マップを書こうとする場合には、まず、Excelの操作を思い出すことから始めねばなりませんでした。

この本があれば、思い出す時間を節約できます。そういう意味では自分用マニュアルとして、使えると思います。ですので、売り上げが芳しくなくとも問題ありません。

しかし、Amazonで"特許マップ"を検索しますと、本がほとんどヒットしないことがわかります。特に、最近出版された本はありません。そういう意味では、特許マップに関する本にはニーズがないのかもしれません。

これはどうしてなんでしょうか?よくわかりません。

内容は上記のような感じですので、プロモーションもしないことにしました。やるとしたら、マーケティング学会のtwitterで宣伝をお願いしようと思いますが、マーケティング学会のフォロワー数は860くらいしかないので、宣伝効果はなさそうです。

ということで、この作業も終わりそうですので、次は、知財学会のネタ探し作業をしたいと思います。

2022年3月5日土曜日

テキストマイニングを使用した新市場の探索について、のその後

テキストマイニングを使用した新市場の探索について、という名の論文をパテント誌に投稿しておりましたが、査読を通過しました。

パテント誌4月号(4/15発行)に掲載される予定です。パテント誌を購入していない方へは、6月上旬に弁理士会のHPにて無料公開されると思います。

査読の指摘点については、以下のようなものがありました。

①人工知能の専門家以外にもわかるように、用語の説明を追加してもらいたい。

私は人工知能の専門家ではないため、まあ、専門家でない自分でもわかるなら誰でもわかるだろうという軽い気持ちで説明を端折っておりましたが、これは甘えた考えだったようです。

そもそもテキストマイニングは人工知能なのか?という疑問もありますが、とても初歩的な人工知能とはいえそうです。

クラスタリングなども人工知能に分類されるようで、いまいち人工知能の定義がわかりません。定義がわからないのはIPランドスケープと似ております。

そこで、説明を追加しましたので、論文のボリュームが増えました。

②この論文に読者が興味を持てるような記載にしてほしい。

私は、日常業務として特許明細書を書いておりますが、特許明細書は記載要件を満たすよう技術的説明のみをすればよいため、この乗りで論文を書いてしまいました。そうすると、無味乾燥の、なんの興味も持てない論文ができあがるわけです。

要は、読者のエモーションを掻き立てるセールストークのような記載を追加しなければなりませんが、やりすぎるとあざとくなりますので、難しいところです。とりあえず、役に立つくらいのことは書いてみました。

ということで、この作業はひと段落ですので、懸案の、Excelでやる特許分析のkindle本の作成作業に移りたいと思います。

2022年2月26日土曜日

知財とインテリジェンスについて(IPインテリジェンス、知財インテリジェンス)

ロシアがウクライナに侵攻しました。日本もロシアに隣接した国ですので、この横暴は他人ごとではありません。

このような現在進行形の状況において気を付けなければならないのは、偽情報に惑わされないことです。

例えば、メディアでロシア擁護のコメントを出している専門家は、世論操作のためのロシアのエージェントと考えた方がよさそうです。 

また、ロシアが戦果を強調するため、偽の戦果を発表する可能性もあります。

ということで、個人でも情報処理をして、妥当な判断をしてゆく必要がありますが、このような行為をインテリジェンスといいます。

すなわち、インテリジェンスとは、情報(インフォメーション)を処理して得た知識、と定義されます。

インテリジェンスのポイントは次の2点となります。

①情報源の確保

インテリジェンスにおける情報源は以下のように分類されます。


公開情報はオシントと呼ばれます。一方、非公開情報にはヒューミントなどがあります。スパイ映画などからは、非公開情報が重要と考えがちですが、例えば、CIAの情報源の80%は公開情報といわれています。

私のような一般人ではオシントしかありませんが、信用に足る情報源に限定する必要があります。この点、日本のメディアは頼りなく、BBCあたりの情報が正確なのではないかと思います。

また、米国や英国、日本の政府機関(情報機関)が出す情報も正確性が高いので、情報源をこれらに絞るのが良いと思います。 

②複数情報の突き合わせ

一つの情報源から判断するのは、偽情報である場合があり危険です。したがって、複数のオシントやヒューミント、シギントなどを必ず組み合わせて、妥当な結論を導く必要があります。

テレビやSNSの情報にすぐに飛びつくのではなく、複数情報源を突き合わせて、妥当性を自分なりに考えるのがよいと思います。 

本ブログは軍事ブログではなく、知財ブログですので、無理やり知財に結び付けますが、上記インテリジェンスは知財活動においても普通にやっていることと思います。

例えば、Jplatpatはオシントに相当しますし、これを処理して特許マップを作ることはインテリジェンス活動をいえます。

さらに、営業の方や、技術の方からヒアリングすることはヒューミントに相当しますし、とオシントとヒューミントを統合して得た知識もインテリジェンスといえます。例えば、特許情報をつかったマーケティングなどは、複数情報源を統合したインテリジェンスとなります。

最近のIPランドスケープの考え方は、インテリジェンスに近いのかなとも思います。そういう意味ではIPランドスケープよりは、IPインテリジェンス(知財インテリジェンス)の方が妥当な言葉と思いますが、また、商標出願されてしまいそうなので、みんなで使って普通名称化してしまいましょう。

【PR】“AI、生成AI”による知財業務の効率化、スピード化のセミナーについて(9/27開催)

掲題の件、セミナーの1/4を担当することになりました。私の担当分は、「【第2部】生成AIで革新する特許データ分析」です。URLは以下となります。 AI 生成AI 特許調査 分析 翻訳 技術情報協会はセミナー・出版・通信教育を通じて企業の最前線に立つ研究者、技術者をサポートし社会に...