2011年9月1日木曜日

特許出願と製品化について

ある有望な技術のアイデアがある場合、特許権の取得と製品化のタイミングをどう調整するかは非常に悩ましいところです。

大企業の場合には、自社で製造し販売ルートを確保し、宣伝も行う能力があります(資金も豊富です)ので、特許活動はある程度計画的に行えると思います。

しかしながら、中小企業の場合には、製造を外部に委託したり、場合によっては、大企業に技術を売り込みにいったり、販売ルートを確保したり、そもそも製品化しても採算にのるのか?という様々な課題があります。

ここで、特許活動を先行させた場合にはお金にならない無駄な特許を取得してしまう可能性があります。

したがって、中小企業の場合には、事業化の活動と同期させて特許活動を行い、無駄な特許出願による費用が発生することを防止する必要があると思います。

特許取得までには大まかに言って、特許出願、出願公開、審査請求などのイベントがありますので、その時々の事業化活動の留意点について考えたいと思います

まず、特許出願ですが、特許は早いもの勝ちともいえますので、アイデアが固まった段階で早期に出願する必要があります。

ただし、この段階ではまだ営業活動はしないでください。特許出願から1年6月の間は特許出願の内容は公開されませんので、この間に営業活動をしてしまうと発明を真似され出願されてしまうおそれがあります。

この期間は、改良発明の出願や国内優先の利用を考えて、事業を守れる特許網の構築を行いたいところです。

ただし、直ぐにでも売れそうなどの特別の事情がある場合には、別途秘密保持契約を結んで情報を開示するような営業活動が求められます。

次に、出願公開ですがこの出願公開により、発明の内容は秘密の状態から脱しますので、特許公開公報を手にいろいろな人と会って、事業化の活動を行うことが可能です。

ただし、この場合でも明細書に記載されていない特別のノウハウや改良発明の可能性については模倣を防ぐ意味でうかつにしゃべらないようにした方が無難です。

最後、審査請求ですが、ここではまず請求項の内容の最終確認をしたいところです。最終的な製品はその後の改良などにより、出願当初の請求項の範囲から外れている可能性があります。

したがいまして、この点の確認が必要ですが専門知識が必要ですので弁理士に依頼するのが無難です(費用はかかりますが・・・)。

製品が出願当初の請求項の範囲から外れている場合には、請求項を補正したり、国内優先件制度を利用したり、場合によっては、新たな出願をしたりします。

また、同時に特許になりそうか否か確認をしておきたいところです。審査請求には多少安くはなりましたが費用がかかりますので、ある程度の見通しを持って審査請求することにより、費用をセーブできます。

以上、特許出願のスケジュールから対応を考えて見ましたが、製品化のスケジュールから対応を考えて見たり、研究開発のスケジュールから考えてみると、いろいろな作戦が練れると思います。

2011年8月31日水曜日

(株)知財デザイン:夏期知財セミナー第4回を実施しました。



2011年8月31日(水)に、夏期セミナーの第4回目が行われました。講師は鶴見先生です。「中小企業における知財管理の進め方 」をテーマに、本セミナーのまとめの位置づけで、知財管理上重要な事項の確認を行いました。

ご参加いただいた皆様におかれましては、お暑い中、また、お忙しい中ご参加いただき誠にありがとうございました。皆様欠席されることなく参加され、企画した当社といたしましても光栄に思います。今後も定期的にセミナーを企画させて頂きますので、ご参加いただければと思います。

私も、この8月はセミナー開催に全力を投入しましたので、夏休みなしで頑張りました!ここで一息といきたいところですが、もう9月でもあり夏休みという雰囲気でもありませんね・・。

2011年8月27日土曜日

MOT修了パーティーについて




2011年8月27日(土)に、東京農工大学MOT第5期生の修了パーティーが銀座の某所にてとり行われました。本当であれば3月に実施されるはずでしたが、先の震災のため、中止するか延期するか議論があり、結局皆が集まりやすい8月にやろうとなったものです。




鶴見ゼミの面々です。左から私、森野さん、本田さん、鶴見先生です。



MOTのおじさんたちと美女です。和気あいあいとしておりますが、会社へ戻ればとても厳しく仕事をしている人たちです(多分)。

今の日本は課題が山積ですがMOTで学んだ問題解決方法や、MOTで得た人的ネットワークを大いに活用して、少しでも競争力のある日本を取り戻せるよう活動してゆきたいと思います。

2011年8月25日木曜日

定石について

当社の夏期知財セミナーをこれまで3回ほど開催させていただいておりますが、その内容は知財戦略の定石的なものが多いです。特殊な事例は適用範囲が狭いため、まずは、定石をという考えです。

しかしながら、定石とは過去の事例を系統的にまとめて分析したものですので、やや退屈でもあり、変化の激しい今後の世の中に適用できるのか(つまり、役に立たないのでは!)という疑問もあるかと思います。

余談ですが、MBAやMOTなどでもケーススタディとして主に経営の定石的なものを学びますが、定石は世の中の人が広く知ってますので、MBAやMOTは役に立たないと言われることもあります。

では、定石を勉強することは役に立たないのでしょうか?

ひとつ考えられるのは、定石を駆使する敵に対しては定石にを知ることにより、少なくとも負けることはないということです。定石を知らない場合には定石により敵にあっさり負けてしまいます。定石を知っている場合には、定石を超えるアイデアの戦いとなります。勉強不足で負けてしまうのはちょっと悲しいですよね。

また、アイデアは既存の知識の組み合わせですので、定石を多く知ることにより、様々な定石を組み合わせて、新たな戦略を構築できます。新たな戦略により、敵に対して優位に立つことができます。

したがいまして、定石を知ることが負けないために重要であり、さらに勝つためには、定石を自分のものとすることが必要と言えるでしょう。

シャーロック・ホームズも千以上の過去の事件を研究し、それに基づいて優れた推理を行ったそうですので、めんどうで退屈でもありますが定石を勉強するしかないようです。

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