2013年12月7日土曜日

御社の知財部®について

御社の知財部(登録商標です)というサービスを提供させていただいて、今月で丸3年になります。来年1月から4年目に入ります。

サービス開始当初は鳴かず飛ばずでしたが、今年に入り何社か契約いただきまして、今は少々忙しく活動させていただいております。

私もこのサービスを始めて、初めて営業活動というものを行ったのですが、引き合いがあっても、やはりお断りされることも多くあります。こういうときは結構落ち込みます。

お断りの理由として1番多いのが、都県や市が行っている無料の知財コンサルティングを利用することにしました、というものです。

都県・市は、中小企業支援のメニューとして無料の知財コンサルティングを行っているところが多くあります。

これは中小企業に対し弁理士や中小企業診断士などの資格を持つ人を派遣して、中小企業の知財の相談にのるというような内容となっています。しかも基本的には無料ですので、これを利用しない手はありません。

この理由でお断りをいただくと、仕方がないと諦めるしかありません。無料にはどうやっても勝てません。

このような無料の知財コンサルティングは、事業の規模が小さく知財上の課題が少ない場合に特に有用と思います。

知財上の経営課題が少なく、課題が生じるごとに解決するスタイルならば、無料の知財コンサルティングは経費削減の観点から有用と思います。

ただし、事業の規模が拡大すると知財上の課題が常時発生することになりますので、この場合、無料の知財コンサルティングですべてに対応することは難しくなると思います。

したがって、どこかの段階で、特許調査や特許出願等の知財活動の費用を自社でしっかり確保するとともに、自社に知財部のような組織を設け、組織的に知財活動を実施する必要があります。

このような知財活動を自社で行うと決意した段階で当社にご依頼いただければ、知財活動の自社による独自実施へスムーズに移行できると思います。

会社内の方を知財責任者として我々がその方を補佐しますので、社外の人材を新たに登用するよりも人件費を削減できますし、何より社内の方が知財部の責任者となりますので、組織的にも受け入れやすいと思います。

と、宣伝めいて申し訳ありませんが、ご興味がありましたら弊社(御社の知財部.com)までお気軽にお問い合わせ合わせ下さい。よろしくお願いいたします。

2013年12月3日火曜日

「させる」と「させない」について


特許権とは排他権であるとよく言われます。排他権とは権利を持たない者による特許発明の実施を排除できるということを意味します。

権利者のみが特許発明を実施できますので、特許発明にかかるビジネスを支配することが可能となります。このように、特許権とは特許発明を実施「させない」作用を有します。

従来の知財マネジメントはこの排他権に着目して行われてきましたが、近年は、標準化というものが重要視されています。

技術標準とは、所定の技術において満たさなければならない仕様、取り決めのようなものです。技術標準が確定しますとその技術を使用しなければなりません。

したがって、自社に有利な技術標準が確定しますと、その技術をあらゆる会社に使用「させる」ことができます。

このように、特許権と技術標準を組みわせることにより、競合他社にある技術を使用「させる」、「させない」という具合にコントロールできますので、競合他社は自由度を奪われ、自社の競争優位が得られます。

さて、他社に使用「させる」、「させない」ようにするには、特許権、技術標準以外の方法もあります。それは、契約です。

例えば、契約により、実施権を許諾し使用「させる」こともできますし、地域を限定して実施「させない」ことも可能です。

ただし、特許権、技術標準は不特定多数に対して効力があるのに対して、契約の効力は契約を締結した特定の会社に限られます。

また、契約によれば、ノウハウ・営業秘密を使用「させる」ことも可能です。さらに、契約でなんでも実施「させない」こととできるわけではなく、公序良俗に反せず、独占禁止法に抵触しないことが必要です。

以上をまとめると以下の図のようになります。



他社をコントロールするという観点からは、特許権のみを考慮した知財マネジメントでは足りず、今後は、技術標準、不正競争防止法、独占禁止法を駆使して、「させる」、「させない」の戦略をねる必要があると思います。

もちろん他社も自社をコントロールしようと仕掛けてまいりますので、どのように防御するか、契約書の内容はどうあるべきか、いろいろと準備しておくことも必要と思います。

2013年11月23日土曜日

品質表について

12/1の知財学会で発表を行います。テーマは、戦略的商品開発手法の開発 -QFDと特許情報の融合-です。発表資料はまだ完成しておりませんが・・・。

この発表では品質表というものを特許情報からつくる、ということにチャレンジしています。

品質表とは、下のような表をいいます。



これは、100円ライターの品質表の例です。縦軸が要求品質であり、横軸は品質特性となっています。

要求品質とは、お客さんが要望する商品の品質を示しています。例えば、確実に着火する、使いやすい、などです。

品質特性とは、商品設計の目標値を引き出すために、要求品質を技術者の言葉に置き換えて抽出した言葉です。例えば、形状寸法、重量、などです。

簡単にいえば、要求品質とはお客さんの言葉であり、品質特性は技術者の言葉であり、品質表はお客さんの言葉を技術者の言葉に変換(翻訳)する役割があります。

この品質表の良い所は、お客さんの要求という抽象的な情報を、品質特性という数値で評価できるようになるところです。

例えば、お客さんから確実に着火するという要望があった場合には、そのままでは漠然とした情報ですが、この品質表を見れば、耐久性、着火性、操作性を所定の数値内とすればよいことがわかります。

したがって、商品設計を客観的な数値で管理できることになりますので、技術者も商品設計を非常にしやすくなります。

この考え方は商品設計だけではなく、いろいろな分野に役立つと思います。例えば、知的資産経営報告書では、KPI:Key Performance Indicatorsというものを評価指標として設定して、知的資産経営の進捗を数値で管理します。

これにより、知的資産経営という理解しにくい概念を、数値により見える化することにより、いろいろな人に理解してもらうことが可能になります。

難関の資格試験や英会話の勉強も、こういった数値で進捗を評価できれば目標を定めやすくなると思います。

そういう意味では、 自分が直面する課題について品質表のようなマトリクスを作成すれば、解決の一助となるかもしれません。

2013年11月11日月曜日

アセアンへの中小企業の進出について

本日は、中小企業の海外進出支援-アセアンビジネスの視点から-という題目の研修を受けてまいりました。

アセアンといえば、 インドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオスが参加国であり、近年成長著しい国々として注目されています。

これらの国に進出する際には、様々な問題がありますが、知財的には模倣が大きな問題となると思います。

それでは、アセアンの知財状況はどうなっているのでしょうか。講師の方のお話をかいつまみますと、

(1)知的財産関係の法律は各国とも整備されつつあるが、ミャンマーは特許法、意匠法、商標法がない。

(2)各国特許庁における審査は、他国の審査結果を提出すれば特許される国がある。特許庁自体小さな組織の国もあり、ウェブサイトがない国もある。

(3)知財権の権利行使については、各国特有の事情もあり難しいと考えたほうがよい。

ということですので、ただ出願すればよい、という状況ではないようです。

特に、権利行使が難しい点は、はたしてその国に出願する意味があるのかを考えさせます。

ただし、商品をその国の市場に出したそばから模倣が始まるとのことですので、何ら知財権を確保せずに進出することも無謀と思います。

そうすると、効果に疑問は残りますが、可能な限り出願して権利を確保するとともに、知財権によらずとも模倣を防ぐような手段をとることが策の一つとなるでしょうか。

例えば、コアの技術については国内に残し、模倣を受けても被害が少ない技術のみ国外に出すことなどです。

さて、中小企業がアセアンでビジネスを行うためには、良いビジネスパートナーを探すことが重要とのことです。

パートナーの探し方としては展示会を利用することが一つの手段であり、JETROや地方公共団体が主催する展示会を利用すれば、比較的お金がかからずに済むとのことでした。

ただし、結局は経営者自ら進出先の国に趣き、その国の空気の匂いを感じることが最も重要とのお話でした。

今はネットで色々な情報を収集できますが、それだけではダメということですね。

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